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糖質制限食と癌②
こんにちは。

今夜は、恒例の第三金曜ライブです。土、日と東京出張なので、二日酔い要注意ですね。

土曜日は、高雄病院の理事会に出た後、東京で今後の出版の打ち合わせ、日曜日は「脳と栄養のシンポジウム」で講演、その後、急いで京都に戻って、理事会の懇親会に顔を出します。

我ながら、ハードスケジュールです(笑)

さて、これまで多くの研究で、インスリン抵抗性高インスリン血症による、腫瘍増殖・発ガン促進作用が示されてきました。さらに有力な報告が2つ発表されました。

①2005年の第65回米国糖尿病学会でカナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告しました。

「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」

この研究は、高インスリン血症発ガン促進作用を検証した研究です。

Samantha博士等は内因性であれ、外因性であれ、

「循環しているインスリンレベルが増加すると腫瘍の進展や死亡率が高まる。」

との考えを示しました。

インスリンは、人体に絶対に必要不可欠なホルモンですが、分泌量や必要量が少なくてすめば、それにこしたことはないようです。


②世界がん研究基金(ロンドン)は、太り過ぎると、7種類のがんになる危険性が高まるという報告を纏め2007年に報告しました。

同基金は、1960年以降に世界各地で書かれた50万件の研究報告から7000件を選び出し、がんと体重、食事との関係を分析した結果、

「BMI値(体重を身長の2乗で割った数値)を20~25に保つのが望ましく、肥満によって乳がんや膵臓がんのほか、直腸、食道、子宮内膜、腎臓、胆嚢のがんになり易い」

と結論づけています。

この報告も「肥満インスリン抵抗性高インスリン血症発ガン」という今までの研究報告に一致するものです。


A)
全米健康調査(男性)
                    1971年 → 2000年
総摂取カロリーに占める脂質:  36.9% → 32.8%
総摂取かろりーに占める糖質:  42.4% → 49.0%
BMI30以上の肥満:        14.5% → 30.9%

全米健康調査によれば、脂質は減り続け、糖質は増え続け、肥満は倍増です。このデータを検討すると、糖質の過剰摂取が肥満の元凶となっている可能性が、極めて高いと言えます。

即ち、

「糖質過剰摂取→肥満インスリン抵抗性高インスリン血症→肥満・・・→発ガン

というパターンです。


癌の発症要因には様々なものがあるのですが、上述の①②A)を考慮すれば、少なくとも「高インスリン血症インスリン抵抗性、肥満」という明白な発ガンリスクは、糖質制限食で予防できるといえます。


江部康二


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
インスリンの噴霧
こんばんは。

「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」早くも再販とのことで、おめでとうございます。

お盆前の新聞記事に、インスリンを鼻に噴霧するタイプを開発し動物実験で効果が得られ、今後人による臨床試験に入るとありました。

現在インスリン注射をされている方や、ためらわれている方には、とても負担が軽くなると思います。 ただ実際人に使用出来るようになるには、どれ位の年月がかかるものなのでしょうか?
2009/08/21(Fri) 22:15 | URL | モン吉 | 【編集
Re: インスリンの噴霧

モン吉さん。

以前、肺に吸入するタイプのインスリンが開発されたことがありますが
安定した作用とならず、上手くいきませんでした。

鼻の吸入も動物実験の段階ですから、まだだいぶ時間がかかると思います。
何年かはよくわかりません。
2009/08/22(Sat) 07:31 | URL | 江部康二 | 【編集
ご回答有難うございます。
江部先生

すぐご回答頂きまして有難うございます。
以前、インスリンを肺に吸入するタイプも出ていたんですね。やはり実用化となると難しい問題が沢山あるのでしょうね。
2009/08/22(Sat) 13:14 | URL | モン吉 | 【編集
「「循環しているインスリンレベルが増加すると腫瘍の進展や死亡率が高まる。」

インスリンは、人体に絶対に必要不可欠なホルモンですが、分泌量や必要量が少なくてすめば、それにこしたことはないようです。」

とのことですが、先生はどのくらいになるとインスリン注射量が多いと思われますか?

私は2年前に1型を発症し当初は朝5昼5夜5就寝前5単位を打っていましたが現在は30ミックスを朝10昼8夜10打っています。
年々注射量が増えている為すごく不安になりました。ちなみにA1Cは5.5前後をキープしています。
先生のブログはとても参考になり元気を頂いています。

これからもご指導宜しくお願いいたします。
2009/08/24(Mon) 15:37 | URL | なんごく | 【編集
Re: タイトルなし
kumaさん。

腎機能が既に悪化しておられるので、
残念ながら糖質制限食は適応となりません。

クレアチニンが2~3mg/dlくらいまでなら
漢方治療で約6~7割の有効率があります。
効果は、最初の2ヶ月くらいでわかります。
そこで効果が無ければ残念ながら無効と考えて治療終了です。
効果があれば継続治療となります。
2009/08/24(Mon) 18:32 | URL | 江部康二 | 【編集
Re: タイトルなし
なんごくさん。

「A1Cは5.5前後をキープ」 

素晴らしいですね。


ご自身が1型糖尿病のバーンスタイン医師によれば
1回に打つインスリン単位は7単位くらいまでが好ましいようです。

これは理想として、いまで上限くらいですので、これ以上ふえなければいいですね。
糖質制限食を導入されたら、インスリンの単位数が減る可能性が高いですよ。
2009/08/24(Mon) 18:44 | URL | 江部康二 | 【編集
江部 先生
kumaです。昨日から突然御邪魔したのに関わらずらず、さっそくのお返事有難うございます。主人も私も先生方と何でもフランクに相談出来ていなかったので、お忙しい中のお返事・・本当に嬉しく思います。
 やはり、腎機能が低下しているので糖質制限食は適応できないのですね。これはどうにもなりませんね・・。もっと早くに出会えていたらと悔やまれますが・・。
 でも、漢方薬は効果があるかも知れない!と少しでも希望を感じる事が出来ました。当方、福岡在住なので、ブログでも紹介されていた「三宅漢方医院」へさっそくですが連絡を取ったところ、三宅和久先生からお返事メールを頂きました。「当院は江部先生のところ考案の漢方薬を使っております」と、これも感激でした。早急に三宅先生の処を受診して相談したいと思います。
 お返事本当にありがとうございます。
今後も色々な疑問点や壁にぶつかると思いますが、その時はどうぞお邪魔させて下さい。
 また、色々な情報収集の場としても閲覧させていただけると思うと心強いです。これからも宜しくお願いします。 kuma
2009/08/24(Mon) 22:06 | URL | kuma | 【編集
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