脳はブドウ糖、筋肉は脂肪がエネルギー源
おはようございます。京都は2.3日は温かかったのですが、昨夜はまた寒かったですね。友人との会食に冬のコートを着て出かけました。

さて、脳は脂肪の分解産物のケトン体も利用するけど、通常はブドウ糖を利用していると昨日のブログで説明しました。要するに日常的には脳はブドウ糖、筋肉は脂肪がエネルギー源なのです。

なぜこのような使い分けが可能なのか、医学が発達するまではよくわからなかったのですが、近年、糖輸送体(糖取り込み装置です)というものが発見されてその謎が解けました。

糖輸送体はGLUT(グルット、グルコーストランスポーター)と呼ばれ、各細胞によりいろんな種類があります。

例えば骨格筋や心筋の糖輸送体はGLUT4(グルット4)で、通常は細胞の中に隠れていますが、運動時や糖質を摂取して血糖値が上昇しインスリンが追加分泌された時は、細胞の表面に出てきて血糖を取り込むのです。

運動してない時や血糖値が上昇していない時は、グルット4は細胞の中に隠れているので、筋肉は血糖を極微量しか取り込むことはできませんから、主要エネルギー源は脂肪になるわけです。

これに対して、脳の糖輸送体はGLUT1(グルット1)であり、常に細胞の表面に存在していますから、いつでも血糖を取り込むことが可能なので、日常的にブドウ糖をエネルギー源としているわけです。脳以外にグルット1を持っているのは、赤血球、網膜などです。

GLUTは現在13種類が報告されていますが、グルット4とグルット1が一番よく知られています。他のグルコーストランスポーターはまだ研究途上といったところで、勿論私如き未熟者には全然わかりませんが、「ブドウ糖の取り込み装置には少なくとも13種類あって、各臓器・組織により巧みに使い分けている人体の精妙さ」には脱帽です。

                    2007.4.24 火曜日
                           江部康二 
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
脳はブドウ糖しか利用できない・・・って、本当?
おはようございます。江部康二です。

昨日は大阪産業創造館で「食事で治す糖尿病・肥満・メタボリックシンドローム」という題で、ミールクリニックビオさん主催の講演をしてきました。

糖質制限食普及センターのあらてつさんを、方向音痴の江部康二のナビゲーターにして無事大阪産業創造館にたどり着き、アットホームな雰囲気の中、2時間お話しました。

二人で京都駅に帰ってきて、近くの中華料理のお店で、あれこれ糖質制限な注文をつけてフルコースを頼み、二品食べたところで高雄病院から緊急呼び出しがかかってきました。メインディッシュの牛肉を断念して(T-T)、急遽病院にタクシーでかけつけた私でした。

あの後あらてつさん、二人前食べてくれたのでしょうか?!

赤ワインを一口・・・いやすいません、1杯飲んで焼酎に切り替えようと思った瞬間の電話だったので、何とか脳細胞の働きは事なきを得ました。

さて脳細胞で思い出しましたが、「脳はブドウ糖しか利用できない」と思っている人が多いのではないでしょうか?
医師や薬剤師や医療関係者の方でも、一般の方々と同様に「脳はブドウ糖しか利用できない」と思い込んでいる人が実は多いと思います。

確かに生理学的には、脳は骨格筋や心筋と違って、安静時にもブドウ糖を利用していることは間違いありません。しかし脳はケトン体という脂肪の分解産物もいつでも利用できるのです。

従って「脳はブドウ糖しか利用できない」というのは、はっきり間違いなのです

例えばガイトン臨床生理学(有名な生理学の教科書です)によれば、「イヌイットは時々完全脂肪食を摂取するが、通常ブドウ糖しかエネルギー源として利用しない脳細胞も、この時は50〜75%のエネルギ−を脂質(ケトン体)から得られるようになる」そうです。
 
なお安静時や軽い運動時は、心筋も骨格筋もエネルギー源のほとんどは脂肪で、ブドウ糖はほんのちょっぴりしか利用できません。一方脳や赤血球や網膜などは安静時にブドウ糖をしっかり利用します。

では脳はなぜ安静時に筋肉と違って、ブドウ糖を利用できるのでしょうか?

この答えはまた明日、お楽しみに・・・
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット