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NHKカルチャー青山教室・糖質制限食講座のご案内。2019/2/24(日)。
こんばんは。

NHKカルチャー青山教室講座
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1163502.html
電話:03-3475-1151
美味しく楽しく健康に!糖質制限食のすすめ
講師:高雄病院理事長 江部 康二
2019/2/24(日) 13:00~14:30 


のご案内です。
NHKカルチャー青山教室では、初めての講座です。
糖質制限食の最新の知識や情報をわかりやすく楽しくお話します。
70分間の講演と20分間の質疑応答となります。
東京、関東方面の方々、
是非ご参加いただけば幸いです。

お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食、ベジタリアン食、高血圧食、脂肪制限食などともに
「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。

この1~3年、糖質制限食の展開において大きな発展があり
いい意味のサプライズもありました。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストなども糖質制限メニューを投入で、なかなかのものです。

一方、医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、生まれて初めて東京大学医学部に行ってきました。
教授室で、渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
です。
日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。

2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3

糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。

江部康二


☆☆☆
以下はNHKカルチャー青山教室のサイトから一部抜粋です・

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1163502.html
NHKカルチャー青山教室講座



日時
2018年2月24日(日) 13:00~14:30

講演テーマ
「美味しく楽しく健康に!糖質制限食のすすめ」

講師
高雄病院理事長 江部康二医師

内容紹介
近年注目されている糖質制限について、2002年からご自身も実践し、
肥満と糖尿病を克服された江部康二先生による講演会です。
数多くの臨床活動を通して、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどに対する
糖質制限食の画期的な治療効果が証明されています。
運動を勧められても長続きしなかった方や
色々なダイエットを試したけれど効果が表れなかった方、
またこれから糖質制限食を始めてみようと思われている方に向け、
その正しい知識と治療効果、カロリー制限食と糖質制限食の比較、注意点等を
お話しします。
糖質制限食で、明日からの食生活を美味しく・楽しく・健康に!

受講料
会員 3,369円
一般(入会不要) 4,050円

電話
03-3475-1151

果糖は ブドウ糖の約数十倍AGEsを生じやすい危険な物質です。果物もNG。
こんばんは。

糖質制限者さんから「果糖」について
コメント・質問を頂きました。

果物はヘルシーなイメージがありますが、はたしてそうでしょうか?
果物に含まれる糖質は、果糖・ブドウ糖・ショ糖などです。
果物と果糖について、その安全性を検討してみます。

果糖(フルクトース)とブドウ糖(グルコース)は単糖類です。
<ショ糖=ブドウ糖+果糖>です。
ショ糖(砂糖の主成分)も人体に吸収されるときは、
ブドウ糖と果糖に分解されて吸収されます。

なんとなく、果糖もブドウ糖も似たようなものと思いがちですが、
実は、化学的にも栄養学的にもフルクトースはグルコースと極めて異なる物質です。
ブドウ糖は体内に吸収されたあとの代謝は、ほぼ解明されています。
一方果糖は、生体内に入ってからの動態の詳細はほとんど判明していません。
唯一、果糖がAGEsを極めて生じやすいことだけは確定しています。。

帝京大学医学部の山内俊一教授は、
「血液中の糖は、エネルギーとして使われる一方、
体のたんぱく質と結びついてAGEs(終末糖化産物)を作り出し、
毛細血管を傷つけるなど“毒性”を持つ。
果糖は体内のたんぱく質と結びつく力が理論上、
ブドウ糖の約100倍であることが分かってきた」

と述べておられます。
日経ヘルス 2013年10月31日
https://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20131023/164861/


なお、食と医療.2017では、
「試験管内の実験では、果糖は体内のたんぱく質と結びつく力が、
ブドウ糖の数十倍に達する」
とされています。(☆)

果糖が脂肪合成を誘導しやすい糖質であることは、以前から知られています。
ヒトにおいて、高果糖食が肝臓での脂肪合成を促進し、
血中の中性脂肪濃度を上昇させ、
インスリン抵抗性を生じることが報告されています。

果物中の果糖は、GLUT5によって吸収されますが、
果糖のGIは20と低く、血糖値はほとんど上昇させません。
血糖にはほとんど変わらずに肝臓まで運ばれ、ブドウ糖代謝系に入ります。
このとき果糖は、ブドウ糖より急速に代謝されるという特徴があります。
果糖は、ブドウ糖よりも約100倍AGEsを生成しやすいので、
急速に代謝する必要があるのかと思われます。
つまり、毒消しのようなものですね。

果糖は、肝臓での脂肪合成酵素群の発現を促進させる作用も持っており、
急速に代謝されることと合わせて、とても中性脂肪に変わり易いのです。
このように、果糖は中性脂肪をためやすく肥満しやすい性質をもっているし、
AGEsを生じやすいので、現代では果物は、NG食材といえます。

特に品種改良により糖度が高くて、大きくなった果物は
ショ糖・ブドウ糖・果糖の全てが多く含まれています。
従ってく血糖値を大きく上昇させ、AGEsも多く生じるので危険な食材です。
なおアボカドだけは、100g中に糖質がわずか0.9gなので、糖質制限OK食材です。

また、フルクトースコーンシロップが砂糖よりもコストが安価なので
米国で大量に使用されるようになりました。
例えばコーラなど清涼飲料水の原材料の一つとして
「果糖ブドウ糖液糖」がよく使用されます。
果糖ブドウ糖液糖のフルクトースコーンシロップの含有率は50%~90%です。
当然、フルクトースコーンシロップも
ブドウ糖の100倍くらいAGEsを生成しやすく危険な食材です。


果糖のほうがが多いと「果糖ブドウ糖液糖」、
ぶどう糖のほうがが多いと「ブドウ糖果糖液糖」です。
「果糖ブドウ糖液糖」は果糖が多いので、血糖値はやや上昇させにくいですが、
AGEsを生じやすく、肥満しやすいという特徴があります。
「ブドウ糖果糖液糖」は、当然血糖値を急速に上昇させやすいです。
いずれにせよ、『こんなもの要らない』食材です。

結論です。
①現代の果物は、血糖値を大きく上昇させるので、糖質制限NG食材です。
②果糖は、血糖値はほとんど上げないのですが、ブドウ糖の数十倍AGEsを生じやすく、さらに肥満の元凶なので、そもそもNG物質です。現代の果物はその果糖を多く含んでいるので危険な食材です。
③果物で唯一、アボカドは糖質制限OK食材です。



(☆) 山内俊一:フルクトースの代謝と影響.食と医療.2017 SUMMER -FALL Vol.2


江部康二
NHKカルチャー福岡教室講座・2019/2/3(日)のご案内。
こんにちは。

NHKカルチャー福岡教室講座
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1162582.html
電話:092-271-2100
糖質制限食のすすめ
~美味しく楽しく健康に~
講師:高雄病院理事長 江部 康二
2019/2/3(日) 14:00~15:30 


のご案内です。
NHKカルチャー福岡教室では、初めての講座です。
糖質制限食の最新の知識や情報をわかりやすく楽しくお話します。
70分間の講演と20分間の質疑応答となります。
福岡、北九州、佐賀、熊本、大分方面の方々、
是非ご参加いただけば幸いです。

お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食、ベジタリアン食、高血圧食、脂肪制限食などともに
「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。

この1~3年、糖質制限食の展開において大きな発展があり
いい意味のサプライズもありました。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストなども糖質制限メニューを投入で、なかなかのものです。

一方、医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、生まれて初めて東京大学医学部に行ってきました。
教授室で、渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
です。
日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。

2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3

糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。

江部康二


☆☆☆
以下はNHKカルチャー福岡教室のサイトから一部抜粋です・

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1162582.html
NHKカルチャー福岡教室講座



日時
2018年2月3日(日)

講演テーマ
「糖質制限食のすすめ~美味しく楽しく健康に~」

講師
高雄病院理事長 江部康二医師

内容紹介
糖尿病・メタボ・生活習慣病でお悩みの方、
ダイエットが続かない方に向け、
糖質制限の正しい知識と効果を説明します。
多くの研究論文により、糖尿病、肥満などに対する
糖質制限食の画期的な治療効果が証明されています。
最近、糖質制限食に対する根拠のない批判記事が、
時にメディアへ掲載されることがありますが、
そのたびに私は自分のブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』で
しっかり反論しています。
本講座では、糖質制限食の有効性と安全性、
カロリー制限食と糖質制限食の比較、注意点等をお話しします。

受講料
会員 3,369円
一般(入会不要) 3,931円

電話
092-271-2100
狩猟・採集民は農耕民より健康長寿。
こんばんは。

これだけで、全てを語れるわけではありませんが、
『狩猟採集民は農耕民より長命だった』という古栄養学の研究を紹介します。

古代人の食生活を考察し、その食生活が当時の人間集団の存続に
どんな役割を果たしていたかを知ろうとする学問が
パレオ・ニュートリション(古栄養学)です。

骨で見分ける古代人の生活ぶり
http://www.wound-treatment.jp/dr/glucide_data/kagaku-asahi_1981.htm
科学朝日,41巻12号,1981年 記載の
カナダ・マックギル大教授/人類学 井川史子氏の論文


の要旨が以下です。
本文は結構、長文ですが、興味ある人は読んでみて下さい。

A)
ケンタッキー州,インディアン・ノール貝塚出土の285体の人骨
前者は紀元前3400年から同2000年ころ
狩猟,漁労,植物採取をしていた人々の残した貝塚で出土

B)
ケンタッキー州,ハーディン・ビレッジ遺構出土の人骨296体
西暦1500年から1675年ころの間
トウモロコシ,豆類,カボチャ類を栽培した人々が住んだ村落


比較研究の条件として、
①一定数以上の人骨資料があること
②人種的条件が同じであること
③環境的条件が同じであること
④ヨーロッパ伝来の疾病が新しい要因として入っていないこと

が、前提となっています。
すなわちハーディン・ビレッジの居住期間中、
ヨーロッパ人の侵入はこの地域に関する限りはなしという前提です。

米国、ケンタッキー州で出土した、
①②③④の条件をを満たす
A)とB)を比較した研究です。

狩猟・漁労・採集が生業の人骨285体と 、
トウモロコシ・豆類・カボチャ栽培が生業の人骨296体を比較したところ、
狩猟採集民のほうが、農耕民より長命であったことが判明しました。

男女ともにインディアン・ノールの狩猟採取民の方が長命でした。

死亡年齢で特に対照的なのは、4歳未満の小児死亡率の分布でした。

インディアン・ノールでは、70%が新生児と12ヶ月未満の乳児でしたが、
狩猟採集民は、新生児の間引きをする習慣があるので、
その影響があると考えられます。

一方ハーディン・ビレッジではその逆で、1~3歳の幼児が60%に達っしました。

すなわち、農耕民のほうは、離乳期に入ってからが危機であることが明らかです。

ハーディン・ビレッジの農耕民はトウモロコシ粉を水溶きしたようなものを離乳食に用いたと考えられます。

それが生涯を通じての栄養的欠陥の始まりになったと思われます。

現代でも、アフリカや中央アメリカの農耕社会では柔らかいでんぷん質の食事が離乳食として与えられると、
下痢が始まり、各種の細菌侵入による疾患が起こり、タンパク質欠乏症を示すことが多いとされています。

ハーディン・ビレッジの農耕民でも同様のパターンが生じて、
短命に繋がった可能性があります。

また、40歳以上はインディアン・ノールの狩猟採取民では12%くらいでしたが
ハーディン・ビレッジでは 5%しかなく、
さらに50歳以上になると前者は5%くらいあるのに対して、後者は1.25%くらいしかいませんでした。

即ち、トウモロコシが主食の農耕民は、1~3歳の幼児が大量に死亡するだけでなく
長生きの人も、狩猟・採集民に比し、極端に少なかったのです。


江部康二
たがしゅう先生の年末恒例コメント。糖質制限食と主体性。
こんばんは。
たがしゅう先生から、
年末恒例の長めの問題提起のコメントを頂きました。
ありがとうございます。

糖質制限食で糖尿病、肥満、メタボ、生活習慣病などが
改善する人が多いのは事実です。、
そして、病気でなくても健康度が高まる人が多いのも事実です。
しかし、一方で糖質制限食が上手くいかない人が、
少数ではありますが存在するというのもまた事実です。

高雄病院では、もっぱら糖尿病患者さんを主に糖質制限食を導入しています。
初期の段階で、HbA1cや血糖値は劇的に改善したけれど
力が出ない、階段が登りにくい、しんどい、だるい・・・などと
訴える糖尿病患者さんが、時々おられました。
それで、これらの患者さんに栄養指導をしたところ、
ほぼ全ての患者さんにおいて、
「糖質制限+脂質制限」が実施されていて、
結果として、カロリー不足を生じていたことが確認できました。
そこで、脂質とたんぱく質はしっかり充分量摂取するように指導したところ
速やかに症状は改善しました。

今回のたがしゅう先生のケースは高雄病院のよくあるケースとは
異なっています。
以下、たがしゅう先生のコメントを私なりに要約してみました。
<受動的なパターン>と<主体性>


<受動的なパターン>
『摂取エネルギーについては十分足りている。
やや女性に多く、やせ型体型の場合が多い、
筋肉量が少なく、消化吸収能力が低い。』

『何らかの理由でストレスがかかり続けている。
それにより消化吸収機能が低下している。
消化吸収機能が低下しているから太れないし、
十分な摂取エネルギー量を確保しても吸収できず筋肉が出来上がらない。
筋肉が出来上がらないから糖新生がうまく働かない。』

『糖質制限でうまくいかない人に多くみられるパターンとしては、
体調を崩しているにも関わらずそのまま継続。
そこには「○○先生の本には続けることによって良くなると書いてあるから」だとか、
「○○先生に聞いたらエネルギー不足だと書いていたからエネルギーを増やしていれば治るはず」
というような受動的思考パターンがある。』



<主体性>
『糖質制限を実践する際には
主体性が不可欠である。
主体性、即ち自分の頭で考えて自分の判断で行動する力が必要。』

『例えば、糖質制限を始めてみて万が一体調がおかしいと思ったら、
自分に合わないと思って元に戻せばいいし、
戻した上で何がおかしかったのかを後から考えたり、わからなければ誰かに聞いたり、
何かを調べたりということをすればいい。』


私もたがしゅう先生の仰る通り、
糖質制限食を実践する場合には、主体性が必要と思います。
糖質制限食に限らずどんなことでも「自分の頭で考え、判断し、選択する」ということは大切ですね。

といっても、アドラー的には、「人は全ての行動を、自分で選択している。」
ということなのですが、そのことを、本人が認識できているか否かですね。
それと、選択する前に「自分の頭で考え、判断する」ということも肝要です。

ただこれは、「孤立して一人で主体的に生きていく。」という意味ではありません。
他者を信頼したり、他者に貢献したり、対等な人間関係を構築したり、
孤立しないことも大切です。

主体性を持ちつつ、他者ともしっかり関わりをもち、
互いに支え合っていくということです。
医師、栄養士、看護師、患者仲間、家族、友人・・・それぞれの間で、
対等な人間関係を持ちつつ主体的に生きていくというイメージですね。

このような生き方であれば、かかっているストレスも軽減する可能性が高いです。


江部康二



【18/12/31 たがしゅう
糖質制限と主体性
江部先生

いつもお世話になっております。
誠に勝手ながら自分の中で毎年恒例となっている
年末の先生への御挨拶をさせて頂きます。

確かに今年は昨年に比べてインパクトのあるニュースは少なかった印象があります。
けれど裏を返せばそれは、糖質制限が一般に広く定着してきたことの証であって、

先生が長年続けてこられた御活動が確かに実を結んでいる事の現れではないかと
感じております。

さて、私の糖質制限に関する今年の出来事を振り返りますと、
実は糖質制限でうまくいかないという方々の話を聞く機会の多い年でした。
決して多数例ではないのですが、糖質制限を実践していて体調を崩し、
その後糖質制限を解除することで体調が回復したという人達の話です。

江部先生は糖質制限で失敗するよくあるパターンとして、
糖質制限とカロリー制限を同時に行ってしまい
摂取エネルギー不足になるというのを御指摘なさいますが、
私が交流したそうした人達のお話を聞く限りは、
少なくとも摂取エネルギーについては十分足りているような食事摂取内容でした。
またパターンとしてはやや女性に多く、やせ型体型の場合が多い、
筋肉量が少なく、消化吸収能力が低いという傾向がありました。

それらの話を総合して私なりに考えてみました所、
こうした糖質制限でうまくいかない方々には
ストレスの問題が深く関わっているのではないかという結論に達しました。

その辺りの考察は拙ブログでも書かせて頂きましたので、
もしよろしければ御都合のよろしい時にでも
お目通し頂ければ有難く思います(http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-category-33.html)。

つまりは何らかの理由でストレスがかかり続けている。
それにより消化吸収機能が低下している。
消化吸収機能が低下しているから太れないし、
十分な摂取エネルギー量を確保しても吸収できず筋肉が出来上がらない。
筋肉が出来上がらないから糖新生がうまく働かない。
さらには消化吸収機能が低下する故に糖質摂取時のインスリンの分泌遅延が起こり、
機能性低血糖症の病態が起こる。
低血糖になりそうな段階で本来なら働くべき血糖上昇のバックアップが
糖新生機能が弱いために不十分となり低血糖症状を引き起こす。

もっと言えば、そうした方は
ストレスの対処を糖質摂取による血糖上昇に依存していたりするものだから、
糖質への依存度が高まってしまっていると。
だから糖質再摂取にて改善するけれど、
それではただ振り出しに戻ってしまっているだけです。

こうした考察を加えていく中で、
私は糖質制限を実践する際には
主体性が不可欠であるということを強く思うようになってきました。
主体性、即ち自分の頭で考えて自分の判断で行動する力のことです。

例えば、糖質制限を始めてみて万が一体調がおかしいと思ったら、
自分に合わないと思って元に戻せばいいし、
戻した上で何がおかしかったのかを後から考えたり、
わからなければ誰かに聞いたり、
何かを調べたりということをすればいいわけです。

ところが糖質制限でうまくいかない人に多くみられるパターンとしては、
体調を崩しているにも関わらずそのまま継続していたりするのです。
そこには「○○先生の本には続けることによって良くなると書いてあるから」だとか、
「○○先生に聞いたらエネルギー不足だと書いていたからエネルギーを増やしていれば治るはず」
というような思考パターンが見え隠れします。

こうした思考は判断が主体的ではなく受動的、
すなわち自分の頭で考えて判断するのではなく、
誰かの判断に身を委ねているということになるのではないかと思います。

先生もよくおっしゃいますように、どの食事療法にも合う合わないがあるわけですが、
その合う合わないの判断ができるのは自分しかいないわけで、
他の誰かが判断できるはずもありません。
糖質制限の普及に伴って、周りに強く勧められるがままにとか、
テレビや雑誌で良いと書いていたからとかいう理由で勢いのままに、
自分の頭で考えて納得するというプロセスを省略して、
すぐさま実践してしまうパターンが増えてきているのかもしれません。
それでもうまくいく場合にはまだ問題は少ないかもしれませんが(それでも盲目的に糖質制限を続けるというのはよくありませんが)、

たまたま上述のようにストレスが関わり体調を崩してきてしまう場合には
困ったことになってしまいます。
もっと言えばストレスの原因が糖質制限でない場合などは、
糖質制限は無関係であるにも関わらず
糖質制限が体調不良の原因とみなされてしまう可能性さえあります。
そしてそのストレスに向き合えるのもまた自分だけです。
他人が自分にしかわからないストレスの存在に気づけるはずもありません。

ですから糖質制限に取り組む場合には、
これまでにも繰り返し語られていることかもしれませんが、
自分の頭で考えて、自分の判断で行動するという主体性が不可欠であるということを
改めて再認識しました。

今後、糖質制限の発展のためには、
こうした糖質制限でうまくいかない人達の話も真摯に受け止め、
その上でどうしていくべきなのかについて話し合っていくことが、
糖質制限の信頼性をさらに高めることにつながるのではないかと考える次第です。

いささか長文となってしまい誠に恐縮ではございますが、
糖質制限推進派医師の一人として
今年一番考えさせられたことを御報告させて頂きました。

来年も引き続き宜しくお願い申し上げます。】