2009年05月29日 (金)
こんにちは。
今回はメイさんから、リラグルチド注射などについて、コメント・質問をいただきました。
「おはようございます。
糖質制限約1か月をむかえます。
が、ここニ週間空腹時血糖値が下がりません。
食後は成果がでてると思います。
277(制限を始める前)→176(現在空腹時)
297(制限を始める前)→180(食後2時間以降)
二週間くらいで180くらいまで下がったのですが(100近く下がったので、それはそれは喜んでおります!)、そこからの二週間は下がらないです。
体重も落ちないのでやはり何か間違っているのかもしれません。
運動を全くしていないせいかもしれません。
アクトスを飲んでも変わらない気がして、
試しにアマリール3㎎を飲んで5時間後くらいに測ったら朝「180」だったのに「114」まで下がっていました。
喜ぶというよりびっくりして江部先生が低血糖にきをつけてとおっしゃったのを身にしみて感じました。(なんせ、長い間血糖値が高かったのにお薬を飲んだのが初めてだったので。)その後はアマリールで下がったおかげで朝の値も140~150くらいになっていたのでこのまま薬を飲まずに糖質制限で下がればいいなと思っていました。
が、やはり今朝は170まで戻ってしまいました。明日検診に行くので担当の先生は数値をみてどう考えて処方されるのかな・・なんて思っています。
アマリールが私には効くお薬ってことなのか、糖質制限していたから効きがよかったのか・・。
申請されている「2型糖尿病治療薬リラグルチド」という新薬は今後糖質制限をしながらも低血糖を起こさない薬として期待できるものなのでしょうか・・。
メイ | 2009.05.28(木)」
メイさん。
コメントありがとうございます。
早朝空腹時血糖値高値の一番の原因は、基礎分泌のインスリンが不足しているためと考えられます。(*)
基礎分泌のインスリンが不足気味だと、夜間の肝臓の糖新生がコントロールできなくて、早朝空腹時血糖値が高値となります。眠前の血糖値より早朝空腹時血糖値が高値となる、「暁現象」を呈すこともあります。(**)
食後高血糖がなくて、早朝空腹時血糖値126mg未満なら、血管の合併症のリスクはほとんどありません。
メイさんも、徹底的にスーパー糖質制限食を実践して膵臓が休養できたら、ある程度β細胞が回復して、早朝空腹時血糖値が改善する可能性はあります。
高雄病院入院中の糖尿人で、入院時空腹時血糖値が200mg/dlを超えていたのが、2週間後には100mg/dlになった例もあります。
しかし個人差が大きいです。入院して徹底的に糖質制限食を実践しても、早朝空腹時血糖値が140mg/dl未満とならない人もおられます。
早朝空腹時血糖値が140mg/dlを日常的に超えていると、血管の合併症を生じやすくなります。
主治医と相談されて、アマリール(1)1錠とかアマリール(3)1錠とか、低血糖に注意しつつ
しばらく糖質制限食と併用という選択肢もあります。
さて、
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は、5月23日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会において、新規2型糖尿病治療薬 ヒトGLP-1アナログ製剤リラグルチドの2つの第3相試験の結果を発表しました。
リラグルチドは、1日1回の皮下注射剤です。血糖値の改善が期待されますが、重大な低血糖を誘発することは少ないと考えられています。体重も減少させる作用があります。従って、比較的使いやすい注射薬といえます。
GLP-1(glucagon-like polypeptides 1)は、食物の摂取に反応して発現するペプチドホルモンです。その効果は、膵臓ランゲルハンス島β細胞からのインスリン分泌を促進し、β細胞そのものの復元に作用し、幾分かのインスリン機能の回復を果たすと考えられています。
リラグルチドは、GLP-1アナログとして設計されており、血中でのGLP-1様活性を長期間維持し、2型糖尿病の治療に効果を発揮するとされています。日本での販売はまだですが、糖質制限食との併用も期待できる新薬ですね。
江部康二
(*)インスリン
人体で唯一血糖値を下げるホルモン。膵臓のβ細胞でつくられ分泌される。24時間少量持続的にでている基礎分泌のインスリンと血糖値が上昇したときにその10~20倍の量がでる追加分泌がある。インスリンが追加分泌されると、筋肉細胞が血糖を取り込むが、余った血糖が中性脂肪に変わるので、インスリンは別名肥満ホルモンと呼ばれる。
(**)暁現象と早朝空腹時血糖値
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となる。
また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがある。就寝後8~10時間で、血糖値が上昇する暁現象である。
肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるため肝臓の糖新生が高まり、起床時に就寝時より血糖値が高くなる。
☆☆☆
糖尿人の目標 -糖尿病合併症予防のために-
① 空腹時血糖値140mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満
今回はメイさんから、リラグルチド注射などについて、コメント・質問をいただきました。
「おはようございます。
糖質制限約1か月をむかえます。
が、ここニ週間空腹時血糖値が下がりません。
食後は成果がでてると思います。
277(制限を始める前)→176(現在空腹時)
297(制限を始める前)→180(食後2時間以降)
二週間くらいで180くらいまで下がったのですが(100近く下がったので、それはそれは喜んでおります!)、そこからの二週間は下がらないです。
体重も落ちないのでやはり何か間違っているのかもしれません。
運動を全くしていないせいかもしれません。
アクトスを飲んでも変わらない気がして、
試しにアマリール3㎎を飲んで5時間後くらいに測ったら朝「180」だったのに「114」まで下がっていました。
喜ぶというよりびっくりして江部先生が低血糖にきをつけてとおっしゃったのを身にしみて感じました。(なんせ、長い間血糖値が高かったのにお薬を飲んだのが初めてだったので。)その後はアマリールで下がったおかげで朝の値も140~150くらいになっていたのでこのまま薬を飲まずに糖質制限で下がればいいなと思っていました。
が、やはり今朝は170まで戻ってしまいました。明日検診に行くので担当の先生は数値をみてどう考えて処方されるのかな・・なんて思っています。
アマリールが私には効くお薬ってことなのか、糖質制限していたから効きがよかったのか・・。
申請されている「2型糖尿病治療薬リラグルチド」という新薬は今後糖質制限をしながらも低血糖を起こさない薬として期待できるものなのでしょうか・・。
メイ | 2009.05.28(木)」
メイさん。
コメントありがとうございます。
早朝空腹時血糖値高値の一番の原因は、基礎分泌のインスリンが不足しているためと考えられます。(*)
基礎分泌のインスリンが不足気味だと、夜間の肝臓の糖新生がコントロールできなくて、早朝空腹時血糖値が高値となります。眠前の血糖値より早朝空腹時血糖値が高値となる、「暁現象」を呈すこともあります。(**)
食後高血糖がなくて、早朝空腹時血糖値126mg未満なら、血管の合併症のリスクはほとんどありません。
メイさんも、徹底的にスーパー糖質制限食を実践して膵臓が休養できたら、ある程度β細胞が回復して、早朝空腹時血糖値が改善する可能性はあります。
高雄病院入院中の糖尿人で、入院時空腹時血糖値が200mg/dlを超えていたのが、2週間後には100mg/dlになった例もあります。
しかし個人差が大きいです。入院して徹底的に糖質制限食を実践しても、早朝空腹時血糖値が140mg/dl未満とならない人もおられます。
早朝空腹時血糖値が140mg/dlを日常的に超えていると、血管の合併症を生じやすくなります。
主治医と相談されて、アマリール(1)1錠とかアマリール(3)1錠とか、低血糖に注意しつつ
しばらく糖質制限食と併用という選択肢もあります。
さて、
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は、5月23日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会において、新規2型糖尿病治療薬 ヒトGLP-1アナログ製剤リラグルチドの2つの第3相試験の結果を発表しました。
リラグルチドは、1日1回の皮下注射剤です。血糖値の改善が期待されますが、重大な低血糖を誘発することは少ないと考えられています。体重も減少させる作用があります。従って、比較的使いやすい注射薬といえます。
GLP-1(glucagon-like polypeptides 1)は、食物の摂取に反応して発現するペプチドホルモンです。その効果は、膵臓ランゲルハンス島β細胞からのインスリン分泌を促進し、β細胞そのものの復元に作用し、幾分かのインスリン機能の回復を果たすと考えられています。
リラグルチドは、GLP-1アナログとして設計されており、血中でのGLP-1様活性を長期間維持し、2型糖尿病の治療に効果を発揮するとされています。日本での販売はまだですが、糖質制限食との併用も期待できる新薬ですね。
江部康二
(*)インスリン
人体で唯一血糖値を下げるホルモン。膵臓のβ細胞でつくられ分泌される。24時間少量持続的にでている基礎分泌のインスリンと血糖値が上昇したときにその10~20倍の量がでる追加分泌がある。インスリンが追加分泌されると、筋肉細胞が血糖を取り込むが、余った血糖が中性脂肪に変わるので、インスリンは別名肥満ホルモンと呼ばれる。
(**)暁現象と早朝空腹時血糖値
インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となる。
また、就寝時より起床時の血糖値の方が、高値となることがある。就寝後8~10時間で、血糖値が上昇する暁現象である。
肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるため肝臓の糖新生が高まり、起床時に就寝時より血糖値が高くなる。
☆☆☆
糖尿人の目標 -糖尿病合併症予防のために-
① 空腹時血糖値140mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満
江部先生、回答ありがとうございます。
いつもありがたく思っています。
本日は検診日でした。(*^_^*)
糖質制限の話しはできませんでしたが、
数値を見せてアマリールを飲んだ日に急に下がったのでその後アクトスしか服用しなかったこと、食事療法をもっとやりたいので、すい臓に負担の少ない薬でお願いしたいことなど。。
そしたら効きは悪いけど2週間くらいそうしましょう。(アクトス・ベイスン)と、言って下さいました。
でも、助走つけて下げてしまうのも悪くないんですよ~。アマリール飲み続けてみて欲しかったと。食後血糖値が先生は300を超えてると思っているようなので低血糖にはなりにくいと思っているようです。
いえいえ、糖質制限してからそんなになっていないのです。
残ってる分飲んでから今回のに変えてもいいからと言われました。
意外だったのは先生がよく話しを聞いてくれたのと治療の話しを押しつけてこなかったことです。
下がらない期間が長くなると薬を飲むことで気が休まるのも事実です。
楽しく美味しく続けられるように、いいランディングできるようもっていけるように、薬と糖質制限を組み合わせていい状態にしたいです。
怖かった血液検査の結果もコレステロールが230と、ちょっと高かった以外は大丈夫だったので、モチベーションも上がりました。!(^^)!
新薬は期待できるお薬なんですね。!(^^)!
いつもありがたく思っています。
本日は検診日でした。(*^_^*)
糖質制限の話しはできませんでしたが、
数値を見せてアマリールを飲んだ日に急に下がったのでその後アクトスしか服用しなかったこと、食事療法をもっとやりたいので、すい臓に負担の少ない薬でお願いしたいことなど。。
そしたら効きは悪いけど2週間くらいそうしましょう。(アクトス・ベイスン)と、言って下さいました。
でも、助走つけて下げてしまうのも悪くないんですよ~。アマリール飲み続けてみて欲しかったと。食後血糖値が先生は300を超えてると思っているようなので低血糖にはなりにくいと思っているようです。
いえいえ、糖質制限してからそんなになっていないのです。
残ってる分飲んでから今回のに変えてもいいからと言われました。
意外だったのは先生がよく話しを聞いてくれたのと治療の話しを押しつけてこなかったことです。
下がらない期間が長くなると薬を飲むことで気が休まるのも事実です。
楽しく美味しく続けられるように、いいランディングできるようもっていけるように、薬と糖質制限を組み合わせていい状態にしたいです。
怖かった血液検査の結果もコレステロールが230と、ちょっと高かった以外は大丈夫だったので、モチベーションも上がりました。!(^^)!
新薬は期待できるお薬なんですね。!(^^)!
2009/05/29(Fri) 19:50 | URL | メイ | 【編集】
横から失礼します。
リラグルチドなどのGLP-1アナログ製剤は期待していますが、リラグルチドは最近米国で甲状腺癌との関連を示唆する動物試験の結果が出たとかで、米国では承認が難しくなっているようです。DPP-4阻害剤もちょっと心配です。
リラグルチドなどのGLP-1アナログ製剤は期待していますが、リラグルチドは最近米国で甲状腺癌との関連を示唆する動物試験の結果が出たとかで、米国では承認が難しくなっているようです。DPP-4阻害剤もちょっと心配です。
2009/05/30(Sat) 06:39 | URL | 下町の糖尿人 | 【編集】
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