FC2ブログ
グルコースミニスパイクと機能性低血糖
こんにちは。

今回はジュンさんから、グルコースミニスパイクと機能性低血糖について
コメント・質問をいただきました。


【11/02/17 ジュン
ビリルビン
おはようございます。
初めてメールを差し上げます。
会社の定期検診で、空腹時血糖117、Hba1c5.6、「薬は必要ありませんが、運動と食事に・・・」と言われました。
父はすでに他界していますが、糖尿病だったので、私もいづれは・・・と心配になり、血糖値検査キットを買って自分で毎朝測定するようにしています。
食後の時間変化などを測定していると、その振る舞いは不思議な事ばかりで、そのメカニズムを理解したく、いろいろと自分で勉強しているうちに、江部先生のブログにたどりつき、先日、「糖質制限食」の本を買い、読ませて頂きました。
本当に、目から鱗というかなんというか、疑問に思っていたことが、色々と理解できるようになり、「タンパク質と脂質は血糖値を上げない」、「糖新生」などは、本当に参考になりました。ありがとうございます。
血糖値の時間変化を調べていると、「グルコーススパイク」と呼ばれるような高血糖になる時があり、その時は、4~5時間たつと、血糖値が50台になったリします。その後、少し経つと80台に戻るのですが、この状態は、「糖新生」プロセスなのでしょうか?
測定結果とその時の気分や健康状態を観察していると、グルコーススパイクをなくし、体の状態を早く糖新生?プロセスにもっていくことが重要なのではないかと感じています。
この状態にならないうちに食事をすると、さらに血糖値が上がり、だんだんと空腹時の血糖が下がらなくなるという悪循環に陥るような気がしています。
また、私の場合は、昼食後にグルコーススパイクが起きることが多いことが分かっていますので、とりあえず、お昼の炭水化物を20g以下に抑えた「プチ」を試みてみようかと考えています。
それと、会社の健康診断で「総ビリルビン値」がいつも~2.0と高めで、精密検査をしても特に異常がなく、「体質的なものでしょう」の一言で済まされてしまっています。このビリルビンはは、、耐糖能と何か関係があるのでしょうか。?
ダラダラと書いてしまいましたが、何か参考になるようなことがありましたら、ご指導よろしくお願いいたします。】



ジュン さん。
拙著のご購入ありがとうございました。

【会社の定期検診で、空腹時血糖117、Hba1c5.6%】

このデータなら、診断基準では、境界型ですね。
糖尿病ではなくて、予備軍と呼ばれる段階です。

血糖値の時間変化を調べていると、「グルコーススパイク」と呼ばれるような高血糖になる時があり、その時は、4~5時間たつと、血糖値が50台になったリします。その後、少し経つと80台に戻るのですが、この状態は、「糖新生」プロセスなのでしょうか? 】

糖質を一人前摂取すると、正常型の人でも食後血糖値が急激に上昇し140~170mgになることがあります。
境界型なら180~199mgに上昇することもあります。

このとき、正常型は勿論のこと、境界型や軽症の糖尿病でも、インスリン分泌能力はまだかなり残っていることがあります。

境界型や糖尿病型の人では、追加分泌インスリンが出遅れて、その分遷延して正常下限の血糖値に下がっても出続けることがあります。

正常型の人も、食後高血糖に対して、基礎分泌の30倍とか大量の追加分泌インスリンが出ることがあります
。このような場合は、食事摂取4~5時間後に低血糖になりえます。これを機能性低血糖といいます。

日本ではまだあまり知られていない概念ですが、欧米では定着した病気です。日本人でも、思ったより多くの機能性低血糖症患者があると思います。

ジュン さんの検査データも、おそらく機能性低血糖と考えられます。

一旦低血糖になったのが、50mg台→80mg台に回復したのは、肝臓であわてて糖新生したのだと思います。

糖質を摂取しなければ、食後の高血糖は生じずインスリンが過剰にでたりすることはないので、機能性低血糖もおこりません。即ち、機能性低血糖の最良の治療法が糖質制限食です。

ジュンさんのご指摘通り、食後高血糖(グルコーススパイク、グルコースミニスパイク)を起こさないことが、生体の恒常性を保つにはとても大切です。

食後高血糖の状態が数年間続くと、早朝空腹時血糖値が境界型に上昇してきますし、さらに放置すれば、糖尿病型に進行します。

ジュンさんは、今から1回20g以下の糖質制限食を実践されれば、食後高血糖は生じず、膵臓のβ細胞も休養できて、早朝空腹時血糖値も正常に戻る可能性があります。

【会社の健康診断で「総ビリルビン値」がいつも~2.0と高めで、精密検査をしても特に異常がなく、「体質的なものでしょう」の一言で済まされてしまっています。このビリルビンはは、、耐糖能と何か関係があるのでしょうか。? 】

ビリルビンと耐糖能には関連はありません。

「総ビリルビン値」がいつも~2.0と高めなのは、ジルベール症候群(ギルバート症候群)と思われます。
人口の4~5%くらいの頻度で存在し、特に治療の必要もなく病気とはいえません。心配ないと思います。

それではジュンさん、美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
機能性低血糖症と炭水化物依存症と糖質制限食
おはようございます。

今朝は、久しぶりのいい天気です。

梅雨の晴れ間で、湿気が気持ち少ないとほっとしますね。

さて今回は、機能性低血糖症と炭水化物依存症糖質制限食のお話しです。

今まで、糖質(炭水化物)を頻回・大量に食べていた人は、程度の差はありますが、炭水化物依存症の可能性があります。

スーパー糖質制限食を始めてから、いらいらしたり、異常な空腹感がでたり、精神的に不安定になる人は、時におられます。そのほとんどが、いわゆる<炭水化物依存症>の人です。炭水化物依存症の人に機能性低血糖症がダブっていると結構厄介です。

炭水化物依存症というのは日本では聞き慣れない言葉ですが、米国では定着していて本まで出版されています。

リチャード・ヘラー&レイチェル・ヘラー著の「低炭水化物ダイエット」(ネコ・パブリッシング)によれば、米国の炭水化物依存症の人には

①食べることばかり考える。
②食事で満足感が得られない。食後2~3時間でまた何か食べたくなる。
③疲労感が常にある。
④原因不明の不安や怒りを覚えることがある。
⑤感情が高ぶりやすい。
⑥肥満がある。

上記①~⑥がよくみられ、高インスリン血症を伴うことが多いそうです。

摂取した糖質に対して、必要量以上のインスリンが出てしまう、インスリン過剰分泌がベースにあるので、血液検査では高インスリン血症になりますし、肥満しやすいです。

インスリン過剰分泌があるなら、機能性低血糖症も合併しやすい可能性がありますね。

ヘラーによれば

「正常人では、糖質を摂取して血糖値が上昇し、適切な量のインスリンが分泌され筋肉が血糖値をとりこんで血糖値が下がればインスリン量はすぐに下がり、セロトニンが分泌され満腹感がえられる。炭水化物依存症の人はインスリンが過剰に出ているので、なかなか血中のインスリン量が下がらず、満腹感が得られない。」

そうです。

これはあくまでも仮説ですし、米国人と日本人と少し違うかもしれませんが、このような人は、起きているときは、常に外部から糖質が摂取されて血中に入り血糖に変わるので、肝臓が糖新生をするのは、夜中寝ているときくらいです。

寝る前に夜食のラーメンとか食べたら、夜中に寝ている時も血糖値が上がり、肝臓の糖新生は明け方くらいしか働きませんので、24時間のうち、肝臓の糖新生はわずか3~4時間だけです。これでは、肝臓の糖新生能力が衰えてしまいます。

この炭水化物依存症で衰えてしまった肝臓の糖新生能力が、本来の力を取り戻すまでの期間に個人差があるわけです。数日の人、1ヶ月の人、まれにはは2~3ヶ月かかる人・・・。

肝臓の糖新生能力が、極度に衰えている人がいきなり、スーパー糖質制限食を行えば、低血糖になる可能性もありえますので注意が必要ですが、このようなケースはさすがにまれと思います。

中等度までの炭水化物依存症なら、低血糖を生じることはまずないので、機能性低血糖の症状を糖質制限食でコントロールしつつ、徐々に依存から脱却することを目指します。

極度の炭水化物依存症の場合も、最終的には慣れるしかないのですが、まずは、プチ或いはスタンダード糖質制限食くらいから始める選択肢もあります。

つまり、1日2回(例えば朝昼食)は、少量の主食を摂取して、夕食は糖質制限食
あるいは1日1回(例えば昼食)は、少量の主食を摂取して、朝・夕は糖質制限食。
あるいはさらにゆるく、主食を3食とも1/3くらいにする方法もあります。

1~2ヶ月で慣れることが多いです。一方、炭水化物依存症は、ニコチン中毒とよく似ているという説もありますので、それなりの覚悟はいるかもしれませんね。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と機能性低血糖症2010
おはようございます。

今回は、あかさんから、機能性低血糖症についてコメント・質問をいただきました。

「10/06/22 あかさん
機能性低血糖症について
江部先生こんにちは。
先日の大阪講演会とターニングポイントのライブに参加させていただきました。どちらも大変楽しく、有意義な時間を過ごすことができ、ありがとうございました。またぜひ参加させていただきます。
さて、2月に糖質制限食と出会うまで、昼食を11時半から12時にとると、16時にものすごい空腹感を感じて、糖分補給をしていました。
糖質制限を始めてこの低血糖がなくなったため自分なりに分析してみました。
肥満によるインスリン抵抗性の発現→食後の高血糖→インスリンの過剰分泌による低血糖の発現ではないかと。
講演会で海外では機能性低血糖症という病名があるとのことを初めて知りました。
そこで質問ですが、この機能性低血糖症はベースに糖尿病もしくは境界型の糖尿病があると考えるべきなのですか。もしそうなら、負荷試験などの精査を一度受けておいたほうがよいのでしょうか。よろしくお願い致します。」


あかさん。
講演会、ライブへのご参加、ありがとうございました。
楽しんでいただけて良かったです。
また是非どうぞ。(^-^)v(^-^)v

「2月に糖質制限食と出会うまで、昼食を11時半から12時にとると、16時にものすごい空腹感を感じて、糖分補給をしていました。
糖質制限を始めてこの低血糖がなくなったため自分なりに分析してみました。
肥満によるインスリン抵抗性の発現→食後の高血糖→インスリンの過剰分泌による低血糖の発現ではないかと。」

あかさんの分析通り、機能性低血糖によるものすごい空腹感だったと考えられます。

機能性低血糖の背景には、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があります。やせ型でインスリン抵抗性がなくても、機能性低血糖を生じる人はおられます。

機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。

インスリン追加分泌が遷延する場合は特に起こりやすいです。

<血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>

というパターンです。

従って、精製炭水化物が、最も機能性低血糖を起こしやすいです。未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。

糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖をほとんど生じません。

糖質制限食実践中は、肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われるので、基本的に適正血糖値が保たれます。

ちなみに脂質は、インスリンを分泌させません。タンパク質は、ごく少量インスリンを分泌させます。

この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、きっちり問診してみると結構おられますので注意が必要ですね。

「機能性低血糖症はベースに糖尿病もしくは境界型の糖尿病があると考えるべきなのですか。もしそうなら、負荷試験などの精査を一度受けておいたほうがよいのでしょうか。」

境界型および糖尿病でも軽症の段階だと、インスリン分泌能力はまだ残っています。そして、インスリン追加分泌が出遅れて遷延するのが、2型糖尿病の特徴なので、「機能性低血糖+境界型」あるいは「機能性低血糖+糖尿病型」というパターンは、結構あると思います。

一方、糖尿病は全くなくて、インスリンが過剰に分泌されるタイプの「機能性低血糖+正常型」もあります。

こちらは若い人に多く、それこそ小学生や中学生でもありえると思います。当然、高校生や大学生は言うまでもありません。

機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。

易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。

日本ではまだあまり知られてないようで、私も詳しくありませんが、アメリカではそこそこの認知度のようです。

診断は、75g経口ブドウ糖負荷試験で行います。

通常、糖尿病の診断のためには空腹時に開始して、ブドウ糖を服用後2時間までの血糖値を測定します。機能性低血糖症の場合は、ブドウ糖服用後5時間まで血糖値を検査します。

機能性低血糖症の場合、負荷後30分で120~140mg程度に上昇した血糖値が、60分で60mgになったりします。これだと眠気も来そうですね。さらに4時間後とかに40mgとかまで下がることもあります。

血糖値が40mgなら明らかな低血糖ですが、60mg以上あっても、血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。

また、空腹時の検査開始時血糖値より20%以上、負荷後血糖値が下がる時点があることが多いようです。

例えば負荷前空腹時血糖値が90mgくらいで、ブドウ糖負荷後4時間で60mgとかになります。これで33%下がってますね。

本来血糖値が正常になれば、インスリン追加分泌も即中止になるはずなのですが、出過ぎた場合と遷延した場合には必要以上に血糖値が下がります。

ともあれ5時間の「75gブドウ糖経口負荷試験」って、患者さんもスタッフもちょっと大変なので、高雄病院では実施していません。だいたいは問診で見当がつきますし・・・。

また、あかさんの場合糖質制限食で症状が改善しておられるので、「治療による診断」がすでにあるていど確かめられていると思います。

このように大多数の機能性低血糖症が、糖質制限食で改善する可能性が高いと思います。 (^_^)

一方、炭水化物依存症レベルの人の機能性低血糖症は、そう簡単にはいかないことがあります。(*- -)(*_ _)   →続く



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
ムクミと機能性低血糖とアルドステロン
こんにちは。

「ムクミと機能性低血糖とアルドステロン」について、ナオさんから、コメントをいただきました。

【10/05/28 ナオ
ムクミと機能性低血糖
江部先生の回答があるところに失礼します。
機能性低血糖症」でのムクミの理由に
アルドステロンは副腎が低血糖症で対応し疲弊時に過剰に分泌され、体内に塩分を貯留しムクミを起こす 」
だそうです。

私も糖質制限中に炭水化物を摂ると翌日に酷いムクミとゆるい痺れが半日とれません。】 


なおさん。

「ムクミと機能性低血糖とアルドステロン」について私は知らなかったので、とても勉強になりました。
貴重な情報をありがとうございます。 m(_ _)m

低血糖という異常事態に対し、人体では副腎から副腎皮質ホルモンやアドレナリンが分泌されて、血糖値を上げようとします。

同時に副腎は、アルドステロンなどの分泌も行うので、低血糖症ではアルドステロン値が高い場合が時々みられるそうです。アルドステロンは、Na(ナトリウム)を貯留させ、浮腫や高血圧などを生じます。

機能性低血糖のことを説明してある医師のホームページで、このことを確認できました。

機能性低血糖症糖尿病を合併することもあるので、糖尿人も注意が必要ですね。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
機能性低血糖症と蒸留酒
こんにちは。

一昨日、下鴨の江部診療所の診察が終わって、午後8:30頃、はす向かいの生協に寄ると、天然ブリのしゃぶしゃぶ、天然アジの刺身、鰹のたたき、養殖鯛の刺身、焼き鳥のつくねが、半額だったので早速ゲットしました。

98円均一の、豆腐と鰆のみそ漬けも買って、なかなか豊かな糖質制限な夕餉でした。

昨夜は、高雄病院医局の忘年会で、フグのフルコースでした。

飲んで食べて一人¥8000くらいでしたが、たまの贅沢ですね。

勿論、天然ではなくて養殖のフグでしたが、とても美味しかったですよ。

てっぴ、てっさ、唐揚げ、焼きふぐ、鍋、雑炊・・・ 

年に1~2~3回ならまあいいやと、勢いで河豚雑炊食べました。(* ̄▽ ̄*)

赤ワインと焼酎も少々?飲みました。

帰ってから、食卓においてあった苺も3つ食べちゃいました。

今朝の空腹時血糖値128mg/dlありました。(-_-;)

やや反省の江部康二です。

さて、焼酎といえば、今回はよしさんから、機能性低血糖症(反応性低血糖症)と蒸留酒について、コメント・質問をいただきました。


「09/12/05 よし
タイトルなし
こんにちは。
いつも拝見させて頂いております。

ひとつお伺いしたいのですが、
反応性低血糖症の場合でも、蒸留酒は
大丈夫でしょうか?
また、その場合どのくらいの量までokでしょうか?
お忙しい中、申し訳ありませんが、
どうぞよろしくお願いします。」


よしさん。

機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。

インスリン追加分泌が遷延する場合は起こりやすいです。
<血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>
というパターンです。

従って、精製炭水化物が最も、機能性低血糖を起こしやすいです。未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。

糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖を生じません。
この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、きっちり問診してみると結構おられますので注意が必要ですね。

さて、蒸留酒は糖質を含んでいないので、血糖値を上昇させません。そしてアルコール単独では、インスリンの追加分泌はありません。従いまして、アルコール摂取だけで、いわゆる機能性低血糖症にはなりません。

一方、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。

特に糖尿人で、経口血糖降下剤やインスリン注射をしている人が低血糖症状を起こしたときは、アルコールを飲んでいると重症化しやすいので注意が必要です。

また、空腹時にアルコールを飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、これまた充分な注意が必要です。

このSU剤やインスリン注射をしている時の低血糖症は、機能性低血糖症とは異なる概念です。

なお、空きっ腹で、大量のアルコール摂取をしたりすれば、肝臓の糖新生がブロックされて食事からのブドウ糖も供給されないので、糖尿人、正常人、機能性低血糖の人を問わず、誰でも低血糖症状になりやすいので注意が必要です。

最後に機能性低血糖の人も含めて、糖質制限食ではアルコール(蒸留酒)OKですが、肝臓を壊さない程度・酔っぱらわない程度の良識的・常識的量でお願いします。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット