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糖尿病薬と低血糖。
こんにちは。

「重症低血糖で搬送、年2万件…薬の誤使用原因か。」
(日本糖尿病学会の推計)


という記事が、
2017年08月15日 (火) 読売新聞に掲載されました。、

薬の誤使用が原因かとされていますが、
糖質を普通に摂取してSU剤やインスリン注射で、
食後高血糖をコントロールすること自体が、現実には極めて困難です。

少しでも薬の量が多ければ低血糖を生じ、
不足すれば食後高血糖を生じます。
血糖値を直接上昇させるのは糖質だけですから、
<摂取する糖質量とSU剤やインスリンの量>
がぴったりマッチすれば、理論的には血糖コントロール可能です。

それが、カーボカウントという方法ですが、結構難しいですし、
日本では、このカーボカウントでさえも一般的ではありません。
従って薬の誤使用だけではなく、医師の指導通りに内服したり
注射していても、低血糖は充分起こりえると思います。

まれではありますが、糖尿病の方が運転する自動車が暴走して
歩行者を巻き込む事故が起きています。
運転者が糖尿病薬を服用しており、
薬の効きすぎによる低血糖が疑われるケースもあるようです。

実際、高血糖より低血糖のほうが、急性では危険です。
また、低血糖発作を起こすほど総死亡率も上がりますので、
長期的にもできるだけ低血糖を起こさないことは重要です。

高血糖は、動脈硬化・がん・糖尿病合併症などのリスクとなりますが、
基本的に、期間をかけてのことで慢性病としての問題です。
一方、低血糖は急性で、一気に意識不明とか、
脳卒中や心筋梗塞の引き金となることもあります。
低血糖発作では、意識がもうろうとなり、
車を止めようとする余裕は全くなくなると思われます。

低血糖発作のほとんどは、インスリン注射をしているか、SU剤内服の場合です。
時に速効型インスリン分泌促進剤でも低血糖を生じます。
内服薬でもインスリン注射でも、薬の量が多いほど、低血糖になりやすいのです。
ですから、糖質を普通に食べて、その分大量のインスリンを打ってというパターンは、
「糖質量とインスリン量」のマッチングがよほど良くない限り、
低血糖と高血糖の乱高下を生じやすいのです。
まして、カーボカウントもせずに、
カロリー計算を主にインスリンの単位を決めているのは、
「目をつぶって車の運転をする」くらい危険なことなのです。

それなのに、まことに残念ながら、多くの病院、糖尿病専門医が
「カロリー計算だけでインスリン単位を決定するという暴挙」
を患者さんに指導しているのが日本の現状なのです。
日本の医師や栄養士は、相変わらず「カロリー制限高糖質食」
唯一無二の「糖尿病食」として、推奨しています。

欧米では、少なくともインスリン注射をしている糖尿人においては、
カーボカウントが普通です。
これは、
「血糖値を直接上げるのは糖質だけで、蛋白質・脂質は直接上げない」

という知識が、医者にも患者にも共有されているから、欧米では当たり前のことなのです。

インスリン注射をしている糖尿人の皆さん、
カロリー計算でインスリンの量を決めるのは、全く無意味ですので、
せめて欧米並みにカーボカウントをしましょう。
これにより、低血糖はかなり防げると思います。

勿論、スーパー糖質制限食導入により、
最低限のインスリン量に減量することがベストなのはいうまでもありませんね。
高雄病院においては、
SU剤はスーパー糖質制限食導入により、ほぼ全例で中止できています。

食直前のインスリンの単位は、糖質摂取時に比べて、1/3以下になります。
単純にインスリン注射の単位が少ないほど、低血糖も起こしにくいのです。
糖質制限食なら、
インスリン注射やSU剤など低血糖を起こす薬物の使用量が激減するので、
低血糖予防になります。

なお、注射薬として、GLP1受容体作動薬(トルリシティ、ビクトーザなど)、
内服薬として、SGLT2阻害薬、メトホルミン、DPP-4阻害剤、αGI剤、ピオグリタゾンは、
作用機序から考えると、基本的に低血糖は生じません。

しかし、これらの薬も、SU剤やグリニド系剤、インスリンと併用すれば、低血糖はありえます。

江部康二
2020年4月5日(日)医療従事者対象糖質制限食セミナーin東京のご案内
こんばんは。

2019年、東京にて開催し、
ご好評いただいた医療従事者対象糖質制限食セミナーを
2020年4月5日(日)、東京にて開催致します。

日本糖質制限医療推進協会主催 
医療従事者対象糖質制限食セミナー
(東京)


第1部
「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」
講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長


高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。

第2部 
「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」

糖尿病治療に関して、最新糖質制限食理論と共にエビデンスのお話を説明します。
高雄病院の糖尿病患者さんの症例も発表します。

今回は、週1回のGLP1アナログ製剤で、持続型インスリン20単位が減量・離脱できた症例などの発表です。
2019年に得られた最新の糖質制限食情報もお話しします。講義・質疑を含めて100分間の予定です。

第3部
発表と討議

今回も、医師と管理栄養士、5名の方に発表いただき、参加者の皆さんと一緒にしっかりディスカッションします。

なおご参加頂いた皆さんには、第2部講演スライドのPDF資料をダウンロードしていただけます。

東京、関東、東北などの医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。

江部康二

以下事務局からのお知らせです。

***********

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。


2020年4月5日(日)、東京にて医療従事者の方を対象に糖質制限食セミナーを開催いたします。

第1部は高雄病院の橋本眞由美
管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。

第2部は理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や臨床例について解説いたします。

第3部は発表・討議で、医師と管理栄養士、5名の方々に発表いただき、
ディスカッションを行います。

弊会の医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より毎年開催しております。

昨春のセミナーでは、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を新たに設けました。
参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になった等ご好評いただき、今年のセミナーでも継続する運びとなり、2/9(日)の大阪、4/5(日)の東京、いずれのセミナーも、各地よりバラエティに富んだテーマにて発表エントリーいただいております。

医療従事者の皆様、奮ってご参加いただけますと幸いです。

*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////

(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー(東京)」

■日時:2020年4月5日(日)12:30~17:00頃 ※開場・受付は12:10~

■会場: WATERRAS COMMON 3F「ワテラスコモンホール」

〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地
http://www.waterrascommon.com/access.html

■内容:

◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」

講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~

講師: 江部康二 医師 
  (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:15頃~

・『糖質制限による糖尿病治療の導入法(外来で糖質制限による糖尿病治療の実際)』

 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)

・『コメ消費大国カンボジアにおける糖質制限指導の苦労』
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長

・『外来での2型糖尿病に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について』

 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長

・『糖質制限+たんぱく強化食による産後うつの栄養学的管理』
 林 美穂 管理栄養士 / 宗田マタニティクリニック(千葉)

・『耐糖能低下を合併する消化器癌患者に対する術前術後糖質制限輸液の経験』
 村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科

*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。

■対象:

医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)


■受講費:

・医師・歯科医師の方: 賛助会員 7,200円 / 一般(会員以外) 9,000円

・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 5,200円 / 一般(会員以外) 6,500円

*参加頂いた皆様には、第1部・第2部の映写資料データ(PDF)を後日ダウンロードしていただけます。


■お支払い方法:
クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:

事務局へメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。

★賛助会員入会をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
 「通信」欄に以下をご記入下さい。
 ① 「4/5東京セミナー、参加希望」 とご記入下さい。
 ② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
 http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med

■その他:

・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは4月3日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
「医療従事者対象糖質制限食セミナー in 大阪」のご報告。

こんばんは。

2020年2月9日(日)
日本糖質制限医療推進協会主催 
医療従事者対象糖質制限食セミナー in 大阪

を、
開催致しました。
約50名の参加者で、活発な議論が交わされ、
とても有意義なセミナーとなりました。
医師17名をはじめ、歯科医師、管理栄養士、看護師、薬剤師、整体師、針灸師などの
医療従事者の方々に、ご参加頂きました。



第1部
高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、
高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話ししました。

第2部
江部康二による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や最新の知識、
高雄病院での臨床例について解説しました。
<GLP-1受容体作動薬(1/週、皮下注)+糖質制限食>
にて持効型インスリン20単位を中止できた症例も発表しました。
また、SGLT2阻害薬内服による著効例も報告しました。


2018年の米国糖尿病学会(ADA)/欧州糖尿病学会(EASD)の合同レポートにおいて、
第一選択薬のメトホルミンに次いで使用されるべき薬剤は、
ほぼSGLT2阻害薬かGLP-1受容体作動薬かの二択とされました。
この2種類の薬剤の位置づけがとても重要となってきたわけです。

第3部
発表・討議で、4名の医師と2名の管理栄養士の方にご発表いただき、
ディスカッションを行いました。
糖質制限な多彩な症例に基づき、活発な議論が行われました。

以下は、第3部の抄録です。


『職場での「食後血糖測定」「糖質制限ランチ会」』
トータルヘルス株式会社(福岡) 代表取締役 林田耕治 医師(産業医)


弊社は14社と嘱託産業医契約があり、産業医2人保健師3人のスタッフで約3,500人の労働者の健康管理を行っています。健康診断後の保健指導が主たる業務ですが、肥満・高血糖・高血圧・肝障害・高中性脂肪血症といった所見のある方々に「糖質制限」を指導しています。
糖尿病対策を進めるために始めたのが①食後血糖測定と②糖質制限ランチ会です。
①食後血糖測定は、空腹時血糖100以上またはHbA1c6.0以上の人を対象にして、会社で「いつも食べているお昼ごはん」を食べた後に、食後の血糖値を測定して、食後高血糖が発生していないかどうかをみて、糖質制限指導に繋げています。
②糖質制限ランチ会は、食後血糖の高かった人を対象にして、会社で「糖質の少ない食事」を実際に食べてもらい、食後血糖を測定して、糖質をとらなければ血糖値が上がらないことを体験してもらいます。
食後血糖測定と糖質制限ランチ会の実際についてご紹介いたします。


林田先生、段階を踏んで、糖質制限食のスムースな導入を可能にしておられ、
とてもリーズナブルと思いました。
これなら、職場に徐々に糖質制限食が浸透していき、
糖尿病やメタボがメキメキと改善していくことでしょう。


『糖質制限と薬理学的糖質制限により治療中の18例についての検討』
うずまさ診療所、クリニックこまつ、萱島生野病院(京都、大阪) 内科 影山広行 医師


 私自身のアンチエイジングにはスーパー糖質制限を取り入れていますが、諸般の事情から糖尿病患者の治療には緩やかな糖質制限と筋力強化を指導しつつ、必要に応じて、SGLT2阻害剤、α-GI、メトホルミンを中心とする薬物治療を加えて治療しています。私の造語の薬理学的糖質制限とは前述の糖尿病治療薬を中心とする薬物治療を意味しており、体内環境はさらに高度な糖質制限に近づくと推察され、薬物治療が必要な糖尿病患者はほとんどこの方法で治療しています。今回は、糖質制限指導のみ、薬理学的糖質制限を加えたものは以前のSU剤の使用の有無で治療効果を検討しました。ドロップアウトはおらず、全例で治療効果は良好ですが、SU剤が使用されていた群では体重減少は著明ながら、HbA1cの降下はやや不十分でした。薬理学的糖質制限が加わることで、糖質制限に体を慣らすアシスト作用があるという印象をもっています。最後に、糖質制限と相性のよい糖尿病治療薬や糖質制限の好適応について考察しつつ、糖質制限食を修正し、さらなる最適化の可能性についても提案させていただきます。


影山先生は、なかなか『スーパー糖質制限食』を実践するのが困難な患者さんに
対して、薬物療法を導入しての「アシスト糖質制限食」を指導されています。
現実に、このタイプの患者さんが結構おられるので、
とても実践的なアプローチであり、18例中、脱落者はなしとのことでした。

『糖尿病患者よ、糖尿病専門医より逃げよ(そのインスリン、本当に必要ですか?)』
たかはし整形外科医院(香川) 髙橋裕彦 医師


2017年より、インスリン治療をやめて、糖質制限を指導し、コントロールできた症例が30例になりました。そのほとんどの例が糖尿病専門医のもとでコントロールされている症例であり、漫然とインスリン治療を行なっている患者がほとんどである。インスリン治療では食後高血糖が予防できないことをCGM(フリースタイルリブレプロ)で示し、患者に提示し、糖質制限との差を実感してもらい、治療を開始した。
ほとんどの患者で糖質制限当日より、血糖値のフラット化がみられ、良好なコントロールを示した。ただし、CGMも約300例経験し、トラブルの原因もはっきりしてきたので、それも含めて報告する。2型糖尿病でインスリン治療を行なっている患者の9割は中止できると思われるので、合併症が出現する前に1日も早く糖尿病専門医のもとから逃げることが賢明と思われた。


高橋先生は、おそらく香川県で一番多く、CGM(フリースタイルリブレプロ)を使用されている医師です。<GLP-1受容体作動薬(1/週、皮下注)+糖質制限食>で、3年間で30人の糖尿病患者さんのインスリンゼロを達成しておられます。素晴らしい成果であり、
相変わらず『従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)』を唯一の食事療法として指導している多くの糖尿病専門医には、到底不可能な実績と言えます。



『整形外科的疾患及び内科的疾患に対する、3165例の肥満外来の実践(糖質割合33%)』
発表者 医)中村整形外科リハビリクリニック(兵庫)
管理栄養士  河嶋智子、土橋美香、成田温子
理学療法士  増田兼也(他3名)
整形外科医師 中村巧


【背景】 第一次健康日本21(2001~12)で日本内科学会のメタボリックシンドローム(代謝症候群)、2007年から日本整形外科学会のロコモティブシンドローム(運動器症候群)、2014年から日本老年医学会からフレイルが追加され、2020年から全国規模でフレイル健診が始まる。メタボ・ロコモ・フレイルは、寿命の延伸、高齢者のQOLの維持増進、医療費の低減を図る、高齢化社会日本で最も重要な三大症候群といえる。メタボ・ロコモ・フレイルに健康的な減量が必要である。ロコモの主な原因である変形性脊椎症・腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニア、変形性膝・股関節症患者に多い量的肥満に関しては、減量は重要視されているが整形外科の臨床現場では全くアプローチされていない。

【目的】当院では糖質制限食(糖質33%)による栄養指導、油圧式マシーンによる筋トレや有酸素運動による運動療法や理学療法により徹底した減量を実行しており、ロコモが改善される場合が多い。これらの症例を提示し、整形外科領域におけるロコモ患者に対する糖質制限食と運動療法による減量治療の有効性を報告する。

【方法】 当院では約20年間に3165例の肥満外来を行った。発症時の体重・BMI(平均値)、評価表(日本整形外科学会腰痛治療成績判定基準・股関節治療成績機能判定基準・変形性膝関節症治療成績判定基準、以下は判定基準)による点数(平均値)を治療前後でそれぞれ比較した。①脊椎疾患59例、②変形性膝関節症97例、③変形性股関節29例の計185例である。1)体重・体組成の計測、エコー検査で皮下脂肪厚や内臓脂肪厚、脂肪肝の程度を測定。2)1日2回測定し、グラフ化体重日記を習慣にする。3)毎月1回個別で管理栄養士と医師の両者がアドバイスを行う。また、マズローの五段階欲求により明確な短期・中期・長期目標を初期に行う。

【結果】 減量により判定基準による点数(減量前→減量後)は、脊椎疾患59例は18.8/29点→25.9/29点と約70%、変形性股関節29例は63.9/100点→82.7/100点と約52%、変形性膝関節症97例は78.3/100点→94/100点と約72%良好に改善した。現在通院している患者の内、疾病別服薬の減薬および中止した患者は、高血圧症患者219人中18人、脂質異常症患者138人中27人、糖尿病患者71人中12人であった。

【結論】 整形外科領域ではロコモティブシンドロームの認知度の向上とともに、より積極的に運動指導がされる傾向にある。しかし、「減量」に関して、整形外科的には重要視はされているものの、臨床現場では全くアプローチされていないのが現状である。整形外科領域でも減量指導を戦略的に取り入れることが肝要である。高齢者の多剤併用が大きな問題となりつつある(polypharmacy)。整形外科的疾患患者に対する糖質制限食と運動による戦略的な減量を広めていきたい。

20年間で3165例の肥満患者を診察し治療した、極めて貴重な臨床報告です。
河嶋管理栄養士、成田管理栄養士にご報告頂きました。
①脊椎疾患59例、②変形性膝関節症97例、③変形性股関節に対して、
医師と管理栄養士のアドバイス、マズローの五段階欲求による目標設定を通じて
『糖質制限食』と『運動療法』の実践で大きな成果を達成されています。
高血圧患者、脂質異常症患者、糖尿病患者にも成果をあげておられます。



『劇症型潰瘍性大腸炎に対する補助療法としての糖質制限輸液、食による寛解導入、維持の経験』
西部総合病院(埼玉) 外科 村上博史 医師


【諸言】
劇症型潰瘍性大腸炎に対し、標準治療に加え糖質制限輸液、食事により寛解導入、維持、ステロイド離脱を達成した2例を経験した。

【症例】
症例1:男性。血性下痢、腹痛にて12月24日入院。
血圧103/77mmHg、脈拍101/min。排便18回。体温38.6度。
CF像等より劇症型潰瘍性大腸炎と診断。
プレドニゾロン(以下Prd)80mg静注開始。症状改善に合わせ漸減、1月12日Prd 30mgで食事開始。1月27日経口Prd 20mgで退院。3月29日Prd離脱。
輸液、摂食の糖質カロリー比(以下CTR)は、内視鏡診断後0輸液。点滴、経口併用時30、経口単独時は43から18に減量。
退院後の食事写真から栄養士が推測した1日の平均総カロリー量(TC)は1472kcal、CTR15.9。

症例2:女性。2月14日血性下痢、腹痛にて入院。
血圧81/60mmHg、脈拍182/min、排便17回。体温38.1度。
CF像等より劇症型と診断。
Prd60mgの静注を開始。症状改善に合わせ漸減、3月9日Prd20mg、排便1回にて食事開始。3月16日大量下血。Prd依存性と診断。Prd30mgに増量。3月20日抗TNF-α剤(以下Ifx)250mg導入。下血消失し経口Prd15mgで3月28日退院。8月28日Prd離脱。
輸液、摂食のCTRは3月1日より輸液単独時7.1。経口点滴併用時30.3。点滴終了後は48.8。
退院後の1日の平均TCは1441kcal、CTRは12.1。

【考察】
体内で余剰となった炭水化物がタンパク質と結合し糖化され、終末糖化物質になると活性酸素が生成され炎症性サイトカインを発現させる。重症例に対するIfxは炎症性サイトカインTNF-αに対する分子標的薬であり、通常の糖中心の輸液は理に合わない。
倫理上、どの程度の輸液CTRを落としどころにするかの検討が必要。糖質制限食は管理部門も含めた協力が必要で、慎重な対応を要する。

【結語】
潰瘍性大腸炎に対する治療法は選択肢が増えたが、いずれもが免疫抑制系治療であり、免疫抑制を伴わない糖質制限治療の症例の蓄積、評価が期待される。


村上先生には、潰瘍性大腸炎という難病の中で劇症型という最重症タイプの治療報告をして頂きました。
極めて貴重な臨床価値の高い発表と言えます。終末糖化産物(AGEs)により、
活性酸素が生成されて、炎症性サイトカイン(TNF-α)を発現させるということで、
現状医療のブドウ糖中心の点滴に対して問題提起しておられます。入院治療で症状改善したあとは、
2例とも、退院して糖質制限食実践で、プレドニンの減量・離脱に成功しておられます。
糖質制限食が潰瘍性大腸炎に有効であることは私も経験しています。
今後は、糖質制限な点滴(脂肪製剤やアミノ酸製剤)も含めて
潰瘍性大腸炎と糖質制限食の評価・検討例が蓄積していけばと思います。



江部康二
糖尿病は治る?治らない?  
こんばんは。
本日は、(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー(大阪)」が、
大阪大学中之島センターで、開催されました。
今、懇親会を終えて、帰京・帰宅したところです。
セミナーの詳細は、明日(2020/2/10)、ご報告いたします。

さて、よくある質問の一つに
「糖尿病は治るのでしょうか?治らないのでしょうか?」というのがあります。
一般には、「一旦糖尿病になったら決して治らない。」というのが定説ですが、
本当のところはどうなのでしょう。
それではまず、どのようにして糖尿病が発症するのかを考えてみます。

日本人の糖尿病発症は、食後高血糖が数年間続いているのを見逃しているうちに、
遂に空腹時血糖値が上昇してきて、健康診断で発見されたというパターンが多いです。
即ち、当初は食後高血糖にならないように、
膵臓のβ細胞がインスリン追加分泌を頑張って沢山出し続けていくのですが、
ある日とうとう疲弊して追いつかなくなってきて、食後高血糖の段階に至ります。

この段階では、インスリン追加分泌の軽度の不足があり、
食後2時間値が140~199mgの境界型レベルになりますが、
まだ基礎分泌は保たれていて早朝空腹時血糖値は、
110mg/dl未満で正常範囲を保つことがほとんどです。
食後高血糖の段階になると、高血糖そのものが膵臓のβ細胞を障害します。
食後高血糖が180mgを超えてくると、
β細胞への直接のダメージでインスリン分泌不足を悪化させ、
また筋肉細胞のインスリン抵抗性も増してきて、糖毒と呼ばれる悪循環を生じます。

食後高血糖が数年間続くと、膵臓はさらに疲弊していき、
インスリン追加分泌の不足に加えて、インスリン基礎分泌不足となり、
とうとう早朝空腹時血糖値が高値となるのです。
空腹時血糖値が126mg/dl以上、
随時血糖値が200mg/dl以上で糖尿病型と診断されます。
糖毒状態が1日の中でも長時間続くようになれば、
急速に糖尿病が悪化していきます。

糖尿病は、インスリン分泌不足とインスリン抵抗性が合わさって発症しますが、
日本人は、インスリン分泌不足が主で、欧米人は、インスリン抵抗性が主とされています。
インスリン分泌不足とインスリン抵抗性を合わせて、インスリン作用不足と言います。

インスリン分泌不足が主の場合、糖尿病と診断された時点で
インスリンを作っている膵臓のランゲルハンス島のβ細胞の1~2割が壊れていて、
3~4割が疲弊していて、健常なのは、残りの半分くらいと考えられます。
一般に、糖尿病が治らないと言われるのは、
「インスリン分泌不足が主の糖尿病」であり、
既に壊れてしまったβ細胞は、元に戻らないと言う意味です。

しかし、糖質制限食を実践して、膵臓が充分休養できれば、
疲弊していたβ細胞が、正常に回復することが期待できます。
実際、入院時の空腹時血糖値が200mg/dl近かった方が、
糖質制限食実践数日で、110mgを切ってくることもあります。
この場合、β細胞数の一定の不足はあるけれども、
<残っているβ細胞の作用 + スーパー糖質制限食実践>により
血糖コントロールが正常レベルを保てているということになります。
例えば、糖尿人・江部康二がそのパターンです。

食後高血糖の期間・年数が長いほど、
β細胞がダメージを受けている割合が徐々に増えていき、
ダメージが大きい細胞は、回復しにくくなっていくということになります。


次に「インスリン抵抗性が主の糖尿病」を考えてみます。
この場合、インスリン分泌能力は、まだ比較的保たれていることが多いのです。
日本人でもこのタイプが少し増えてきています。
例えば、肥満や脂肪肝がありインスリン抵抗性が高まれば、
インスリンは分泌されていても、糖尿病を発症することがあります。
このとき何らかの方法で肥満や脂肪肝が改善すればインスリン抵抗性も減少します。
そうすると、適量のインスリンで、
筋肉細胞や脂肪細胞内にブドウ糖を取り込むことが可能となり、
インスリン分泌不足はないので血糖値は正常化し、
糖尿病が治ったような状態になります。
治るという言い方に語弊があるなら、
インスリン作用不足が改善し健常のパターンに戻るということです。

実際、そういう患者さんを数名経験しました。
例えば、初診時、
空腹時血糖値218mg/dl、HbA1c11.7%、163cm、72kgだった人が、
内服薬なしでスーパー糖質制限食を1年間続けて、60kgと肥満が解消し、
HbA1cは5%前後で維持できていました。
そうすると、糖質を普通に摂取しても、
食後2時間血糖値は140mg/dl未満となりました。
勿論空腹時血糖値も正常範囲内です。
血液検査のデータでは、診断基準上は正常人としかいいようがありませんので、
糖尿病のレッテルも消えました。ヾ(゜▽゜)
この患者さんが糖尿病専門医を受診して、いろいろ血液検査をされたとしても
「糖尿病ではありません。診断基準からみて正常です。」
という診断となるでしょう。

一方、江部康二の場合は、身長167cm、体重57kgを18年間維持していますが、
「インスリン分泌不足が主でインスリン抵抗性が従の糖尿病」です。
スーパー 糖質制限食を続けているかぎりは正常人ですが、
糖質を一人前摂取すれば残念ながら食後時間血糖値は軽く200mg/dlを超えて、
立派な糖尿人です。
β細胞が既に1~2割壊れていて、決して治らないパターンです。(×_×)


結論です。
「インスリン分泌不足が主の糖尿病は、決して治らない。」
「インスリン抵抗性が主の糖尿病なら、抵抗性が改善すれば、
糖代謝が正常人のパターンに戻る人も時にいる。」
ということですね。


江部康二
電子書籍『糖質量&炭水化物量ポケットガイド』好評発売中。 
こんにちは。 
私は、1950年(昭和25年)1月8日生まれで、70歳になりました。
五黄の寅です。
五黄の寅は36年に一度巡ってきます。

エルビス・プレスリー  
小泉純一郎   
金正恩(キム・ジョンウン)第1書記 


この御三方が、いずれも1月8日が誕生日です。
なかなか、濃いメンバーですね。
さて、閑話休題、電子書籍のご案内です。


電子書籍『糖質量&炭水化物量ポケットガイド』
 SBクリエイティブ (2019/8/30)


好評発売中です。

紙媒体はなしで、電子書籍のみです。
その分、お安くなっていて、
Amazon Kindle http://ul.sbcr.jp/Dh6Y5 で¥864-です。
幸い、キンドルのレビューも「便利で使いやすい」と好評です。

コンビニエンスストアやドラッグストア、スーパー、ファストフードなどで買える、
ランチにおすすめの商品やメニューを「実名」で多数掲載してあります。
野菜や肉類などの基本的な食材についても掲載しています。

おかげさまで、各電子書籍サイトのレビューでも、
具体的でわかりやすくて実用的など、高評価を頂いています。


スマートフォンで使いやすいよう、レイアウトを設計してあるので、
ぜひ、買い物や外食時に役立てて頂けば幸いです。

Amazon Kindle
http://ul.sbcr.jp/Dh6Y5

楽天kobo
http://ul.sbcr.jp/dj0by

Google Play
http://ul.sbcr.jp/Cu5R7

BOOK☆WALKER(予約中)
http://ul.sbcr.jp/o1gDb

糖質量&炭水化物量ポケットガイド(立ち読み版)
http://ul.sbcr.jp/BD-toushitsu


江部康二


☆☆☆
以下は、電子書籍『糖質量&炭水化物量ポケットガイド』のはじめにです。

はじめに
近年、糖質制限食に賛成する医療機関は順調に増えています。
2013年10月に「米国糖尿病学会」が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」の中で、
糖質制限食を正式に容認したことが、大きなプラスとなったと
考えられます。2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」という結論の論文が、
『ランセット』という信頼度の高い英国の医学雑誌に発表され、
これも大きな追い風となりました。
そして2019年4月、米国糖尿病学会は「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」ガイドラインを発表しました。
その中で『糖質制限食』のエビデンスがもっとも豊富であるとして
積極的に推奨されています。
ここ数年で、糖質制限食Jは着実に普及しつつあるのです。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限食市場は3184億円とのことですが、
昨今では各食品メーカーはもちろん、
コンビニエンスストアやファストフードでも、
糖質を抑えた商品やメニューを次々と投入しています。
低糖質商品のコーナーを設けるドラッグストアや
スーパーも見かけるようになりました。
糖質制限食は新たなビジネスチャンスにもなっているのです。



内容紹介
もう毎日のランチ選びで困らない!
コンビニやスーパーで選ぶべき市販食品、外食を実名で紹介!

生活習慣が原因の2型糖尿病の治療はもちろん、ダイエットや美容にも有効な糖質制限。
最近では、内臓脂肪を落とすのにも効果的と注目されています。

糖質制限を始めたときに最初に困るのが、毎日のランチです。
自宅でお昼を食べる人や弁当を作っている人は、糖質の低い食材で手作りできますが、
コンビニエンスストアやファストフードなどでランチを買う人は、糖質の低い商品を探すのはなかなか大変です。

そこで本書では、コンビニエンスストアやドラッグストア、スーパー、ファストフードなどで買える、
ランチにおすすめの商品を「実名」で多数掲載しました。

おすすめの組み合わせや、キーワード、写真からなど、
インデックスも工夫してありますので、さまざまな方法で商品を探すことができます。

野菜や肉類などの基本的な食材についても掲載していますので、
外食時にメニューに糖質量が掲載されていないときでも、おおよその糖質量を調べることができます。

本書はスマートフォンで使いやすいよう、レイアウトを設計してあります。
ぜひ、買い物や外食時に役立ててください。

●目次
はじめに
糖質制限Q&A
ランチインデックス
キーワードインデックス
写真インデックス
Part1 市販食品、外食編
Part2 素材、定番料理編
商品、素材目次