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新型インフルエンザと糖尿病
おはようございます。

日本中が、新型インフルエンザで右往左往しています。

幸い、「感染力や病原性などは季節性インフルエンザと変わらない」ということで、舛添厚労相も感染者対策緩和の方向を示しました。

さて今回は、新型インスルエンザと糖尿病に関して、たーぼーさんから、コメント・質問をいただきました。

「新型インフルエンザの報道に「糖尿病患者は要注意」との記述が目立ちます。
なぜ糖尿人は一般人より新型インフルエンザに感染した場合に危険なのか、ご教授願えないでしょうか?
当方、昨年10月に糖尿病と診断され、江部先生の本を読み糖質制限食に取り組み、最近のデータではA1C5.2とコントロール良好です^^。
先生のお陰と感謝しています。また、父も糖尿病なのですが、まだ糖質制限食のことは知らないと思いますので、来月父の日に江部先生の本をプレゼントしようと決めてます。あ、余談になってしまいすみません。お忙しいところ恐縮ですが、糖尿人にとっては切実な問題(生死に関わる?)と思いますので、時間があるときにコメントいただければ、幸甚でございます。

たーぼー | 2009.05.18(月) 」


たーぼーさん。
コメントそして本のご購入ありがとうございます。

糖尿病患者は要注意」ですが、新型インフルエンザ、従来のインフルエンザ、あるいは細菌性の肺炎・・・、

要するにウィルス感染も細菌感染も真菌感染も、全ての感染症において、「糖尿病患者は要注意」となるわけです。

これは、正確には「血糖コントロールの悪い糖尿病患者は感染症に要注意」ということを意味します。
確かにコントロール不良の糖尿人は、感染症にかかりやすく悪化しやすいのです。それでは血糖コントロールが悪いとなぜ、感染症に弱くなるのでしょう。

血糖値が高いと白血球や免疫の機能が落ちるし、細い血管の血流が悪くなり、感染の回復が遅れます。しかも、感染があると血糖値がさらに上昇するという悪循環をまねきやすいのです。(=_=;) 

例えば、身近な感染症で「おでき」とか皮膚にできることがあります。白血球など免疫系の細胞がおできの中の細菌を退治にかけつけますが、血糖値が高いと毛細血管レベルで血流が悪くて末梢まで到達しにくくなります。血糖値が高いと白血球そのものの機能も低下しています。

また、最終的におできの傷がふさがって治るときに、血流が良ければどんどん肉が盛り上がって治りますが、血流が悪い糖尿病の人は、栄養分も酸素も不足して治りにくいのです。糖尿病で血流が悪くなる最大の理由は、血糖値が高いことそのものです。

それでは、糖尿人には救いは無いのかというと、そんなことはありませんよ。

血糖コントロールが良好な糖尿人においては、白血球など免疫細胞もしっかり働いてくれるし、血流も毛細血管にいたるまでスムースに保たれています。

従って、糖質制限食実践で正常の血糖値を保っていれば、感染症に対しても正常人と同様の力を発揮できます。 (^_^)

一方、糖尿病歴が長くて既に末梢の細小血管に動脈硬化など、回復不能の血流障害がある場合は、その時点で血糖コントロールを良くすれば進行はとまりますが、改善はみこめません。( ̄_ ̄|||)

ブログ読者の糖尿人の皆さん、血糖コントロールは早ければ早いほど好ましいので、美味しく楽しく糖質制限食ですね。(⌒o⌒)v


江部康二


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
ありがとうございます
丁寧に教えて下さり、ありがとうございます。やはり、1時間の値が上がっているというのは、低下しているのですね。。
自分では糖質制限をしているつもりだったのですが。。。(でも、やはり食べている気もします・・)子供のためにも、赤ちゃんの為にも気合いを入れて頑張ります!
このページを見ると、改善されている方も随分いらっしゃるので、勇気づけらるし、頑張ろう!という気持ちになります。とても、有り難いです。
妊娠中のエリスリトールも大丈夫そうなので、早速、購入してみます!
ありがとうございました。
2009/05/19(Tue) 11:22 | URL | ぱそ犬 | 【編集
ありがとうございました。
やっと腎炎が治ったのに今度は膵炎…糖尿病もあるのにと大変悩んでおりました。これからは脂質を控えて糖質制限を続けていきたいと思います。
先生、お忙しいところ本当に本当にありがとうございました。
2009/05/19(Tue) 12:30 | URL | わかば | 【編集
江部先生

ご親切な回答を頂きましてありがとうございました。糖質コントールが良好ならば正常人と同じ、と聞いて安心しました。
これからも糖質コントロールに励みたいと思います。
本当にありがとうございました。
2009/05/19(Tue) 13:19 | URL | たーぼー | 【編集
胆石について。
 初めまして いつも読ませていただいて
います。
3月に 血糖値220 A1cが8.4で、糖尿病といわれて、現在経過観察中です。幸いにも
すぐに糖質制限を初めましたのでカロリー療法の弊害は 受けずにすみました。
 まだ次の検査を受けていないのでA1cはわかりませんが 体重も順調に落ちていますし、血糖値も玄米ご飯を100グラム食べても、20分程度の運動で、60分 104 120分 134ぐらいです。

 お聞きしたいことは、胆石のことです。
10年くらい前から胆石があります。
動かないので、そのままになっています。
 最近、食事の後に運動をしたときなどに背中に痛みを感じるときがあります。
胆石には、高脂肪の食事は、良くないのもわかっていたのですが。 全く動かなかったので、油断というか 忘れていました。
 高脂肪食で 胆石が動き出す(痛み出す)ことはあるでしょうか。  このまま、糖質制限食を続けていっても大丈夫でしょうか。

 お忙しいと思いますが よろしくお願いします。 

2009/05/19(Tue) 21:40 | URL | ケイ | 【編集
Re: セイブルについて
ゆうなさん。

朝食抜きで病院へ行かれたのなら、そこそこ歩いている可能性もありますね。
セイブルは関係なく、単純に朝から絶食でいろいろ動いて低血糖ではないでしょうか?
2009/05/19(Tue) 23:56 | URL | 江部康二 | 【編集
はじめまして
いつも拝見しており勉強させていただいてます。

自分は去年にa1c8,7を出して糖尿と診断されカロリー療法と運動とメトホルミンで1年近く頑張ってもどうしても6,0までしか落ちなかったのが、江部先生の糖質制限を知りゆるく(1日に1食か2食を主食抜きくらいの制限で、取る主食は玄米か全粒パン50gなどです)半年実践したところ体重は20kgも減り、a1cもみるみる5,3となり驚いております。やはり問題は糖質量なのですね。

ところで自分は毎年の人間ドックで異常値を出しておらず(フルクトサミンは毎回240くらいで空腹時はだいたい100くらいでした)去年いきなりドック後すぐに血糖480の8,7となったわけで、恐らく食後血糖異常の隠れ糖尿に数年はかかっていたのだと推測しておりβ細胞の損傷はまだ軽症なのだと信じたいですが、まだ34歳で長い人生の先行きがとても不安で眠れない時も多いです。

糖尿は一度かかると毎年じわりじわりと必ず進行していきます!糖尿を発症したらその後β細胞を維持することは現代医学では無理で減る一方です。サプリなどでも当然進行は防げません。と医者に断言され凹むんですが、今後平均寿命くらいまでとは言わないまでも50歳程度まで悪化させずにβ細胞機能を維持することなんてできるでしょうか?
それとも糖質制限でコントロール良好に5,3くらいで保っていても(毎食2時間後値は測っており現在は大体100+-20程度の推移です)β細胞はやはり緩やかに減り続けるのでしょうか?確定的なことは膵臓を取り出しての定量検査など出来ないのでわからないとは思いますが、よろしければお教えください。
2009/05/20(Wed) 03:09 | URL | てぃむ | 【編集
Re: 胆石について。
ケイさん。

胆石がある人が糖質制限食をしても、それ自身が痛みを誘発したり胆嚢炎のリスクになるということはないと思います。

一方現在胆嚢炎がある人は、当然低脂肪食になります。

ただケイさんの場合、時々背中が痛むとのことですので、疲れが溜まったりストレスなどで
胆嚢炎など起こすリスクはありますね。

腹腔鏡による手術が安全に行えるようになったので、選択肢の一つと思います。
私の患者さんも数人腹腔鏡で胆のう手術され経過良好でしたよ。
2009/05/20(Wed) 07:57 | URL | 江部康二 | 【編集
ありがとうございます。
 お返事ありがとうございました。
私の場合 担当医の先生が取らなくて良いという考えのようで、「カロリー制限していれば、動かないはず、わざわざ、取らなくても良い」 なのです。  糖質制限は
話していませんので、仕方が無いですが。

 食直後の運動だけをやめて、少し頑張ってみます。

 江部先生、インフルエンザも流行っていますし、どうぞご自愛ください。
 ありがとうございました。
2009/05/20(Wed) 15:40 | URL | ケイ | 【編集
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