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耐糖能と糖質制限食、肥満とインスリン抵抗性
こんにちは、江部康二です。
京都はとても良い天気です。今日は朝から高雄病院に行ってきたので、今から安心してテニスにでかけます。

ここでちょいと自慢・・・ >^_^<☆
私の所属する「ラケットクラブ太秦」はインドアテニスコートが2面あって、日焼けや雨の心配がいらないのです。2面もインドアというのは京都ではとても珍しいのですよ。

さて本日の本題です。

どこかの糖尿病関係のホームページに「低糖食を続けると空腹時耐糖能が落ち糖尿病になる」と書いてあるらしく、時々患者さんから 糖質制限食を続けて大丈夫ですか?との質問を受けます。

結論は、勿論大丈夫です。高雄病院では1999年から 江部洋一郎院長が糖質制限食を始めて、2001年からは私、江部康二も取り組みましたので、もう足かけ9年ですね。

その後、高雄病院の300人以上の糖尿病入院患者さんでもしっかり確認済みですが、糖質制限食により食後血糖値も空腹時血糖値も改善します。耐糖能・インスリン分泌能も改善します。(4.17のブログも参照していただけば幸いです。)

インスリン抵抗性が現れるまでの経過は、
高血糖により膵臓のβ細胞(インスリンを分泌)が直接ダメージを受ける。
② 高血糖により、インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性の増大)
①②により高血糖→「インスリン分泌低下+インスリン抵抗性増大」→高血糖
という繰り返しを生じますが、この悪循環のことを糖毒といい、糖尿病悪化の大きな要因となっています。

糖質制限食を実践すれば、速やかに高血糖が改善し、きっちりこの糖毒を断ち切ることができるので、糖尿病がめきめき改善するのです。

インスリン抵抗性という耳慣れぬ言葉がでてきました。抵抗性増大というのは、今まで1の量のインスリンで細胞が血糖を取り込めたのに、2とか3の量がないと取り込めなくなることをいいます。つまりインスリンの効きが悪くなるわけです。

糖毒でも増大しますが、臨床上一番よくあるインスリン抵抗性増大の要因は、肥満です。BMI(体重(kg)÷身長(m)2)が30を超えるような気合いの入った肥満だと、インスリン抵抗性はかなり増大してます。

こういうタイプは、インスリン分泌能力は保たれていることも多く、肥満が改善するだけでインスリン抵抗性が改善し、血糖値が正常になることもあります。 糖質制限食により、血糖値肥満も改善するので、一挙両得ということになります。

私の経験でも、糖尿病肥満があり随時血糖値400~500mg/dlで、他院で入院してインスリンを4回注射していた患者さんがおられました。高雄病院に転院して、糖質制限食を開始し、同時にインスリンの量を1/3にして治療しました。

その後も血糖値の推移をみながらインスリンを徐々に減量し、約3週間の入院治療で離脱することができました。

***
ka-juさん、個人情報的なこともあるので、宜しければ
京都高雄倶楽部 info@ktk-kyoto.jp までご質問下さい。
 
江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
毎回楽しく拝読させていただいています。私にとって糖質制限食は良い結果をもたらしてくれていると思います。
しかし、少し気になるのが、ブドウ糖負荷試験の前日は耐糖能異常を防ぐために、必要最低限の糖質を摂取するべきだと言われていることです。このために良い方法でありながら、多くの糖尿人の方が、糖質制限食に踏み切れないのかなと思います。
糖尿人の私は、糖質をあきらめなければならないのは分かるのですが、糖質制限前は食後血糖が240だったものが、制限後たまに糖質を摂取すると、300超えるようにはならないのかと少し心配なのです。
たまにであれば200を超えても関係ないのでしょうけれど。
如何なものでしょうか。
2007/05/30(Wed) 00:00 | URL | 街のくま | 【編集
街のくまさん、コメントありがとうございます。「ブドウ糖負荷試験の前日は耐糖能異常を防ぐために、必要最低限の糖質を摂取するべきだと言われていること」に関しては、高雄病院で確かめていないのでわかりません。しかしある程度長期に糖質制限食を続ければ自分自身の膵臓が休養を得て一定の回復がみられます。こうなると糖質を摂取しても血糖値の上昇は少なくなります。私自身、 糖質制限食以前に比し、現在は糖質摂取時の血糖値の上昇は少なくなっています。
江部康二
2007/05/30(Wed) 08:15 | URL |  | 【編集
江部先生 丁寧な御返事 誠に有難うございます。知り合いの糖尿人には先生の本を勧めました。制限が多い割りに効果の少ない現在の治療法に、少々ノイローゼ気味になっていたのですが、先生のお話をしたところ明るい表情になっていました。糖尿人には精神的ケアーも大切ですね。
今度は山の親爺にも勧めてみようと思います。
2007/05/30(Wed) 09:37 | URL | 街のくま | 【編集
質問です
私は大阪府内の医学部に通うものです。
以前、内分泌・代謝の講義において、
「糖質を摂取しなくなるとインスリンの分泌が減る。」と先生がおっしゃっておりました。なんでも、実験によって9時間絶食した状態と18時間絶食した状態ではブドウ糖経口負荷試験において血糖値の上昇の具合が異なることを臨床で経験したらしいのです。また、3カ月間低糖質(一日に白米50g)をしていた女子学生が検査を受けたところ、二時間値血糖値が200を超えたそうです。グリコアルブミン等は4パーセント台、空腹時血糖値も80台であり、以前は糖尿病を疑うような検査データは経験していなかったそうです。

やはり、糖質制限はインスリンの分泌を減らすの絵はないでしょうか。糖質制限を行えば低血糖を起こさないように基礎インスリン分泌が減ると教科書に書いてあったような気もしたのですが。
2010/07/29(Thu) 17:01 | URL | 医学部4回生 | 【編集
Re: 質問です
医学部4回生さん。

インスリンを大量に分泌させるのは糖質だけです。
脂質は分泌させず、タンパク質はごく少量分泌させます。
従って糖質制限食なら、追加分泌のインスリンは極少量ですむことになります。

基礎分泌のインスリンがないとヒトは死にます。
糖質制限食で、正常範囲を超えて基礎分泌が減ることはありません。

インスリンの頻回・過剰分泌が生体の代謝をみだしていると考えられます。

2010年07月28日 (水) のブログ
「人類の主食は穀物ではない・ヒューマン・ニュートリションより」
をご参照ください。
2010/07/29(Thu) 19:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
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