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アンケート調査による日本人糖尿病の死因
こんにちは。

本日の記事は、
日本人糖尿病の死因について検討した論文があったので、
要約して、考察してみました。
私も一糖尿人として、少し気になるところではあります。
もっとも、本研究の糖尿病患者さんは、糖質を普通に食べている方々です。

我々糖質セイゲニストは
「食後高血糖」「血糖変動幅増大」「食後高インスリン血症」 が最小限なので、
酸化ストレスリスクが低く、悪性腫瘍にはなりにくいと思われます。
また、<糖化⇒老化> が最小限なので免疫力も維持できており、
感染症にも罹りにくいと思います。
そして、「AGEsの蓄積」も最小限なので、血管障害も生じにくいと考えられます。


―糖尿病の死因に関する委員会報告―
アンケート調査による日本人糖尿病の死因
―2001~2010 年の 10 年間,45,708 名での検討―

〔糖尿病 59(9):667~684,2016〕
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/59/9/59_667/_pdf/-char/ja



【要約】
アンケート調査方式で,全国 241 施設から 45,708 名が集計され、
2001~2010 年の10年間における日本人糖尿病患者の死因を分析した。
45,708 名中 978 名が剖検例であった



1)<死因の順位>
全症例 45,708 名中の死因、
第 1 位は悪性新生物の 38.3 %であり,
第 2 位は感染症の 17.0 %,
第 3位は血管障害(慢性腎不全,虚血性心疾患,脳血管障害)の 14.9 %で,
糖尿病性昏睡は 0.6 %であった.


第一位、悪性新生物の中では肺癌が 7.0 %と最も高率であり、
第2位の感染症では、肺炎が多く68%を占めていました。

血管障害の中では慢性腎不全が 3.5 %に対して、
虚血性心疾患と脳血管障害がそれぞれ 4.8 %と 6.6 %でした。

虚血性心疾患のほとんどが心筋梗塞でした。
虚血性心疾患以外の心疾患が 8.7 %と意外に高率で、そのほとんどが心不全でした。

脳血管障害の内訳では脳梗塞が脳出血の 1.7 倍でした。

2)<年代別死因>
血管障害全体の比率は、30歳代以降で年代による大きな差は認められませんでした。

糖尿病性腎症による慢性腎不全は,30 歳代で,
心筋梗塞は 40 歳代で,脳血管障害は 30 歳代で比率が増加し,
それ以降の年代において同程度でした。

50 歳代までは脳出血,60 歳代以降では脳梗塞の比率が高かったです。

悪性新生物の比率は,
50歳代および 60 歳代でそれぞれ 46.3 %および 47.7 %と高率であり、
50 歳代以降で悪性新生物による死亡者全体の 97.4 %を占めていました。

感染症のなかでも肺炎による死亡比率は年代が上がるとともに高率となり、
70 歳代以降では 20.0 %と上昇しています。
肺炎による死亡者全体の 80.7 %は 70 歳代以降でした。

糖尿病性昏睡による死亡は,
10 歳代および 20 歳代でそれぞれ 14.6 %および 10.4 %と高率であり,
それらの年代では悪性新生物に次いで第 2 位でした。


3)<血糖コントロールの良否と死亡時年齢との関連>
血糖コントロール不良群では良好群に比し 1.6 歳短命でした。
その差は悪性新生物に比し
血管合併症とりわけ糖尿病性腎症による腎不全で大きかったです。

4)<糖尿病罹病期間と血管障害死の関連>
糖尿病性腎症の 73.4 %が 10 年以上の罹病期間を有していたのに対して、
虚血性心疾患および脳血管障害では、
10 年以上の罹病期間を有したのはそれぞれ 62.7 %と 50 %でした。

5)<治療内容と死因に関する全症例での検討>
食事療法単独 18.8 %、経口血糖降下薬療法 33.9 %、インスリン療法 41.9 %と、
インスリン治療患者さんが最も死亡者が多かったです。
とりわけ糖尿病性腎症では53.7 %を占め、
虚血性心疾患での 38.9 %,脳血管障害での 39 %に比べて高頻度でした。
インスリン治療が必要なさんは、
食事療法単独や経口血糖降下薬治療の患者さんに比べると、
糖尿病がより重症であったと考えられます。

6)<糖尿病患者の平均死亡時年齢>
男性 71.4 歳、女性 75.1 歳で、
同時代の日本人一般の平均寿命に比して、
それぞれ 8.2 歳、11.2 歳短命でした。
しかしながら,前回(1991~2000 年)の調査成績と比べると、
男性で 3.4 歳、女性で 3.5 歳の延命が認められ、
日本人一般における平均寿命の伸び(男性 2.0 歳,女性 1.7 歳)より大きかったです。


江部康二

非結核性抗酸菌症、とくに肺MAC症について
【20/06/29 葉月
非結核性抗酸菌症
neiriさんへ

糖質制限を始めるほんの少し前頃、消化器科の検査で腹部のCTを撮影する機会があったのですが、
その撮像範囲の右肺中葉に所見がみつかりました。
呼吸器科の先生(複十字病院から診察にいらしているドクター)の診察を受けた所、肺MAC症の診断でした。
私は関節リウマチの治療で免疫を抑える生物学的製剤も使っているのですが、
今は半年毎のレントゲンチェックでの経過観察のみです。
レントゲンで分かるか分からない程度の状態だそうで、
特に自覚症状も無いのでMAC症の投薬治療はこれまで一度も受けておりません。
CTでたまたま見つかった時は54歳で、正に発症者の多い中年女性、痩せ型です。
畑仕事などはする機会は無いのですが、
シャワーやお風呂掃除などに関しても特別注意を払うようなことはしていません。
極々普通の皆さんと同様な生活をしていると思います。
関節リウマチは免疫を抑える治療なので、副作用として感染症のリスクはありますが、
その影響で発症したのか?、
発覚したCT以前に腹部や胸部のCTは撮影する機会もなかったので、
実際発症したのがいつなのかも不明です。
中には進行してしまわれる方もいらっしゃると思いますが、
進行がとてもゆっくりな病気だとこのことですし、
私の様に(発症から)5年経過しても全く進行せず
経過観察のみの人も沢山いらっしゃるようです。
江部先生も仰るように、糖質制限が功を奏しているのかも…と私自身も思っております。
一度きりしか無い人生、
neiriさんも過度に不安に怯えることなく楽しい日々過ごしていって下さい!】


こんにちは。
葉月さんから、肺MAC症について、コメントを頂きました。
CTでたまたま見つかった時は54歳で、正に発症者の多い中年女性、
痩せ型とのことですが、いつ、何故発症したのかはよくわかりませんね。
関節リウマチで免疫を抑える治療をしておられることが、
一応、若干の発症リスクではあったと思われます。
一方、治療薬なしで、5年間、全く進行せずとは素晴らしいです。
肺MAC症も、若い人には少なくて、中年以降の女性に多いということは、
タータルにみると、免疫力低下が関与している可能性が高いです。
やはり、20代に比べれば、40代、50代はどうしても免疫力は落ちています。

<糖質制限食で免疫力向上>
この点、糖質セイゲニストの場合は、
ケトン体高値により、心臓・腎臓・脳保護作用および、
慢性炎症を抑える効果が期待できます。
糖質制限食により身体の様々な慢性炎症が治まれば、当然免疫力は高まります。
また、AGEsの蓄積が少なく<糖化 ⇒ 老化>という流れが最小限なので、
老化に伴う免疫力低下も、最小限ですみます。
葉月さんの免疫力もしっかり維持できているのだと思います。

<非結核性抗酸菌症>
非結核性抗酸菌とは、結核菌とライ菌以外の抗酸菌の総称です。
現在100菌種以上が発見されており、それらによって起こる感染症が、
非結核性抗酸菌症です。
そのうち7〜8割ぐらいは
MAC(Mycobacterium-avium complex)と呼ばれる菌で占められています。
非結核性抗酸菌は自然環境中の土壌や湖沼、河川に生息し、
家畜などの動物の体内、貯水槽などの給水システムに生息しています。
日本ではMACは台所の水道水からは分離されず、浴室内からは分離されます。
循環式浴槽水や銭湯浴槽水から非結核性抗酸菌が分離されやすいです。
24時間風呂などは特に非結核性抗酸菌が生息し易いです。
またシャワーキャップにも生息し易いです。
このようにヒトの生活環境では、特に長時間お湯がある環境が要注意です。
結核菌は人から人へ感染するので、一旦結核病棟への入院が必要となりますが、
MACは他人に感染することはないので、一般病棟あるいは外来にて治療をおこないます。

<感染しやすい人は>
以前は、陳旧性肺結核症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺切除後や
じん肺、間質性肺炎などの既存の肺疾患を有した男性に多くみられました。
しかし最近では、過去に基礎疾患のない中年以降の女性の増加が顕著で、
なぜ女性に多いのかははっきりとはわかっていません。
米国でも中高年女性の肺MAC症が増えています。
すべての人が日常的にMACに暴露されていますが、発症するのはごく一部です。
肺MAC症の発症は環境因子のみではなく、宿主因子も重要と考えられます。
中高年の女性は生活環境中にある感染源に注意したほうが良さそうです。
肺MAC症の罹患率(りかんりつ)は年々増加の傾向にあります。
糖質制限食実践で、免疫力を向上させて、肺MAC症の予防を心がけましょう。

<ワシントン大学の研究報告>

『肺MAC症患者の自宅のシャワーエアロゾルからは、
コントロール集団の自宅よりも非結核性抗酸菌が分離されやすかった。』
Association between Mycobacterium avium Complex Pulmonary Disease and Mycobacteria in Home Water and Soil: A Case-Control Study.
Ann Am Thorac Soc. 2020 Jan;17(1):57-62.


江部康二
がん光免疫療法。楽天メディカル。承認申請。
こんにちは。

楽天メディカル、「がん光免疫療法」の医薬品と医療機器を世界初の承認申請
https://mainichi.jp/articles/20200629/k00/00m/040/036000c


という記事が、2020年6月29日、毎日新聞に掲載されました。
がん光免疫療法は、米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆主任研究員が開発しました。

楽天メディカルの三木谷浩史会長は、2013年、
がんを患っていたお父さんの治療について検討するため
小林久隆主任研究員と会って面談されました。
小林研究員は、この時まで、治験を実施するための資金にずっと苦労していたそうです。
その後、わずか1週間で資金援助が決断され、
治験までの期間の大幅スピードアップに貢献しました。
残念ながら三木谷会長のお父さんは2013年11月に亡くなられましたが、
その後も、支援は継続したので、「がん光免疫療法」の治験もきっちり実施されました。
この資金援助が、「がん光免疫療法」の研究、発展におおいに貢献したと言えます。
三木谷会長、素晴らしいです。good jobです。

光は熱を持たず、体に当てても害はありませんので、
手術、放射線、化学療法のような、侵襲や副作用がありません。
また動物実験などのデータから、この治療によって体内の免疫が活発になり、
転移したがんも治癒できる可能性があると考えられています。
対象は、舌がんや喉頭がんなどの頭頸部がんが再発した患者さんですが、
今後は、どんどん応用範囲が広がり、様々な部位のがんにも適応となると思います。

以下の青字は、毎日新聞の記事の要約です。
楽天メディカル、「がん光免疫療法」の医薬品と医療機器を世界初の承認申請

 【楽天メディカル(三木谷浩史会長)は29日、
がん細胞をピンポイントで攻撃する「がん光免疫療法」に使う医薬品と医療機器について、「条件付き早期承認制度」に基づき厚生労働省に承認申請をしたと発表。
対象は、舌がんや喉頭がんなどの頭頸部(とうけいぶ)がんが再発した患者。
この治療法に使う医薬品と医療機器を承認申請するのは世界初。

 がん光免疫療法は、米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆主任研究員が開発。
がん細胞に結びつきやすい特徴を持つ薬を投与した後、
患部に赤色光を当てると、薬が光に反応してがん細胞が破壊される。
光は熱を持たず、体に当てても害はない。
また動物実験などのデータから、この治療によって体内の免疫が活発になり、
転移したがんも治癒できる可能性がある。

 臨床試験第2相では、治療を受けた患者の43%でがんが小さくなった。
現在は、日本、米国を含めた世界約10カ国で、
参加人数を増やした第3相が進められている。

 医薬品の条件付き早期承認制度は、重い病気の治療法を早期に実用化するために
2017年10月に開始。
①対象の病気が命にかかわるなど重篤なこと、
②既存の治療法に比べて有用性が高いこと、
③患者が少ないなどの理由から第3相試験の実施が困難なこと、
④既に実施された臨床試験から一定の有効性と安全性が示されていること――
という四つの要件を満たし、
発売後に改めて有効性と安全性を評価することを条件に承認する制度。

 同社は今年3月、このがん光免疫療法にかかわるさまざまな技術を集約した基盤に
「イルミノックス」と名付け、第2相試験までの結果を基に、
この治療に使う薬と光を当てる装置の承認申請をした。
その後、厚生労働省から条件付き早期承認制度への適用が認められた。
国内治験を始めた17年から約3年での承認取得を目指す。】


江部康二
糖質セイゲニストの検査値と普通食の検査値は異なる。ドクターシミズ。
こんにちは。
新川新道整形外科病院 清水泰行先生から
メールがありました。
糖質制限食実践者の基準値を設定しようとの提言です。

現行の検査データの基準値は
あくまで糖質過剰摂取者のデータを集めて決めたものであり、
糖質セイゲニストの検査データの基準値はいまだに存在しません。
また、糖質制限食を実践することにより、基準値をはずれた値が出てしまい、
不安に感じている方もおられると思います。
糖質セイゲニストの検査データを沢山集めて、
どのような範囲にあるのかを知ることは非常に有益だと思います。

ということで、ブログ読者の糖質セイゲニストの皆さん
健康診断の検査データを、
清水泰行先生のデータ収集の記事のアドレス 
http://promea2014.com/blog/?p=13138

に投稿して頂ければ幸いです。

糖質制限食実践者だけの基準値を知るというのは本邦初の試みです。
是非、多くのデータを集めて信頼度の高い基準値を設定したいと思います。
ご協力、よろしくお願い申し上げます。 m(_ _)m    


江部康二
アニサキス症とアニサキスアレルギー②
こんばんは。
今回の記事は前回の続きで
アニサキス症とアニサキスアレルギー②です。
まずは、魚を食べて生じるアレルギーの全体像です。

<魚を食べて生じるアレルギー>
①魚自体のアレルギー  
②ヒスタミンによる“アレルギー様食中毒”または“ヒスタミン食中毒”  
③アニサキスアレルギー 

魚を食べて生じるアレルギーには、上記の3つのタイプがあります。
このうち一番多いのが③のアニサキスアレルギーです。
また、②のヒスタミン中毒の場合は、抗原抗体反応が関与していないので、
厳密にはアレルギーではありません。
①の魚アレルギーを起こしやすいのは、
魚の筋肉に含まれた『パルブアルブミン』という蛋白質です。

<アニサキスアレルギー>
魚を食べて蕁麻疹や口唇のピリピリ感などがでたことがある人は、かなりおられると思います。こんな時は、この魚はアレルギーがでるので自分には合わないと、普通は思います。まあ、上記①のパターンと思うわけですね。
しかし、実態として、一番多いのは、実はアニサキスアレルギーなのです。
蕁麻疹、発熱、頭痛、顔や体の紅潮、口唇のピリピリ感、ひどければ、
アナフィラキシーショックなどの様々なアレルギー症状が出現します。
これらは1型アレルギーで、IgE抗体が関与して、抗原抗体反応により、
ヒスタミンが遊離されてアレルギー症状がでます。

前日のブログで解説した「アニサキス症」に第一回目に罹患した時に、
「感作」されると、第二回目にアニサキスのタンパク成分を保有する魚を食べるとアニサキスアレルギーを発症します。
感作されていなければ、アニサキスアレルギーは生じません。
感作というのは、特定の抗原(アレルゲン)に対して過敏状態になることです。
アレルゲンは、基本的にタンパク質成分です。
アニサキスは死んでいても、タンパク成分が魚の筋肉に
残っていれば、アレルギー反応を生じるわけです。
現在アレルゲンとして、
アニサキスの16種類のタンパク成分がわかっています。
このアニサキスの抗原は、熱にも凍結にも強いものがあります。
これらのアレルゲンに対するアレルギー反応は、個人差が大きいです。
極端に言えば、1人1人皆、それぞれ反応は異なると考えられます。
アナフィラキシーショックまで起こす人は、まれとは思いますが、
アナフィラキシーショックは命に関わる病態なので、
魚を食べるときは、細心の注意が必要となります。

オキアミは、ほとんどの種類の魚の餌となっているので、
オキアミのもつアニサキスをほとんどの魚が保有していることとなります。

<症状の治療>
アニサキスアレルギーを発症したときは、
抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤を内服します。
症状が強ければ、ステロイド剤の内服や注射が必要となります。
アナフィラキシーショックで血圧低下のときは、
ボスミン0.3mlの筋注が一番有効です。

<予防・改善>
プーさんが、ご指摘のように
スーパー糖質制限食で、花粉症が治ったり改善したりした人は
大勢おられます。
アトピー性皮膚炎や気管支喘息などアレルギーも関与する疾患も
スーパー糖質制限食で改善します。
このように、スーパー糖質制限食でアレルギーが改善した例は多いです。
アニサキスアレルギーの「予防・改善」に対しても
スーパー糖質制限食が有効である可能性は期待できると思います。


以下は、
厚生労働省のサイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
より引用です

消費者の皆さまへ
◆ 魚を購入する際は、新鮮な魚を選びましょう。また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 内臓を生で食べないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。

※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。

事業者の皆さまへ
◆ 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 魚の内臓を生で提供しないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。
◆ 冷凍してください。 (-20℃で24時間以上冷凍)
◆ 加熱してください。(70℃以上、または60℃なら1分)


※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。


江部康二