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75g経口ブドウ糖負荷試験の意味
おはようございます。

今回はフナさんから、経口ブドウ糖負荷試験の意味についてコメント・質問をいただきました。

「ブドウ糖負荷について
便通のフナです。いつもご指導ありがとうございます。血糖値どころか、歯周病まで劇的な改善を指摘され感動している今日です。わからない事があり質問します。
糖質制限すると正常人、どんぶり一杯の白米、トンカツ、たらこの甘露煮なんて食べると血糖値爆発。基礎分泌はある程度しっかりしている糖尿人はこんなもんだと思うんです。
で、ブドウ糖負荷試験は何の意味があるのか良くわかりません。
いろいろ調べると、75gだと茶碗一杯分ぐらいの糖質の様です。茶碗一杯分の糖質で何がわかるのかと。でも、先生のプログを漁ると、他の食品と比べ物がないぐらい吸収が早いとか。それで試験になるのかなとも思うんですが。どうもブドウ糖負荷のきっちりとした知識を得たいと感じました。
正確な知識を得ても、どっちみち、食後の高血糖をコントロールすること=糖質制限食には変わらないんですが。
2009/07/11(Sat) 12:11 フナ 」


フナさん。コメントありがとうございます。
血糖値の改善、歯周病の改善、良かったですね。(^^)

フナさんは、以前のコメントで、アトピーも良くなり、血圧も下がり、体重も減少で糖質制限食トータルに素晴らしい効果ですね。

歯周病の、最大の原因はプラーク(歯垢)です。プラークはただの食べカスではなく、生きた細菌の塊です。

歯垢中の細菌は、食物中の糖質を栄養源にしてどんどん増えていきます。糖質制限食ならエサがなくなって細菌が繁殖できず、プラーク(歯垢)が減りますので歯周病にも改善することが多いです。

さて、経口ブドウ糖負荷試験は、今は75gのブドウ糖負荷が主流です。この75gOGTTですが、糖尿病かどうかはっきりしない段階の人をチェックするための試験です。糖尿病が既に確定している人には、高血糖を引き起こすことがわかっているので、基本的に行いません。

糖尿病治療ガイド2008-2009によると

75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験) 
検査手順
①朝まで10時間以上の絶食のあと検査開始。午前9時頃が好ましい。
②空腹のまま採血し血糖値を測定する。
③次にブドウ糖を飲用させる。
④ブドウ糖負荷後、30分、1時間、2時間に採血し血糖値を測定する。
⑤空腹時血糖値と75gOGTTによる判定基準に従い、糖尿病型・正常型・境界型のいずれかに判定する。

A)75gOGTTは糖尿病の診断に必須ではない。。
自覚症状などから明らかな高血糖が疑われるときは、まず空腹時血糖値または随時血糖値を測定すべきである。高血糖状態で75gOGTTを行えば、さらなる高血糖を引き起こし有害である。

B)75gOGTTで空腹時と30分後のインスリン値を測定すれば、インスリン分泌能の指標であるインスリン分泌指数が計算できる。

C)75gOGTTで30分後と1時間後の血糖値は糖尿病の診断には必ずしも必要ないが、糖尿病ハイリスク群を見いだすのに役立つ。】

75gOGTTにより、初期の段階の糖尿病を拾い上げることができます。

例えば会社の健康診断で、空腹時血糖値は108mg/dlで正常でも、75gOGTTを実施すれば、2時間後血糖値が140mgを超えたり、200mgを超えることがあります。それぞれ境界型、糖尿病型と診断できます。

米国では、「50gブドウ糖チャレンジ・テスト」が妊娠糖尿病のスクリーニング検査として、広く行われています。チャレンジ・テストは食事摂取の有無にかかわらず50gのブドウ糖を経口で負荷して1時間後血糖値を調べ、140mg/dlを超えていれば、次の段階として75g経口ブドウ糖負荷試験を行うことになります。

なお、75g経口ブドウ糖負荷試験で1時間後血糖値が180mgを超えていると、2時間値が140mg/dl未満で正常型と診断されても将来糖尿型になりやすいことがわかっています。

結論です。

75g経口ブドウ糖負荷試験は、既に糖尿病とわかっている人や強く疑われる人には行いません。
 なぜなら高血糖を引き起こし有害だからです。

②糖尿病かどうかわからない人を、初期段階で拾い上げるための検査が、75g経口ブドウ糖負荷試験です。

☆☆☆
<糖尿病型・正常型・境界型の区分と判定基準>
75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)および、空腹時血糖値による判定基準と、随時血糖値による判定基準があります。まとめると以下のようになります。


75g経口ブドウ糖負荷試験および、空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)

A)正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。

B)境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合をいう。

C)糖尿病型
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。


随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型

Ⅲ 糖尿病の診断
  Ⅰ、Ⅱの糖尿病型を異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
負荷試験について
先生、いつもブログを参考にさせていただいております。
私も、10年ぶりの検診で先月初めに空腹時血糖地210(A1C7.3)が判明し、糖質制限食で、1ヶ月で140(A1C6.4)まで下がりました。(減量も緩やかに成功しています)
最初に測ったところと別のところでたまたま測ったもので、まだ「もう一度検査してインスリンの分泌も見てみましょう」といわれたまままだその検査をしていないのですが、その検査が「負荷試験」なのでしょうか。
となると、空腹時でもまだ140もある場合、先生のご意見ですと、危険なのでやらないほうがいい、という事になりますよね?

ただ、別の日の先生のブログを拝見すると、その試験によって、“インスリン追加分泌第一相反応”“第二相反応”がわかって、どのくらい機能が残っているかを見ることができる、と理解しているのですが、そこで質問です。

1.最初の病院に行って、その検査をしましょうと言われた場合、断った方がいいのでしょうか。

2.このまま糖質制限食を続けて、もっと空腹時血糖値が下がった場合、ある程度膵臓の機能が残っている、という事になりますか?
また、その先の膵臓の機能については、やはり負荷試験を行わないと、探ることはできないのでしょうか。

3.ブドウ糖を75g摂取する、ということは、225血糖値が上がってしまい、その日は高血糖になると思いますが、その高血糖は一日限りでも、危険なものなのでしょうか?また、どのくらい持続してしまうのでしょうか?
病院で350とかの値になっても、そのまま放っておかれるのでしょうか?

となると、少しでも血糖値が下がってから検査してみた方がいいのでしょうか・・・・

すいません、まだ未体験の検査に、不安が一杯です。

最後に、
4.先生が紹介なさっていた、『ひめのともみ先生』はご担当を見ると、心療内科なのですが、薬の処方などもして頂けるのでしょうか?
2009/07/16(Thu) 15:16 | URL | のり | 【編集
最近のこの手のページ
先生 いつもありがとうございます。

最近、糖尿病関係のブログなどで、いろいろな関係記事へのリンクがつきますが、一つ気になったページがあります。
http://www.tonyo-kokufuku.com/
ページを読んでみると、パンとステーキが比べてある画像などもあり、どうやら低糖質食をすすめているのかな?と思うのですが、
「3日で血糖値が劇的に下がる!」
「二度と糖尿病が再発しない」
「2~3杯加えるだけで血糖値が改善する食べ物」
「からだの中の毒素を三日で排出」
・・・などと歌われていて、びっくりしました。

なんだか、先生の方針をベースに、怪しい商売をしているようで、しかも、詳しい内容を見るには、お金がかかる、という、うさんくさい感じなのです。

「二度と再発しない」などと言ってしまっていいものなのでしょうかねぇ。
GI値の話も出てくるようなのですが、糖尿病の患者にGI値はそれほど関係ない、という先生のお話と違いますし・・・・・。

やはり、ベースが下がっても、糖質を摂れば、また血糖値は上がるのでは?と思うのですが。

「ウソ」の商売だとしたら、こうやって、無償で善意でみんなの悩みを聞いてくださっている先生の一方で、そんな商売している人がいるとしたら、怒りを覚えます!!

しかも、薬事法違反、ですよね。
2009/07/16(Thu) 15:52 | URL | 佐々木 | 【編集
糖質制限食始めました
江部先生こんにちは。

40代後半女性です。
朝の空腹時血糖値は110mg/dlの前後、HbA1cは5%台です。

http://mocamoca.com/temp/blood.gif

しかし年齢とともに、血糖値が上昇する傾向にあり、これをなんとか食い止めたいと思っています。
私の何よりの楽しみは食事とお酒。
これを一生なんとか続けたい物です。

先生のご著書を読み、とても感銘を受けました。
今まで、カロリー重視の糖尿病食に疑問を持っていました。
確かに肥満は大きなリスク要因ですが、もっと直接的に膵臓に負担がかかっている原因があるのではないか。
糖質制限食はそれにとても明快な回答をもたらしてくれました。
有り難うございます。

私もこれからは出来るだけ炭水化物を減らすようにしたいと思います。

しかし、この糖質制限食のことを知人に話したりブログに書くと、異を唱える人が少ないことに気がつきました。
曰く
1)脳はグルコースが必要。朝食は糖質の多いものにすべき
2)何でも食べるバランスのとれた食事が一番。
3)糖質制限は糖尿病の発症予防にはつながらない
 http://www.healthcastle.com/sugar-diabetes.shtml
 
などです。
しかし3)でも糖尿病発症後は糖質の摂取には管理が必要とは言っています。

先生のご著書やブログは一部しかまだ読んでいないので、これからもっと読んで、自分のような状況ではどのような対策をしたら良いのかなど知りたいと思っています。

今後ともよろしくお願いいたします。
2009/07/16(Thu) 16:10 | URL | モカ | 【編集
Re: おたずねします
まるこさん。

ほかにもゴーヤで血糖値が上昇しにくいという、ブログ読者さんの報告がありました。
文献的にもあるていどの効果は確認されています。
個人差はありますが、血糖値180mg/dlを超えると尿糖がでます。
過信はできませんが、ゴーヤへたな「特保」飲料より、ましかもしれません。
ゴーヤ、その内また記事にします。
2009/07/18(Sat) 07:43 | URL | 江部康二 | 【編集
お返事ありがとうございます
お忙しいところお返事ありがとうございます。確かに特保飲料のんでも 私の場合数値が下がることはなかったですわ またゴーヤに関する記事楽しみにしております。
2009/07/18(Sat) 10:21 | URL | まる子 | 【編集
負荷試験について
先生、私も、上の「のりさん」とまったく同じ状況にあります。
初回、空腹時が180あって、次回負荷試験をして見ましょう と言われたのですが、怖くて行っていません。

質問も、1~4まで、まったく同じなので、お時間のあるときに、どうぞ宜しくお願いいたします。
2009/07/23(Thu) 20:06 | URL | ゆり | 【編集
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