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糖質制限食と脳・ブドウ糖・ケトン体
こんにちは。

糖質制限食を実践すると脳のブドウ糖が足らなくなり問題である。」

このような迷説が医療現場でまかり通っており、患者さんを混乱させています。

過去何回か質問を受け回答しましたが、大切なことなので何回でも書きます。

今回は 並河浩彦さんから、糖質制限食と脳・ブドウ糖についてコメント・質問を頂きました。

「09/08/28 並河浩彦
食後処方薬を飲んでも、200以上の高血糖になるのですが、ご飯を食べないようにすると血糖値が上がらないのと、1時間ぐらい散歩をすると高血糖となってもすぐ下がるので、続けてきました。
しかし、糖質制限は、脳に栄養が届かず問題ありと病院で言われ続けてきましたが、そうなんでしょうか?
また、尿検査で、2+となることが多いのですが、 糖質制限はやめたほうがいいのでしょうか?」



並河浩彦さん。
コメントありがとうございます。

糖質制限食で、高血糖は改善しますが、別に低血糖になるわけではありませんよ。糖質制限食実践で、正常の血糖値になるのです。糖質制限食摂取中も肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロールなどからブドウ糖をつくるからです。

並河さん、安心して糖質制限食をお続け下さい。

そして、脳はブドウ糖を利用しますが、ケトン体もエネルギー源としていくらでも利用します。脳がケトン体を利用することは、医学の教科書「ハーパー生化学」にも記載してあります。

医師や薬剤師や医療関係者の方でも、一般の方々と同様に「脳はブドウ糖しか利用できない」と思い込んでいる人が、実は多いと思います。

確かに生理学的には、脳は骨格筋や心筋と違って、安静時にもブドウ糖を利用していることは間違いありません。しかし、脳はケトン体という脂肪の分解産物もいつでも利用できるのです。

従って「脳はブドウ糖しか利用できない」というのは、はっきり間違いです。

例えばガイトン臨床生理学(有名な生理学の教科書です)によれば、

「イヌイットは時々完全脂肪食を摂取するが、通常ブドウ糖しかエネルギー源として利用しない脳細胞も、この時は50~75%のエネルギ-を脂質(ケトン体)から得られるようになる」

そうです。
 
なお安静時や軽い運動時は、心筋も骨格筋もエネルギー源の大部分は脂肪酸やケトン体で、ブドウ糖は少しか利用できません。一方、脳や赤血球や網膜などは安静時にブドウ糖をしっかり利用します。

要するに、日常的には脳や赤血球や網膜はブドウ糖、筋肉は脂肪がエネルギー源なのです。では脳はなぜ安静時に筋肉と違って、ブドウ糖を利用できるのでしょうか?

なぜこのような使い分けが可能なのか、医学が発達するまではよくわからなかったのですが、近年、糖輸送体(糖取り込み装置です)というものが発見されてその謎が解けました。

糖輸送体はGLUT(グルット、グルコーストランスポーター)と呼ばれ、各細胞によりいろんな種類があります。

例えば骨格筋や心筋の糖輸送体はGLUT4(グルット4)で、通常は細胞の中に隠れていますが、運動時や糖質を摂取して血糖値が上昇しインスリンが大量に追加分泌された時は、細胞の表面に出てきて血糖を取り込むのです。

運動してない時や血糖値が上昇していない時は、グルット4は細胞の中に隠れているので、筋肉は血糖を微量しか取り込むことはできませんから、主要エネルギー源は脂肪になるわけです。

これに対して、脳の糖輸送体はGLUT1(グルット1)であり、常に細胞の表面に存在していますから、いつでも血糖を取り込むことが可能なので、日常的にブドウ糖をエネルギー源としているわけです。
脳以外にグルット1を持っているのは、赤血球、網膜などです。

GLUTは現在13種類が報告されていますが、グルット4とグルット1が一番よく知られています。他のグルコーストランスポーターはまだ研究途上といったところで、勿論私如き未熟者には全然わかりませんが、

「ブドウ糖の取り込み装置には少なくとも13種類あって、各臓器・組織により巧みに使い分けている人体の精妙さ」

には脱帽です。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
こんにちは
はじめまして。
去年7月主人の糖尿病発覚以来,先生の本をすべて読ませていただき,HPでも勉強させていただきました。
おかげさまで,主人の糖尿病も発覚時点でA1C6.9だったのが,2ヶ月半で5.3になり現在も美味しく糖質制限を続けながら,5.3をキープし元気で過ごしております。
主人の体重も10キロ減り,また主人のブログで糖質制限を宣伝しましたところ,かなりの友人や読者の皆様も糖質制限でスリムになり♪本当に喜んでおられます。
先生には本当に感謝しております。
ありがとうございます。

前置きが長くなりましたが,実は妻である私についての質問です。
去年の健康診断でA1c4.9,いたって健康でおりました。
でも,主人に合わせて3食ともご飯,パン,麺を
抜き(主人ほど厳密ではありませんが)糖質制限をしてきました。
(でも糖質のおやつは普通に食べています)
体重も4キロほど落ち,すっきり気持ちよく生活していましたが,先日の健康診断でA1Cが5.0になっていました。
今日昼食で久々に黒糖で炊いたもち米の,あまーい栗ご飯,ケーキ・・・など糖質をたっぷりとって1時間半後血糖値を測ってみると・・・・175!!もあったのです。
ちなみに糖質制限した主人は140くらいでした。
主人より高い数値を見てかなりショックを受けています・・・・
それから,これは糖質制限とは関係ないかと思いますが,先日乳がん検診に初めてひっかかり,良性ポリープでしたが摘出手術を受けました。去年の検診時には見つからなかったポリープです。

それで質問ですが,
・健康人が糖質制限をすることにより,インシュリンの働きが鈍くなるということは考えられるでしょうか?
・もし,そのようなことが考えられる場合,毎食少量でもご飯を食べたほうが良いのでしょうか?

・糖質制限により,食事によるたんぱく質や脂質の量が増えることは,他の臓器になにか影響を与える場合があるでしょうか?

主人から「糖尿病予備軍じゃない?」といわれ,かなりショックを受け,なんとかしなければ・・・と思っています。

お忙しい中・・と思いますがお返事いただけると嬉しいです。
よろしくお願いいたします!
ギター講師の妻より

2009/08/29(Sat) 15:14 | URL | poyanco | 【編集
ありがとうございました!
江部先生

夫が糖尿病とわかって今年の6/25より、糖質制限をしています。(私は反応性低血糖だと最近わかりました)

先日血液検査を行ったところ糖質制限をしてまだ2ヶ月弱なのに、大分改善が見られました!!以下、夫の検査結果です。良かったらご覧ください。先生のお陰です。本当にありがとうございました。

     5/16  8/19
HbA1c  6.9   5.4

総蛋白  8.6   7.9
GOT   41   23
GPT   57   27
γ-GTP  112  19

総ビリルビン 0.83 0.54

総コレステ  207  166
HDL   44   39
LDL   144  106
中性脂肪  90   56

尿酸   6.2   7.7
クレアチニン  0.68  0.73

空腹時血糖に関しては、5/16時点で164ありましたが、今回は空腹での血糖値測定が出来ませんでした。ただ、自宅での測定ではだいたい朝は120~130の間です。これについては、軽い運動をすればもう少し下がるのではないかと思っているのですが、中々運動をするという風にはなってくれません・・。

体重も、83キロから74キロに減っています。腹囲はあとちょっとで85cmを切るところまで来ています。でも大分見た目が変わりました。

これからも、夫婦共々楽しく糖質制限をしていこうと思っています。

先生には本当に感謝しています♪ありがとうございました!!!
2009/08/29(Sat) 15:47 | URL | 風花 | 【編集
Re: こんにちは
poyanco さん。

「・健康人が糖質制限をすることにより,インシュリンの働きが鈍くなるということは考えられるでしょうか?」

インスリンの働きが悪くなることはありません。

「・糖質制限により,食事によるたんぱく質や脂質の量が増えることは,他の臓器になにか影響を与える場合があるでしょうか? 」

人類は農耕前の399万年間は、糖質制限食ですので、そのような心配はないと思います。

poyancoさん、検査データ的には境界型の可能性があります。
今から糖質制限食を実践されれば、将来糖尿病になることを予防できると思います。
2009/08/30(Sun) 08:29 | URL | 江部康二 | 【編集
Re: ありがとうございました!
風花 さん。

ご主人、HbA1cの改善よかったですね。
体重が減って、インスリン抵抗性が改善すれば
空腹時血糖値もよくなる可能性がありますよ。
2009/08/30(Sun) 08:32 | URL | 江部康二 | 【編集
Re: タイトルなし
cocorin さん。

糖質制限食ですので、脂質・タンパク質はしっかり摂取して
低カロリーにならないよう注意してください。
身体に力が入らない、だるいといった症状のときは低カロリーのことが多いです。

糖質制限食でよく筋肉を使う人の場合、こむら返りがたまにあります。
こういうときはカルシウムの補給をしておくと
こむら返りとかが防げます。
野菜もしっかり食べて、必要ならサプリでカルシウム補給もいいです。
2009/08/30(Sun) 08:50 | URL | 江部康二 | 【編集
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