2023年05月16日 (火)
こんにちは。
糖尿病の検査としてHbA1cとGAがあります。
今回はHbA1cとGAの統一性と信頼度と意義について考察してみます。
「HbA1c」
HbA1cの測定には大きく分けて「HPLC法」「酵素法」「免疫法」が臨床の場で使用されています。いずれの測定法も精度の高い定量検査が可能であり、世界的な標準化も進み原理間差は少なくなってきています。とは言っても、「HPLC法」「酵素法」「免疫法」を同一日、同時刻、同人物で測定した場合は少し、差が出る可能性があります。HbA1c値として、0.1~0.3%くらいの差はあると思います。
「グリコアルブミン(GA)」
旭化成ファーマ株式会社
https://www.asahi-kasei.co.jp/shindan/ga-l/ability.html
グリコアルブミンの測定は、旭化成ファーマ株式会社、一社となっています。
以前は協和キリンも測定していましたが撤退したようです。
従って、グリコアルブミンのほうが、HbA1cよりも信頼性も統一性も勝っていると思います。
さらに、
グリコアルブミン(GA)とグリコヘモグロビン(HbA1c)
に関してを比較・検討してみます。
<GAとHbA1cのそれぞれの意義>
HbA1cは赤血球の寿命が120日であるため4ヵ月前から採血時まで、
一般には、過去2ヶ月の平均血糖値を反映します。
GAはアルブミンの半減期が17日であるため17日前から採血時まで、
一般には、過去2週間の平均血糖値を反映します。
高雄病院の糖尿病学校(14日間入院)では、
タイミングが許せば、
糖質制限入院時と退院時のGAを検査します。
必ず退院時GAが改善しますので患者さんに説明しやすいです。
HbA1cは2週間では、血糖コントロール良好でも変化はありません。
従って、退院時のHbA1cは検査しません。
<GAとHbA1cの測定原理と食後高血糖の反映度合い>
HbA1cとグリコアルブミン(GA)は、血糖が、血液中のヘモグロビンとアルブミンと、
それぞれ結合して変化したものの割合をパーセントで示す検査です。
血液中のブドウ糖は、いろんなものにへばり付く性質があり、
ヘモグロビン(赤血球の中にあるタンパク質)にくっついて変化したものがHbA1cで、
アルブミンという血清中のタンパク質にくっついて変化したものが、グリコアルブミン(GA)ということです。
そして、同じ HbA1C値の糖尿病患者さんでも、食後高血糖が頻回にある患者さんの方が、
グリコアルブミンが高くなりやすいことが分かりました。
アルブミンが血糖と結合してグリコアルブミンになるスピードは、
ヘモグロビンが血糖と結合して HbA1Cになるスピードより、
9倍くらい速いと推測されています。
そのため、ごく短時間だけ現れる高血糖に対しては、
グリコアルブミン値の方が HbA1C値より敏感に反応しやすいと考えられます。
ごく短時間だけ現れる高血糖は、通常は糖質摂取後の高血糖です。
これが、「グリコアルブミン検査は食後高血糖の評価に適している」とされる理由です。
言い換えれば、HbA1cという検査は、食後高血糖を見逃している可能性が極めて高く
欠陥のある検査と言えます。
例えば糖質を普通に食べている糖尿人で、HbA1cが6.5%とか、一見コントロール良好であっても、
実際には食後高血糖が毎食生じていて合併症予防は困難なことも考えられます。
このことが、
日本で糖尿病合併症(透析16000人以上、切断3000人以上、失明3000人以上)が
一向に減らないことの理由の一つと考えられます。
<GA/HbA1cの比が大きいと食後高血糖が頻回>
食後高血糖の存在をよりはっきりとさせる方法として、
グリコアルブミン値を HbA1C値で割って両者の比を計算する方法があります。
血糖コントロールが良いにしろ悪いにしろ、それが安定している場合、
両者の比は、およそ3:1です。(但しHbA1cはJDS値)
つまりGA値が HbA1C(JDS)の約3倍です。
この約3倍というのは昔のHbA1c(JDS値)で計算したらぴったりですが、
HbA1c(NGSP値)の場合は少し小さくずれます。
従って、GA/HbA1c比の計算をするときは、
JDS値のHbA1cにするとよいです。
*JDS値+0.4=NGSP値
*NGSP値-0.4=JDS値
食後血糖値の変動が大きい糖尿人では、
先ほど述べたようにグリコアルブミンの方が上昇しやすいため、
GA/HbA1c比が大きくなります。
食後高血糖が頻回の場合は、GA/HbA1c比が4:1に近付いたり、
それ以上に差が開くこともあるようです。
この差が大きいほど、
合併症が進行しやすくなることを示した研究報告が最近増えてきました。
<糖質制限食なら、GA/HbA1cの比が小さい>
江部康二の検査データ(2019年4月)
HbA1c(NGSP):5.7%(基準値4.6~6.2%)
HbA1c(JDS):5.3%(基準値4.3~5.8%)
グリコアルブミン(GA):13.5%(基準値11.8~16.0%)
上記、江部康二の検査データ(2019年4月)だと、
JDS値で計算して、GA/HbA1c比は、2.37:1とかなり低いです。
これは食後高血糖が極めて少ないことを示しています。
一方、
ある50代男性糖尿人Aさんの検査では
HbA1c(NGSP):5.8%
HbA1c(JDS):5.4%
グリコアルブミン(GA):18.0%
でした。
江部康二とAさんと、HbA1cは全く同じです。
一方AさんのGAも20%未満と、コントロール良好ではあるのですが、
私のデータと比べるとかなり高値です。
Aさんの、GA/HbA1c比は、3.33:1で、私よりかなり高いです。
つまりAさんは、私に比べると食後高血糖が一定あったこととなります。
よくよくAさんに聞いてみると
「麺類が好きで時々食べていました」
ということでした。
麺類を止めて貰ったら、GAも16.0%をきるようになりました。
すなわち、食後高血糖のない質の良いHbA1cと、食後高血糖のある質の悪いHbA1cとを、
GA/HbA1c比によって、区別し評価できるということになります。
GAとHbA1cは同じ月には保険請求できませんので、
かわりばんこに調べるとか、基本HbA1cで、時々GAとかいろいろ
工夫して検査すればいいと思います。
HbA1cより、有用なので、グリコアルブミン検査は今後、
もっと普及して欲しいと思います。
それによりグリコアルブミンと合併症の関係がさらに明確になることでしょう。
江部康二
☆☆☆
なお献血協力者へのサービスとしての生化学検査で、
ALT(GPT)、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、アルブミン/グロブリン比、コレステロール、グリコアルブミン
の各検査値が協力者に提供されています。
糖尿病の検査としてHbA1cとGAがあります。
今回はHbA1cとGAの統一性と信頼度と意義について考察してみます。
「HbA1c」
HbA1cの測定には大きく分けて「HPLC法」「酵素法」「免疫法」が臨床の場で使用されています。いずれの測定法も精度の高い定量検査が可能であり、世界的な標準化も進み原理間差は少なくなってきています。とは言っても、「HPLC法」「酵素法」「免疫法」を同一日、同時刻、同人物で測定した場合は少し、差が出る可能性があります。HbA1c値として、0.1~0.3%くらいの差はあると思います。
「グリコアルブミン(GA)」
旭化成ファーマ株式会社
https://www.asahi-kasei.co.jp/shindan/ga-l/ability.html
グリコアルブミンの測定は、旭化成ファーマ株式会社、一社となっています。
以前は協和キリンも測定していましたが撤退したようです。
従って、グリコアルブミンのほうが、HbA1cよりも信頼性も統一性も勝っていると思います。
さらに、
グリコアルブミン(GA)とグリコヘモグロビン(HbA1c)
に関してを比較・検討してみます。
<GAとHbA1cのそれぞれの意義>
HbA1cは赤血球の寿命が120日であるため4ヵ月前から採血時まで、
一般には、過去2ヶ月の平均血糖値を反映します。
GAはアルブミンの半減期が17日であるため17日前から採血時まで、
一般には、過去2週間の平均血糖値を反映します。
高雄病院の糖尿病学校(14日間入院)では、
タイミングが許せば、
糖質制限入院時と退院時のGAを検査します。
必ず退院時GAが改善しますので患者さんに説明しやすいです。
HbA1cは2週間では、血糖コントロール良好でも変化はありません。
従って、退院時のHbA1cは検査しません。
<GAとHbA1cの測定原理と食後高血糖の反映度合い>
HbA1cとグリコアルブミン(GA)は、血糖が、血液中のヘモグロビンとアルブミンと、
それぞれ結合して変化したものの割合をパーセントで示す検査です。
血液中のブドウ糖は、いろんなものにへばり付く性質があり、
ヘモグロビン(赤血球の中にあるタンパク質)にくっついて変化したものがHbA1cで、
アルブミンという血清中のタンパク質にくっついて変化したものが、グリコアルブミン(GA)ということです。
そして、同じ HbA1C値の糖尿病患者さんでも、食後高血糖が頻回にある患者さんの方が、
グリコアルブミンが高くなりやすいことが分かりました。
アルブミンが血糖と結合してグリコアルブミンになるスピードは、
ヘモグロビンが血糖と結合して HbA1Cになるスピードより、
9倍くらい速いと推測されています。
そのため、ごく短時間だけ現れる高血糖に対しては、
グリコアルブミン値の方が HbA1C値より敏感に反応しやすいと考えられます。
ごく短時間だけ現れる高血糖は、通常は糖質摂取後の高血糖です。
これが、「グリコアルブミン検査は食後高血糖の評価に適している」とされる理由です。
言い換えれば、HbA1cという検査は、食後高血糖を見逃している可能性が極めて高く
欠陥のある検査と言えます。
例えば糖質を普通に食べている糖尿人で、HbA1cが6.5%とか、一見コントロール良好であっても、
実際には食後高血糖が毎食生じていて合併症予防は困難なことも考えられます。
このことが、
日本で糖尿病合併症(透析16000人以上、切断3000人以上、失明3000人以上)が
一向に減らないことの理由の一つと考えられます。
<GA/HbA1cの比が大きいと食後高血糖が頻回>
食後高血糖の存在をよりはっきりとさせる方法として、
グリコアルブミン値を HbA1C値で割って両者の比を計算する方法があります。
血糖コントロールが良いにしろ悪いにしろ、それが安定している場合、
両者の比は、およそ3:1です。(但しHbA1cはJDS値)
つまりGA値が HbA1C(JDS)の約3倍です。
この約3倍というのは昔のHbA1c(JDS値)で計算したらぴったりですが、
HbA1c(NGSP値)の場合は少し小さくずれます。
従って、GA/HbA1c比の計算をするときは、
JDS値のHbA1cにするとよいです。
*JDS値+0.4=NGSP値
*NGSP値-0.4=JDS値
食後血糖値の変動が大きい糖尿人では、
先ほど述べたようにグリコアルブミンの方が上昇しやすいため、
GA/HbA1c比が大きくなります。
食後高血糖が頻回の場合は、GA/HbA1c比が4:1に近付いたり、
それ以上に差が開くこともあるようです。
この差が大きいほど、
合併症が進行しやすくなることを示した研究報告が最近増えてきました。
<糖質制限食なら、GA/HbA1cの比が小さい>
江部康二の検査データ(2019年4月)
HbA1c(NGSP):5.7%(基準値4.6~6.2%)
HbA1c(JDS):5.3%(基準値4.3~5.8%)
グリコアルブミン(GA):13.5%(基準値11.8~16.0%)
上記、江部康二の検査データ(2019年4月)だと、
JDS値で計算して、GA/HbA1c比は、2.37:1とかなり低いです。
これは食後高血糖が極めて少ないことを示しています。
一方、
ある50代男性糖尿人Aさんの検査では
HbA1c(NGSP):5.8%
HbA1c(JDS):5.4%
グリコアルブミン(GA):18.0%
でした。
江部康二とAさんと、HbA1cは全く同じです。
一方AさんのGAも20%未満と、コントロール良好ではあるのですが、
私のデータと比べるとかなり高値です。
Aさんの、GA/HbA1c比は、3.33:1で、私よりかなり高いです。
つまりAさんは、私に比べると食後高血糖が一定あったこととなります。
よくよくAさんに聞いてみると
「麺類が好きで時々食べていました」
ということでした。
麺類を止めて貰ったら、GAも16.0%をきるようになりました。
すなわち、食後高血糖のない質の良いHbA1cと、食後高血糖のある質の悪いHbA1cとを、
GA/HbA1c比によって、区別し評価できるということになります。
GAとHbA1cは同じ月には保険請求できませんので、
かわりばんこに調べるとか、基本HbA1cで、時々GAとかいろいろ
工夫して検査すればいいと思います。
HbA1cより、有用なので、グリコアルブミン検査は今後、
もっと普及して欲しいと思います。
それによりグリコアルブミンと合併症の関係がさらに明確になることでしょう。
江部康二
☆☆☆
なお献血協力者へのサービスとしての生化学検査で、
ALT(GPT)、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、アルブミン/グロブリン比、コレステロール、グリコアルブミン
の各検査値が協力者に提供されています。
2023年05月15日 (月)
【23/05/14 佐々木カルフ
Google Bard(AI)に2型糖尿病患者の適切な糖質量を質問してみました
江部先生
いつもお世話になっております。
昨今世間を賑わせているAIに、表題の通り質問を投げてみたところ、
なかなかな回答をもらえたのでお知らせいたします。
質問:2型糖尿病患者の糖質摂取量で適切と思われる量はいくら?
GoogleBardの回答
-----ここから
米国糖尿病協会によると、2型糖尿病患者の糖質摂取量は1日あたり45〜60グラムに抑えることが推奨されています。これは、全体的なカロリーの15〜20%に相当します。ただし、最適な糖質摂取量は個人によって異なるため、糖尿病患者は医師または登録栄養士に相談して、自分に合った食事計画を立てることが重要です。
糖質は体にとって重要な栄養素ですが、血糖値の上昇につながる可能性があるため、2型糖尿病患者は糖質を制限することが重要です。糖質を制限することで、血糖値をよりよく管理し、合併症のリスクを減らすことができます。
2型糖尿病患者は、糖質摂取量を制限するためにできることがいくつかあります。
果物や野菜などの複合炭水化物を食べます。複合炭水化物は、血糖値をゆっくりと上昇させるのに役立つ食物繊維が豊富です。
加工食品、甘い飲み物、砂糖を制限します。これらの食品は単純炭水化物が豊富で、血糖値を急上昇させる可能性があります。
定期的に運動する。運動は血糖値を調節するのに役立ちます。
十分な水を飲む。水は血糖値を調節するのに役立ち、脱水症状を防ぐのに役立ちます。
糖質摂取量を制限することに不安がある場合は、医師または登録栄養士に相談して、あなたに合った食事計画を立てることが重要です。
-----ここまで
流石に米国のAIだけありますね。
今後はAIも糖尿病のみならず、医療の手助けをしてくれるのではないでしょうか。】
こんにちは。
佐々木カルフさんから、興味深いコメントを頂きました。
ありがとうございます。
Google Bard(AI)、なかなかの回答ですね。
私も、ほとんど賛成です。
【果物や野菜などの複合炭水化物を食べます。
複合炭水化物は、血糖値をゆっくりと上昇させるのに役立つ食物繊維が豊富です。
加工食品、甘い飲み物、砂糖を制限します。
これらの食品は単純炭水化物が豊富で、血糖値を急上昇させる可能性があります。】
しかし、Google Bard(AI)君、この記載はイマイチですね。
これは、一般論的にはこう言われていますが、
正常人には当てはまっても、糖尿人には当てはまりません。
例えば、糖尿人の江部康二が
炊いた胚芽米を一人前食べたら、食後血糖値のピークは1時間で240mg/dlくらいで
炊いた玄米を一人前食べたら、食後血糖値のピークは1時間で220mg/dlくらいです。
確かに複合炭水化物である玄米のほうが、胚芽米より血糖値の上昇が少ないです。
しかし、所詮は食後血糖値が200mg/dlを越えているので
血管内皮に与えるダメージは、ほとんど変わりません。
すなわち、糖尿人においては、複合炭水化物も単純炭水化物と同様に
食後高血糖を生じ、活性酸素を発生させ、酸化ストレスとなり、
合併症のリスクとなるので、危険な食物なのです。
また、現代の果物は、大きさが大きくなり糖度が高くなり、
狩猟・採集時代のご先祖が食べていたものとは、似て非なる物と言えます。
例えば、『野いちご』と『あまおう』を比較すればよくわかりますね。
「現代の果物は、糖尿人には毒である」 といっても過言ではありません。
☆☆☆
以下は、米国糖尿病学会ガイドライン2023年版の
食事療法に関する記載の要約です。
参考にして頂ければ、幸いです。
米国糖尿病学会(ADA)ガイドライン2023年版。
2023年新春、米国糖尿病学会(ADA)はガイドライン2023年版を発表しました。
食事療法に関しては、
食事療法に関するADAのコンセンサスレポート(2019年4月)が
今回も引用されており、推奨内容は2020年ガイドライン以降概して変わっていません。
Standards of Medical Care in Diabetes-2023
STANDARDS OF CARE| DECEMBER 12 2023. Prevention or Delay of Type 2 Diabetes and Associated Comorbidities: Standards of Care in Diabetes—2023Diabetes Care 2023;46(Supplement_1):S41–S48
ガイドラインの中で、食事療法に関しては以下の記載があります。
食事療法 食事療法に関するADAのコンセンサスレポートが今回も引用されており、
推奨内容は概して変わっていません。
最適な栄養素のバランスについてのエビデンスはないため、
栄養素バランス自体よりも健康的な食事パターンが推奨されています。
具体的な食事パターン例として、
地中海式食事、低脂肪食、低炭水化物食などが挙げられており、
特に炭水化物については質について強調されています。
低炭水化物の食事パターン、特に超低炭水化物(VLC)の食事パターンは、
A1Cと抗高血糖薬の必要性を減らすことが示されています。
これらの食事パターンは、2型糖尿病で最も研究されている食事パターンの1つです。
一方、低炭水化物食は短期間の血糖コントロールに有効ですが、
1-2年後にはその効果は消失してしまうことが繰り返されています。
また、低炭水化物食の不適例として妊婦、授乳婦、小児、摂食障害者、腎疾患者が挙げられており、SGLT2阻害薬服用者にはケトアシドーシスのリスクが潜在するために慎重に適用すべきことも記載されています。
肥満患者では5%の体重低下が推奨されており、体重減少のためには前述のいずれの食事パターンに優劣はなく、運動療法に加えて個別化食事パターン(栄養士の介入推奨)で摂取エネルギー低下(一般に、500-700kcal/日低下)を達成するよう推奨されています。
①最適な栄養素のバランスについてのエビデンスはない。
いくつかの健康的な食事パターンを推奨。
糖尿病患者に最適な栄養素のバランス(PFC比率)についてのエビデンスはないことを明言しています。
②具体的な食事パターン例として、地中海式食事、低脂肪食、低炭水化物食などが挙げられている。
最適な唯一の食事療法はないので、地中海式食事、低脂肪食、低炭水化物食などを推奨して、糖尿病患者が選ぶように指導しています。
③低炭水化物食は短期間の血糖コントロールに有効であるが、
1-2年後にはその効果は消失してしまうことが繰り返されている。
確かに、過去の研究論文によると、効果が1-2年で消失するという報告があります。
しかし、高雄病院と江部診療所での 外来通院糖尿病患者さんは、
累計では4000人以上で、 糖質制限食をキッチリ継続している患者さんは、
血糖コントロール良好を年余に渡って維持しています。
例えば、江部康二は2002年から2023年まで、スーパー糖質制限食を21年間、
継続していて HbA1cは5.6~5.8%で保っています。
④低炭水化物食の不適例として妊婦、授乳婦、小児、摂食障害者、腎疾患者が挙げられている。
高雄病院の糖質制限食は、妊婦・授乳婦にも推奨しています。
宗田先生と永井先生のご研究により、糖尿病妊娠・妊娠糖尿病においても
糖質制限食で、インスリンなしで血糖コントロール良好を保つことがほとんどです。
人類は700万年間、穀物は食べていないので小児も糖質制限食摂取して大丈夫です。
学習塾・三島塾の三島学塾長の、小児と糖質制限食のご報告もあります。
摂食障害は私には経験がないのでよくわかりませんが、
ブログのコメントでは 糖質制限食で改善した方々の報告がありました。
しかし摂食障害に関しては個人差があると思います。
腎疾患ですが、糖尿病腎症なら、毎月クレアチニン検査などをしながら
糖質制限食を実践することが多いです。
IgA腎症は、糖質制限食の効果が期待できないので推奨しません。
⑤SGLT2阻害薬服用者にはケトアシドーシスのリスクが潜在するために慎重に適用すべきことも記載されている。
⑥肥満患者では5%の体重低下が推奨されている。
⑦体重減少のためには前述のいずれの食事パターンに優劣はなく、運動療法に加えて個別化食事パターン(栄養士の介入推奨)で 摂取エネルギー低下(一般に、500-700kcal/日低下)を達成するよう推奨されている。
江部康二
Google Bard(AI)に2型糖尿病患者の適切な糖質量を質問してみました
江部先生
いつもお世話になっております。
昨今世間を賑わせているAIに、表題の通り質問を投げてみたところ、
なかなかな回答をもらえたのでお知らせいたします。
質問:2型糖尿病患者の糖質摂取量で適切と思われる量はいくら?
GoogleBardの回答
-----ここから
米国糖尿病協会によると、2型糖尿病患者の糖質摂取量は1日あたり45〜60グラムに抑えることが推奨されています。これは、全体的なカロリーの15〜20%に相当します。ただし、最適な糖質摂取量は個人によって異なるため、糖尿病患者は医師または登録栄養士に相談して、自分に合った食事計画を立てることが重要です。
糖質は体にとって重要な栄養素ですが、血糖値の上昇につながる可能性があるため、2型糖尿病患者は糖質を制限することが重要です。糖質を制限することで、血糖値をよりよく管理し、合併症のリスクを減らすことができます。
2型糖尿病患者は、糖質摂取量を制限するためにできることがいくつかあります。
果物や野菜などの複合炭水化物を食べます。複合炭水化物は、血糖値をゆっくりと上昇させるのに役立つ食物繊維が豊富です。
加工食品、甘い飲み物、砂糖を制限します。これらの食品は単純炭水化物が豊富で、血糖値を急上昇させる可能性があります。
定期的に運動する。運動は血糖値を調節するのに役立ちます。
十分な水を飲む。水は血糖値を調節するのに役立ち、脱水症状を防ぐのに役立ちます。
糖質摂取量を制限することに不安がある場合は、医師または登録栄養士に相談して、あなたに合った食事計画を立てることが重要です。
-----ここまで
流石に米国のAIだけありますね。
今後はAIも糖尿病のみならず、医療の手助けをしてくれるのではないでしょうか。】
こんにちは。
佐々木カルフさんから、興味深いコメントを頂きました。
ありがとうございます。
Google Bard(AI)、なかなかの回答ですね。
私も、ほとんど賛成です。
【果物や野菜などの複合炭水化物を食べます。
複合炭水化物は、血糖値をゆっくりと上昇させるのに役立つ食物繊維が豊富です。
加工食品、甘い飲み物、砂糖を制限します。
これらの食品は単純炭水化物が豊富で、血糖値を急上昇させる可能性があります。】
しかし、Google Bard(AI)君、この記載はイマイチですね。
これは、一般論的にはこう言われていますが、
正常人には当てはまっても、糖尿人には当てはまりません。
例えば、糖尿人の江部康二が
炊いた胚芽米を一人前食べたら、食後血糖値のピークは1時間で240mg/dlくらいで
炊いた玄米を一人前食べたら、食後血糖値のピークは1時間で220mg/dlくらいです。
確かに複合炭水化物である玄米のほうが、胚芽米より血糖値の上昇が少ないです。
しかし、所詮は食後血糖値が200mg/dlを越えているので
血管内皮に与えるダメージは、ほとんど変わりません。
すなわち、糖尿人においては、複合炭水化物も単純炭水化物と同様に
食後高血糖を生じ、活性酸素を発生させ、酸化ストレスとなり、
合併症のリスクとなるので、危険な食物なのです。
また、現代の果物は、大きさが大きくなり糖度が高くなり、
狩猟・採集時代のご先祖が食べていたものとは、似て非なる物と言えます。
例えば、『野いちご』と『あまおう』を比較すればよくわかりますね。
「現代の果物は、糖尿人には毒である」 といっても過言ではありません。
☆☆☆
以下は、米国糖尿病学会ガイドライン2023年版の
食事療法に関する記載の要約です。
参考にして頂ければ、幸いです。
米国糖尿病学会(ADA)ガイドライン2023年版。
2023年新春、米国糖尿病学会(ADA)はガイドライン2023年版を発表しました。
食事療法に関しては、
食事療法に関するADAのコンセンサスレポート(2019年4月)が
今回も引用されており、推奨内容は2020年ガイドライン以降概して変わっていません。
Standards of Medical Care in Diabetes-2023
STANDARDS OF CARE| DECEMBER 12 2023. Prevention or Delay of Type 2 Diabetes and Associated Comorbidities: Standards of Care in Diabetes—2023Diabetes Care 2023;46(Supplement_1):S41–S48
ガイドラインの中で、食事療法に関しては以下の記載があります。
食事療法 食事療法に関するADAのコンセンサスレポートが今回も引用されており、
推奨内容は概して変わっていません。
最適な栄養素のバランスについてのエビデンスはないため、
栄養素バランス自体よりも健康的な食事パターンが推奨されています。
具体的な食事パターン例として、
地中海式食事、低脂肪食、低炭水化物食などが挙げられており、
特に炭水化物については質について強調されています。
低炭水化物の食事パターン、特に超低炭水化物(VLC)の食事パターンは、
A1Cと抗高血糖薬の必要性を減らすことが示されています。
これらの食事パターンは、2型糖尿病で最も研究されている食事パターンの1つです。
一方、低炭水化物食は短期間の血糖コントロールに有効ですが、
1-2年後にはその効果は消失してしまうことが繰り返されています。
また、低炭水化物食の不適例として妊婦、授乳婦、小児、摂食障害者、腎疾患者が挙げられており、SGLT2阻害薬服用者にはケトアシドーシスのリスクが潜在するために慎重に適用すべきことも記載されています。
肥満患者では5%の体重低下が推奨されており、体重減少のためには前述のいずれの食事パターンに優劣はなく、運動療法に加えて個別化食事パターン(栄養士の介入推奨)で摂取エネルギー低下(一般に、500-700kcal/日低下)を達成するよう推奨されています。
①最適な栄養素のバランスについてのエビデンスはない。
いくつかの健康的な食事パターンを推奨。
糖尿病患者に最適な栄養素のバランス(PFC比率)についてのエビデンスはないことを明言しています。
②具体的な食事パターン例として、地中海式食事、低脂肪食、低炭水化物食などが挙げられている。
最適な唯一の食事療法はないので、地中海式食事、低脂肪食、低炭水化物食などを推奨して、糖尿病患者が選ぶように指導しています。
③低炭水化物食は短期間の血糖コントロールに有効であるが、
1-2年後にはその効果は消失してしまうことが繰り返されている。
確かに、過去の研究論文によると、効果が1-2年で消失するという報告があります。
しかし、高雄病院と江部診療所での 外来通院糖尿病患者さんは、
累計では4000人以上で、 糖質制限食をキッチリ継続している患者さんは、
血糖コントロール良好を年余に渡って維持しています。
例えば、江部康二は2002年から2023年まで、スーパー糖質制限食を21年間、
継続していて HbA1cは5.6~5.8%で保っています。
④低炭水化物食の不適例として妊婦、授乳婦、小児、摂食障害者、腎疾患者が挙げられている。
高雄病院の糖質制限食は、妊婦・授乳婦にも推奨しています。
宗田先生と永井先生のご研究により、糖尿病妊娠・妊娠糖尿病においても
糖質制限食で、インスリンなしで血糖コントロール良好を保つことがほとんどです。
人類は700万年間、穀物は食べていないので小児も糖質制限食摂取して大丈夫です。
学習塾・三島塾の三島学塾長の、小児と糖質制限食のご報告もあります。
摂食障害は私には経験がないのでよくわかりませんが、
ブログのコメントでは 糖質制限食で改善した方々の報告がありました。
しかし摂食障害に関しては個人差があると思います。
腎疾患ですが、糖尿病腎症なら、毎月クレアチニン検査などをしながら
糖質制限食を実践することが多いです。
IgA腎症は、糖質制限食の効果が期待できないので推奨しません。
⑤SGLT2阻害薬服用者にはケトアシドーシスのリスクが潜在するために慎重に適用すべきことも記載されている。
⑥肥満患者では5%の体重低下が推奨されている。
⑦体重減少のためには前述のいずれの食事パターンに優劣はなく、運動療法に加えて個別化食事パターン(栄養士の介入推奨)で 摂取エネルギー低下(一般に、500-700kcal/日低下)を達成するよう推奨されている。
江部康二
2023年05月13日 (土)
【23/05/10 ぺーすけ
最近、釜石豊秋氏の「糖質ゼロ健康法」という本を読んだところ、
江部先生の話も出てきて、スーパー糖質制限では、
追加インスリンが出るので1日の糖質を5グラム以下にしないといけないと書かれていました。
この件に関しては、どう思われますか?】
こんにちは。
ぺーすけさんから、 釜石豊秋先生の「糖質ゼロ健康法」とスーパー糖質制限食について、コメント・質問を頂きました。
丁度いいので、
『日本で実践されている各糖質制限食のスタンスと役割。』
について、考察してみます。
1999年に高雄病院で、糖尿病入院患者さんに
糖質制限給食の供給が開始されました。
第二次大戦以降では、日本で初めてのことです。
その経験をもとに、2005年、やはり日本で初めての糖質制限食の本、
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)を上梓しました。
2006年、荒木裕医師が、「断糖宣言!」(エディットハウス)、
2007年、釜池豊秋医師が、
「医者に頼らない! 糖尿病の新常識・糖質ゼロの食事術」(実業之日本社)
を刊行されましたが、ここまでが、糖質制限食草創期の本と言えると思います。
その後、糖質制限食が徐々に広がっていきましたが、
2010年代になると、様々な医師が「糖質制限食」関連の本を
数多く出版するようになりました。
糖質制限食の日本における発展という意味では、望ましいことと言えますが、
各医師の推奨する「糖質制限食」のスタンスが一定異なっていることもあり、
糖質制限食を実践している方々に少々とまどいが見受けられるようです。
今回は、そこらあたりを整理してみたいと思います。
まず、糖質制限食は、美味しく楽しく末長く続けることが大切です。
毎日、朝昼夕と糖質(主食)を食べている場合に比べれば、
1/週とか1/月とかの糖質摂取なら、おおいにましです。
糖尿人であれば、そういうとき、可能なら、グリニド系薬かα-GI薬、
或いはその両者を食直前30秒に内服して
食後高血糖をできるだけ抑えるようにすればいいですね。
私は多数の糖尿人を診察していますが、きっちりスーパー糖質制限食を実践されて、
血液検査データ全て正常で、薬なし、合併症なしの方も、おられます。
私自身も2002年以来、焼酎飲んで、肉類や魚貝類をいろいろ食べて、
卵にチーズに豆腐に野菜・海藻・茸を食べて、
糖質制限ピザ、糖質制限ケーキ、糖質制限チョコ・・・を食べて、
美味しく楽しく、そしてきっちり長くスーパー糖質制限食を続けています。
勿論、内服薬なしで合併症もなしです。
私は全くつらくないので、末長く糖質制限食を続けることができると思います。
しかしながら、人はなかなか弱いものです。
「わかっちゃいるけど、やめられない」人もまた結構おられます。
私の患者さんでも、どうしても糖質がやめられない人もおられます。
私は糖質制限食の先達の医師として、糖尿病患者さんに、
最良の糖尿病食事療法である糖質制限食を説明して、
糖尿病のコントロールの仕方を指導するのがお仕事です。
糖尿病合併症の話もして、
それを防ぐことができるのは糖質制限食だけであることも説明します。
それを患者さんが受け止めて理解してどう実践するかは、
患者さん自身の仕事であり、私の仕事ではありません。
ですから、私は決して押しつけることはありません。
高雄病院方式の糖質制限食には3パターンがあります。
もちろん
1)スーパー糖質制限食(3食主食なし)
2)スタンダード糖質制限食(2食主食なし)
3)プチ糖質制限食(1食主食なし)
のなかで、
1)が一番効果があることは明らかですのでそれを薦めます。
しかし患者さんによっては、1)ができない人もいます。
そのようなときは、2)でも3)でもいいです。
スーパー糖質制限食では、1回の食事の糖質量は20g以下が目安です。
間食は、1日に1~2回で、1回の糖質量は5g以下が目安です。
糖質制限食は、やらないよりやった方が、例えどのタイプであれ、
糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)よりは、はるかにましなのです。
私は、ぬるいかもしれませんが、そういうスタンスの医師です。
皆さんが、糖質セイゲニストで優秀な患者さんだったら
糖質制限な医師はとても楽なのですが、現実はそうはいきません。
また、話のしやすい対等感覚の医師もいれば、
残念ながら上から目線の相談しにくい医師もいるのが現実です。
私に関しては、対等感覚の医師を目指しているので、
このブログへのコメント・質問も糖質制限食に関することなら、
初歩的なことも含めて大丈夫、OKです。
反復して似たような質問があっても、
またそれがブログ読者の皆さんの復習になるし新たな勉強にもなります。
糖質制限食に関する知識をインターネットで世界中で共有できて・・・。
それが、私自身の貢献感にもなりますので・・・
さて、日本で実践されている糖質制限食には
A)高雄病院のスーパー糖質制限食(1回の食事の糖質量20g以下)
B)山田悟先生の緩い糖質制限食(1回の食事の糖質量30~40g)
最近は(1回の食事の糖質量20~40gで3食食べ、それとは別に間食を1日あたり10g)
C)釜池豊秋先生の糖質ゼロ食(1日1食で、夕食、糖質は5g以下)
α)荒木裕先生の断糖食
β)渡辺信幸先生のMEC食
などがあり、1回の糖質摂取量設定に違いがあります。
それでは、各糖質制限食のスタンスはどう違うのでしょうか?
まず、A)B)C)について検討してみます。
1)継続し易さと普及に関する配慮
継続し易さ、普及という面からは、普通に考えてB)が一番楽です。
A)はそれに、次いで楽ですし、当初から「スーパー」「スタンダード」「プチ」といったラインナップが設定されていて、
最近は「緩やかな」という選択肢もあるので、
継続し易さと普及ということを重視しているわけです。
C)は、ベストと思う食事療法をストイックに実践するという求道者のスタンスであり、
継続し易さや普及ということは、優先順位としては全く考慮されていません。
つまりC)はやりたい人やれる人が実践すればよいのであって、
やりやすくするというスタンスは皆無です。
従って、A)B)の立場の糖質セイゲニストとC)の立場の求道者とは、
いくら話し合っても折り合いがつくことは不可能ですので、
私も無駄な努力をするつもりはありません。
2)食後高血糖改善効果
食後高血糖改善効果はC)が一番高いです。
A)がその次でB)はかなり劣ります。
C)なら、食後高血糖はほとんどありません。
A)は、臨床的に合併症予防ができるレベル、
食後1時間血糖値180mg/dl未満、食後2時間血糖値140mg/dl未満達成を
目指していて、ほとんどの場合それが可能です。
B)は食後1時間血糖値180mg/dl未満、
食後2時間血糖値140mg/dl未満を達成することは、
困難な糖尿人が多いと思いますが、従来の糖尿病食(高糖質食)よりはましです。
3)追加分泌インスリン
C)は耐糖能正常型の人でも、インスリン追加分泌はごくごく少量です。
A)は耐糖能正常型の人の場合でもインスリン追加分泌は2~3倍レベルですみます。
B)は耐糖能正常型なら、追加分泌インスリンは10倍~20倍レベルでます。
インスリンは人体に絶対必要であり、基礎分泌インスリンがなければヒトは死にます。
しかし、インスリンには発ガンリスクやアルツハイマー病のリスクがあるので、
少量ですむにこしたことはないのです。
従って、B)の場合は、野放しの高糖質食に比べればましですが、
インスリン過剰のリスクがあるていどあることになります。
A)の場合は、人類700万年間の狩猟・採集時代に、
野生の果物、ナッツ類、根茎類を食べたレベルと同程度の追加分泌インスリンなので
許容範囲と思います。
4)問題点
B)は、インスリン分泌が多いこと以外にも、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大という酸化ストレスリスクに関しては、
効果が弱いので問題と言えます。
C)は、始めにくいこと、継続しにくいこと、普及しにくいことが問題点です。
5)考察
A)の場合、C)よりは治療効果は若干劣りますが、
殆どの糖尿人において、合併症予防という観点からは、問題ないと思われます。
体重減少効果も同様であり、「継続し易さ」「普及」「治療効果」において
バランスのとれた食事療法と言えます。
B)は、「継続し易さ」「普及」は優れていますが、肝腎の治療効果が劣ることと、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大という問題点を抱えています。
C)は、始めにくいこと・継続しにくいこと・普及しにくいことという弱点がありますが、
治療効果は抜群ですので、ビタミンCの摂取(野菜から摂取)に留意して、
個人的にやれる人はやればいいと思います。
結論として、自画自賛になりますが、
高雄病院のスーパー糖質制限食が一番バランスがいいのかなと思います。(^^)
一方、山田悟先生の緩い糖質制限食や釜池豊秋先生の糖質ゼロ食も、
役割分担という視点に立てば、対立するというよりも、
一人一人の嗜好やニーズに応じて、相補的なものと思います。
A)B)C)の3者ともに、
日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質食)に比べれば
治療効果ははるかに高いのですから。
6) α)とβ)について
α)の荒木式は、ほぼスーパー糖質制限食に近いと思います。
ただ、ビールに関して、麦芽とホップだけの本物のビールは
呑んでもよいとされていますが、糖質含有量は、
米・コーン・スターチが含まれている普通のビールと同じだけあるので、
勿論NG食品です。
β)のMEC食も、基本的にはスーパー糖質制限食に近いと思います。
一日に摂るべき食品はM(お肉)・E(卵)・C(チーズ)の三点で、
これらをしっかり食べて、
その上でさらに食べたいと思ったら他の食品(糖質を含む)も
適度にOKということです。
あとは、一口、30回は噛んで食べようということです。
ビタミンCと食物繊維の摂取に注意すれば、MEC食もOKと思います。
ただ糖質を多く摂取すれば当然食後高血糖となるので、注意が必要です。
江部康二
最近、釜石豊秋氏の「糖質ゼロ健康法」という本を読んだところ、
江部先生の話も出てきて、スーパー糖質制限では、
追加インスリンが出るので1日の糖質を5グラム以下にしないといけないと書かれていました。
この件に関しては、どう思われますか?】
こんにちは。
ぺーすけさんから、 釜石豊秋先生の「糖質ゼロ健康法」とスーパー糖質制限食について、コメント・質問を頂きました。
丁度いいので、
『日本で実践されている各糖質制限食のスタンスと役割。』
について、考察してみます。
1999年に高雄病院で、糖尿病入院患者さんに
糖質制限給食の供給が開始されました。
第二次大戦以降では、日本で初めてのことです。
その経験をもとに、2005年、やはり日本で初めての糖質制限食の本、
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)を上梓しました。
2006年、荒木裕医師が、「断糖宣言!」(エディットハウス)、
2007年、釜池豊秋医師が、
「医者に頼らない! 糖尿病の新常識・糖質ゼロの食事術」(実業之日本社)
を刊行されましたが、ここまでが、糖質制限食草創期の本と言えると思います。
その後、糖質制限食が徐々に広がっていきましたが、
2010年代になると、様々な医師が「糖質制限食」関連の本を
数多く出版するようになりました。
糖質制限食の日本における発展という意味では、望ましいことと言えますが、
各医師の推奨する「糖質制限食」のスタンスが一定異なっていることもあり、
糖質制限食を実践している方々に少々とまどいが見受けられるようです。
今回は、そこらあたりを整理してみたいと思います。
まず、糖質制限食は、美味しく楽しく末長く続けることが大切です。
毎日、朝昼夕と糖質(主食)を食べている場合に比べれば、
1/週とか1/月とかの糖質摂取なら、おおいにましです。
糖尿人であれば、そういうとき、可能なら、グリニド系薬かα-GI薬、
或いはその両者を食直前30秒に内服して
食後高血糖をできるだけ抑えるようにすればいいですね。
私は多数の糖尿人を診察していますが、きっちりスーパー糖質制限食を実践されて、
血液検査データ全て正常で、薬なし、合併症なしの方も、おられます。
私自身も2002年以来、焼酎飲んで、肉類や魚貝類をいろいろ食べて、
卵にチーズに豆腐に野菜・海藻・茸を食べて、
糖質制限ピザ、糖質制限ケーキ、糖質制限チョコ・・・を食べて、
美味しく楽しく、そしてきっちり長くスーパー糖質制限食を続けています。
勿論、内服薬なしで合併症もなしです。
私は全くつらくないので、末長く糖質制限食を続けることができると思います。
しかしながら、人はなかなか弱いものです。
「わかっちゃいるけど、やめられない」人もまた結構おられます。
私の患者さんでも、どうしても糖質がやめられない人もおられます。
私は糖質制限食の先達の医師として、糖尿病患者さんに、
最良の糖尿病食事療法である糖質制限食を説明して、
糖尿病のコントロールの仕方を指導するのがお仕事です。
糖尿病合併症の話もして、
それを防ぐことができるのは糖質制限食だけであることも説明します。
それを患者さんが受け止めて理解してどう実践するかは、
患者さん自身の仕事であり、私の仕事ではありません。
ですから、私は決して押しつけることはありません。
高雄病院方式の糖質制限食には3パターンがあります。
もちろん
1)スーパー糖質制限食(3食主食なし)
2)スタンダード糖質制限食(2食主食なし)
3)プチ糖質制限食(1食主食なし)
のなかで、
1)が一番効果があることは明らかですのでそれを薦めます。
しかし患者さんによっては、1)ができない人もいます。
そのようなときは、2)でも3)でもいいです。
スーパー糖質制限食では、1回の食事の糖質量は20g以下が目安です。
間食は、1日に1~2回で、1回の糖質量は5g以下が目安です。
糖質制限食は、やらないよりやった方が、例えどのタイプであれ、
糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)よりは、はるかにましなのです。
私は、ぬるいかもしれませんが、そういうスタンスの医師です。
皆さんが、糖質セイゲニストで優秀な患者さんだったら
糖質制限な医師はとても楽なのですが、現実はそうはいきません。
また、話のしやすい対等感覚の医師もいれば、
残念ながら上から目線の相談しにくい医師もいるのが現実です。
私に関しては、対等感覚の医師を目指しているので、
このブログへのコメント・質問も糖質制限食に関することなら、
初歩的なことも含めて大丈夫、OKです。
反復して似たような質問があっても、
またそれがブログ読者の皆さんの復習になるし新たな勉強にもなります。
糖質制限食に関する知識をインターネットで世界中で共有できて・・・。
それが、私自身の貢献感にもなりますので・・・
さて、日本で実践されている糖質制限食には
A)高雄病院のスーパー糖質制限食(1回の食事の糖質量20g以下)
B)山田悟先生の緩い糖質制限食(1回の食事の糖質量30~40g)
最近は(1回の食事の糖質量20~40gで3食食べ、それとは別に間食を1日あたり10g)
C)釜池豊秋先生の糖質ゼロ食(1日1食で、夕食、糖質は5g以下)
α)荒木裕先生の断糖食
β)渡辺信幸先生のMEC食
などがあり、1回の糖質摂取量設定に違いがあります。
それでは、各糖質制限食のスタンスはどう違うのでしょうか?
まず、A)B)C)について検討してみます。
1)継続し易さと普及に関する配慮
継続し易さ、普及という面からは、普通に考えてB)が一番楽です。
A)はそれに、次いで楽ですし、当初から「スーパー」「スタンダード」「プチ」といったラインナップが設定されていて、
最近は「緩やかな」という選択肢もあるので、
継続し易さと普及ということを重視しているわけです。
C)は、ベストと思う食事療法をストイックに実践するという求道者のスタンスであり、
継続し易さや普及ということは、優先順位としては全く考慮されていません。
つまりC)はやりたい人やれる人が実践すればよいのであって、
やりやすくするというスタンスは皆無です。
従って、A)B)の立場の糖質セイゲニストとC)の立場の求道者とは、
いくら話し合っても折り合いがつくことは不可能ですので、
私も無駄な努力をするつもりはありません。
2)食後高血糖改善効果
食後高血糖改善効果はC)が一番高いです。
A)がその次でB)はかなり劣ります。
C)なら、食後高血糖はほとんどありません。
A)は、臨床的に合併症予防ができるレベル、
食後1時間血糖値180mg/dl未満、食後2時間血糖値140mg/dl未満達成を
目指していて、ほとんどの場合それが可能です。
B)は食後1時間血糖値180mg/dl未満、
食後2時間血糖値140mg/dl未満を達成することは、
困難な糖尿人が多いと思いますが、従来の糖尿病食(高糖質食)よりはましです。
3)追加分泌インスリン
C)は耐糖能正常型の人でも、インスリン追加分泌はごくごく少量です。
A)は耐糖能正常型の人の場合でもインスリン追加分泌は2~3倍レベルですみます。
B)は耐糖能正常型なら、追加分泌インスリンは10倍~20倍レベルでます。
インスリンは人体に絶対必要であり、基礎分泌インスリンがなければヒトは死にます。
しかし、インスリンには発ガンリスクやアルツハイマー病のリスクがあるので、
少量ですむにこしたことはないのです。
従って、B)の場合は、野放しの高糖質食に比べればましですが、
インスリン過剰のリスクがあるていどあることになります。
A)の場合は、人類700万年間の狩猟・採集時代に、
野生の果物、ナッツ類、根茎類を食べたレベルと同程度の追加分泌インスリンなので
許容範囲と思います。
4)問題点
B)は、インスリン分泌が多いこと以外にも、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大という酸化ストレスリスクに関しては、
効果が弱いので問題と言えます。
C)は、始めにくいこと、継続しにくいこと、普及しにくいことが問題点です。
5)考察
A)の場合、C)よりは治療効果は若干劣りますが、
殆どの糖尿人において、合併症予防という観点からは、問題ないと思われます。
体重減少効果も同様であり、「継続し易さ」「普及」「治療効果」において
バランスのとれた食事療法と言えます。
B)は、「継続し易さ」「普及」は優れていますが、肝腎の治療効果が劣ることと、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大という問題点を抱えています。
C)は、始めにくいこと・継続しにくいこと・普及しにくいことという弱点がありますが、
治療効果は抜群ですので、ビタミンCの摂取(野菜から摂取)に留意して、
個人的にやれる人はやればいいと思います。
結論として、自画自賛になりますが、
高雄病院のスーパー糖質制限食が一番バランスがいいのかなと思います。(^^)
一方、山田悟先生の緩い糖質制限食や釜池豊秋先生の糖質ゼロ食も、
役割分担という視点に立てば、対立するというよりも、
一人一人の嗜好やニーズに応じて、相補的なものと思います。
A)B)C)の3者ともに、
日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質食)に比べれば
治療効果ははるかに高いのですから。
6) α)とβ)について
α)の荒木式は、ほぼスーパー糖質制限食に近いと思います。
ただ、ビールに関して、麦芽とホップだけの本物のビールは
呑んでもよいとされていますが、糖質含有量は、
米・コーン・スターチが含まれている普通のビールと同じだけあるので、
勿論NG食品です。
β)のMEC食も、基本的にはスーパー糖質制限食に近いと思います。
一日に摂るべき食品はM(お肉)・E(卵)・C(チーズ)の三点で、
これらをしっかり食べて、
その上でさらに食べたいと思ったら他の食品(糖質を含む)も
適度にOKということです。
あとは、一口、30回は噛んで食べようということです。
ビタミンCと食物繊維の摂取に注意すれば、MEC食もOKと思います。
ただ糖質を多く摂取すれば当然食後高血糖となるので、注意が必要です。
江部康二
2023年05月12日 (金)
こんにちは。
2023年6月13日(火)京都で、
日本糖質制限医療推進協会主催の「低糖質スイーツ教室」を開催します。
京都でのスイーツ教室開催は、2019年の秋以来です。
講師は以前と同様で、パティシエの小寺幹成さんと管理栄養士の佐々木栄子さんです。
・小寺さんのプロフェッショナルな技を直接見て、おいしく低糖質なスイーツづくりを学べること
さらに、
・糖質制限による栄養指導のご経験豊富な佐々木さんの的確なアドバイスも得られること
が、
この教室の嬉しいところと思います。
テーマは、先日開催した東京での講習会と同じ「フィナンシェとババロア」ですが、
今回は、参加者の皆さんで実際に作ってみる「実習」も行うそうです。
私もフィナンシェとババロアをバレンタイン?プレゼントでいただき、試食しました。
食べやすく、美味しかったです。
皆さん奮ってご参加くださいね^^v
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
******************
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、ありがとうございます。
本日は、低糖質スイーツ教室の開催をご案内申し上げます。
2023年6月13日(火)京都で、「低糖質スイーツ教室」を開催いたします。
☆低糖質スイーツ教室
おいしい低糖質洋菓子をご自宅で作っていただけるように、お菓子作りの基礎から学べる講座です。
小寺パティシエに低糖質菓子を作る際のコツや工夫、様々な技術をデモンストレーションや実習でレクチャーいただき、参加者様からの質問や疑問にもお答えいただきます。
また、佐々木先生に、低糖質菓子をご家庭で作りやすくするための工夫やレッスンで学んだことを更に活用するアイデアなど、多岐に渡ってアドバイスいただきます。
血糖値が気になってお菓子を控えているという方、安心の低糖質スイーツを作りたいという方、お菓子作りは初めてという方も、是非ご参加ください。
☆今回の内容
テーマ:「フィナンシェとババロア」
マドレーヌと違って、全卵ではなく、卵白を使う金塊型の焼き菓子「フィナンシェ」。
今回は、このフィナンシェ作りをメインに催し、実習も行います。
フィナンシェを上手に作るには、「焦がしバター」がキーになります。
デモンストレーションとあわせて、この焦がしバターの作り方、材料の混ぜ方など、各工程を丁寧に説明。
その後、実際に参加者の皆様で作っていただき、簡単なようで難しいフィナンシェ作りを学んでいただきます。
試食では、少量の小麦粉を使ったものと大豆粉を使ったもの、2種のプレーンタイプと、アレンジタイプを召し上がっていただく予定です。
また、フィナンシェ作りで余った卵黄の活用法として、「ババロア」作りも、デモと試食にてご紹介します。
関西にお住まいの方をはじめ、皆さまのご参加をお待ちしております。
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「パティシエに学ぶ、おいしく作れる低糖質スイーツ(京都)」
♪テーマ:「フィナンシェとババロア」
◆日時: 2023年6月13日(火) 13:00~15:45頃 ※開場・受付は12:45~
◆会場: あじわい館(京の食文化ミュージアム)調理実習室
〒600-8813 京都市下京区中堂寺南町130番地 京都青果センタービル3階
http://www.kyo-ajiwaikan.com/access
♪講師:
・小寺幹成 「パティスリー ロア・レギューム」オーナーパティシエ
・佐々木栄子 管理栄養士/健康運動実践指導者(当会アドバイザー)
◆参加費: 賛助会員料金 3,400円/一般料金 4,000円
◆定員・対象: 20名様 ・一般(18歳以上)
◆当日の流れ: レシピ説明・デモ→ 実習 → 試食 → 片付け後、解散
◆ご持参いただくもの:
エプロン、三角巾、ふきん(タオル)2枚(台ふき用・食器ふき用)、筆記用具
◆お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込みください。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越しいただき、受付にてお名前をお伝えください。
◆お申し込み方法:
※当教室は、一般の方にご自宅で作っていただくことを趣旨とした教室です。
製菓や料理のお仕事をしておられる方、食品会社で企画・開発をしておられる方など、
業界の方の場合は、その旨をお書き添えの上、お申し込みください。
★賛助会員の方: 事務局へメールにてお申し込み下さい。
★賛助会員入会+教室参加をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に「6/13京都スイーツ教室、参加希望」とご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外の方)で、教室参加ご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/cooking
◆その他
・予約制です。当日参加はできません。
・お申し込み後、キャンセルされる場合は、6月8日(木)までにご連絡ください。
6月9日(金)以降のキャンセルは、参加費の半額をキャンセル料金として頂戴いたしますので、予めご了承ください。
・実習室で作ったもの以外の飲食はできません。ご自宅で作ったお料理やお菓子などの持ち込みはできませんのでご注意ください。
・皆さまで実習と試食を行っていただきますので、香水などのフレグランスはお控えください。
◆弊会イベント情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
2023年6月13日(火)京都で、
日本糖質制限医療推進協会主催の「低糖質スイーツ教室」を開催します。
京都でのスイーツ教室開催は、2019年の秋以来です。
講師は以前と同様で、パティシエの小寺幹成さんと管理栄養士の佐々木栄子さんです。
・小寺さんのプロフェッショナルな技を直接見て、おいしく低糖質なスイーツづくりを学べること
さらに、
・糖質制限による栄養指導のご経験豊富な佐々木さんの的確なアドバイスも得られること
が、
この教室の嬉しいところと思います。
テーマは、先日開催した東京での講習会と同じ「フィナンシェとババロア」ですが、
今回は、参加者の皆さんで実際に作ってみる「実習」も行うそうです。
私もフィナンシェとババロアをバレンタイン?プレゼントでいただき、試食しました。
食べやすく、美味しかったです。
皆さん奮ってご参加くださいね^^v
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
******************
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、ありがとうございます。
本日は、低糖質スイーツ教室の開催をご案内申し上げます。
2023年6月13日(火)京都で、「低糖質スイーツ教室」を開催いたします。
☆低糖質スイーツ教室
おいしい低糖質洋菓子をご自宅で作っていただけるように、お菓子作りの基礎から学べる講座です。
小寺パティシエに低糖質菓子を作る際のコツや工夫、様々な技術をデモンストレーションや実習でレクチャーいただき、参加者様からの質問や疑問にもお答えいただきます。
また、佐々木先生に、低糖質菓子をご家庭で作りやすくするための工夫やレッスンで学んだことを更に活用するアイデアなど、多岐に渡ってアドバイスいただきます。
血糖値が気になってお菓子を控えているという方、安心の低糖質スイーツを作りたいという方、お菓子作りは初めてという方も、是非ご参加ください。
☆今回の内容
テーマ:「フィナンシェとババロア」
マドレーヌと違って、全卵ではなく、卵白を使う金塊型の焼き菓子「フィナンシェ」。
今回は、このフィナンシェ作りをメインに催し、実習も行います。
フィナンシェを上手に作るには、「焦がしバター」がキーになります。
デモンストレーションとあわせて、この焦がしバターの作り方、材料の混ぜ方など、各工程を丁寧に説明。
その後、実際に参加者の皆様で作っていただき、簡単なようで難しいフィナンシェ作りを学んでいただきます。
試食では、少量の小麦粉を使ったものと大豆粉を使ったもの、2種のプレーンタイプと、アレンジタイプを召し上がっていただく予定です。
また、フィナンシェ作りで余った卵黄の活用法として、「ババロア」作りも、デモと試食にてご紹介します。
関西にお住まいの方をはじめ、皆さまのご参加をお待ちしております。
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「パティシエに学ぶ、おいしく作れる低糖質スイーツ(京都)」
♪テーマ:「フィナンシェとババロア」
◆日時: 2023年6月13日(火) 13:00~15:45頃 ※開場・受付は12:45~
◆会場: あじわい館(京の食文化ミュージアム)調理実習室
〒600-8813 京都市下京区中堂寺南町130番地 京都青果センタービル3階
http://www.kyo-ajiwaikan.com/access
♪講師:
・小寺幹成 「パティスリー ロア・レギューム」オーナーパティシエ
・佐々木栄子 管理栄養士/健康運動実践指導者(当会アドバイザー)
◆参加費: 賛助会員料金 3,400円/一般料金 4,000円
◆定員・対象: 20名様 ・一般(18歳以上)
◆当日の流れ: レシピ説明・デモ→ 実習 → 試食 → 片付け後、解散
◆ご持参いただくもの:
エプロン、三角巾、ふきん(タオル)2枚(台ふき用・食器ふき用)、筆記用具
◆お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込みください。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越しいただき、受付にてお名前をお伝えください。
◆お申し込み方法:
※当教室は、一般の方にご自宅で作っていただくことを趣旨とした教室です。
製菓や料理のお仕事をしておられる方、食品会社で企画・開発をしておられる方など、
業界の方の場合は、その旨をお書き添えの上、お申し込みください。
★賛助会員の方: 事務局へメールにてお申し込み下さい。
★賛助会員入会+教室参加をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に「6/13京都スイーツ教室、参加希望」とご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外の方)で、教室参加ご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/cooking
◆その他
・予約制です。当日参加はできません。
・お申し込み後、キャンセルされる場合は、6月8日(木)までにご連絡ください。
6月9日(金)以降のキャンセルは、参加費の半額をキャンセル料金として頂戴いたしますので、予めご了承ください。
・実習室で作ったもの以外の飲食はできません。ご自宅で作ったお料理やお菓子などの持ち込みはできませんのでご注意ください。
・皆さまで実習と試食を行っていただきますので、香水などのフレグランスはお控えください。
◆弊会イベント情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
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2023年05月11日 (木)
こんにちは。
和田さんから
「縄文人、意外と長生き。65歳以上が3割。」
という本ブログの過去記事についてコメントを頂きました。
ありがとうございます。
以前、
精神科医師Aさんからも、縄文人の寿命に関してコメントを頂きました。
ありがとうございます。
定説とは異なり、縄文人は意外に長生きだったようです。
朝日新聞デジタル2010年11月13日に、
聖マリアンナ医科大講師の長岡朋人氏の
今までの定説を覆す内容の研究結果が掲載されました。
以下の小林和正氏のような論述が、今までの定説の典型です。
「縄文時代に出土した人骨は15歳以上がほとんど、235例のデータで、
男女とも平均の余命は16歳で、31歳までにほとんどが死亡」
と、
『小林和正:出土人骨による日本縄文時代人の寿命の推定、人口問題研究、No.102,1-10,1967)』
に記載されています。
小林和正氏の時代の年齢推定は「恥骨結合面」の骨により判定されていましたが、
そもそもこの部位は、後世に残りにくいのです。
このため、長岡朋人氏は比較的残りやすく細かな年齢推定が可能な、
同じ腰骨の腸骨耳状面という部分を検討対象にしました。
その結果、新しい方法で再調査した岩手・蝦島貝塚や千葉・祇園原貝塚など9遺跡から出土した計86体の人骨は、65歳以上が32.5%を占めました。
「縄文人=早死に」のイメージのもとになった人類学者小林和正氏の1967年の論文では、65歳以上はゼロでしたので大きく異なります。
人類学者や考古学者においても、今回の長岡氏氏の研究は評価が高いようです。
一部慎重な意見もありますが、今までの定説とは異なり、
縄文人は意外に長生きだったと考えられます。
江部康二
☆☆☆
以下、朝日新聞デジタルより、要約。
【http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201011130129.html
縄文人、意外と長生き 65歳以上が3割 聖マリアンナ医科大
2010年11月13日
平均寿命が30歳前後とされ、「過酷な生活環境のため、早死にする人が多かった」と考えられてきた縄文時代の人たち。しかし、出土人骨の年齢推定に関する最新の研究で、実は65歳以上とみられる個体が全体の3割以上を占める――という結論がこのほど提示された。なぜ、これほど違う結果が出たのだろうか。
この研究を行ったのは聖マリアンナ医科大講師の長岡朋人さん(人類学・古人口学)。文部科学省の科学研究費の成果として、このほど「月刊考古学ジャーナル」の臨時増刊号で発表した。
年齢にまつわるデータがまったくない人骨について、人類学者たちは、歯の生え具合や、すり減り具合、手足の軟骨の癒合(ゆごう)の程度(くっつき具合)などを基準に年齢推定をしている。中でも、成人以上の判定でよく使われるのが「恥骨結合面」と呼ばれる部分だ。腰骨の一部で、年齢が若いと表面の凹凸が激しく、年をとるにつれ滑らかになる特徴がある。
「ただし、恥骨は残りにくい。このため今回は、比較的残りやすく細かな年齢推定が可能な、同じ腰骨の腸骨耳状面という部分を検討対象にしました」。この部分は若い時は滑らかだが、年をとると、骨棘(こつきょく)ができたり穴があいたりすることが指摘されている。
「ベイズ推定」と呼ばれる、新たな統計的手法も採用した。これまでは、たとえば20代の可能性が高い人骨の年齢を表す場合、他の年齢の可能性が残っていてもそれらを切り捨て、単に「20代」と表現してきた。
「でも、20代の可能性が7割だったとしても、あとの3割は30代や40代の可能性が残されている。それらの誤差が蓄積され続けると、集団全体で考えた際、事実と異なる結果が出る可能性が高い」
長岡さんがこう考えたのは、古人骨に基づく研究では、いずれの人類集団も30~40代で構成員の大半が死んでしまうことが指摘されているのに、古文書などの記録に残っている範囲では、このような傾向を示す集団はほとんど存在しないからだ。
「縄文人と近い暮らしをしていたと考えられるアフリカの狩猟採集民でも、乳幼児死亡率が高かった江戸時代の人々でも、50代以上でなくなった人が3割を超す。とすれば、今までの縄文人の年齢構成には疑問符がつく」
長岡さんが新しい方法で再調査した岩手・蝦島貝塚や千葉・祇園原貝塚など9遺跡から出土した計86体の人骨は、65歳以上が32.5%を占めたという。「縄文人=早死に」のイメージのもとになった人類学者小林和正さんの1967年の論文では、65歳以上はゼロだったから大きく異なる。「今までの年齢推定法は老年の人を実際より若く推定してきたのではないか」
琉球大教授の石田肇さん(形質人類学)は「長岡君の精密な調査で、どんな集団でも長命な個体が存在することが分かってきた。確率的にみても、縄文時代における65歳以上の個体が3割という割合は間違いない」と評価する。
考古学者も肯定的だ。「縄文時代は伝統的、かつ複雑な社会構造を持った社会だったことが明らかになりつつある。30代で大半の人が亡くなるのでは、技術継承などの面で支障があったはず。寿命が長かったなら、そうした問題はなくなる」と、明治大教授の阿部芳郎さん(考古学)。
国学院大名誉教授(考古学)の小林達雄さんも「若い人には創造性があるが、それらを体系づけ、安定した状態を維持していくためには、30代以下だけでは無理。50代以上の構成員も多かったのなら納得できる」と話す。
一方で、やや慎重な意見も。国立長寿医療センター研究所所長の鈴木隆雄さん(老年学・古病理学)は「興味深い説だが、完全に結論が出たわけではない。今回の腸骨耳状面を使うやり方が、従来、年齢推定の判断基準となってきた恥骨結合面などの変化と整合性があるかどうか。今後、年齢推定のやり方を総合的に検証する必要があるのではないか」と話している。(宮代栄一)】
和田さんから
「縄文人、意外と長生き。65歳以上が3割。」
という本ブログの過去記事についてコメントを頂きました。
ありがとうございます。
以前、
精神科医師Aさんからも、縄文人の寿命に関してコメントを頂きました。
ありがとうございます。
定説とは異なり、縄文人は意外に長生きだったようです。
朝日新聞デジタル2010年11月13日に、
聖マリアンナ医科大講師の長岡朋人氏の
今までの定説を覆す内容の研究結果が掲載されました。
以下の小林和正氏のような論述が、今までの定説の典型です。
「縄文時代に出土した人骨は15歳以上がほとんど、235例のデータで、
男女とも平均の余命は16歳で、31歳までにほとんどが死亡」
と、
『小林和正:出土人骨による日本縄文時代人の寿命の推定、人口問題研究、No.102,1-10,1967)』
に記載されています。
小林和正氏の時代の年齢推定は「恥骨結合面」の骨により判定されていましたが、
そもそもこの部位は、後世に残りにくいのです。
このため、長岡朋人氏は比較的残りやすく細かな年齢推定が可能な、
同じ腰骨の腸骨耳状面という部分を検討対象にしました。
その結果、新しい方法で再調査した岩手・蝦島貝塚や千葉・祇園原貝塚など9遺跡から出土した計86体の人骨は、65歳以上が32.5%を占めました。
「縄文人=早死に」のイメージのもとになった人類学者小林和正氏の1967年の論文では、65歳以上はゼロでしたので大きく異なります。
人類学者や考古学者においても、今回の長岡氏氏の研究は評価が高いようです。
一部慎重な意見もありますが、今までの定説とは異なり、
縄文人は意外に長生きだったと考えられます。
江部康二
☆☆☆
以下、朝日新聞デジタルより、要約。
【http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201011130129.html
縄文人、意外と長生き 65歳以上が3割 聖マリアンナ医科大
2010年11月13日
平均寿命が30歳前後とされ、「過酷な生活環境のため、早死にする人が多かった」と考えられてきた縄文時代の人たち。しかし、出土人骨の年齢推定に関する最新の研究で、実は65歳以上とみられる個体が全体の3割以上を占める――という結論がこのほど提示された。なぜ、これほど違う結果が出たのだろうか。
この研究を行ったのは聖マリアンナ医科大講師の長岡朋人さん(人類学・古人口学)。文部科学省の科学研究費の成果として、このほど「月刊考古学ジャーナル」の臨時増刊号で発表した。
年齢にまつわるデータがまったくない人骨について、人類学者たちは、歯の生え具合や、すり減り具合、手足の軟骨の癒合(ゆごう)の程度(くっつき具合)などを基準に年齢推定をしている。中でも、成人以上の判定でよく使われるのが「恥骨結合面」と呼ばれる部分だ。腰骨の一部で、年齢が若いと表面の凹凸が激しく、年をとるにつれ滑らかになる特徴がある。
「ただし、恥骨は残りにくい。このため今回は、比較的残りやすく細かな年齢推定が可能な、同じ腰骨の腸骨耳状面という部分を検討対象にしました」。この部分は若い時は滑らかだが、年をとると、骨棘(こつきょく)ができたり穴があいたりすることが指摘されている。
「ベイズ推定」と呼ばれる、新たな統計的手法も採用した。これまでは、たとえば20代の可能性が高い人骨の年齢を表す場合、他の年齢の可能性が残っていてもそれらを切り捨て、単に「20代」と表現してきた。
「でも、20代の可能性が7割だったとしても、あとの3割は30代や40代の可能性が残されている。それらの誤差が蓄積され続けると、集団全体で考えた際、事実と異なる結果が出る可能性が高い」
長岡さんがこう考えたのは、古人骨に基づく研究では、いずれの人類集団も30~40代で構成員の大半が死んでしまうことが指摘されているのに、古文書などの記録に残っている範囲では、このような傾向を示す集団はほとんど存在しないからだ。
「縄文人と近い暮らしをしていたと考えられるアフリカの狩猟採集民でも、乳幼児死亡率が高かった江戸時代の人々でも、50代以上でなくなった人が3割を超す。とすれば、今までの縄文人の年齢構成には疑問符がつく」
長岡さんが新しい方法で再調査した岩手・蝦島貝塚や千葉・祇園原貝塚など9遺跡から出土した計86体の人骨は、65歳以上が32.5%を占めたという。「縄文人=早死に」のイメージのもとになった人類学者小林和正さんの1967年の論文では、65歳以上はゼロだったから大きく異なる。「今までの年齢推定法は老年の人を実際より若く推定してきたのではないか」
琉球大教授の石田肇さん(形質人類学)は「長岡君の精密な調査で、どんな集団でも長命な個体が存在することが分かってきた。確率的にみても、縄文時代における65歳以上の個体が3割という割合は間違いない」と評価する。
考古学者も肯定的だ。「縄文時代は伝統的、かつ複雑な社会構造を持った社会だったことが明らかになりつつある。30代で大半の人が亡くなるのでは、技術継承などの面で支障があったはず。寿命が長かったなら、そうした問題はなくなる」と、明治大教授の阿部芳郎さん(考古学)。
国学院大名誉教授(考古学)の小林達雄さんも「若い人には創造性があるが、それらを体系づけ、安定した状態を維持していくためには、30代以下だけでは無理。50代以上の構成員も多かったのなら納得できる」と話す。
一方で、やや慎重な意見も。国立長寿医療センター研究所所長の鈴木隆雄さん(老年学・古病理学)は「興味深い説だが、完全に結論が出たわけではない。今回の腸骨耳状面を使うやり方が、従来、年齢推定の判断基準となってきた恥骨結合面などの変化と整合性があるかどうか。今後、年齢推定のやり方を総合的に検証する必要があるのではないか」と話している。(宮代栄一)】