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高雄病院の糖質制限食入院治療について
こんにちは。

高雄病院の糖質制限食入院治療ですが、
基本的には、まず外来診察を経て、担当医が入院の適応ありと判断して、
入院の手続きが始まります。

一方、高雄病院では、県外や遠方の患者さんで入院希望の方も多いので、
「診療情報提供書」があれば外来受診なしで、直接入院も可能としています。

具体的には、主治医の先生に前もって診療情報提供書を高雄病院に送付して頂いて、
高雄病院の担当医が入院可能か否かをまず、判断します。
入院OKとなれば、入院担当職員と電話で相談していただき、
入院日、入院期間などを決めていきます。
診療情報提供書があり、入院OKとなった時は、
外来診察を経ずに、直接入院も可能です。

通常、2週間くらいの入院が多いですが、
減量も兼ねてなら1ヶ月でも大丈夫です。

糖尿病や肥満が改善すれば、
高脂血症、喘息、痛風、睡眠時無呼吸症候群、高血圧、脂肪肝なども
良くなると思います。
糖尿病や脂質異常症や脂肪肝などの病名があれば、健康保険が効きます。

高雄病院には、月に平均10名の糖尿人が、
全国から糖質制限食治療を希望して入院されます。
遠方の方は、入院して糖質制限食で糖尿病自己管理の体験をし知識を会得してもらい、
退院されたら地元の医師にフォローしていただきます。

京都や近くの糖尿人でも、外来で、なかなか血糖値が下がりきらない時などは、
入院すると改善する人がほとんどですので、
『コントロール・教育入院』がお奨めです。
14日間あれば、コントロール・教育入院が可能です。

入院後まずはCGM(☆)を装着し、14日間継続します。
初回入院の場合は、最初の2日間は、
経口糖尿病薬やインスリン注射は、今まで通りとして、
従来の糖尿病食(高糖質食)を食べて頂き血糖の変動をみます。
投薬は今まで通りしていても、
糖質ありの食事の度に血糖値は200mg/dlを軽く超えてきます。
入院3日目からは、スーパー糖質制限食開始です。
内服薬中止しても、血糖コントロール良好となることがほとんどです。

その後は、希望があれば、
退院までに、グルコバイ(100)1錠を、食直前30秒に内服して、
あえて炊いたご飯2/3膳(約100g)など摂取して、
食後血糖値がどのくらい上昇するかを試してみます。
国際糖尿病連合(IDF)によれば、
食後1時間や2時間血糖値で160mg/dl未満ならOKです。
グルコバイだけで力が及ばない時は、
「グルコバイ+グルファスト」食直前30秒に内服で試します。
期間的に余裕があれば、パンやうどんなども試します。
これは、退院後やむを得ず糖質摂取せざるを得ないときのためのシミュレーションです。

インスリン注射をされている時は、
3~4週間あった方が確実に単位を減量できます。
インスリンの量は1/3以下になります。
内因性インスリンがあるていど残存している方は、
インスリン離脱もできることがあります。
2型だけでなく、1型の糖尿人でも、インスリンの量は1/3以下になります。

入院して、CGMを装着することで、
『一日中15分ごとに14日間』のブドウ測定が可能となります。

「従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)」と「糖質制限食」の治療効果の差が
リアルタイムに確認できます。

血糖値を上げるのは糖質だけで、タンパク質・脂質はあげないということを、
身をもって体験することで、糖質制限食へのモチベーションが高まります。

入院して糖質制限食を摂取してのCGM検査を実施しているのは、
日本中で高雄病院以外はほとんどありません。

同一カロリーでも、糖質を摂取すれば、
インスリン注射や経口血糖降下剤を内服していても、
食後血糖値は200mg/dlを超えることが多いですが、
スーパー糖質制限食なら、薬・注射なしで食後血糖値は140mg/dlのことがほとんどです。
勿論、個人差はあります。

入院中はその他、頭部CTや頸動脈エコーなど、
糖尿病に関連するいろいろな検査もあります。
一日の尿をためて、
尿糖測定やインスリン分泌量測定(尿中Cペプチド測定)も行います。
一日尿のCペプチド測定で、トータルなインスリンの分泌量がチェックできます。
早朝空腹時の血中IRI(インスリン)を検査するか、
Cペプチド(インスリン注射をしている人はこちらを測定)を調べることで、
自分の基礎分泌のインスリンがどのくらいでているかわかります。
インスリン抵抗性の検査やインスリン追加分泌能の検査もあります。
管理栄養士による具体的な栄養指導もあります。

糖質制限食を体験し学ばれて、退院後は地元の病院で通院され、
6ヶ月に一回くらい京都観光を兼ねて高雄病院に来て頂いている方もおられます。
遠方の場合、年に一回、糖質制限食入院をされる方もおられます。

入院・外来治療の実績があれば、
高雄病院への電話で栄養相談やメールでの質問もOKです。

高雄病院では現実に、北海道から沖縄まで、
日本全国、様々な遠方地域の糖尿人の入院も多いです。

糖質制限食入院をご希望の方は、
まずは高雄病院(075-871-0245)に電話でご相談頂けば幸いです。


(☆)CGM:持続ブドウ糖測定
CGMは持続ブドウ糖測定(Continuous Glucose Monitoring)の略称。
15分間隔で継続的な、組織間液のブドウ糖測定が可能となる。
<24時間×14日間>の測定ができる
CGMを用いることで、これまで測定が難しかった血糖値の変動を把
握できるようになり、より適切な治療方針が期待できる。


江部康二
菓子職人さんでは恒例の糖質制限クリスマスケーキの予約受付中です。
こんにちは。
いよいよ2019年度も押し迫ってきましたね。

菓子職人さんでは、恒例の糖質制限クリスマスケーキの予約受付中です。
https://www.kashishokunin.co.jp/toushitsuseigen/


勿論、私の血糖測定実験をクリアした優れもののケーキ達です。

まずは、
糖質制限クリスマス・ドウ・ショコラ
4~5名様用、直径15cm、5000円
限定台数100台


TouOffChocoHP.jpg

「軽いシフォンケーキタイプのチョコレート生地に3種類(ダークチョコレート・ホワイトチョコレート・ミルクチョコレート)の口どけの良いチョコレートムースの層の構成です。チョコレート好きのための上品な香りと甘さを兼ねそなえたクリスマスイブにぜひ召し上がっていただきたい逸品です。表面はダークチョコレートとココアバターをスプレーガンで吹き付けてミルクチョコレートのガナッシュで表情をつけました。」

2019年10月8日(火)
午後4時 血糖値:101mg
菓子職人さんのクリスマスチョコレートケーキ1/6(100g)を摂取。
午後5時 血糖値:108mg
60分後の血糖値上昇は、7mgですので
100g中に、わずか2.3gの糖質です。
糖質制限ケーキとしては、花丸です。

続きまして
糖質制限 ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)
4~5名様用、直径15cm、5000円
限定台数100台

TouOffWhiteHP.jpg

「オーストラリア産と北海道産クリームチーズをたっぷり使用した口どけの良いチーズケーキ、クレームブリュレ、イタリア産マスカルポーネ、フランス産フロマージュブラン、北海道産生クリームと卵黄をたっぷり使用した濃厚プリンのレアチーズムース。クリームチーズとフロマージュブランの2種類のチーズや、ヨーグルトやオレンジのお酒で香りづけた軽いムース。」

2019年9月30日(月)
午後9時14分 血糖値:108mg
菓子職人ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)1/6(100g)を摂取。
午後10時14分 血糖値:107mg

何と、血糖値が全く上昇しませんでした。
こちらも、糖質制限花丸ケーキです。

ブログ読者の皆さん、
糖質制限クリスマス・ドウ・ショコラ

糖質制限 ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)
どちらにされますか?
https://www.kashishokunin.co.jp/products/xmas2019/

あるいは、2つともというものおおいにありですね。 (^^)

江部康二

1型糖尿病患者における糖質制限について。
【19/11/30 中嶋一雄
糖尿病学会誌
学会誌「糖尿病」61巻11号787-788頁(2018)

「1型糖尿病患者における糖質制限について」

中嶋一雄

https://doi.org/10.11213/tonyobyo.61.787

 発行して1年経過したので、誰でも閲覧できるようになりました。
糖質制限に批判的な人物がいたら、これを印刷して読ませてあげてください】



おはようございます。
中嶋一雄先生から、コメントを頂きました。
ありがとうございます。

1型糖尿病患者における糖質制限について、
日本の文献と欧米の文献を整理整頓して論じて頂きました。(☆)
とても参考になります。

日本糖尿病学会誌に
糖尿病Vol. 60 (2017) No. 6 p. 449-455
症例報告厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続している罹病歴33年の1型糖尿病の1例
https://doi.org/10.11213/tonyobyo.60.449

と題する症例報告が掲載されて、
主治医は
「日本糖尿病学会により推奨される食事療法(炭水化物 50-60 %)を摂取し
必要なインスリンを追加することが標準的な糖尿病の治療であり推奨する」
ことを説明したとあります。(☆☆)

この主治医の説明には、おおいに違和感を覚えます。
罹病歴33年の1型糖尿病患者さんが、自分の頭で考えて
厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続し
血糖コントロール良好を保ち、糖尿病合併症なしです。

これだけ素晴らしい結果を出している1型糖尿病患者さんに対して、
エビデンスはないと日本糖尿病学会も自ら認めている、
「糖尿病食(炭水化物50~60%)」を推奨するとは、あり得ません。
少なくとも、この個人においては、最高の状態を保っているわけですので、
無根拠な「糖尿病食」を推奨する理由は皆無です。

計算してみると、2002年から糖質制限食を開始しておられます。
高雄病院で糖質制限食を導入したのは1999年ですが、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」江部康二著(東洋経済新報社)
を上梓したのが、2005年です。
ということは、日本で糖質制限食の概念が一般的になる前に、
自力で開始しておられるので、すごく勉強しておられるのだと思います。

なお、従来の糖尿病食は、カロリー制限・高糖質食ですので、
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」という合併症リスクを、必ず生じます。
誠に遺憾ながら、従来の糖尿病食は、「合併症製造食」としか言いようがないのです

中嶋先生も指摘しておられるように「1型糖尿病と糖質制限」に関して
エビデンスはまだありません。

一方、症例報告は

「1 型糖尿病とてんかんの合併例に,超低炭水化物食であるケトン食療法を実施して,
血糖維持と痙攣発作がいずれも改善し安定した状態を得られたと,
すでに複数の症例が報告されている.」

「Flash glucose monitoring(FGM)とインスリンポンプを併用して,
1 型糖尿病患者にそれまでの 1 日量 100-150 g から,
30-50 g 迄に減量した低炭水化物食を実施した症例報告も行われている.
本例ではインスリンの 1 日量が 50 単位から30 単位に減量でき,
FGM により記録された毎日の平均血糖値は改善し,
脂質異常等の合併症も生じなかったとある.」


あります。

このように、
1型糖尿病において、糖質制限食を導入すれば、インスリンの単位が大幅に減量できます。
従って、低血糖リスクも大幅に減少します。
過剰のインスリンは酸化ストレスリスクであり、
<肥満、老化、動脈硬化、がん、アルツハイマー病・・・etc>
の元凶となりますので、インスリンの減量にはおおいに意味があります。

一方、減量したとはいえ、1型でインスリンは必ず注射していますので、
ケトアシドーシスのリスクは、ほぼ皆無と言えます。
つまり、1型糖尿病と糖質制限食は相性が良いということです。



(☆)
以下の緑の文字の記載が、中嶋先生の論文です。

学会誌「糖尿病」61巻11号787-788頁(2018)
「1型糖尿病患者における糖質制限について」
中嶋一雄


【近年糖尿病の食事療法に糖質制限食が注目され,米国のジョスリン糖尿病センターでは,2004 年より食事療法勧告において炭水化物を 40 %エネルギーと定めている1)
米国糖尿病学会は 2013 年 10 月より,
食事療法においてあらゆる栄養素比率を選択することが可能であるとの見解を出した2).
本誌 60 巻 6 号に
「厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン 1 回法を約 15 年継続している罹病歴 33 年の 1型糖尿病の 1 例」
と題する症例報告3)が掲載された.
日本糖尿病学会により推奨される食事療法(炭水化物 50-60 %)を摂取し
必要なインスリンを追加することが
標準的な糖尿病の治療であり推奨することを説明したとある.

一方,1 型糖尿病における糖質制限については統一見解には至っていないと思われる.
1 型糖尿病とてんかんの合併例に,超低炭水化物食であるケトン食療法を実施して,
血糖維持と痙攣発作がいずれも改善し安定した状態を得られたと,
すでに複数の症例が報告されている4~6).

2018 年になり,
1 型糖尿病と低炭水化物食との研究について系統的レビューが発表された7).
炭水化物を45 %エネルギー以下とした論文のレビューを実施したが,
HbA1c の低下がみられた論文とみられなかった論文とが混在しており,
エビデンスとしては限界があるため全体として結論は下せず,
さらなる臨床研究をすすめる必要があると記載されている.

一方,近年に使用開始された
Flash glucose monitoring(FGM)とインスリンポンプを併用して,
1 型糖尿病患者にそれまでの 1 日量 100-150 g から,
30-50 g 迄に減量した低炭水化物食を実施した症例報告も行われている8).
本例ではインスリンの 1 日量が 50 単位から30 単位に減量でき,
FGM により記録された毎日の平均血糖値は改善し,
脂質異常等の合併症も生じなかったとある.
FGM による血糖変化の観察と適切なインスリン調節が
安全な血糖維持をもたらしたと考えられ,
頭痛は減少し睡眠も良好化し情動面が改善するなど,本人の QOL も向上した.
1 型糖尿病患者における糖質制限についてさらなる臨床研究が望まれる.


(☆☆)
糖尿病Vol. 60 (2017) No. 6 p. 449-455
症例報告厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続している罹病歴33年の1型糖尿病の1例


抄録
症例は46歳男性である.13歳時に1型糖尿病を発症し,インスリン治療を開始された.
10代より運動時の低血糖のためインスリンを減量し,
30代より糖質制限を行い持効型溶解インスリン1回法に変更,
HbA1c 7 %前後で経過した.
45歳,当科に入院時,我々は
1型糖尿病における糖質制限の有効性,安全性に関する報告は少なく
動脈硬化性疾患のリスクとなること,
インスリン減量がケトアシドーシス発症の危険となることを繰り返し説明し,
炭水化物比50~60 %の食事を勧めた.
しかし,現時点では動脈硬化性疾患やケトーシスの既往はなく,
患者の強い意向に沿った糖質制限食とインスリン1回法を容認せざるを得なかった.
その危険性を十分に患者に説明するとともに,
慢性合併症やケトーシスのモニタリング等,慎重に経過観察する必要がある.
厳密な糖質制限と持効型インスリン1回法を長期間継続した1型糖尿病の症例は
希少であるため,報告する.



江部康二
田頭秀悟先生が12月12日「たがしゅうウェビナー」を開催されます。
おはようございます。

私の友人のたがしゅうこと田頭秀悟先生が、
オンライン上で行う「たがしゅうウェビナー」というセミナーを
2019年12月12日(木)に開催されることとなりました。

第1回のテーマは「たがしゅうという医師がオンライン診療医になるまで」と題されて、田頭先生の半生を振り返り、
糖質制限との出会いを含めて、なぜオンライン診療医という道を目指したのかについて語られます。

新しいチャレンジの船出ですが、
ブログ読者の皆さん、興味がある方は、是非ご参加頂けば嬉しいです。


江部康二


☆☆☆以下、田頭秀悟先生からの告知文です。

2019年12月12日(木)20時~21時、たがしゅうウェビナーというWEBでのセミナーを開催いたします。
テーマは「たがしゅうという医師がオンライン診療医になるまで」です。

『何故、たがしゅうという医師はオンライン診療の道へ進む必要があったのか。』

私の半生を振り返って紹介し、私が気付いた健康を守るためにとるべき行動のヒントをお伝えします。
何らかの健康問題に悩む方には是非一度耳を傾けてもらいたい内容です。
一人でも多くの方にオンライン診療という選択肢とその目指す所を知って頂く機会になればと思います。

参加を御希望の方は詳細は以下のURLを御覧頂ければと思います。

https://store.shopping.yahoo.co.jp/ideal1111/5a5a2a4a2a5.html

なお申し込みには、お一人様用と、お二人様以上用の2種類がございます。
お一人様の参加費は990円ですが、お二人様以上の場合は1名あたり495円とお安くなっております。

お一人様用の申し込みページ

https://store.shopping.yahoo.co.jp/ideal1111/2116.html

お二人様以上用の申し込みページ

https://store.shopping.yahoo.co.jp/ideal1111/2116-1.html

皆様の御参加を心よりお待ち申し上げます。


たがしゅう
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)心臓発作 脳卒中 癌死亡 全死亡のリスク上昇。
こんにちは。
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)のことを、
2019/11/27(水)のブログ記事で書きました。

広島人さんから、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)に関する追加情報を、
コメント頂きました。
ありがとうございます。

FDA(米国食料医薬品庁)
によれば、
「NSAIDs心臓発作 脳卒中 癌死亡 全死亡のリスク上昇」
とのことです。

また、夏井睦先生のサイトにも
「アスピリン 癌死亡と全原因死亡を有意に増加」
NEJM プラセボコントロール無作為化試験
の情報が掲載されていて、転載させて貰いました。
夏井睦先生、かってに転載して申し訳ありません。 m(_ _)m           

少なくとも、内科の医師においては、
近年、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の使用頻度はかなりへっていて、
アセトアミノフェンに代わっていっているので、良い傾向と思います。


【19/11/29 広島人
NSAIDs心臓発作 脳卒中 癌死亡 全死亡のリスク上昇
NSAIDsに関しては、心臓発作・脳卒中、癌死亡・全死亡のリスクの上昇が報告されており、想像以上にリスクの高い医薬品のようです。

1.アメリカFDAがNSAIDsによる心臓発作・脳卒中のリスク上昇に関する警告を出しています。
医薬品安全性情報 Vol.13 No.17(2015/08/27)国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly13/17150827.pdf
【 米FDA 】
•非アスピリン NSAID:心臓発作・脳卒中のリスク上昇に関する警告を FDA が強化
FDA strengthens warning that non-aspirin nonsteroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs)
can cause heart attacks or strokes
Drug Safety Communication
通知日:2015/07/09
http://www.fda.gov/downloads/Drugs/DrugSafety/UCM453941.pdf
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm451800.htm
非アスピリンNSAIDの使用に伴う心臓発作や脳卒中のリスクについて,FDAは,製品表示に既に記載されている警告を強化する作業を行っている。FDAは,新たな安全性情報を包括的にレビューした結果,すべてのNSAID処方箋薬の製品表示を強化するよう要求している。OTC薬のNSAIDについても,製品表示に既に記載されている心臓発作と脳卒中のリスクに関する警告の強化を求める予定である。
◇ ◇ ◇
NSAID処方箋薬の製品表示は以下の情報を盛り込んで改訂される予定である。
• NSAIDの使用に伴う心臓発作や脳卒中のリスクは,使用開始後早くも数週間以内に上昇することがある。NSAIDを長期に使用するほど,このリスクは高くなると考えられる。
• 高用量ほどこのリスクは高まる傾向がある。
• 以前には,どのNSAIDのリスクも同程度であると考えられていた。新たな情報から,心臓発作や脳卒中のリスクがすべてのNSAIDで同程度かは,曖昧になっている。しかしながら,NSAIDの中でどれが他よりもリスクが明らかに高いか(または低いか)をFDAが判断するには,この新たな情報は不十分である。
• NSAIDは,心疾患やそのリスク因子のある患者,ない患者のいずれにおいても,心臓発作や脳卒中のリスクを高める可能性がある。多数の研究によりこの見解が支持されている。推定されているリスク上昇の程度は,研究対象の医薬品や用量によりさまざまである。
• 一般に,心疾患やそのリスク因子のある患者は,これらのリスク因子のない患者に比べ,ベースラインでのリスクが高いことから,NSAIDの使用後に心臓発作や脳卒中が発現する可能性も高い。
• 最初の心臓発作後にNSAIDで治療を受けた患者は,最初の心臓発作後にNSAIDで治療を受けなかった患者に比べ,その心臓発作から1年以内に死亡する率が高かった。
• NSAIDの使用に伴い,心不全のリスクが上昇する。


2.アスピリンが癌死亡と全原因死亡を有意に増加させる報告が夏井先生のサイトにあります。
http://www.wound-treatment.jp/new_2018-11.htm#1109-5
アスピリン 癌死亡と全原因死亡を有意に増加、NEJM プラセボコントロール無作為化試験
 19114人が参加したアスピリン100mg/日を投与するプラセボコントロール無作為化試験において、アスピリンによる癌死亡と全原因死亡の有意な増加が、インパクトファクターNo.1のNew England Journal of Medicineに発表されましたので、要旨を翻訳してご紹介します。
 最も古くから全世界で使用されているNSAIDsであるアスピリンで実施されたこの試験は、交絡因子の影響を受ける危険性のある疫学研究ではなく、合計1.91万人が参加した極めて大規模なプラセボコントロールの無作為化介入試験ですから、信頼性は高いと考えられます。
 Effect of Aspirin on All-Cause Mortality in the Healthy Elderly
 N Engl J Med. 2018 Oct 18;379(16):1519-1528. doi: 10.1056/NEJMoa1803955. Epub 2018 Sep 16.
 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1803955
 (1)背景
 今出版されている「高齢者のイベントを低下させるアスピリン試験(ASPREE)」の一次分析において、毎日のアスピリンの使用は、高齢者の身体障害のない生存という一次エンドポイントに関して、利益(便益)を提供できなかったことを、我々は報告している。
 プラセボよりもアスピリンで二次エンドポイントの全原因死亡の数値的に高い発生率が観察された。
 (2)方法
 2010年から1024年にかけて、オーストラリアとアメリカの地域社会に居住している70歳以上の人 (アメリカの黒人とヒスパニックでは65歳以上)で、冠動脈疾患、認知症、身体障害のない人を登録した。
 参加者は、腸溶性コーティングしたアスピリン100mgまたはプラセボを服用するように無作為に割りつけられた。
 試験の群の割りつけを知らない裁定者により、根底に存在する原因に従い、死亡を分類した。
 アスピリン群とプラセボ群の間の死亡率を比較するためにハザード比を計算した、そして特定の死亡原因の事後の探索的分析を実施した。
 (3)結果
登録した19114人の内、9525人はアスピリン服用に、9589人はプラセボ服用に割りつけられた。
 中央値4.7年間の追跡期間で、合計1052人の死亡が発生した。
 全原因死亡のリスクは、1000人・年当たり、アスピリン群では12.7イベント、プラセボ群では11.1イベントであった(ハザード比1.14、95%CI 1.01-1.29)。
 癌は、アスピリン群の高い死亡率に対する主要な寄与因子であり、1000人・年当たり1.6の過剰な死亡を構成する。
 癌に関連する死亡は、アスピリン群では参加者の3.1%、そしてプラセボ群では参加者の2.3%で発生した(ハザード比1.31、95%CI 1.10-1.56)。
 (4)結論
 明らかに健康な高齢者では、毎日プラセボを服用した人よりもアスピリンを服用した人で、高い全原因死亡率が観察された。
 過去の研究の観点では、この結果は予想されないものであり、
注意して解釈すべきである。
(国立老化研究所などにより資金提供; ASPREE ClinicalTrials.gov number, NCT01038583.) 】


江部康二