2023年11月15日 (水)
こんにちは。
短期効果が極めて良い食事療法(スーパー糖質制限食)
と
短期効果が良くない食事療法(従来の糖尿病食)
が、厳然たる事実としてあります。
糖尿人の皆さんは、どちらを選びますか?
同一摂取カロリー(1400kcal)の血糖日内変動検査の比較
従来の糖尿病食 スーパー糖質制限食
朝食前 163 108mg/dl
朝食後2時間 387 142
昼食前 318 102
昼食後2時間 337 122
夕食前 223 90
夕食後2時間 204 130
眠前 208 120
上記データは、ある2型糖尿患者Aさん(60代男性)の同一カロリーでの
糖尿病食(糖質60%)とスーパー糖質制限食(糖質12%)の入院時の日内変動の比較です。
入院時HbA1cは8.6%。
入院初日から従来の糖尿病食を開始して2日目に日内変動を測定し、
3日目から糖質制限食を開始して5日目に、糖質制限食での日内変動測定を実施しました。
本例の場合、わずか2日間の糖質制限食で耐糖能が大幅に改善して、空腹時血糖値が正常となっています。
また糖質制限食なら、食後血糖値の上昇は極めて少なく、血糖変動幅も少ないです。
上記のデータに見る如く、この糖尿人Aさんは、糖質制限食を実践する限りは正常人ですが、
糖質を一人前摂取すれば食後高血糖を生じ確実な糖尿人です。
そして日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)には、エビデンスがありませんし、
このことは日本糖尿病学会も、認めています。
一方糖質制限食は、
米国糖尿病学会が、2019年4月の「コンセンサス・リコメンデーション」において
「糖質制限食は最も研究されている食事療法の一つである」と明言し、一推しで推奨しています。
2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインでも、「コンセンサス・リコメンデーション」をそのまま引用しています。
上記の糖尿人のデータで明らかなように、同一摂取カロリーの、
「スーパー糖質制限食(糖質12%)」VS「従来の糖尿病食(糖質60%)」においては、
短期効果には、顕著な差があります。
2型糖尿病で見られる血糖異常は、
空腹時血糖
食後血糖
血糖変動
の3つの要因で構成されています。
長い間、空腹時血糖値とHbA1cで、糖尿病コントロール状況の評価をするのが、一般的でした。例えば、会社などの健康診断がそうです。
しかし、近年、食後血糖値や1日を通しての血糖変動幅が注目されてきました。
つまり、空腹時血糖値とHbA1cだけでは、動脈硬化のリスクを見落としてしまうのです。
例えば近年、1日24時間を通しての「平均血糖変動幅増大」が、
一番酸化ストレスと相関していて、次が食後高血糖で、
それぞれ心血管疾患のリスクとなるとされています。
つまり、食後高血糖と平均血糖変動幅増大が
糖尿病合併症の元凶であるというエビデンスがあり、
それらを生じるのは糖質摂取時だけというのが厳然たる事実なのです。
短期効果が極めて良好な糖質制限食の長期予後を、
過去日本での経験がないということで懸念される糖尿病専門医が多いようです。
しかし、空腹時血糖値、食後血糖値、一日平均血糖変動幅の全てが改善するので、
糖尿病に関する動脈硬化のリスク要因は、スーパー糖質制限食では見当たらないと言えます。
一方、従来のカロリー制限食では、上記糖尿人さんのデータでも明らかなように、
食後高血糖、一日平均血糖変動幅増大は著明で、
壊滅的にコントロール不良です。
短期効果がこれほど悪い食事療法を、長期に続けて良い方に向かう可能性は皆無であり、
長期予後は必然的に不良です。
このように糖質を摂取しながら、
糖尿病の治療をするリスクは極めて重大であり、
日本糖尿病学会は、
早急に糖質制限食を選択肢の一つとして検討することが必要と思います。
江部康二
短期効果が極めて良い食事療法(スーパー糖質制限食)
と
短期効果が良くない食事療法(従来の糖尿病食)
が、厳然たる事実としてあります。
糖尿人の皆さんは、どちらを選びますか?
同一摂取カロリー(1400kcal)の血糖日内変動検査の比較
従来の糖尿病食 スーパー糖質制限食
朝食前 163 108mg/dl
朝食後2時間 387 142
昼食前 318 102
昼食後2時間 337 122
夕食前 223 90
夕食後2時間 204 130
眠前 208 120
上記データは、ある2型糖尿患者Aさん(60代男性)の同一カロリーでの
糖尿病食(糖質60%)とスーパー糖質制限食(糖質12%)の入院時の日内変動の比較です。
入院時HbA1cは8.6%。
入院初日から従来の糖尿病食を開始して2日目に日内変動を測定し、
3日目から糖質制限食を開始して5日目に、糖質制限食での日内変動測定を実施しました。
本例の場合、わずか2日間の糖質制限食で耐糖能が大幅に改善して、空腹時血糖値が正常となっています。
また糖質制限食なら、食後血糖値の上昇は極めて少なく、血糖変動幅も少ないです。
上記のデータに見る如く、この糖尿人Aさんは、糖質制限食を実践する限りは正常人ですが、
糖質を一人前摂取すれば食後高血糖を生じ確実な糖尿人です。
そして日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)には、エビデンスがありませんし、
このことは日本糖尿病学会も、認めています。
一方糖質制限食は、
米国糖尿病学会が、2019年4月の「コンセンサス・リコメンデーション」において
「糖質制限食は最も研究されている食事療法の一つである」と明言し、一推しで推奨しています。
2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインでも、「コンセンサス・リコメンデーション」をそのまま引用しています。
上記の糖尿人のデータで明らかなように、同一摂取カロリーの、
「スーパー糖質制限食(糖質12%)」VS「従来の糖尿病食(糖質60%)」においては、
短期効果には、顕著な差があります。
2型糖尿病で見られる血糖異常は、
空腹時血糖
食後血糖
血糖変動
の3つの要因で構成されています。
長い間、空腹時血糖値とHbA1cで、糖尿病コントロール状況の評価をするのが、一般的でした。例えば、会社などの健康診断がそうです。
しかし、近年、食後血糖値や1日を通しての血糖変動幅が注目されてきました。
つまり、空腹時血糖値とHbA1cだけでは、動脈硬化のリスクを見落としてしまうのです。
例えば近年、1日24時間を通しての「平均血糖変動幅増大」が、
一番酸化ストレスと相関していて、次が食後高血糖で、
それぞれ心血管疾患のリスクとなるとされています。
つまり、食後高血糖と平均血糖変動幅増大が
糖尿病合併症の元凶であるというエビデンスがあり、
それらを生じるのは糖質摂取時だけというのが厳然たる事実なのです。
短期効果が極めて良好な糖質制限食の長期予後を、
過去日本での経験がないということで懸念される糖尿病専門医が多いようです。
しかし、空腹時血糖値、食後血糖値、一日平均血糖変動幅の全てが改善するので、
糖尿病に関する動脈硬化のリスク要因は、スーパー糖質制限食では見当たらないと言えます。
一方、従来のカロリー制限食では、上記糖尿人さんのデータでも明らかなように、
食後高血糖、一日平均血糖変動幅増大は著明で、
壊滅的にコントロール不良です。
短期効果がこれほど悪い食事療法を、長期に続けて良い方に向かう可能性は皆無であり、
長期予後は必然的に不良です。
このように糖質を摂取しながら、
糖尿病の治療をするリスクは極めて重大であり、
日本糖尿病学会は、
早急に糖質制限食を選択肢の一つとして検討することが必要と思います。
江部康二
江部先生
初めまして。世界糖尿病デーに際してFLCCCがリリースした「Eat Well: Guide To Fasting and Healthy Eating」の中で糖質制限が言及されているので、お伝えしたいと思いました。
https://covid19criticalcare.com/protocol/eat-well-guide-to-fasting-and-healthy-eating/
糖質摂取の前後に大さじ1杯の酢をコップ一杯の水で薄めたものを飲む、という記述が興味深いです。
記事と関係のないコメントを失礼しました。
初めまして。世界糖尿病デーに際してFLCCCがリリースした「Eat Well: Guide To Fasting and Healthy Eating」の中で糖質制限が言及されているので、お伝えしたいと思いました。
https://covid19criticalcare.com/protocol/eat-well-guide-to-fasting-and-healthy-eating/
糖質摂取の前後に大さじ1杯の酢をコップ一杯の水で薄めたものを飲む、という記述が興味深いです。
記事と関係のないコメントを失礼しました。
2023/11/15(Wed) 17:24 | URL | TID | 【編集】
糖質と糖類はどうちがうのでしょうか?エリスリトールは、糖質ゼロで糖類約100%??だそうですが、エリスリトールは食しても大丈夫でしょうか?
ちなみに糖尿病ではなくアトピー持ちですが、アトピーコントロールに糖質制限をしようかと考えています。
ちなみに糖尿病ではなくアトピー持ちですが、アトピーコントロールに糖質制限をしようかと考えています。
2023/11/16(Thu) 15:16 | URL | びお | 【編集】
TID さん
興味深い情報をコメント頂きありがとうございます。
覗いてみます。
興味深い情報をコメント頂きありがとうございます。
覗いてみます。
2023/11/16(Thu) 16:30 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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