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HbA1cの日本基準と国際基準、続き
こんばんは。

HbA1cの基準について、こころさんからコメント・質問をいただきました。

『こころ
「病院での検診で」
江部先生こんばんは
こころです お久しぶりです
実は今日検診へ行ったのですがクリスマスや年末年始の行事も重なりHbA1cが上がってるだろうなと予測、数値は確かに上がってました
先月→6.3 今月→6.6
だったのですが 主治の先生が6.6だけど今度測定の基準がまた変わったから6.2ってことになるよって言われました 確かつい何ヶ月か前も変わったと思うのですが 先生は世界規模で基準を合わせて行くようになってきてるのだと思いますよと言うことでした では前回より0.3上がったって事ですよねってお聞きすると違います0.1減ったって事だよって…
う~~ん分かりません 先生教えて下さい 随分不摂生をして絶対上がってるはずなのに数値が下がるっておかしいですよね
2009/01/31(土) 』


こころさん。コメントありがとうございます。

本日、月曜日の午前中は、高雄病院京都駅前診療所の外来でした。駅前診療所には、HbA1cの院内測定器があります。それで看護師さんに確認してみたら、2008年12月にHbA1cの院内測定器メーカー、シーメンス社(米国)から通知が届いていました。

それによると、測定用の標準物質を、日本標準の「JDS Lot3」から、世界標準のIFCCの認定標準物質に変更したとのことでした。

そうなると
4.3→4.6%
5.2→5.5%
6.4→6.9%
7.7→8.3%
8.5→ 8.9%
9.1→9.9%

といった具合にデータが変化します。
低い方のデータがもともとの日本標準の「JDS Lot3」を用いたもので
高い方のデータが新しく世界標準のIFCCの認定標準物質を使用したものです。

外資系の会社なので対応が早いのでしょうね。 こころさんの主治医先生の病院も、おそらくシーメンス社の院内測定器を持っておられるのでしょう。

しかしこ、れでは正常値が違ってくるので、患者さんが混乱します。従って、高雄病院京都駅前診療所では、院内測定器の新データを、旧データに換算して患者さんに説明しようと思っています。

院内検査器でなくて、外注の大きな検査会社の基準は、今のところ以前と同じです。

HbA1cに関しては、各施設のデータがばらついている状況はまずいということで、日本糖尿病学会(JDS)により1993年から、国内での標準化が目指されました。

まずは、検査方法の統一化が進められました。ついで、2001年に実試料標準物質「JDS Lot2」が認証されました。その後、2006年に「JDS Lot3」が認証され切り替えられました。JDS(Japan Diabetes Society)は、日本糖尿病学会のことです。

日本国内では、これで以前ほどは、施設間の差は無くなってきています。

しかし、欧米の国際臨床化学連合(IFCC)のHbA1cは、測定法が日本と違うので補正が必要です。

2007年7月、糖尿病に関連した国際主要学術団体であるIDF,ADA,IFCCの共同声明があり、
「今後HbA1cの測定値は、IFCCの基準分析法による値IFCC HbA1c(mmol/mol)とIFCC-NGSP変換式によるNGSP HbA1c(%)との両方を併記するように勧告する」
となっています。

すなわち、HbA1cはIFCC法で求めた値(mmol/mol)とIFCCーNGSP変換式による値(%)の2つの併記が、欧米の学術論文では必要となりました。

日本の現在のHbA1c標準物質「JDS Lot3」は、残念ながら上述の声明にはあてはまりません。要するにHbA1cに関して国際基準と日本の基準は全く異なっているわけです。

しかし、JDSの値は、日本国内で広く使用されているので、急にJDSの値を中止することは事実上不可能です。

少なくとも欧米の医学雑誌に投稿する学術論文では、IFCC値と変換NGSP値の併記は必要ですが、一般の日本糖尿人がコントロールの指標とするのには、今まで通り日本基準のHbA1cで問題ないと思います。

日本臨床化学会・糖尿病関連指標専門委員会は、2008年10月に「HbA1c測定におけるIFCC値併記に関する指針」を公表しました。

それによると日本でも2009年12月に、国際標準化に対応した「JDS Lot4」がバージョンアップされ、認証される予定です。

これにより、IFCC値とJDS値の換算式の信頼度の検証などが行われていき、各検査機器メーカーが対応していくものと思われます。IFCC値併記の装置対応などは、2010年末までに実施される予定です。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
食後2時間血糖値のカウントスタートは?
 3ヶ月前に「とんかつ」の糖質量につき、ご丁寧な回答をいただいた「糖質制限ビギナー」です。
 その節は、ありがとうございました。
 先生の「糖質制限」指導に啓蒙され、10年来放置していた糖尿に真摯に取り組むことにしました。昨年の2008年9月2日から糖質制限を開始し、現在も継続しています。
 HbA1cの検査結果は以下のとおり推移しています。

 2008年09月03日 10.0(初めてHbA1cを把握しました)
      10月07日  8.4
      11月26日  7.0
 2009年01月27日  6.0

 11月に白内障の手術はしましたが、幸い、それ以外に合併症も発症せず、血糖値以外の内臓の各数値はオールグリーンです。(白内障手術では右目0.1以下だった視力が1.5まで回復し、ドクターも驚いていました。これも糖質制限が貢献しているのでしょうか)
 現在、投薬もされず、日々糖質制限にいそしんでいます。
 この糖質制限のブログに偶然、ゆきあたらなければ、欲望のままに生き続け、合併症発現にむかって驀進していたことでしょう。あるいは、カロリー制限治療の迷宮をさまよい、白内障の手術もしてもらえなかったかもしれません。
 先生がこのブログに注がれる篤志は、多くの糖尿人にとって福音です。あらためて御礼申し上げます。

 今日は基礎的な質問をさせていただくことをお許しください。

 食後2時間後血糖値の測定時間のことです。
 食事を開始した時間を起算点にするのか、終了した時間を起算点にするのか、医学的にはルールがあるのでしょうか。
 昼食なら、15分もあれば食事は終わりますので、開始時間でも終了時間でも大差ないと思いますが、コース料理や夜の席では食事(酒食?)時間が2時間や3時間になることは珍しくありません。個人的には食事終了を起算点にするほうが妥当かと思っています。自分で決めたルールで統一して計測すればいいじゃないかとも考えているのですが、やはり心弱き者ゆえ、オーソライズが欲しくて質問をしてしまいました。 
 
2009/02/02(Mon) 19:03 | URL | 糖質制限ビギナー | 【編集
食事開始時間
糖質制限ビギナーさん。

2008年09月03日 10.0
      10月07日  8.4
      11月26日  7.0
2009年01月27日  6.0

見事な改善です。
良かったですね。(⌒o⌒)v

食後血糖値の測定は、開始時間からです。
朝8時に食事を開始したら
9時が食後1時間血糖値、
10時が食後2時間血糖値です。
2009/02/02(Mon) 21:40 | URL | 江部康二 | 【編集
ますます(@_@)
江部先生

私は 6.6って主治医の先生に言われて でも6.2だよって…
この6.6が日本標準の「JDS Lot3」で 6.2が世界標準のIFCCってことでしょうか(@_@)

世界標準のIFCCの方が日本標準の「JDS Lot3」より低い数値になるってことですか

今後 私の通院してる病院では世界標準のIFCCでの数値になるんでしょうか

何だか分かりづらいです
世界標準のIFCCから日本標準の「JDS Lot3」へ旧データーへ換算する計算方法ってあるんでしょうか  
2009/02/03(Tue) 16:33 | URL | こころ | 【編集
No title
こころさん。

新しく世界標準のIFCCの認定標準物質に変更して測定したら6.6%でした。
しかしこれはもともとの「JDS LOT3」で測定した場合の6.2%に相当するということです。
即ちIFCCの標準物質のほうが高値になりますね。

世界標準のIFCCから日本標準の「JDS Lot3」へ旧データーへ換算する計算方法はあります。
それを計算して表にしたものをこころさんの主治医殿は
みて説明してくれたのでしょう。
高雄病院京都駅前診療所にもその表はあります。
2009/02/03(Tue) 22:00 | URL | 江部康二 | 【編集
ありがとうございます
 食事の開始から2時間ですか。
 ありがとうございます。
 長い酒食の席で食後2時間を計ろうとしたら、食べている最中になるのですね。
 これはうかつでした。
「食後2時間」というものですから、食べ終わってから・・・とかってに読み違えていました。
2009/02/04(Wed) 05:00 | URL | 糖質制限ビギナー | 【編集
やっと分かりました
江部先生お忙しいのにいつも 完璧な回答をしていただきまして有り難うございます 主治医の先生は換算後の数値で教えて下さってたんですね 私は当初HbA1cが9,2ありまして それを今では6.2に下げることが出来たのですが これも江部先生のお陰です 主治医の先生は糖質制限を推進していらっしゃる先生ではないのですが 目の前に毎月来るたびに数値を落としていく私を見て 随分肯定的にまた好意的に受け止めて下さるようになり 年末年始のともすれば数値が上がりやすい時期でも絶対的な信頼を寄せてくださいまして あなたが度が過ぎるほど羽目を外すとは思えないって言ってもらいました 実際糖尿人になって初めてのお正月でしたが 江部先生の本の糖質含有量を参考にお正月料理も×な食品は完璧ではないにしろ上手にはねながら頂くことが出来ました 時々羽目を外しお菓子やアイスクリーム等いただくこともあるのですが また日々の糖質制限食に戻り頑張るを繰り返しています 脱線がなければ今頃は憧れの5.0代なのでしょうが…長々と失礼いたしました これからもよろしくお願いします
2009/02/04(Wed) 23:00 | URL | こころ | 【編集
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