2009年09月25日 (金)
こんばんは。
今日も日中は暑かったです。澄んだ秋の空気なので、車のフロントガラス越しにもジリジリと太陽が照りつけ、かえって夏より日焼けしそうです。
さて、「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」の記載の一部訂正をブログに載せましたが、何のことやらわかりにくいと思いますので、以下補足しておきます。
脳はブドウ糖だけでなくケトン体を利用します。日常生活では心筋・骨格筋など多くの体細胞は、脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源としています(*)。それに対して、脳・網膜・赤血球・生殖腺胚上皮は日常的にブドウ糖を利用しています。
そして赤血球は、ミトコンドリアを細胞内に持っていないのでブドウ糖だけが唯一のエネルギー源であり、脂肪酸・ケトン体は利用できません。
しかし脳を含めてそれ以外のミトコンドリアを内部に有す細胞は全て、脂肪酸・ケトン体をエネルギー源にできます。
赤血球、脳などの糖輸送体はGlut1で常に細胞表面にあり、血液があれば常に血糖を取り込めます。
一方心筋・骨格筋、脂肪などの糖輸送体はGlut4であり、常は細胞内に沈んでいて血糖をほとんど取り込めません。
運動時あるいは糖質を摂取してインスリンが大量に追加分泌されたとき、Glut4は細胞表面にトランスロケーションして血糖を取り込みます。
糖質制限食を実践すれば、血中ケトン体は従来の基準値より上昇しますが、インスリン作用は保たれており生理的です。
例えば2型糖尿病で低糖質食を7年間実践中である私の
2009年6月の
血中ケトン体値は945μM/L(26~122)、
HbA1c5.3%、
空腹時血糖値93mg/dl、
pH7.45、
尿中ケトン体陰性
でした。
(*)ハーパー生化学(原書27版):157、上代淑人監訳.丸善株式会社.2007
江部康二
今日も日中は暑かったです。澄んだ秋の空気なので、車のフロントガラス越しにもジリジリと太陽が照りつけ、かえって夏より日焼けしそうです。
さて、「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」の記載の一部訂正をブログに載せましたが、何のことやらわかりにくいと思いますので、以下補足しておきます。
脳はブドウ糖だけでなくケトン体を利用します。日常生活では心筋・骨格筋など多くの体細胞は、脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源としています(*)。それに対して、脳・網膜・赤血球・生殖腺胚上皮は日常的にブドウ糖を利用しています。
そして赤血球は、ミトコンドリアを細胞内に持っていないのでブドウ糖だけが唯一のエネルギー源であり、脂肪酸・ケトン体は利用できません。
しかし脳を含めてそれ以外のミトコンドリアを内部に有す細胞は全て、脂肪酸・ケトン体をエネルギー源にできます。
赤血球、脳などの糖輸送体はGlut1で常に細胞表面にあり、血液があれば常に血糖を取り込めます。
一方心筋・骨格筋、脂肪などの糖輸送体はGlut4であり、常は細胞内に沈んでいて血糖をほとんど取り込めません。
運動時あるいは糖質を摂取してインスリンが大量に追加分泌されたとき、Glut4は細胞表面にトランスロケーションして血糖を取り込みます。
糖質制限食を実践すれば、血中ケトン体は従来の基準値より上昇しますが、インスリン作用は保たれており生理的です。
例えば2型糖尿病で低糖質食を7年間実践中である私の
2009年6月の
血中ケトン体値は945μM/L(26~122)、
HbA1c5.3%、
空腹時血糖値93mg/dl、
pH7.45、
尿中ケトン体陰性
でした。
(*)ハーパー生化学(原書27版):157、上代淑人監訳.丸善株式会社.2007
江部康二
またまた質問ですがすみませんm(__)m
今日、この間ケトーシスをおこした時の詳しい検査データがわかりました。
血中ケトン:2000、グリコアルブミン:347、1.5AG:1以下だったようです。ケトン体の増加について糖質制限されてる方では問題ないとわかりましたが、糖質制限していない時の血中ケトン2000はよくないんでしょうか?
今日、この間ケトーシスをおこした時の詳しい検査データがわかりました。
血中ケトン:2000、グリコアルブミン:347、1.5AG:1以下だったようです。ケトン体の増加について糖質制限されてる方では問題ないとわかりましたが、糖質制限していない時の血中ケトン2000はよくないんでしょうか?
2009/09/25(Fri) 20:32 | URL | 七海 | 【編集】
境界型になってしまった私の原因が脂肪体質だったということを納得させられた内容でした。
脂肪肝の検査はしていませんが、下肢や腹周りはあきらかにブヨブヨで脂肪筋というべきでしょう
疑問なのが、高脂肪食で脂肪がついたような内容になっていましたが、私の場合は、動物性脂肪はほとんど摂らずむしろ炭水化物中心の食生活を長年やってきました。
糖質が脂肪になるのであって脂肪が脂肪になるのではないですよね。
この番組を見た人は、脂肪さえ控えれば糖尿病にならないと思ったことでしょう。
脂肪肝の検査はしていませんが、下肢や腹周りはあきらかにブヨブヨで脂肪筋というべきでしょう
疑問なのが、高脂肪食で脂肪がついたような内容になっていましたが、私の場合は、動物性脂肪はほとんど摂らずむしろ炭水化物中心の食生活を長年やってきました。
糖質が脂肪になるのであって脂肪が脂肪になるのではないですよね。
この番組を見た人は、脂肪さえ控えれば糖尿病にならないと思ったことでしょう。
2009/09/25(Fri) 22:12 | URL | よよ | 【編集】
七海さん。
糖質制限していなくて
血中ケトン体が2000ということは
その時点でインスリン作用が欠落しています。
危険な病理的ケトアシドーシスです。
1型ですのでCSIIのポンプトラブルを含め
インスリンが上手く供給できていません。
主治医殿とよく相談され、
不調のCSIIから
一旦、「ランタス+ノボラピッド3回」注射に
戻す選択肢もあると思います。
つまりCSIIがまともに働いているなら
インスリン作用欠落はありえませんので
明らかにCSIIの作動が不調ですね。
糖質制限していなくて
血中ケトン体が2000ということは
その時点でインスリン作用が欠落しています。
危険な病理的ケトアシドーシスです。
1型ですのでCSIIのポンプトラブルを含め
インスリンが上手く供給できていません。
主治医殿とよく相談され、
不調のCSIIから
一旦、「ランタス+ノボラピッド3回」注射に
戻す選択肢もあると思います。
つまりCSIIがまともに働いているなら
インスリン作用欠落はありえませんので
明らかにCSIIの作動が不調ですね。
2009/09/25(Fri) 22:16 | URL | 江部康二 | 【編集】
よよさん。
仰有る通り、糖質が脂肪に変わります。
米国ではこの30数年、
脂肪の摂取率は減り続け
糖質の摂取率は増え続け
肥満倍増しています。
糖尿病に到っては、この10年で2.5倍増です。
仰有る通り、糖質が脂肪に変わります。
米国ではこの30数年、
脂肪の摂取率は減り続け
糖質の摂取率は増え続け
肥満倍増しています。
糖尿病に到っては、この10年で2.5倍増です。
2009/09/25(Fri) 22:21 | URL | 江部康二 | 【編集】
私も看護学生なのでとても勉強になります。
この間のケトーシスの状況は・・・昼間の実習中にCSIIが5~6時間止まっていました。気づいたのは夕方で、すぐに病院行ってテステープで調べたらケトン3+でした。インスリンはすぐに流されその日はインスリンを打って血糖を下げて帰ってきました。次の日の朝は具合いが悪かったので食事をとらずに病院へ行ったので空腹ではありました。採血をした時点ではインスリンは十分に投与されていたにもかかわらず前日よりケトンは多く出ていました。
きっかけはCSIIですが次の日にケトン4+、血中ケトン2000は病的なケトアシドーシスという解釈でよろしいでしょうか?
無理して入院しませんでしたが・・・実習に行ったのは危なかったですね(泣)たしかにカナリきつかったです!
この間のケトーシスの状況は・・・昼間の実習中にCSIIが5~6時間止まっていました。気づいたのは夕方で、すぐに病院行ってテステープで調べたらケトン3+でした。インスリンはすぐに流されその日はインスリンを打って血糖を下げて帰ってきました。次の日の朝は具合いが悪かったので食事をとらずに病院へ行ったので空腹ではありました。採血をした時点ではインスリンは十分に投与されていたにもかかわらず前日よりケトンは多く出ていました。
きっかけはCSIIですが次の日にケトン4+、血中ケトン2000は病的なケトアシドーシスという解釈でよろしいでしょうか?
無理して入院しませんでしたが・・・実習に行ったのは危なかったですね(泣)たしかにカナリきつかったです!
2009/09/25(Fri) 22:55 | URL | 七海 | 【編集】
七海さん
インスリン作用が確保されていれば、
ケトアシドーシスは生じません。
「きっかけはCSIIですが次の日にケトン4+、血中ケトン2000は病的なケトアシドーシスという解釈でよろしいでしょうか? 」
明らかに病理的ケトアシドーシスです。
結果として投与されたインスリンの量では
足らなかったということです。
インスリン作用が必ず確保できるよう
主治医殿とよくご相談ください。
インスリン作用が確保されていれば、
ケトアシドーシスは生じません。
「きっかけはCSIIですが次の日にケトン4+、血中ケトン2000は病的なケトアシドーシスという解釈でよろしいでしょうか? 」
明らかに病理的ケトアシドーシスです。
結果として投与されたインスリンの量では
足らなかったということです。
インスリン作用が必ず確保できるよう
主治医殿とよくご相談ください。
2009/09/25(Fri) 23:17 | URL | 江部康二 | 【編集】
七海さんの状態やばくないですか、江部先生が2回も主治医にご相談くださいと書いてるし…コメント欄でネット診察してもらった気になっては危ないと思います…看護学生ならなおさら注意してほしいと。
2009/09/26(Sat) 08:44 | URL | 通りすがり | 【編集】
江部先生 おはようございます。kenmです。
何というタイミングの良さでしょう。昨日栄養士との話の中で、脳は糖質だけで働いているのでしょうという話ができてきました。ううん。そうじゃなくて脂肪酸とケトン体をエネルギーとして・・・と私は江部先生の本とブログで学んだんだよと話したのです。その部分をコピーして、これから届けようとしていました。
話は変わりますが、9月11日からスーパー糖質制限食を始めて2週間あまり経ちます。食後に眠気を覚えます。ソファでうとうとが多いです。それと体に力が入らない感じがします。今朝もウォーキングを途中で切り上げました。食事の切り替えによるものでしょうか。カロリー不足には気をつけているつもりですが、先生から何かアドバイスをいただければ幸いです。血糖値は絶好調です。
何というタイミングの良さでしょう。昨日栄養士との話の中で、脳は糖質だけで働いているのでしょうという話ができてきました。ううん。そうじゃなくて脂肪酸とケトン体をエネルギーとして・・・と私は江部先生の本とブログで学んだんだよと話したのです。その部分をコピーして、これから届けようとしていました。
話は変わりますが、9月11日からスーパー糖質制限食を始めて2週間あまり経ちます。食後に眠気を覚えます。ソファでうとうとが多いです。それと体に力が入らない感じがします。今朝もウォーキングを途中で切り上げました。食事の切り替えによるものでしょうか。カロリー不足には気をつけているつもりですが、先生から何かアドバイスをいただければ幸いです。血糖値は絶好調です。
satoさん。
すいません。
この件は私にはよくわかりません。
すいません。
この件は私にはよくわかりません。
2009/09/26(Sat) 16:39 | URL | 江部康二 | 【編集】
kenmさん。
食後の眠気ですが、血糖値はコントロール良好ですので、
低血糖や高血糖ではないですね。
身体に力が入りにくいとしたら、やはり低カロリーが一番よくある原因なので
栄養士さんにカロリー計算してもらったらどうでしょう。
食後の眠気ですが、血糖値はコントロール良好ですので、
低血糖や高血糖ではないですね。
身体に力が入りにくいとしたら、やはり低カロリーが一番よくある原因なので
栄養士さんにカロリー計算してもらったらどうでしょう。
2009/09/26(Sat) 16:45 | URL | 江部康二 | 【編集】
先生、はじめまして。10月に初診お願いしている三船といいます。実は2週間くらい前に先生のホームページをみつけ、これだと思い、糖質制限を始めました。血糖値は思いの外さがりませんが、すいぞうを痛める薬アマリールはほとんど飲まず、(最近は飲んでも血糖値が食後300くらいになってました)それでも食後血糖値は、250くらいには下がっていたので、しばらく頑張ろうと思っておりました。ところが、昨日より乗り物酔いみたいな頭痛、ふらつき、吐き気、嘔吐、食欲不振により、起きれない状態になっています。血糖値は寝る前135起床時170でした。ケトンが多く出ても同じ症状があり危険というのをきいたことがあります。心配です。このまま糖質制限続けても大丈夫でしょうかよろしくお願いします。
三船美幸さん。
「血糖値は寝る前135起床時170でした。」
このデータでケトアシドーシスになることは
ありませんので、<めまい発作>など
別の問題と思います。
とりあえず、近くのお医者さんに診察してもらってください。
「血糖値は寝る前135起床時170でした。」
このデータでケトアシドーシスになることは
ありませんので、<めまい発作>など
別の問題と思います。
とりあえず、近くのお医者さんに診察してもらってください。
2009/09/27(Sun) 18:08 | URL | 江部康二 | 【編集】
ありがとうございます。ほっといたしました。少し体調もよくなりつつあります。
糖質制限を初めて、約いヶ月経ちました。始めて3日目に謎の脱水症状で半日入院した以外は特に問題なく、1月後の現在、血糖値は380→112mg/dlHdA1C
は10.5%c→8.8%へと急減少しています。
筋トレも併用しています。
しかし尿酸値が7.2と高いと言われています。これは大丈夫なのでしょうか?
ぎゃくにこれ以外は全て正常値になり、中性脂肪は65にまで下がりました。
ちなみに、全食糖質抜きのスーパー糖質制限方式です。1食あたりの糖質量はおそらく17g以下です。
血糖値が安定したら、糖質の最大許容量を探っていこうと思いますが、最初の一月はスーパー糖質制限の基本スタイルを自分に叩きこむつもりで厳しくやりました…
3食自炊です。
おかげで、レストランでも大体の材料が見えるようになりました。
てか、ヘタすると自分で作るほうが美味しいw
は10.5%c→8.8%へと急減少しています。
筋トレも併用しています。
しかし尿酸値が7.2と高いと言われています。これは大丈夫なのでしょうか?
ぎゃくにこれ以外は全て正常値になり、中性脂肪は65にまで下がりました。
ちなみに、全食糖質抜きのスーパー糖質制限方式です。1食あたりの糖質量はおそらく17g以下です。
血糖値が安定したら、糖質の最大許容量を探っていこうと思いますが、最初の一月はスーパー糖質制限の基本スタイルを自分に叩きこむつもりで厳しくやりました…
3食自炊です。
おかげで、レストランでも大体の材料が見えるようになりました。
てか、ヘタすると自分で作るほうが美味しいw
2015/03/17(Tue) 01:13 | URL | AWC34 | 【編集】
AWC34 さん
データ改善、良かったですね。
尿酸値が7.2なら、心配ないです。
2012年06月08日 (金)の本ブログ記事
「糖質制限食と血清尿酸値について」もご参照いただけば幸いです。
データ改善、良かったですね。
尿酸値が7.2なら、心配ないです。
2012年06月08日 (金)の本ブログ記事
「糖質制限食と血清尿酸値について」もご参照いただけば幸いです。
2015/03/17(Tue) 09:58 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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