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「糖質制限食のデメリット?」について
こんばんは。今日もとても暖かいです。桜も一部散り始めています。

広沢池の桜はほどよく満開で、桜守、佐野藤右衛門さんの桜は、観光道路添いは散り始めてますが、庭園の中は満開です。

ライトアップもしてあるので、高雄病院の帰り道に花見しながら優雅な毎日です。 (^_^)

さて今回は、「糖質制限食のデメリット?」について、糖尿人の匿名希望さんから質問がありました。


【 江部先生
糖質制限食を始める前に主治医に確認してみたのですが、大きく2点の問題があると言われました。

・脳の働きが悪くなる
・栄養のバランスが悪くなり弊害が出る。

(例えば)豆類に偏りがちになることによって尿酸値が上昇するということが考えられると言われました。
実際のところいかがなのでしょうか? 】


このような質問がよくあります。糖質制限食のことをご存じないお医者さんが、糖尿病患者さんに仰有りそうなセリフですね。 (*_*)


「・脳の働きが悪くなる 」?

糖質制限食実践で高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。

糖質を制限しても、肝臓でアミノ酸やグリセロール(脂肪酸の分解産物)から糖新生が行われるので、血液中のブドウ糖は常に一定濃度以上に確保されているのです。

また、これに関連して、「脳はブドウ糖しかエネルギー源にできない」というのも、よく言われる常識ですが明確に間違っています。

脳細胞は、ケトン体を取り込んでアセチル-CoAに戻し、TCA回路でエネルギー源とします。つまりブドウ糖以外にケトン体もなんぼでも利用するわけです。

「・栄養のバランスが悪くなり弊害が出る。」?

人類が、ゴリラやチンパンジーと分かれたのが400~500万年前です。その後、アウストラロピテクス属、パラントロプス属、ヒト属の3属・17種の人類が栄枯盛衰を繰り返し、結局約20万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。

ここで大切なこと、そして本質的なことは、3属・17種の人類は、全て狩猟・採集が生業だったということです。つまり、農耕が始まる前の399万年間は、人類皆糖質制限食であり、ヒトは進化に要した時間の大部分で、採集狩猟生活をしていたということです。

従って、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セット(DNA)は、採集狩猟の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。

即ち糖質制限食こそが、人類本来の食生活といえます。このことは、糖質制限食の理論的根拠として、大きなアドバンテージですね。

「狩猟採集VS農耕」=「399万年間対4000年間」=「1000対1」
ですので勝負になりません。

このように人体は、本来穀物に依存して生きるような遺伝的システムは持っていないのに、農耕が定着して以降は、総摂取カロリーの大部分を穀物(糖質)に依存するような食生活となってしまったわけです。

特に、この200年間は、精製された炭水化物を日常的に摂取するようになり、血糖値が急峻に上昇するブドウ糖ミニスパイクが日常的となってしまいました。

この<毎日繰り返されるブドウ糖ミニスパイクとインスリン過剰分泌>こそが生活習慣病の根本要因と私は考えています。

最後に
「糖質制限食の欠点は全くないのか?」
と問われれば・・・

個人レベルの唯一のデメリットはエンゲル係数が高くなることです。(=_=;) 

集団レベルでは、人類皆糖質制限食にすると66億の人口は到底養えないということです。(ノ-_-)ノ”


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
学研のダイエット雑誌「FYTTE」を何年も愛読してきましたが「炭水化物をきちんと取らないと脳が働かず、体が飢餓モードになるのでやせにくくなる」などと平気で書いてあります。
今まで何度か編集部にハガキでこのことを指摘してみたんですがいっこうにかわりませんね。
今まで常識とされてきたことを覆すのは勇気がいるということなんでしょうかね。ふぅ。。
私以外にもたくさんの人たちが呼び掛ければ糖質制限食を誌面でとりあげてくれるかな?
2009/04/10(Fri) 20:19 | URL | リュカ | 【編集
学研
リュカさん。

NHK「ためしてがってん」
と同じパターンですね。

でも根気よくアピールすることで
少しずつ変わる可能性はありますよ。

私もこんなに早く
通常の医学雑誌(治療)が、執筆者に選んでくれるとは思っていなかったのに
実現しましたから・・・
2009/04/10(Fri) 21:40 | URL | 江部康二 | 【編集
上の、「脳の働きが悪くなる」について。
私も低血糖症の嫌いがあるので、実験的に糖質制限食を摂っています。食後や日中の眠気が軽減し、肌の新陳代謝も良くなりました。
しかし、やはり脳の働きが悪くなるというのが実態だと思います。先生が上で書かれているような、理論的な説明はもちろん理解できます。しかし、人体でそのようなメカニズムが働いているにしても、それが主観的な「頭が働いていない感じ」を否定できないと思うのです。例えば、ケトン体からの脳へのエネルギー供給と、ブドウ糖からの脳へのエネルギー供給が、頭が働いているか否かの、主観的な「感じ」にたいしてどのような差異を有しているのか、説明できるのでしょうか。
私自身、糖質制限中の、思考の「進みが遅い」「鈍い」「重い」というような感じがやはり確かにあります。プラシーボ的な無意識の自己暗示的効果ではなくて、やはり思考が鈍るのです。
糖質制限によって眠気の軽減という、勉強に好都合の状態を手に入れることができた反面、思考の鈍化という不都合に、最近頭を悩ませていたところで、このような記事を読み、私の実感を正直に書かせていただきました。

2009/04/11(Sat) 06:52 | URL | selbstdenker | 【編集
ケトン体とブドウ糖
selbstdenkerさん。

断食の初期の段階で、思考の進みが遅い感じがある人がいます。
ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステムと脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムを巧みに使い分けているのが人体です。

selbstdenkerさんと、同じような感じをもつ人もおられると思います。
またそういう場合も慣れてくると改善することが多いようです。

小児難治性てんかんに対するケトン食療法の項(2009.3.4ブログ)をご参照ください。
2009/04/11(Sat) 07:41 | URL | 江部康二 | 【編集
江部康二様

レスポンスしていただきありがとうございます。
なるほど。だとすると現状の自分の体が、糖質メインのエネルギーシステムだということですね。
ケトン体メインのエネルギー産出システムになるまで、長期的に糖質制限食を試してみようと思います。

問題が改善されたらぜひ報告させていただきます。
2009/04/11(Sat) 21:21 | URL | selbstdenker | 【編集
インスリンの分泌量
「ポケット医薬品集」(白文舎刊 龍原 徹名誉教授)という本に記載されているのですが、

インスリンの分泌量が、

食間、夜間の空腹時の

基礎分泌量は1時間に1Uで計10~12U

食後の追加分泌量は1時間に6Uで
3食だと計15~18Uになるそうです。

この食後の分泌量はおそらくは糖質を普通に摂取した場合と考えていいでしょう。

とすると、追加分泌の際、基礎分泌の約1.5倍の量のインスリンを分泌していることになります。

で、あくまで、3食だけの話ですから、これに

おやつ、スポーツドリンクと摂取すれば
インスリンは更に分泌されることになります。。。

これではβ細胞が疲弊して糖尿病になるのも仕方のないことかもしれません。

高糖質の怖さを改めて感じる次第です。
2009/04/11(Sat) 23:58 | URL | 哲学者 | 【編集
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