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5,300年前の人類「アイスマン」は、糖質セイゲニスト
こんにちは。
2022年、日本公開から1カ月足らずで国内の累計興行収入が43億円を突破した
トム・クルーズ主演『トップガン マーヴェリック』。
本作に出演したマーベリック(トム・クルーズ)のライバルが
アイスマン(ヴァル・キルマー)といいますが、
本作ではマーベリックとアイスマンの揺るぎない友情が描かれています。

アイスマンで、少し昔の記事を思い出しました。
オーストリア・アルプス標高3,500mの氷河から発見された、
5,300年前に死亡した世界最古の人類の冷凍ミイラ
「アイスマン」と呼ばれているのです。
私は、古人類学や考古学が好きなのです。


【13/03/24 とっさん

5,300年前の人類は、糖質セイゲニスト

3/24(日) 21:00~NHKスペシャル「アイスマン」の放送内容を報告します。

我々糖質セイゲニストとしては、5,300年前の人類が何を食べていたかは、多いに関心のあるところである。放送は全体的として、エビデンスに基づいた内容。私の主観を排除し、概要を報告。

① オーストリア・アルプス標高3,500mの氷河から発見された、5,300年前に死亡した世界最古の冷凍ミイラの話。体全体が冷凍保存状態で、これを「アイスマン」と名付け、多くの科学者によって、解凍され分析された。胃・腸・脳・皮膚などから、食餌内容物や体細胞などが収集・解析された結果が報じられた。

② 胃の内容物は、先ずは動物性脂肪で、ヨーロッパ・アルプスに棲息する山羊(ヤギ)の種類を食べていた。次に現在ハーブとして用いられている植物種。

③ 胃と腸には、加水性の小麦と煤(スス)があり、その実態はパンであった。ちなみに人類にとってパンは、既に8,000年前にエジプトで焼かれていたが、給料として用いられた程に超貴重品であった(即ち少量しかなかった)。

以上が、5,300年前の人類の食餌。

さらに以下は、道具や衣に関する解析結果。

④ 純度99.7%の銅製の斧(オノ)。アイスマンの発見により、精錬技術の歴史は定説より1,000年も繰り上がることに。
⑤ 山羊(ヤギ)の毛皮で、黒と茶のツートンカラーに縫われたマント。そして、アルプスの山を歩くに耐えうる程の靴(材料は草本?木本?の植物に見えた)。

⑥ 中国文明での「針」に類似する傷が皮膚皮下にあり、一種の医療行為と推定される。

⑦ 「アイスマン」の死因は、背後から胸部に矢じりを打ち込まれ、側頭部を殴打されたことによる大量脳出血。即ち、殺人事件であった。

⑧ 胃から腸にかけての消化器部位ごとの内容物の分析から、死の直前3日の間、アルプス山中のアップダウンを激しく移動していた。死に様も併せて推理すると、殺害者に追われていたと考えるのが自然。

以上が、番組の概要です。

ここから、私の主観を二つ三つ。

Ⅰ。 5,300年前の人類の食餌は、野生種の小麦を僅かに食べたかも知れないが、生命維持の専らの食餌は、動物性の蛋白質と脂質であり、紛れもなく糖質セイゲニストであったと確信する。

Ⅱ。 エジプト・メソポタミヤから遠く離れたアルプス地方に、思いのほか高度な文明があった。

Ⅲ。 しかし、文明が無条件に素晴らしいことではない。石器・鉄器・小麦/米の農耕を手にして以降、物や土地や命の奪い合いを、人間は始めた。

長々とすいませんでした。】



とっさん から、
3/24(日) 21:00~NHKスペシャル「アイスマン」の放送内容を
ご報告いただきました。

ありがとうございます。

私も、たまたまあの番組、見ていました。

アイスマン発見以来、イタリアにおいて特殊な保管室に安置。

氷点下で湿度95%くらいで時々水をかけて厳密に保存して乾燥と腐敗を予防。

今回、周到な準備をへて、研究チームを編成して、発見20年目に解凍して内蔵や脳や皮膚など百数十の検体を採取して検査・研究。


ということでした。

とっさんがご指摘のごとく、事実に基づいた大変興味深い内容で、
今回は、NHKに拍手を贈りたいと思います。ヾ(^▽^)

詳細は、とっさんのご報告をみていただくとして、私からの追加です。


⑤アイスマンの靴の一番外側は、確か熊の毛皮と説明していたと思います。丈夫な熊の毛皮の中に草を敷いていたようです。

⑥皮膚の紋様は、炭で入れ墨して作ってあって、その部位は驚くべきことに、中国医学の鍼灸経穴と、ほぼ一致していた。

5300年前に鍼灸治療に類似した医療行為が既になされていた可能性が高いということです。

パンは、当時、あったとしても給与代わりの、超貴重品です。

従ってアイスマンは、日常は山羊や兎の肉にハーブを散りばめたものが主食のようで、確かに糖質セイゲニストの先達で、結構グルメですね。

ジビエ料理・・・野生動物の肉にハーブ・・・フランス料理の原点を見る思いです。(^^)

アイスマン、侮るべからず!? ♪(・∀・)  


江部康二
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>4月16日(日)
こんにちは。

2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。

「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
2023年4月16日(日)12:30~17:00


参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。

第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義です。

第2部は私による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを行います。

第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる6名の医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。

6名の医師は勿論、高雄病院勤務ではありません。

参加者皆で、活発な討論を行い、実のあるセミナーにしたいと思います。
当日セミナー終了後に、会場参加者でご希望いただく方々との懇親会(食事会)も催すことになりました。
私も3年ぶりの懇親会、歓談が楽しみです。

江部康二




以下事務局からのお知らせです。

***********

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。

本日は、医療従事者向けセミナーの開催をご案内申し上げます。
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。

参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。

第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、コロナ禍の影響や患者様の様子なども交えてお話しいたします。

第2部は江部理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを予定しております。

第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる6名の医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。

医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より開催しております。

また、2019年3月のセミナーより、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を設け、参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になる等ご好評いただいております。

今回も多様なテーマで6名の医師の方々にエントリーしていただいております。

医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。
*セミナー後懇親会開催のお知らせ
セミナー終了後、会場参加者様でご希望の方を対象に懇親会(食事会)を催します。
会場参加をお申し込みいただいた方々には、詳細確定次第、近日中にご案内申し上げます。

*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////


一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>

■日時:2023年4月16日(日)12:30~17:00頃

■会場:アットビジネスセンター東京駅八重洲通り 604号室

〒104-0032 東京都中央区八丁堀1-9-8 八重洲通ハタビル 6階
https://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html

■内容:

◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」12:30~

 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~

 講師: 江部 康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:05頃~

・「糖質制限治療の実践症例 ~年間のべ1,000名を超える外来指導より見えるもの」
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)

・「対話する糖質制限医療 ~糖質制限を指導してはいけない!?」
 田頭 秀悟 医師 / たがしゅうオンラインクリニック 院長

・「高LDL-C血症に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について」
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長

・「糖質制限と薬理学的糖質制限の失敗から学ぶ糖質中毒~糖質依存症のメカニズム~」
 影山 広行 医師 / 株式会社ドクターバンク

・「カンボジアにおける『ほろ酔い低糖質食セミナー&パーティー』の実施」
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長

・「糖質制限食の導入の実際 ~フリースタイルリブレプロを用いて」
 髙橋 裕彦 医師 / たかはし整形外科医院(香川) 院長

*第3部は、発表10分・討議6分ずつを予定しております。

*第3部の発表者様の中には、オンラインで発表される方もいらっしゃる予定です。

*第1部・第2部の映写資料データ(PDF)は、後日ダウンロードしていただけます。

*当日のセミナー動画は、後日一定期間ご覧いただけます。(セミナー参加予約者様限定)

■参加対象:

医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)

■受講費:

1.会場参加(東京会場へご来場の方)

・医師・歯科医師の方: 賛助会員 6,800円 / 一般(会員以外) 8,500円

・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 4,800円 / 一般(会員以外)6,000円


2.オンライン参加

・医師・歯科医師の方: 賛助会員 7,200円 / 一般(会員以外) 9,000円

・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 5,200円 / 一般(会員以外)6,500円


<オンライン参加についての補足・ご案内>

*Zoomを使用して行います。

・スマートフォンでもご参加可能ですが、パソコンかタブレット端末でご参加いただくと、画面が大きいため、スライド資料を閲覧しやすいです。

・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスして、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。

・詳細はご予約後にご案内申し上げます。

・Zoomの挙手機能を使用して、オンライン参加の方も質疑応答や討議で挙手・発言していただる予定です。


■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:
事務局へメールにて、
①会場 or オンライン、どちらでの参加ご希望か
②医療機関でのご職種
をご記入の上、お申し込み下さい。

★賛助会員入会をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席に関するお問い合せ」をご選択下さい。
「通信」欄には、以下をご記入下さい。
① 「4/16セミナー、会場 or オンライン(←ご希望の参加方法をご記入下さい)参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med

■その他:

・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは4月14日(金)までに事務局へご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
「世界腎臓デー」。腎機能検査は、血清シスタチンCを調べよう。
こんにちは。
3月第2木曜日(2023年3月9日)は「世界腎臓デー」です。


【慢性腎臓病(CKD)とは
慢性腎臓病(CKD)患者数は日本国内に1,330万人(成人の8人に1人)*¹、
世界で9.1%*²が罹患しているとされ、
年々増加傾向にある注意が必要な病気です。
慢性腎臓病(CKD)は腎臓の機能が低下したり、
たんぱく尿などの腎臓の異常が続いたりする病気ですが、
初期はあまり症状が現れず、自覚しにくいことが特徴です。
気づかず症状が進むと、透析治療や腎移植が必要となるリスクが高まり、
心臓病や脳卒中を発症する危険性も高まると言われています。
※1 日本腎臓学会 CKD診療ガイド2012
※2 Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study 2017】



慢性腎臓病(CKD)患者数が、日本国内に1330万人ですから、12.5%です。
世界平均が9.1%なので、日本はCKD患者数が多い国と言えます。

慢性腎臓病(CKD)は、勿論、早期発見して早期治療する方がよいに決まっています。
CKDの特効薬はないのが現状ですが、原因疾患で一番多いのは糖尿病です。
糖尿病を早期からキッチリ治療して、CKD発症を予防するのが、正解の治療と言えますが、
それには糖質制限食が最適です。
腎機能検査ですが、血清クレアチニン値ではなく、
血清シスタチンCを調べるのがベストです。


高齢者の腎機能はクレアチニンで評価してはいけません。
高齢者の腎機能はシスタチンCで評価しなくてはなりません。
ブログ読者の医師・看護師の方々は、是非同僚や知り合いの医師・看護師の方々に
この情報を拡散するようよろしくお願い申し上げます。

例えば、75歳男性Aさんの血清クレアチニン値は0.76mg/dlで基準値内で、
eGFRは75.9mL/min/1.73m2と正常でした。

しかし、同時に血清シスタチンCを調べたら、1.76mg/dlで基準値を超えていて
eGFRは30.61 mL/min/1.73m2としっかり腎機能障害でした。


同様に、77歳女性Aさんのクレアチニン値は0.58mg/dlで基準値内で
eGFRは73.89 mL/min/1.73m2で正常でした。
しかし、同時に血清シスタチンCを調べたら、1.48mg/dlで基準値を超えていて
eGFRは39.59 mL/min/1.73m2で腎機能障害が認められました。


つまり、AさんもBさんも、本当は腎機能障害があるけれど、
血清クレアチニン検査は正常であり、
見逃してしまうということになります。

クレアチニンは筋肉量や運動が結果に影響します。
高齢者は筋肉量が少ないので、
本当は腎機能障害があるのに見かけ上、正常にでてしまうのです。
血清シスタチンCが、それらに影響を受けない
最も、信頼度の高い腎機能検査です。

高齢者の場合は、ほとんどの人において、筋肉量が少ないです。
そうすると、一般によく用いられる腎機能検査の「血清クレアチニン値」だと、
筋肉量が少ない分、低値になります。
つまり、本当は腎機能障害があるのに、「血清クレアチニン値」だと
正常範囲になってしまうケースがかなりあると
思われます。
このような時、「血清シスタチンC」だと、筋肉量に影響されずに
正確な腎機能を評価することができ、とても有用です。

血清クレアチニンの基準値は、男性1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下です。
血清シスタチンCの基準値は、男性0.63~0.95mg/L、女性0.56~0.87mg/L です。


国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人が高齢者です。
65-74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼びます。
総務省によれば、日本の65歳以上の高齢者は、
2020年は3617万人・総人口の28.7%で、過去最高の更新が続いています。


筋肉量
20歳を基準。
30歳で、6%低下
40歳で、12%低下。
50歳で、18%低下。
60歳で、24%低下。
70歳で、30%低下。


筋肉量に関しては
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka/undoukei-rouka.html
健康長寿ネット
を参考にさせて頂きました。
ありがとうございます。

これだと、
少なくとも60歳以上はクレアチニンは当てにならないのでシスタチンCで評価すべきです。
基本40歳以上はシスタチンCがいいです。

しかし、1/3ヶ月でないと保険適応となりません。
つまり、1月に検査したら、次は4月となります。


腎臓には血液をろ過して、体の中に溜まった老廃物や水分、
取り過ぎた塩分などを尿と一緒に
体の外へ出してくれる働きがあります
腎臓はいらなくなった余分なものを体から排出して、
必要なものだけをしっかり体の中に残してくれるので、
体内の環境を正常に保つことができるのです。

糸球体での濾過量(GFR)は、正常では一定に維持され、
腎機能を知るうえで最も重要な指標となります。

血清シスタチンCの数値や血清クレアチニンの数値から、
年齢と性別を考慮して、腎臓の働きを推測した値を、
eGFR(推定糸球体濾過量)と言います。

<血清シスタチンC GFR>
<血清クレアチニン GFR>

で、ネットで検索すれば、
eGFR(推定糸球体濾過量)を計算するサイトが見つかります。
便利なので、利用しましょう。
そこで計算して、eGFRが60以上なら心配ないです。


腎機能検査として、一般的な血清クレアチニンや尿素窒素は食事や筋肉量、
運動などの影響を受けますが、
血清シスタチンC値はそれらの影響を受けないため、
小児・老人・妊産婦・アスリートなどでも問題なく測定できます。

また、クレアチニン値はGFRが30mL/分(腎不全)前後まで低下した頃から上昇するのに対し、
シスタチンC値はGFRが70mL/分前後の軽度~中等度の腎機能障害でも上昇するので、
腎機能障害の早期診断にたいへん有用です。

したがって、血清クレアチニンや尿素窒素が正常であっても、
尿検査で蛋白あるいは潜血反応に異常が認められた場合には、
早期腎症の可能性がありえるので、血清シスタチンCを調べるのが有用です。

血清クレアチニン値が既に高値(2mg/dL以上)であれば、
シスタチンCを測定する意義はありません。
一方、ごく軽度上昇例で評価が困難な場合、
シスタチンC測定で腎機能を検査するのがお奨めです。


江部康二
2型糖尿病、日本人と欧米人は、発症パターンが違う。
こんにちは。
インスリンは血糖値を下げる作用をもつホルモンです。
糖尿病の95%以上を占める2型糖尿病は、インスリン作用不足があると発症します。
日本人は欧米人に比べ肥満していないのに糖尿病を発症するといわれています。
これは、日本人のインスリン分泌能力が
欧米人の半分程度と低いためと考えられています。

2型糖尿病は、

「インスリン分泌不足+インスリン抵抗性」

が合わさって、『インスリン作用不足』を生じ、発症します。
日本人はインスリン分泌不足が主で、インスリン抵抗性は従です。
糖尿病発症時の平均BMIは24くらいで、正常範囲です。

一方、欧米人はインスリン抵抗性が主で、インスリン分泌不足は従です。
糖尿病発症時の平均BMIは32くらいで、肥満です。

インスリンは、血糖値を下げる唯一のホルモンで、
基礎分泌インスリンは、24時間少量持続分泌されています。

これに対して追加分泌インスリンは、
糖質摂取時、数倍~30倍分泌、
脂質摂取時、分泌なし、
タンパク質摂取時、少量分泌です。

またインスリンは肥満ホルモンの側面があり、
このことはUKPDSやACCORDといった大規模臨床試験でも確認されています。
欧米人のインスリン分泌能力は、アジア人の倍以上と言われています。
まず、糖質の頻回過剰摂取による追加インスリン分泌で、肥満が生じます。
肥満が生じるとインスリン抵抗性が生じます。
インスリン抵抗性が生じると、基礎分泌インスリンも過剰に出るようになり、
ますます肥満します。

この「インスリン過剰→肥満→インスリン更に過剰→肥満→・・・・・・」の悪循環で、肥満は巨大になっていきます。
それでもインスリン分泌能力があるので、さらに過剰に分泌して、20年、30年、40年に及べば、欧米では150kgや200kg超の体重は珍しくありません。
従って、インスリン分泌能力はまだ残っているけれど、
巨大肥満によるインスリン抵抗性増強によって糖尿病を発症します。

日本人の場合は、インスリン頻回過剰分泌が10年、20年レベル続くと、
膵臓のβ細胞が疲弊して、分泌能力が低下して、糖尿病を発症します。
従って肥満していない糖尿病が普通なのです。

このように、同じ2型糖尿病でも、欧米人とアジア人は発症要因が基本的に異なっていて、
ほとんど別の病気といってもいいくらいです。
極端に言えば、欧米には肥満していない2型糖尿病は、ほぼ存在しないということです。
例えば、私は身長167cm、体重56kg、BMI:20.0で、正常痩せ型の2型糖尿病です。
しかし、私の体型で糖尿病であると言えば、欧米の医師は血液検査もせずに、
1型糖尿病と断定
するでしょう。

このことは、ロサンゼルス、パリ、ジュネーブの正常体型の2型女性糖尿人
お三方から、『検査もせずに、1型糖尿病と断定された』とブログにコメントいただいて確認しています。

ブログ読者の皆さんのご参考まで。。。


江部康二
「人類の将来の食糧危機を解決するのは昆虫食だ」国連食糧農業機関(FAO)
【23/03/04 中嶋一雄
コオロギ食の話題で炎上
最近、SNSでコオロギを食べることが話題になっています。
Twitterでは「漢方でも“妊婦は禁忌”とされ、
先人も食べなかった」と言われています
江部先生のご意見はいかがでしょうか

https://twitter.com/KadotaRyusho/status/1630578420357931009?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1630578420357931009%7Ctwgr%5Ea30b9f5c50f62af585651d102b9f6612359a5ebe%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fagora-web.jp%2Farchives%2F230302015007.html


こんにちは。
中嶋一雄先生からコオロギ食について、コメント・質問を頂きました。


【グリラスが国内で初めて、学校給食へ食用コオロギパウダーを供給!
徳島県立小松島西高等学校にコオロギを使った給食が登場
コオロギを使ったメニューは選択性で生徒へ提供
株式会社グリラス
2022年11月30日 13時00分
 徳島大学発のベンチャー企業として、食用コオロギに関連する品種改良・生産・原料加工・商品開発・販売を一貫して国内で行う株式会社グリラス(本社:徳島県鳴門市、代表取締役:渡邉 崇人、以下「グリラス」)は、2022年11月28日(月)に徳島県立小松島西高等学校(以下、「小松島西高校」で提供された学校給食へ、自社で生産した国産食用フタホシコオロギの粉末「グリラスパウダー」※1の供給を行いました。】



2022年11月28日、徳島県立「小松島西高校」の給食で、フタホシコオロギの粉末「グリラスパウダー」が
使用されました。

私自身はコオロギを食べたことがあります。
食用コオロギを海外のメーカーが送ってくれたもの(加工していなくて、形態はコオロギのまま)をそのまま食べましたが、
美味しくはなかったです。


2013年5月、「人類の将来の食糧危機を解決するのは昆虫食だ」
と国連食糧農業機関(FAO)が報告書を提出しています。

2022年11月15日で、地球人口は、80億人です。
まだまだ人口は増加していくので、
どこかの時点で「食料危機」が訪れる可能性が高いのです。
とくに、動物性たんぱく質の確保が重要であり、
私達糖質セイゲニストにおいても、動物性たんぱく質確保は
最優先課題と言えます。

魚介類や肉類はおおいに食べたいのですが、生産効率に問題があります。
FAOによれば、
『牛は体重1キロ増やすのに飼料8キロが必要で、昆虫は2キロ。
温室効果ガスの排出も昆虫なら、家畜よりはるかに少なく、
豚の10分の1から100分の1。』

です。

食料確保かつエコロジーの観点からも
昆虫食は優れものと言えます。


以下の青字部分は、少し古い記事ですが、糖質セイゲニスト的には、
昆虫食はかなり興味深い分野ですので改めて一部要約してご紹介します。

2013年に毎日新聞に掲載されたものです。

・・・・・引用ここから・・・・
人類救うか、昆虫食  栄養・エコ、いいことずくめ
/大阪 毎日新聞


今年5月、国連食糧農業機関(FAO)が
「人類の将来の食糧危機を解決するのは昆虫食だ」という報告書を出し、
昆虫が大いに注目されはじめました。
調べると世界では、虫は結構普通に食べられています。

◇実は、自然と口に
「食べられている」というのは「知らないうちに食べている」ということも含みます。
米食品医薬品局は食品への昆虫混入の最大許容レベルを決めているのです。
「ピーナツバター100グラム当たり昆虫断片50個」
「缶詰トマト500グラム中に果実バエ卵10個」など。
裏を返せば加工食品には結構混入してしまうということです。
これとは別にアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの熱帯地方を中心に
世界で20億人の人びとが昆虫を常食しています。

◇食糧危機そこまで
FAOによれば、人口増加、都市化、中流層の拡大によって世界的に食料需要が増加。
2030年までに90億人超の人類を養うためにさらなる食料、
特にたんぱく源が必要ですが、
現在の家畜増産を続けると土地や水源の汚染、過剰放牧による森林劣化、
それによる気候変動や環境破壊が懸念されています。
その解決策の一つとして昆虫食が浮上しています。
別項に挙げるように、環境、健康、暮らし、
のいずれの面でもいいことだらけのようですが、課題もあります。

◇どう養殖するか
第一に量の問題。森林など自然界から採取するだけでは限界があります。
FAOは昆虫の養殖の拡大が必要と指摘しています。
機械化が昆虫産業の育成のカギです。
また食料、飼料としての昆虫の生産や取引を管理、規制する枠組みも未整備です。
衛生的な生産・加工および食品調理が必要ですが、食品安全基準も必要でしょう。
家畜より安全と言われる昆虫ですが、
殺虫剤の使用規制や人間に媒介する病気がないかのさらなる研究も求められています。

◇抵抗感、やっぱり
しかし、昆虫食推進の最大の壁は「見た目」かもしれません。
虫を食べる文化のないところではどうしても「虫」というだけで敬遠されがちです。
ただエビやカニだって味を知らなければ敬遠されそうな外見です。
FAO林業局エバ・ミューラー林業経済政策・林産品部長も
「20年前にはヨーロッパの人間は誰も生の魚を食べることなど考えもしなかったのに、今ではみんなが寿司(すし)を愛しているでしょ。何事も変わりうるのです」
と話しています。

*衛生やアレルギーの点から、昆虫を調理したり食べたりする時は、
必ず専門家の指導に従ってください。

==============

<FAO2013年報告書のポイント>
「なぜ昆虫食なのか」について報告書は三つの視点から理由を挙げています。
1=自然環境に優しい
・飼料転換効率の良さ。
 飼料転換効率とは「体重1キロ増やすのに 飼料(えさ)がどれだけ必要か」を表す。
 牛は体重1キロ増やすのに飼料8キロが必要なのに昆虫は2キロだ。
・温室効果ガスの排出が家畜よりはるかに少ない。
 豚の10分の1から100分の1。
・生ゴミや人糞(じんぷん)をえさにでき、しかもそれらを高質なたんぱくに変える。
・家畜に比べて必要とする水がかなり少ない。
・昆虫は家畜に比べ育てる土地の制約が少ない。

2=健康に優しい
・家畜の肉や魚に比べて高たんぱくで栄養価も高い。
 特に栄養不良の子どもへの食品補助としては重要。
 食物繊維や鉄分、銅、リンなどの微量栄養素も豊富。
・鳥インフルやBSEのような人畜共通感染症の危険が少ない。

3=人の暮らしに優しい
・昆虫は採集が簡単で、設備投資や飼育コストも安い。
・女性や土地をもたない社会の最貧層の人たちでも採集でき、
 食生活を改善し街頭で販売することで現金収入をもたらす。
・昆虫は食品や飼料への加工が比較的に容易。
 まるまる食べられるものもある。ペーストや粉状にもできる。

・・・・・引用ここまで・・・・・



いかがでしょうか?
私は好き嫌い、ほとんどなくて何でも食べるので問題ないですが・・・

◇実は、自然と口に

「ピーナツバター100グラム当たり昆虫断片50個」
「缶詰トマト500グラム中に果実バエ卵10個」
を許容している・・・。
これは、衝撃のデータです。
ということは日本人を含めて世界中のほとんどの人が、
日常的に昆虫や蝿の卵を食べていたということですね。ヾ(゜▽゜)

◇食糧危機そこまで
特に糖質セイゲニストが世に溢れてきたら、
FAOの予想以上に動物性タンパク質が不足する可能性があります。
我々糖質セイゲニストは、必然的に昆虫食を検討せざるをえない流れとなるでしょう。

◇どう養殖するか
安全性は勿論大切ですが、効率よく養殖できる昆虫を探すことが肝要です。
我が朋友夏井睦先生は、「理論的にはウジ虫がいいかも」と述べておられました。
確かに、とても育てやすいし、清潔な環境を保ちやすいし、
安いし、栄養豊富だし、美味だし・・・
・・・有力候補の一つであることは間違いないですね。(ノ´▽`)ノ

◇抵抗感、やっぱり

心理的な壁を乗り越えるのは容易ではないので、
まずは虫の種類をラテン語の学名とかで正々堂々?と表示して、
市販のハンバーグに何気なく混ぜるとかいう戦略もありかなと
密かに企んでいる私です。
あるいは、「原材料にマゴット(Maggots)を含む」などの表現なら美味しそうですね。
Maggotsは、壊死組織を除去するのにも医療的に使用されている有用なものです。
「マゴット セラピー」として知られています。

<FAO2013報告書のポイント>
「なぜ昆虫食なのか」

1=自然環境に優しい
2=健康に優しい
3=人の暮らしに優しい

FAO、素晴らしいです。天晴れです。

全世界の糖質セイゲニストの皆さん、
人類の未来のため、食糧危機回避のため昆虫食に注目ですね。

なお、東京では、すでに日常的に昆虫食を提供するレストランが複数あるそうで、
夏井睦先生は、時々食べに行かれているようですよ。


江部康二