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現行の糖尿病治療の問題点⑤運動の急性効果・追加 
こんにちは。雨があがって曇りと晴れとの中間ぐらいの京都です。琵琶湖の水位回復にはもう一雨、二雨欲しいですね。水不足気味になると琵琶湖に藻が増えたりして水道水の臭いが気になります。

さて、今回は運動療法の追加です。

① 6.24のブログに、運動療法のことを書きました。
「運動の急性効果として、筋肉細胞の血液中のブドウ糖利用が促進され、血糖値が下がる。この機序はインスリンとは無関係なのがミソ。」

この記載ですが、<糖尿病のコントロールがそれほど悪くなくて身体の代謝調節がそこそこ保たれている>、という前提のもとに成り立ちます。

即ち、基礎分泌のインスリンがある程度保たれている状態で運動をすれば、追加分泌のインスリンがなくても糖輸送担体(GLUT4)の細胞内から細胞膜へのトランスロケーションが起こるというのが今の学説です。

細胞膜表面にGLUT4があれば、運動により増した筋毛細血管の血流から、ブドウ糖を筋肉細胞がどんどん中に取り込んで利用します。その結果血糖値が下がります。

② 一方、インスリンの作用不足がかなり深刻で、空腹時血糖値が250mg以上とか糖尿病のコントロールが良くないときは、身体の代謝調節も傷害され、運動することでかえって血糖値が上昇することもあり、運動療法は禁止あるいは制限となります。
この場合も日常生活における動きはOKで、安静臥床をする必要はありません。

③ 強度の強い運動は、グルカゴンやカテコールアミンなどインスリン拮抗ホルモンが分泌されるので、かえって血糖値が上昇することがあります。

④ 2型糖尿病においては、運動の急性効果・慢性効果は確立しています。

⑤ 1型糖尿病においては、運動の血糖コントロール改善に対する有効性は、必ずしも確立されてはいません。しかし体力の保持・増進、ストレス解消など生活の質の改善には良いと思います。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
はい。よく解りました。
ありがとうございました。
1型の運動療法の効果については、主治医先生からも指導いただいておりますが、やはり、血糖値降下の急性効果はインスリン量の減量になりますので続けたいです。

お勧めいただいた和訳本、先生のご著書と共に入手いたしました。
また、私の通うスポーツクラブのフロントで、先生の新刊「夏のレシピ」を扱っていました。
今まで、扱っていなかったんですけどねー。
でも、ロッスや糖質オフのキャラメルなどの輸入物は扱っていました。

 早速、拝読させていただきます。
2007/06/26(Tue) 15:09 | URL | 9日を忘れない | 【編集
江部先生こんにちは。
運動の効果について伺いたいことがあるのですが、
無酸素運動と有酸素運動でGLUT4を介した骨格筋へのグルコースの取り込みに
差はあるのでしょうか?
2007/06/28(Thu) 17:57 | URL | saka10 | 【編集
こんにちは
江部先生、こんにちは。権現森です。
先生が出演されたNHK番組、拝見させていただきました。
そこで、またまたご質問があるのですが、糖尿病治療には運動が良いのは、前回書かれたブログで分かりました。けれども、よく、スポーツしてると糖尿病になりにくいと言われているのは、正しいのでしょうか。
GLUT4があればインスリンの追加分泌が無くてもブドウ糖を取り込めるのがその理由なのでしょうか。
そうであるならば、スポーツ選手は糖尿病にならないと思うのですが、現に糖尿病の元スポーツ選手はテレビなどで多々見かけます。私自身、学生時代はラグビーをしておりましたが、糖尿病です。
これは、食生活に問題があるのでしょうか。
スポーツをしていると糖質をたくさん食べますし、いわゆるスポーツドリンクをよく飲みます。
これは、糖質の過剰摂取と、NHKにご出演されたおり、先生が仰ってた「ペットボトル症候群」に似た状態を、長期間続けていることになると思います。
だとすれば、スポーツ選手こそ糖尿病の危険が高いと思うのですが、これは正しいのでしょうか。
お忙しい中、何度も質問致しまして甚だ恐縮ですが、お手空きの折にでもお答え頂ければ嬉しく思います。
2007/06/29(Fri) 12:16 | URL | 権現森 | 【編集
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