「糖質制限」は一過性のブームで終わらない。『江部康二の糖質制限革命』。東洋経済ONLINE。
こんばんは。
東洋経済ONLINEに、私のインタビュー記事が掲載されました。

東洋経済ONLINE
http://toyokeizai.net/articles/-/166832
ここで、写真入りの全部の記事が読めます。

「糖質制限」は一過性のブームで終わらない

すでに社会的な革命を起こしている

以下、
中村 陽子 :東洋経済 記者 によるインタビュー記事の一部抜粋です。
2017年04月16日


コンビニからファミレス、外食チェーンに食品メーカー等々、爆発的な拡大を見せる「糖質制限食」市場。
2005年、日本で初めて糖質制限食を紹介した第一人者、医師・高雄病院理事長の江部康二氏はこのたび、
『江部康二の糖質制限革命』を上梓した。
現時点で確認されている糖質制限食の幅広い効果、誤解や疑問に対する回答をQ&A方式で解説、
今後の展望についてまとめた同書について詳しく聞いた。


糖質制限食はブームではない、真実だから消えない

──長年、カロリー制限だけを頼りにダイエットを志してきた身には、天地が引っくり返りそうです。

ダイエットに関するカロリー制限説はもう古いし、理論的に根本から間違っており破綻してる。だから無意味。基本的に糖質摂取量だけ気にすればいい。糖質制限食の場合、腹いっぱい満足するまで食べても、自然に適切なカロリーになるという明確なエビデンスがある。悪者視されてきたバターや油は善だし、動物性脂肪が危険という常識も完全に覆された。カロリー制限で1日1200キロカロリーとかひもじい思いして、3度の食事で150グラム程度の軽めのご飯食べれば1日3回血糖値がハネ上がる。それを5年10年続けていいことがあるか。絶対にないやろ。カロリー制限食は糖尿病合併症製造食。

──本の題名を見た同僚に、「健康だの医学だの、ブームや学説がコロコロ変わって信用できない」とけげんな顔をされてしまいました。

過去の実績からそれは100%正しいね。紅茶キノコだバナナ健康法だリンゴダイエットだと、全部半年で消えていったでしょ。それがブーム。こないだテレビで管理栄養士の先生が、「糖質制限食ブームは10年も続いて気味が悪い」と言っていた。そこに大いなる真実があってね、つまり糖質制限食はブームじゃない、真実だから消えない、ってこと。

糖質制限食は生理学的事実に基づく、1つのムーブメントやな。だから糖尿病はもちろん、メタボや肥満、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、肝臓がん・大腸がん・乳がんなど生活習慣病型がん、心疾患、肺炎、脳血管疾患、花粉症からアルツハイマー病まで、いろんな病気の予防効果が期待できる。10~20年経たないとエビデンスは得られないけど、理論的には有効であることが極めて明らか。糖尿病治療に関しては、07年まで糖質制限食を全面否定し、カロリー制限食を推奨していた米国糖尿病学会が、13年10月にガイドラインにおいて正式認可したことで、議論に決着がついた。

──糖質制限食の有効性は「誤りだった」と覆ることはもうない?

ないです。米国では十分なエビデンスと論文が蓄積され、学問的に決着がついている。日本糖尿病学会ではまだまだ反対派もいます。だけど学会の理事長自らカロリーの40%程度を糖質にする糖質制限食を実践し、15年4月からは東京大学医学部附属病院でも糖質40%の糖質制限食を供給している。米国は論理的に信頼度が極めて高いとなれば推奨対象をコロッと変える。日本の場合その辺ウエット。カロリー制限食なんてエビデンスはゼロなんだけど、おっちゃんたちのコンセンサスが推奨の根拠になっている。医者はほとんど栄養学を勉強しとらんし、食事療法を丸投げされる栄養士には「脳はブドウ糖しか使えない」などの大間違いをいまだに信じてる人も多い。

人類700万年の先祖が食べていた本来の食生活

──そもそも、糖質制限食とは。

ご飯やパン、麵類などの摂取糖質量を抑え、その分をタンパク質と脂質で補って、必要なカロリーはしっかり確保する。血糖値を直接上げるのは糖質だけ。食後血糖値が上がると血管の内皮を傷つけ動脈硬化、糖尿病の合併症につながっていく。糖質過剰は“肥満ホルモン”インスリンの大量分泌を招いて代謝を乱し、血管をさびやすくする酸化ストレスが増す。食後血糖値上昇がない唯一の食事療法が糖質制限食です。

糖質制限食は人類700万年の先祖が食べていた本来の食生活に戻すということ。狩猟採集生活をしながら消化管、栄養代謝制御のシステムを作りあげたわれわれの体はもともと糖質制限食に適合してる。穀物栽培が始まった1万年前から、カロリーの60%が糖質という食生活へ激変した。この矛盾が現代の生活習慣病の根本原因。だから糖質制限食は基本的にありとあらゆる生活習慣病の予防・治療になるわけ。ちなみに高雄病院のスーパー糖質制限食の給食メニューは、平均して糖質12%、タンパク質32%、脂肪が56%です。

──すでに多数の関連著書を書かれた今、あえて集大成の本を出されたのは?

機が熟したということですな。題名に「革命」とつけたくらいだから強調したいことはいっぱいある。栄養学や医学における意識革命、産業界、社会全体の革命につながる。

周囲を見てもコンビニ、外食チェーン、食品メーカーで糖質制限食の開発が相次ぎ、その市場は昨年3000億円超、今年は5000億円とかいわれてる。産業に革命が起きつつあると考えてもらったらいい。すでに製品化されてる糖質ゼロビール系飲料とか麺とか、今後糖質制限が世界中で成熟していくとき、ものづくりで先行する日本企業が輸出力を増す。雪崩を打っていろんな産業・業態が参入していくやろうね。

糖質制限の習慣が定着すれば糖尿病の合併症リスクが減り、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞を予防でき健康寿命が延びる。高齢者の生活の質は向上し、消費の面でプラスの経済効果も表れる。そして、かなりの部分が糖質過多を原因とする生活習慣病が半減すれば、治療にかかっている医療費が私の試算では2兆5000億円削減可能。ここに糖尿病予防による削減分を加えると、糖質削減食による医療費削減の総額は3兆5000億円の巨額になる計算が成り立つ。

スーパー糖質制限食を推奨

──1日3食主食を抜く、糖質摂取量30~60グラムのスーパー糖質制限食を推奨されていますが、米国の1日130グラム以下と比べ厳しいですね。

米国の130グラムはあくまでも糖質制限食の定義やからね。スーパー糖質制限食がベストだけど、昼だけ主食を食べ1日70~100グラムの糖質を取るスタンダード型でも、夕食だけ抜くプチ型でも、何でもいいからやらんよりやったほうがマシなんです。栄養表示に糖質を表示している商品はまだ少ないけど、炭水化物の表示を目安にできる。糖質は炭水化物から食物繊維を引いた量。一般には炭水化物のほとんどが糖質で、少なくとも、炭水化物の量がその食品の糖質量の最大値と取ればいい。

勤め人が昼飯で主食抜いた分をタンパク質や脂肪でしっかり埋めるのは難しいという方もおるけど、そんなことない。コンビニに糖質制限に向いた総菜がなんぼでもあるし、食べ足りなかったら空揚げ1、2個追加すればいい。カロリー制限は無視無視!


『江部康二の糖質制限革命』(東洋経済新報社/192ページ)


江部 康二(えべ こうじ)/1950年生まれ。京都大学医学部卒業。京大研究所を経て、78年に医局長として高雄病院勤務。2000年に理事長就任。01年から糖尿病治療研究に本格的に取り組み、糖質制限食の体系確立。05年『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』で糖質制限食を初めて全国に紹介。日本糖質制限医療推進協会理事長。著書多数。


(聞き手:本誌・中村陽子)
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
田辺市、西牟婁郡、日高郡、3医師会合同講演会のご報告
こんにちは。

2017/4/15(土)17:00から、
和歌山県田辺市、西牟婁郡、日高郡、3医師会合同講演会、
糖尿病治療と糖質制限食  ~薬物療法のこつ~
が開催され、私が講師をつとめました。

40名以上の参加者があり、大盛況でした。
田辺市では初の糖質制限食講演会でした。
私が京大胸部研時代に一緒に働いていた西山秀樹先生も駆けつけて下さり、
ありがたいことでした。

本会は、3医師会主催の、
医師、栄養士、看護師など医療従事者向けの講演会でした。
今回は、特に医師の参加者が多く、糖質制限食普及において心強いことでした。
講演が70分で、質疑応答が20分の予定でしたが、
30分以上の活発な臨床に即した質疑応答となりました。

講演会をきっかけに
田辺市、西牟婁郡、日高郡などで、
糖質制限食が広がっていけば嬉しい限りです。

講演終了後は、3医師会の開業の先生方、
南和歌山医療センターの、外科や内科や整形外科の若手の先生方など
10人くらいで、「味処やぶ」で懇親会となりました。
すでに、糖質制限食で5kg~数kg減量成功した先生もお二人おられました。
南和歌山医療センターの中井國雄病院長(脳神経外科)も糖質制限食を実践しておられ、
ゴルフで後半も疲れなくなって、スコアが伸びたと仰ってました。
さらに花粉症も軽くなったそうです。

お料理ですが、
尾の身造り、赤身造り、畝須、さえずり、ベーコン、脂すのこ
などを、生姜醤油か辛子で、まずはお造りで賞味しました。
これだけ、いろんな部位の鯨を食べたのは人生で、初めての体験でした。
そのあと鯨ハリハリ鍋を堪能しました。
〆は糖質制限な麺まで用意していただき、感激でした。(⌒o⌒)v
鯨料理のフルコース、とても美味しかったです。

今朝はとても良い天気でした。
夜は、お酒も入っていて、すぐ寝たので全く気づきませんでしたが、
朝起きて、窓の外を見たら、見事なオーシャンビューで、
気分も爽快になりました。
田辺市は初めて訪れましたが、海岸沿いの街なのでした。
朝食のバイキングも、日に照らされた穏やかな海の眺めを楽しみながら
ゆっくりといただきました。
宿泊したホテルハーベスト南紀田辺、なかなか快適なホテルでした。

最後になりましたが、
座長をつとめて頂き、
糖質制限な懇親会の手配をして頂いた
薮内以和夫南和歌山医療センター副院長(肝臓内科)、
この度はお招きいただき、珍しい料理をご馳走していただき
ありがとうございました。m(_ _)m


江部康二

カロリー制限食VS糖質制限食。日本糖尿病学会への提言。
1)カロリー制限食
  カロリー制限食(高糖質・低脂質食)は
  1969年の食品交換表(改訂第2版)以降、
  日本糖尿病学会が、糖尿病患者さんに推奨してきた唯一無二の食事療法で、
  長い臨床経験がある。
  しかし、長期的安全性や有効性に関しては、エビデンスはない。
  そして血糖値を直接上げるのは糖質だけなので、
カロリー制限食は、短期的にはリアルタイムに、
平均血糖変動幅の増大と食後高血糖を必ず生じる。

2)糖質制限食
  糖質制限食は、
  日本では1999年以降の新しい糖尿病食事療法であり、
  臨床経験はまだ短い。
  糖質制限食にも、カロリー制限食と同様に、
  長期的安全性と有効性のエビデンスはない。
  一方、短期的には「平均血糖変動幅の増大」と「食後高血糖」
  を生じない唯一の食事療法である。

3)「平均血糖変動幅の増大」と「食後高血糖」と酸化ストレスリスク

 「平均血糖変動幅の増大」と「食後高血糖」が
  酸化ストレスのリスクとなることにはエビデンスがある。

4)酸化ストレスによる疾患
 酸化ストレスは、動脈硬化や老化や癌、パーキンソン病やアルツハイマー病や認知症、 
糖尿病合併症にも深く関わっている。

5)カロリー制限食VS糖質制限食
 カロリー制限食実践では、食事のたびに、酸化ストレスを生じるので糖尿病合併症を予防することは、
理論的に不可能である。
 現実に、糖尿病合併症である人工透析、失明、下肢切断は全く減少していない。
 糖質制限食なら、食事による酸化ストレスが生じないので、
理論的に考えて、糖尿病合併症を予防できる可能性が高い。


☆☆☆日本糖尿病学会への提言
日本糖尿病学会や糖尿病専門医は糖尿病患者さんに対して、
少なくとも1)2)3)4)の事実を説明する義務がある。
そして米国糖尿病学会が、2013年10月、正式に糖質制限食も受容したことを 
医療関係者や患者に知らせる義務がある。
血糖値に直接影響を与えるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は与えないことを
医師・栄養士などに教育する義務がある。
説明して選択肢を与えることなく、
糖尿病専門医が一方的にカロリー制限食を患者さんに押しつけることは、
倫理的に問題がある。
カロリー制限食を、唯一無二の糖尿病食事療法として糖尿病患者さんに押しつけて、
毎日、「平均血糖変動幅の増大」と「食後高血糖」を起こして、
将来合併症が発症して、失明や透析となった場合は、
当該の糖尿病専門医はどのように責任をとるのか。
脳はケトン体をエネルギー源にできるのに、何故低血糖症になる?
こんにちは。

赤血球だけは、ミトコンドリアがないので、
身体で唯一、ブドウ糖しかエネルギー源にできません。

一方、脳を始めとして赤血球以外の他の組織は、
ケトン体をエネルギーとして利用できるはずなのに、
何故、低血糖になると、意識障害を生じるのでしょう?

脳がケトン体をいくらでも利用できるなら、50~60mg/dl以下の低血糖になっても
意識障害とかなくてすみそうな気もしますよね。
今回はそこら辺の理由を検討してみます。

さて
糖質を普通に食べている人の、総ケトン体の基準値は、「26~122μM/L」
その中でβヒドロキシ酪酸の基準値は、「76μM/L以下」です。

宗田先生のご研究で、
正常分娩胎盤組織液の、βヒドロキシ酪酸は、
60検体の平均値で2235.0μM/Lと、基準値より、30~40倍の高値です。

私が34才のとき、本断食(カロリーゼロ、塩ゼロ)をしましたが、
極期の血糖値は35mg/dlしかありませんでした。
しかし、外来診察もこなしていました。

このときのβヒドロキシ酪酸は5000μM/Lくらいはあったと思います。

1991年に
甲田光雄先生推奨のすまし汁断食(210kcalの黒砂糖、3gの塩)
を行った時のデータが以下です。

3日間の漸減食
3日間の210kcal/日の超少食期
3日間の漸増食

というパターンです。

1991年
3/4   1200kcal/日
3/5   1200
3/6   1200
3/7   1000
3/8    700
3/9    330
3/10    210
3/11    210
3/12    210
3/13   350
3/14   600
3/15  1000
3/16  1200
3/17  1600
3/18  1600

3/13、断食(超少食期)あけの朝で
βヒドロキシ酪酸:3507μM/L
空腹時血糖値:52mg/dl
でした。

すまし汁断食中は、外来業務、病棟業務、テニスクラブでテニス・・・要するに、
ごく普通の日常を送っていました。

私以外にも、2015年2月に
高雄病院に入院されて超少食療法を実践された男性のデータも示します。
この男性は、スーパー糖質制限食流の超少食療法を実践されました。
すなわち、甲田式の黒砂糖はなしで、豆腐を主として超少食療法です。
甲田式すまし汁断食に比べて、スーパー糖質制限食流の超少食療法のほうが
ケトン体は高値となります。

断食(超少食期:210kcal/日)あけの朝で

空腹時血糖値:41mg/dl
βヒドロキシ酪酸:5562μM/L

というデータでしたが、全く普通に喋って歩いて問題なしでした。

つまり、ケトン体(βヒドロキシ酪酸)が、
2000~3000~4000~5000レベルあれば、
血糖値が35mg/dlとか41mg/dlとか52mg/dlとかでも、
脳はケトン体をエネルギー源として普通に活動できるわけです。

米ハーバード大のDr.Cahillはその論文で「多くの研究により、
ヒトの脳はブドウ糖なしでケトン体だけでも生存できると思われるが、
実験的にも倫理的にも証明は難しい」
としています。(注1)

血糖値35mg/dlは、ブドウ糖しかエネルギー源として使えない赤血球のために、
肝臓が糖新生して確保していると考えられます。

日頃糖質を摂取している人は、「ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム」を主に使っていますので、
脳はもっぱらブドウ糖をエネルギー源として利用しています。

このときインスリン注射やSU剤で急に低血糖になったら、
総ケトン体は「26~122」、βヒドロキシ酪酸は「76以下」しかないので、
脳のエネルギー源としてはまったく足らないのです。

脳が低血糖発作を生じないレベルのケトン体数値の目安は、
胎児の胎盤組織液の、
βヒドロキシ酪酸濃度の2235.0μM/Lくらいかなと推測しています。


注1:Annu. Rev. Nutr. 2006. 26:1-22 FUEL METABOLISM IN STARVATION George F. Cahill, Jr.


江部康二


☆☆☆Glut1(糖輸送体1)欠損症とケトン食

Glut1(糖輸送体1)欠損症による難治性てんかんや成長障害にケトン食が有効です。
というか、ケトン食が唯一無二の治療法なのです。

ケトン食は、脂質が87%で糖質はほとんどなしです。

ケトン食の場合は、尿中にケトン体が出続けますので、
血中ケトン体濃度は3000~5000μM/Lレベルと考えられます。

血中総ケトン体の基準値は26~122μM/Lですので30~50倍レベルです。

脳細胞の糖輸送体はGlut1で細胞表面にあり、
通常は血流さえあれば常に血糖を取り込めるはずです。

しかし、Glut1欠損症では、糖輸送体が上手く機能していないので、
脳細胞は血中ブドウ糖を取り込めずに、
「脳細胞内低血糖+難治性てんかん」を発症すると考えられます。

ケトン食実践により、血中ケトン体が3000~5000レベルになれば、
脳細胞のエネルギー源は、ほとんど全てケトン体でまかなわれます。

従って、脳細胞はブドウ糖をあまり利用できなくても、
ケトン体をエネルギー源として正常な活動を続けることができるのです。

通常の糖質ありの食事でケトン体が26~122μM/L程度であれば、
Glut1欠損症で脳が低血糖になったとき、脳細胞はケトン体を充分量供給されていないので、
正常の活動を営むことができずに低血糖症状がでます。
その結果、てんかん発作や成長障害が出現します。
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糖質制限食と急性膵炎、慢性膵炎。単なるアミラーゼ高値は?
【17/04/10 ハルカ セミナー参加しました
セミナー聴講いたしました。今まで先生の著書は何冊か読みましたが、
栄養士の先生の病院給食の話もあり、より具体的に知ることができ勉強になりました。
ありがとうございました。

会場で質問したかったのですが、時間がありませんでしたので、こちらで失礼します。
糖質制限は膵炎の患者は不適応ということでしたが、
膵炎が治癒した場合は糖質制限をしても良いのでしょうか。
糖質制限をすることで再び膵炎になるということはないのでしょうか。
よろしくお願いします。】


おはようございます。
ハルカ さん から、膵炎と糖質制限食について、コメント・質問を頂きました。

ハルカさん、
医療従事者向けセミナーへのご参加、拙著のご購入、ありがとうございます。
以下、膵炎やアミラーゼ高値と糖質制限食について考察してみます。


急性膵炎は重症の病気で入院が必要です。
しかし急性膵炎は、致命的経過をとることがある重症例を除き、
一般的には可逆性であり、臨床的回復後約 6 か月経過すると、
膵臓は機能的・形態的にほぼ旧に復するとされます。

従って、治ったあとは糖質制限食OKです。
糖質制限食で膵炎になるということは、ありません。
一方アルコールが急性膵炎のもっとも多い原因ですから、
過度な飲酒を控えることが大変重要です。
1日あたりの飲酒量が増えるに伴い
急性膵炎のリスクが上昇することが知られています。


慢性膵炎は、再燃と改善(間欠期)を繰り返しながら、
徐々に膵臓が慢性炎症のために壊れて膵機能不全に進行していく病気です。
再燃を予防するには、アルコールを控えることと禁煙が最も重要です。

厚生労働省難治性疾患克服研究事業難治性膵疾患に関する調査研究班の全国調査によると、
2011年1年間に医療機関を受診した慢性膵炎患者さんの数は約67,000人、
人口10万人あたりの数は52.4人と推定されています。
2011年の1年間に新たに慢性膵炎を発病した患者さんは約18,000人でした。

慢性膵炎は高脂肪食はなしとなりますので、糖質制限食は適応となりません。
一方、慢性膵炎の確定診断には画像診断或いは組織診断が必須です。
そのため、確定診断のついた慢性膵炎は、そんなにはおられません。

従って、確定診断がついていない、
血清アミラーゼやリパーゼがやや高値で、腹痛もないレベルなら
糖質制限食OKです。
実際、糖尿病があり、アミラーゼ高値でも
腹痛はない患者さんが
糖質制限食を実践したところ、血清アミラーゼ値が改善したことがあります。


より詳しくは以下の本ブログ記事をご参照頂けば幸いです。


2015年05月12日 (火)の本ブログ記事
「膵炎と糖質制限食。急性膵炎。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3377.html

2015年05月14日 (木)の本ブログ記事
「膵炎と糖質制限食2。慢性膵炎。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3379.html



江部康二