2009年03月24日 (火)
おはようございます。
何だかまた寒くなった京都で、パッチ・リターンズの江部康二です。
さて今回は、平均寿命と糖質制限食について、質問・コメントをいただきました。皆さん、ここは疑問を持つところだと思いますので考えてみましょう。
【09/03/23 あかも
タイトルなし
大昔と同じ食事で
寿命も同じって事は
ないですよね?
先生の本は、二冊買いました】
あかもさん。本のご購入、コメントありがとうございます。
平均寿命というのは零歳児の平均余命(へいきんよめい)、つまり零歳の人があと何年生きられるのかの数値を示すものですが、毎年厚生労働省によって、平均余命表として発表されています。
平均余命(へいきんよめい)とは、ある年齢の人々が、その後何年生きられるかという期待値のことで、大人は当然、赤ちゃんより短いです。
計算式があるのですが、私は数学が苦手なので(-_-;)
上記のアバウトな説明でご容赦願います。
ここで本題ですが、平均寿命は、乳幼児期の死亡率、特に0才児や1才児の死亡率が大きく関わります。幼い子や若い人の死亡率が高ければ、平均寿命はおおいに短くなります。
現在でも、発展途上国など環境衛生や栄養状態が悪ければ、感染症で多くの子供達の命が失われますので、アフリカのザンビアやジンバブエでは、平均寿命40才くらいです。
例えば日本でも、麻疹は昔は「命さだめ」と言われていたほどで、結構重症の感染症でした。終戦直後の1947年などは、栄養状態などの問題もあり20939人もの死亡者がありました。
1980年代からは100人以下の死者数で波がありますが、今でも20~30人程度あります。かかったら高熱が出て肺炎や脳炎を起こすこともあり、子どもにとってしんどい病気なのです。
現在日本の平均寿命が82.3才(2005年の統計)と世界一なのは、医療水準が高く、かつ医療供給システムが世界一優れていたことが大きく寄与しています。
すなわち、赤ちゃんの死亡率の低さは世界一ですし、国民全てが平等な医療を受けることが可能でした。(医療崩壊で今後はどうなるかわかりませんが・・・ (*_*) )
医療によりお年寄りも世界一長生きになりましたが、健康寿命が延びたか否かは、おおいに問題ですね。
このことは、米国と比較するとわかりやすいですね。
米国の2005年の平均寿命は、77.9才で、キューバとほぼ一緒です。先進国中では、最低レベルと言えます。
米国の医療水準は、世界一といっても過言ではないでしょう。しかし医療システムは、貧乏な人は最善の医療を受けることができないので、赤ちゃんの死亡率も日本に比べればかなり高いです。
米国には、日本のような国民皆保険制度はありません。個人個人が民間の医療保険に加入するのですが、保険代を払うことができないなどの理由で、医療保険未加入者が約5,000万人に達しています。
マイケル・ムーア監督が、このアメリカの医療制度の問題を映画「シッコ」で取り上げ、痛烈な批判をしていましたね。
一方、白人富裕層だけに限れば、おそらく平均寿命は世界一です。例えば、健康な100才以上の老人の比率は、米国白人富裕層が日本よりはるかに上です。
さて次に、イヌイットを考えてみましょう。
イヌイットは、1900年代初頭までは生肉・生魚が主食で、まさに糖質制限食を実践していました。結果、心筋梗塞・糖尿病・癌などが極めて少なかったことが報告されています。しかし平均寿命は短かったのです。すなわち、乳幼児期の死亡が多いのです。
何故かといいますと、出産時の死亡、幼児期の自然環境での事故死が非常に多かったのです。感染症での死亡もあります。また、若者が猟での事故で死亡することも、たびたびありました。乳幼児や若者の死亡率が高いので、必然的に平均寿命は短くなります。
人類の進化の歴史で、農耕が始まる前の399万年間は、イヌイットと同じような状況、さらに飢餓も日常的であり、当然、平均寿命は短かったと考えられます。
一方、平成の日本や他の文明国で、糖質制限食を実践した場合は、医療は確保され、飢餓もなく、自然環境の事故もなく、感染症の死亡率も少ないです。
糖質制限食により代謝全てが改善し血流もよくなり、動脈硬化のリスク要因全てが改善します。また、癌の予防効果も一定期待できますので、平均余命も延びると考えられます。
江部康二
何だかまた寒くなった京都で、パッチ・リターンズの江部康二です。
さて今回は、平均寿命と糖質制限食について、質問・コメントをいただきました。皆さん、ここは疑問を持つところだと思いますので考えてみましょう。
【09/03/23 あかも
タイトルなし
大昔と同じ食事で
寿命も同じって事は
ないですよね?
先生の本は、二冊買いました】
あかもさん。本のご購入、コメントありがとうございます。
平均寿命というのは零歳児の平均余命(へいきんよめい)、つまり零歳の人があと何年生きられるのかの数値を示すものですが、毎年厚生労働省によって、平均余命表として発表されています。
平均余命(へいきんよめい)とは、ある年齢の人々が、その後何年生きられるかという期待値のことで、大人は当然、赤ちゃんより短いです。
計算式があるのですが、私は数学が苦手なので(-_-;)
上記のアバウトな説明でご容赦願います。
ここで本題ですが、平均寿命は、乳幼児期の死亡率、特に0才児や1才児の死亡率が大きく関わります。幼い子や若い人の死亡率が高ければ、平均寿命はおおいに短くなります。
現在でも、発展途上国など環境衛生や栄養状態が悪ければ、感染症で多くの子供達の命が失われますので、アフリカのザンビアやジンバブエでは、平均寿命40才くらいです。
例えば日本でも、麻疹は昔は「命さだめ」と言われていたほどで、結構重症の感染症でした。終戦直後の1947年などは、栄養状態などの問題もあり20939人もの死亡者がありました。
1980年代からは100人以下の死者数で波がありますが、今でも20~30人程度あります。かかったら高熱が出て肺炎や脳炎を起こすこともあり、子どもにとってしんどい病気なのです。
現在日本の平均寿命が82.3才(2005年の統計)と世界一なのは、医療水準が高く、かつ医療供給システムが世界一優れていたことが大きく寄与しています。
すなわち、赤ちゃんの死亡率の低さは世界一ですし、国民全てが平等な医療を受けることが可能でした。(医療崩壊で今後はどうなるかわかりませんが・・・ (*_*) )
医療によりお年寄りも世界一長生きになりましたが、健康寿命が延びたか否かは、おおいに問題ですね。
このことは、米国と比較するとわかりやすいですね。
米国の2005年の平均寿命は、77.9才で、キューバとほぼ一緒です。先進国中では、最低レベルと言えます。
米国の医療水準は、世界一といっても過言ではないでしょう。しかし医療システムは、貧乏な人は最善の医療を受けることができないので、赤ちゃんの死亡率も日本に比べればかなり高いです。
米国には、日本のような国民皆保険制度はありません。個人個人が民間の医療保険に加入するのですが、保険代を払うことができないなどの理由で、医療保険未加入者が約5,000万人に達しています。
マイケル・ムーア監督が、このアメリカの医療制度の問題を映画「シッコ」で取り上げ、痛烈な批判をしていましたね。
一方、白人富裕層だけに限れば、おそらく平均寿命は世界一です。例えば、健康な100才以上の老人の比率は、米国白人富裕層が日本よりはるかに上です。
さて次に、イヌイットを考えてみましょう。
イヌイットは、1900年代初頭までは生肉・生魚が主食で、まさに糖質制限食を実践していました。結果、心筋梗塞・糖尿病・癌などが極めて少なかったことが報告されています。しかし平均寿命は短かったのです。すなわち、乳幼児期の死亡が多いのです。
何故かといいますと、出産時の死亡、幼児期の自然環境での事故死が非常に多かったのです。感染症での死亡もあります。また、若者が猟での事故で死亡することも、たびたびありました。乳幼児や若者の死亡率が高いので、必然的に平均寿命は短くなります。
人類の進化の歴史で、農耕が始まる前の399万年間は、イヌイットと同じような状況、さらに飢餓も日常的であり、当然、平均寿命は短かったと考えられます。
一方、平成の日本や他の文明国で、糖質制限食を実践した場合は、医療は確保され、飢餓もなく、自然環境の事故もなく、感染症の死亡率も少ないです。
糖質制限食により代謝全てが改善し血流もよくなり、動脈硬化のリスク要因全てが改善します。また、癌の予防効果も一定期待できますので、平均余命も延びると考えられます。
江部康二
江部先生こんにちは。
いつも感慨深く拝見させていただいております。
私は糖尿病ではありませんが、肥満です。
そこで低糖質の食事にたどり着きましたが
この前のダイエットで摂食障害(過食症)になりました。
それで20kg位太ってしまいました。
ネットなどで調べていると、低糖質の食事は脂質とたんぱく質の制限がないので
摂食障害になりにくいという記述を見つけました。
どうしても増えた20kgを減らしたいです。
私にも糖質制限食は出来ますでしょうか?
お忙しいと思いますが、どうかお手すきの時にお答えくださいましたら幸いです。
いつも感慨深く拝見させていただいております。
私は糖尿病ではありませんが、肥満です。
そこで低糖質の食事にたどり着きましたが
この前のダイエットで摂食障害(過食症)になりました。
それで20kg位太ってしまいました。
ネットなどで調べていると、低糖質の食事は脂質とたんぱく質の制限がないので
摂食障害になりにくいという記述を見つけました。
どうしても増えた20kgを減らしたいです。
私にも糖質制限食は出来ますでしょうか?
お忙しいと思いますが、どうかお手すきの時にお答えくださいましたら幸いです。
2009/03/24(Tue) 12:56 | URL | ひとみ | 【編集】
ひとみさん。
減量目的で糖質制限食、問題ありません。
血液検査で腎機能が悪い人は適応になりません。
糖尿病で内服薬やインスリン治療をしている人は低血糖防止のため、基本的には主治医と相談が必要です。
減量目的で糖質制限食、問題ありません。
血液検査で腎機能が悪い人は適応になりません。
糖尿病で内服薬やインスリン治療をしている人は低血糖防止のため、基本的には主治医と相談が必要です。
2009/03/24(Tue) 14:55 | URL | 江部康二 | 【編集】
アメリカの富裕層白人の平均寿命は日本人の平均寿命より低いです。
http://blog.livedoor.jp/hikochan4556/archives/51463897.html
にあるように、アメリカで最も裕福な白人女性の平均寿命は81.1歳で、日本女性の平均寿命86歳におよびません。
http://blog.livedoor.jp/hikochan4556/archives/51463897.html
にあるように、アメリカで最も裕福な白人女性の平均寿命は81.1歳で、日本女性の平均寿命86歳におよびません。
2009/04/15(Wed) 23:42 | URL | トモ | 【編集】
トモ さん。
ご指摘ありがとうございます。
検討してみます。
ご指摘ありがとうございます。
検討してみます。
2009/04/15(Wed) 23:57 | URL | 江部康二 | 【編集】
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