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糖質制限食と検査データ
おはようございます。昨日から長袖の白衣をやめて半袖タイプに変更した江部康二です。

今日から通勤も半袖にします。

さて今回は、糖質制限食と検査について退屈夢想庵さんから、ご自身のデータを提示していただきました。

【09/04/12 退屈無想庵
糖質制限食について
糖質制限食のデメリットというか結果として現れることについて、自分の人体実験的にいえることは、
①尿酸値は上昇します
②尿素窒素は上昇します
③カリウムは上昇します
④クレアチニチンは変わりません
⑤中性脂肪は改善します
⑥眠気はなくなります
⑦思考は自分ではシャープになったような気がします。
⑧耐久力増強を感じます
そもそも痛風の発作を2回ほど経験して薬を飲んでいますが、糖質制限食を始めてからはやや上がり気味です。中性脂肪は高かったのが一気に解消しました。
30年以ジョッギングをしていますが、体重減少(8kg減)もあると思いますが、走る距離が伸びても苦痛ではありません。
思考能力は全く主観的なものですが、糖質制限食をはじめてからは、集中力がついたように感じています。
したがって頭も自分ではシャープになったように感じています。知的論争では若い部下に充分勝利します。(思い込み?)
57歳、男性です。糖質制限食は約1年です。体重は55kgで安定しています。身長は169cm。皆様のご参考までに。】


退屈夢想庵さん。コメントありがとうございます。ジョギング好調で良かったですね。 (^_^)

糖質制限食実践による検査データの変化ですが、はっきり一定の傾向がでるものとでないものがあります。

糖質制限食実践で

1 血糖値はリアルタイムに改善します。
2 スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に、1~2%改善します。
3 中性脂肪も速やかに改善します。
4 HDL-コレステロールは増加します。
  増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
5 LDL-コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
  上昇した人も半年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
6 総コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
  上昇した人も半年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
7 尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
  上昇した人も半年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
8 尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことがおおいです。
9 クレアチニンは不変です。
10 カリウムも不変のことが多いです。

ちなみに下記は、数年来スーパー糖質制限食実践中の、江部康二の2009年1月のデータです。

血糖値:104mg(60~109)
HbA1c:5.3%(4.3~5.8)
中性脂肪:45mg(50~149)
HDL-コレステロール:105.9mg(40~85)
LDL-コレステロール:108mg(140未満)
総コレステロール:223mg(150~219)
ケトン体:1426μM(26~122)
尿酸:2.7mg/dl(3.4~7.0)
尿素窒素:12.9mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.62mg/dl(0.6~1.1)
カリウム:4.7mEq/L(3.6~5.0)

私の場合、HDL-コレステロールは増加して、LDL-コレステロールは少し減少しました。
1999年はTC210、HDL69.7、LDL123でした。

尿酸はもともと低い方でしたが、糖質制限食で上昇することはありませんでした。尿素窒素は、初期の段階で23mgのことがありましたが、その後おちつきました。


退屈夢想庵さんの場合は
①尿酸値は上昇
②尿素窒素は上昇
③カリウムは上昇
④クレアチニチンは不変
⑤中性脂肪は改善

ですね。

カリウム値の上昇は、採血時に赤血球が壊れることがあるので、その影響かもしれませんね。

尿酸は体質がかなり影響しますので、退屈夢想庵さんもともと痛風があるので少し気になると思いますが、糖質制限食の影響で上昇傾向になったものは、時とともに落ち着くことが多いです。

次に体調面ですが、炭水化物を大量に食べていた人はなれるまで1~2ヶ月かかるようですが、基本的には退屈夢想庵さんと同様いいほうに変化しますね。
⑥眠気はなくなります
⑦思考は自分ではシャープになったような気がします。
⑧耐久力増強を感じます

まず、空腹時血糖値食後血糖値の差が少なくなり、追加分泌インスリンもごく少量ですみますので代謝が安定します。

追加分泌インスリンが少ないので、食後3~4時間の低血糖なども生じにくく眠気などもなくなります。また血糖値の上下動が少ないと心理的に安定します。

食事中も含めて脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムが常に活性化していて、ジョギングなど有酸素運動中も、筋肉中のグリコーゲンを節約することができるので持久力は向上します。

さらに血液がサラサラになるので、毛細血管にいたるまで血流がよくなり、自然治癒力が高まります。結果として、皮膚がしっとりしてきたり、毛髪が太くなったり、アレルギー症状が改善したりします。

まあ、人類は399万年間、狩猟・採集(糖質制限食)をしながら、進化をとげたわけですので、糖質制限食が身体に悪かろうはずがありません。

清く正しくカロリー制限食より、美味しく楽しく糖質制限食ですね。(⌒o⌒)v


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
糖質制限食と症状
江部先生、こんにちは。ボストン在住のチサトと申します。

空腹時血糖が115mg/dl、HbA1c5.5%という状態で半年程悩んでいたところ、先生のブログに出会う事が出来、早速先生の書かれたご本を取り寄せました。できることは沢山あるよとのメッセージに大変励まされました。現在、スーパー制限食歴2ヶ月半です。

現在のデータは
41歳女性、身長156cm、47kg(1kg減)
空腹時血糖85mg/dl
75g負荷試験 60min 256mg/dl 120min 197mg/dl

これからも続けていくつもりですが、一つ悩んでいる症状があり、スーパー制限食を始めてから少量でも油断して炭水化物を摂取すると(糖質として10g程)体に強い反応が表れるようになってしまいました。

摂取1時間で頭痛、首筋や耳の後ろに張りがあり、その後強い眠気と空腹感がおそってきます。最近ではリンゴ1/3個でもこの症状があり控えております。

ファミリードクターの紹介で、一ヶ月半後に内分泌専門医に予約を入れる事ができたのですが、インスリンの分泌を調べて欲しいと強く主張した方がいいでしょうか。ある程度考えをまとめて行かないと英語で上手く説明できるか不安です。よろしくお願いします。
2009/04/21(Tue) 10:54 | URL | チサト | 【編集
機能性低血糖?
チサトさん

「境界型糖尿病+機能性低血糖症」
の可能性もありますので
仰有る通り、インスリンの分泌を調べた方がいいですね。

機能性低血糖の疑いなら、米国では
75G負荷試験を5時間行うのが普通です。

機能性低血糖症の場合も、糖質制限食を実践していていれば、インスリンの過剰分泌がないので、通常は低血糖は起こさなくなります。(2008年03月24日のブログ、炭水化物摂取と眠気-機能性低血糖症、ご参照ください。)
2009/04/21(Tue) 11:54 | URL | 江部康二 | 【編集
ありがとうございます。
江部先生、お忙しい中返答下さって感激です。診察では、しっかりと症状を訴えて来ようと思います。

私の持っている健康保険では、必ずプライマリケアを通さないと専門医に行けずそれがときどき不自由に感じられ、日本のシステムがうらやましく思えるときがあります。でも日本は日本で専門医の先生が忙しすぎるなどの問題があるのですよね。

先生もお体に気をつけてお仕事されて下さい。
2009/04/21(Tue) 13:55 | URL | チサト | 【編集
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