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<糖質制限食>VS<高糖質食>②
おはようございます。

長くなるので、記事を分けました。

[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]

という記載が某ホームページにあるようです。過去複数の皆さんから、同様のコメント・質問がありました。

[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]は事実誤認です。

生理学的事実、米国糖尿病協会の栄養勧告、欧米の権威ある疫学的研究などを検討してみましょう。

【09/06/09 ともみ

実は、
http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/newdiabetes.html
に気になる文章をみつけてしまいました。

「糖質が増えればそれだけインスリンを増量する必要があると考えられていました。しかし、この考えは誤りであることが間もなく分かったのです。糖尿病患者に糖質の多い食事を与えてもインスリンの必要量は増えなかったからです。たとえば、糖質50グラム、脂肪115グラムの食事を摂っていた患者が糖質120グラム、脂肪76グラムの食事に切り替えても、一定の範囲に血糖を保つのに必要なインスリンの量は変わらなかったのです。」

また、健康な人の低糖質食について、
[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]として、
「摂取カロリーは同じであっても、低糖質食(高脂肪食)で体重が増える・・・・糖質が少ない食事を続けていると、インスリンに対する感受性が低下します(=インスリンの働きが悪くなる)。最初の頃はインスリンをたくさん分泌することによってやりくりしていますが(=高インスリン血症といい肥満を伴います)、このような食事を摂り続けると次第にインスリン分泌能が疲弊して、最終的に糖尿病になってしまうのです。

インスリンはグルコースの刺激で分泌されるから、糖質が減ればインスリンの分泌が減る(=低インスリンダイエットの誤った理論)と思っておられるでしょうが違うのです。糖質が少なくなると、インスリンの働きが悪くなるから、ますます大量のインスリンを分泌するようになるのです。」

などと書かれていて、不安になってしまいました。】


医師のサイトにこのようなことが書いてあると、患者さんは不安になりますよね。

それでは検討です。

「糖質が増えればそれだけインスリンを増量する必要があると考えられていました。しかし、この考えは誤りであることが間もなく分かったのです。糖尿病患者に糖質の多い食事を与えてもインスリンの必要量は増えなかったからです。たとえば、糖質50グラム、脂肪115グラムの食事を摂っていた患者が糖質120グラム、脂肪76グラムの食事に切り替えても、一定の範囲に血糖を保つのに必要なインスリンの量は変わらなかったのです。」

この記載は事実誤認です。 (*_*)

<米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告 2008年> 
Diabetes Care 31:S61-S78, 2008
①炭水化物をモニタリングすることは、
 炭水化物計算にしろ、
 炭水化物交換にしろ、
 経験に基づく評価にしろ、
 血糖コントロールを達成するための
 鍵となる戦略である。
*炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨。

②減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食または低炭水化物食によるダイエットが推奨される。

このように、米国糖尿病協会の最新の栄養勧告で、炭水化物(糖質)を点検することを強く推奨しています。

これは三大栄養素のうち、糖質だけが血糖値を急激に上昇させるということを医師も患者も知識として持っているからです。

上記の中で炭水化物計算とは、糖質管理食のことです。欧米では1型糖尿病患者さんには、日本のようなカロリー制限食(高糖質食)ではなくて糖質管理食が一般的です。

糖質管理食は、「血糖値を急激に上昇させるのは糖質だけである」という生理学的事実に基づき、1回の食事に含まれる糖質のグラム数を計算して、それに見合う量のインスリンを食前に注射します。

当然、糖質量が多い時はインスリン注射の量も増やしますし、糖質量が少ないときは、インスリン注射の量を減らします。

また、高雄病院に入院された糖尿人で、インスリン注射を打っている方も50人以上おられました。

糖質たっぷりのカロリー制限食を食べていた糖尿人が、入院後スーパー糖質制限食に切り替えたらインスリン注射の量が1/3以下になります。さらには、インスリン注射が中止できる人も2割くらいおられます。

タンパク質と脂質は、血糖値をほとんど上昇させません。従って、糖質制限食実践により、インスリンの必要量が激減するのです。

[糖質が少ない食事を摂り続けると体重が増えて糖尿病になる]として、
「摂取カロリーは同じであっても、低糖質食(高脂肪食)で体重が増える・・・・糖質が少ない食事を続けていると、インスリンに対する感受性が低下します(=インスリンの働きが悪くなる)。最初の頃はインスリンをたくさん分泌することによってやりくりしていますが(=高インスリン血症といい肥満を伴います)、このような食事を摂り続けると次第にインスリン分泌能が疲弊して、最終的に糖尿病になってしまうのです。
インスリンはグルコースの刺激で分泌されるから、糖質が減ればインスリンの分泌が減る(=低インスリンダイエットの誤った理論)と思っておられるでしょうが違うのです。糖質が少なくなると、インスリンの働きが悪くなるから、ますます大量のインスリンを分泌するようになるのです。」

この記載も事実誤認です。 (*_*)

糖質制限食で体重が減少します。また、糖質制限食なら血糖値はほとんど上昇しないので、追加分泌インスリンもごく少量で済みます。

一方、糖質を摂取すれば、食後高血糖を生じるので追加分泌インスリンが大量に分泌されます。1日のうちで朝昼夕の3回、間食をいれれば5回くらい、追加分泌インスリンが大量に分泌されます。

このような糖質中心の食生活を長年続けていれば、肥満ホルモンであるインスリンの影響でメタボになります。追加分泌インスリンを大量に長年出し続けて膵臓が疲弊してしまい、インスリン分泌能が減ると、 糖尿病を発症します。

体重減少に関しては、2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
低炭水化物食糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。

これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。

<低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。>
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241

また、人類400万年の進化の中で、農耕が始まるまでの399万年間は、人類皆糖質制限食であったこともお忘れなく・・・ (^_^)

人類は、狩猟・採集・糖質制限食に適応するように、生理・代謝・行動など399万年をかけて進化したのです。

ともみさん、安心していただけたでしょうか?


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
どうもありがとうございます!!!
先生、とても丁寧にお答えくださり、安心しました。どうもありがとうございます。

安心して、低糖質食を続けていけます。

糖質の量は、一日トータルというよりは、一回の糖質が10~15、多くても20を超えない、という事が大切だ、という事ですね。

調味料の分のゆとりができた気がします。笑

ところで、もう一つの質問の、
『以前、「果物の糖質は、半分で計算しても大丈夫」とブログにありましたが、朝食代わりに、糖質10g分(つまりホントは20gくらい)の果物を食べても大丈夫でしょうか?
また、レモン汁にも糖質が10mlで0.9gありますが、これも、半分で計算しても大丈夫でしょうか?』

も、お時間のある時に、ぜひ教えてください。


頑張って続けていったら、手足や唇の痺れも取れるといいのですが・・・。
2009/06/12(Fri) 02:41 | URL | ともみ | 【編集
糖質量について
私も糖質制限食を実施しています。初めは、先生の本の糖質量を見てシビヤーに考え食べる食べないを判断していました。暫くして血糖値のコントロールのうまく行きだし、少し糖質の多いものも試しに食べてみましたが、食後の血糖値の上昇が大きいので、基本的には糖質の多いものは敬遠しています。それからは糖質の多いと思われるものを食べた時は食後血糖値を測り、良いかどうかを判断しています。血糖値の上昇は人により異なりますので、実験して判断されることをお勧めします。
2009/06/12(Fri) 08:47 | URL | イーサン | 【編集
Re: どうもありがとうございます!!!
ともみさん。

> 糖質の量は、一日トータルというよりは、一回の糖質が10~15、多くても20を超えない、という事が大切だ、という事ですね。

そうです。それで食後高血糖が防げます。

> ところで、もう一つの質問の、
> 『以前、「果物の糖質は、半分で計算しても大丈夫」とブログにありましたが、朝食代わりに、糖質10g分(つまりホントは20gくらい)の果物を食べても大丈夫でしょうか?
> また、レモン汁にも糖質が10mlで0.9gありますが、これも、半分で計算しても大丈夫でしょうか?』

糖質20gを含む果物は、穀物の糖質10gに相当し、血糖値を約30mg上昇させますが
食後高血糖にはならないでしょう。
レモン汁も大丈夫です。
2009/06/12(Fri) 15:52 | URL | 江部康二 | 【編集
Re: 糖質量について
イーサンさん。

ご指摘通り個人差があります。
血糖自己測定器を上手に活用ですね。
2009/06/12(Fri) 15:58 | URL | 江部康二 | 【編集
再びありがとうございます!
安心して、果物が摂れます。
朝は、ヘビーなものよりも、食べやすいので、嬉しいです。

果物の糖があまり急激に血糖値をあげない、というのは、もしかしたら、先生が実証なさっているワインも果物の残糖分だからなのかもしれませんね。

昔からよく愛用している、黒と白のバルサミコ酢にもかなりの残糖がある事がわかったのですが、それでも、米酢や砂糖などで甘味を足すよりは 良いのかもですね。
2009/06/12(Fri) 16:59 | URL | ともみ | 【編集
果物はGI値が低い
こんな記事を見つけました。

『果物のGI値(炭水化物を含む食品の血糖上昇作用を数値化した指数)は低いです。「豊富に含まれている水溶性の食物繊維が胃の中の粘度を高め、急激な血糖値の上昇を抑制する」からです。果糖のような単糖類は血糖値を上げると思われがちだが、実際は、「くだものの糖類は、食物繊維の影響で吸収されにくい」。』

これを読むと、むしろ、果物の糖分はあまり気にしなくてもいいのでは?と思ってしまいますが、どうなのでしょう。

食事と一緒に摂ると、溶性の食物繊維が胃の中の粘度を高め、急激な血糖値の上昇を抑制するということは、食後に、フルーツを摂った方がいいのかもしれませんね。

糖尿病の方でも同じでしょうか・・・・。

ともみ さんの質問にもありましたが、ワインで上昇しないのもそのせい??

そこで疑問が!

野菜の糖質も、穀類と同じように気にした方がよいのでしょうか?
それとも、果物の果糖を同じように、半分くらいで計算しても大丈夫でしょうか?
2009/06/12(Fri) 17:17 | URL | さかい | 【編集
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