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薬物による低血糖と機能性低血糖について
こんばんは。
低血糖について、時々質問を頂くことがあります。

<低血糖>
低血糖発作のほとんどは、インスリン注射をしているか、
SU剤内服の場合です。


国立国際医療研究センター
糖尿病情報センター
https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/050/05.html
によれば


低血糖とは
低血糖とは、
糖尿病を薬で治療されている方に高い頻度でみられる緊急の状態です。

一般に、血糖値が70mg/dL以下になると、
人のからだは血糖値をあげようとします。
また、血糖値が50mg/dL未満になると、
脳などの中枢神経がエネルギー(糖)不足の状態になります。
その時にでる特有の症状を、低血糖症状といいます。
人によっては、血糖値が70mg/dL以下でなくても
治療などによって血糖値が急激に大きく下がることでも、
低血糖症状がでることがあります。
逆に、血糖が70mg/dLより低くなっても、
症状が出ない方もいますので注意が必要です。

低血糖の診断
低血糖症状があってもなくても、血糖値が70mg/dLより低い場合
血糖値が70mg/dLより高くても、低血糖症状のある場合 】


薬なしで、スーパー糖質制限食やケトジェニックダイエットをしても、
低血糖になることはまれです。
肝臓で糖新生しますので、糖質摂取ゼロでも、
血糖値は一定レベルに保たれるのです。
ご先祖が狩猟・採集時代などには、
「食事あり」と「飢餓」や「絶食状態」の繰り返しだったことを
考慮すればわかりやすいですね。

低血糖症状があってもなくても、血糖値が70mg/dLより低い場合
は低血糖と定義されていますが、
20代のアトピー性皮膚炎や気管支喘息の患者さんで
勿論内服薬なしで、たまたま検査したら、
空腹時血糖医値が、50mg~60mg/dlの場合が時々ありました。
最初はビックリして、待合室に飛んでいって「大丈夫ですか?」と、
事件扱いしたこともありましたが、皆さん、ケロっとしてました。
このような場合は、現実の臨床では、低血糖とは言えませんね。

低血糖で症状があれば、
ブドウ糖10gの内服か、砂糖入りのジュースを飲めば良いです。
αグルコシダーゼ阻害薬を内服している場合は、有効なのはブドウ糖だけです。
糖尿病薬物療法中の低血糖は、命の危険があるので厳重な注意が必要です。

 『血糖コントロール良好を目指してHbA1cを下げるべく厳格に薬物療法を行うとかえって総死亡率が上昇する』
という信頼度の高いACCORD試験のエビデンスがあります。(☆)

インスリン注射やSU剤を使用した厳格治療です。
すなわち<糖質摂取+薬物療法>による血糖値の乱高下と頻回の低血糖
活性酸素を発生させ、
酸化ストレスリスクとなり血管内皮を傷害し動脈硬化を生じ、
死亡率上昇の大きな要因となったと考えられます。

従って、日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)を実践しながら、
厳格な薬物療法を行うと血糖値の乱高下と頻回の低血糖を生じて、
総死亡率が上昇する可能性があるので、大きなリスクとなります。

(☆)ACCORD
Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group, , Miller ME, Byington RP, Goff DC, Bigger JT, Buse JB, Cushman WC, Genuth S, Ismail-Beigi F, et al.: Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes. N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559.


<機能性低血糖>
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、
血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を起こします。

易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・
などの症状がみられます。

ほとんどの機能性低血糖の背景には、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があります。
やせ型でインスリン抵抗性がなくても、機能性低血糖を生じる人はおられます。
機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、
追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、
早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。
はっきりしている場合は、糖質摂取4~5時間後の血糖値が60mg/dl以下になります。
家族歴に2型糖尿病があって、現在は正常型で糖尿病を発症していない人は、イ
ンスリン追加分泌が遷延することがあり、機能性低血糖が特に起こりやすいです。
境界型および糖尿病でも、軽症の段階だと、インスリン分泌能力はまだ残っています。
そして、インスリン追加分泌が出遅れて遷延するのが2型糖尿病の特徴なので、

「機能性低血糖+境界型」あるいは「機能性低血糖+糖尿病型」

というパターンは、結構あると思います。

一方、家族歴に2型糖尿病がなくて、現在糖尿病的には全く正常でも、
インスリンが過剰に分泌されるタイプの「機能性低血糖+正常型」もあります。

こちらは若い人に多く、それこそ小学生や中学生でもありえると思います。
当然、高校生や大学生は言うまでもありません。

いずれにせよ

<糖質摂取による血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>

というパターンです。

従って、精製炭水化物が、最も機能性低血糖を起こしやすいです。
未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。
糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、
インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖をほとんど生じません。

スーパー糖質制限食なら、
インスリン追加分泌は、野菜分の少量の糖質に対応して、
せいぜいインスリン基礎分泌の2~3倍くらいまでです。

この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、
きっちり問診してみると、
若い人でも結構おられますので注意が必要ですね。
機能性低血糖症の場合、糖質摂取後30分で140mg/dl程度に上昇した血糖値が、
60分後に80mg/dlなったりします。
これだけ血糖動幅が大きい(60mg)と、眠気も来そうですね。
さらに食後4時間~5時間に60mg/dlとかまで下がることがあり、
低血糖症状を生じます。

血糖値が60mg/dlなら明らかな低血糖ですが、
70mg/dl以上あって正常範囲でも、
血糖値が1時間で50~60mg以上下がると
眠気などの症状も出やすいようです。

「機能性低血糖」の場合は「薬物による低血糖」のように命の危険はありませんが、生活の質は大きく乱されるので、
やはり「糖質制限食」が正解の治療となりあmす。

江部康二
コメント
おはようございます
最近は、めっきりスタンダード~緩い糖質制限の
日々です。
自分に甘々で、これではいけないと思うのにやめられない。

さて、たんぱく質の摂取ですが、私的には鶏肉、卵をメインに考えています。
ただ、腹持ちがそれほど長い感じがしないのです。
豆類も食べ過ぎて胃に不調を感じたこともありました。

そこで、いろいろネット情報によると、チーズが良いらしいとのこと(少しお高いですが)

ナチュラルチーズに目を付け、結構多めに摂取しています。
すると、腹持ちが良いのです。
私だけかもしれませんが。

何事も大量に摂取するのは良くないでしょうけど、朝昼晩と大体目安で20g程度のチーズを摂取しています。
60g/日になるでしょうか、これって過剰の分類に入りますか?

人によってさまざまでしょうが、私のバロメーターは身体の感覚に頼っています。
2~3日くらい様子を見て、問題なければアリにしています。
2023/12/10(Sun) 06:41 | URL | 猫 | 【編集
Re: おはようございます
猫 さん

60g/日くらいなら大丈夫です。
2023/12/10(Sun) 09:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
ご回答ありがとうございます
ありがとうございました。
2023/12/10(Sun) 12:16 | URL | 猫 | 【編集
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