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蛍と水とペットボトル症候群
昨日京都新聞の夕刊を見たら、蛍の記事が載っていました。北白川の疎水分線では、例年より4日早く、5月18日から蛍が飛んでいたそうです。

実は、左京区下鴨高木町の江部診療所から北へ100メートルちょっと歩くと琵琶湖疎水の下鴨分線が流れていて、そこでも蛍が飛び交っているのです。なかなかの風流な光景で結構遠くから見に来る人もいますよ。
 
琵琶湖から流れるこの疎水ですが、京都の生活に欠かすことのできない水道の原水となっています。京都にとって琵琶湖の水を引くことは昔からの夢でしたが、琵琶湖疏水は着工から5年後の明治23(1890)年に完成しました。ほとんど人力だけに頼るかなりの難工事だったようです。それから20年後、更に豊かな水を求めて第2疏水が建設されました。

蛍にも人にも水は命の源ですが、糖尿人にはペットボトル症候群という夏が旬の病気があるのでご用心です。

夏になって暑くなり、ペットボトルなどに入った清涼飲料水を大量にガブガブ飲んでいると、糖尿病の素因のある人は、結構短期間で急激な高血糖状態になることがあります。高血糖が続くと、のどが渇くため更に清涼飲料水をガブ飲みするという悪循環に陥ります。

ペットボトル症候群というのは俗称で、医学的には清涼飲料水ケトーシス、 或いはソフトドリンクケトーシスといいます。

勿論成人にもみられますが、ライフスタイルの関係で若い人にも結構多いのが特徴です。

これは、ペットボトル自体に罪はなくて、中身の問題ですね。
いわゆる清涼飲料水(コーラ、炭酸飲料、果汁飲料、コーヒー飲料など)の糖質濃度は約10%です。そうすると、1リットルの清涼飲料水に含まれる糖質は100gもあり、半端な量ではありません。健康的なイメージのあるスポーツドリンクも同じ事です。

ペットボトルを持ち歩いたりして1日2~3リットル毎日飲み続ける若者もいます。もともと糖尿病の素因を持っていたり、軽度の糖尿病の人がこのように吸収されやすい糖質を多量に摂取していると、飲む度に血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されるのですが、ついにはインスリンの供給が追いつかなくなり血糖値が高くなります。

いったん高血糖になると、インスリンの分泌が抑制されるし、効きも悪くなります。
「高血糖→インスリン分泌抑制とインスリン抵抗性増大→高血糖」

この悪循環のことを糖毒といいます。

糖毒状態が続けば、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態になり、意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。週単位から1・2ヶ月という短期間の経過で発症します。

コントロール良好だった糖尿人が、夏に急に悪化したときなどは、ペットボトル症候群の疑い濃厚です。水に溶けている糖分は吸収されやすく、血糖値を急激に上げます。 糖質制限食的には当たり前のことですが、糖尿人は、お茶かお水といったカロリーゼロのもので水分補給するのが安全です。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
はじめまして。
江部先生、はじめまして。
先生の「主食を抜けば~」を読み、
糖尿病について勉強中の者です。

ひとつ教えて頂きたいことがあります。
糖尿病患者が、「韃靼そば茶」を飲むことは問題ありませんか?
もちろん、そばの実は食べません。
お茶として飲むだけなのですが、もしや緑茶等に比べて、
糖質が多いのでは?と不安を感じています。

出来るだけ糖質制限を頑張りたいので、
回答よろしくお願いします。
2007/06/05(Tue) 00:01 | URL | terry | 【編集
terryさん、「韃靼(だったん)そば茶」の浸出液の成分を、五訂日本食品標準成分表で調べてみましたが、さすがに載っていませんでした。
そこで「玄米茶・浸出液」を調べてみましたところ、カロリーはゼロでビタミンとミネラルのみでした。従いまして、蕎麦の実を食べずにお茶だけであれば、同様に糖質ゼロ、カロリーゼロの可能性が高いと思います。
江部康二
2007/06/05(Tue) 08:04 | URL |  | 【編集
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