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糖質制限食とメディカル朝日 続き
こんにちは。今回は、昨日の続きです。

メディカル朝日 2008年 12月号 52-55ページ
「連載・誰も教えてくれなかった糖尿病診療 SDMメーリングリストから  糖質制限食は本当に有効か  低糖質食は長続きするか」


<低糖質食は長続きするか>

Q
東京都港区開業医
「最近患者さんの中に糖質制限食を勧めている本を読んで実行している人がいます。この食事療法を始めて脂質異常症になった例をみました。あるアメリカ人がアトキンスダイエット(低炭水化物ダイエット)を行って減量に成功したと自慢していましたが、2年後には元通り肥満していました。低糖質食は長続きするのでしょうか」

A1
還暦前の開業医
「私自身、糖質制限食で血糖コントロールが良くなった経験を持っています。私自身の食事法とクリニックでの経験をお話しします。私は糖質制限食を食後高血糖を改善するダイエットととらえています。糖質はいろんな食材に含まれているので頑張って制限してもカロリー比で20%程度までではないでしょうか。極端なダイエットはそれほど長続きしません。」

A2
東京都専門医
「PubMed(米国国立生物工学情報センターが公開する医学文献データベース)で
”低炭水化物ダイエット”と”糖尿病”で検索すると、
『低炭水化物ダイエットは体重を減少させ、中性脂肪を減少させる、一方でケトーシスを含め有意なリスク上昇は認められなかった』という報告が多いようです。
今後『肥満を伴う2型糖尿病では糖質制限を勧めるべき』という方向性で議論が進む可能性はあると思います。」


<解説> 目黒副医長
糖尿病の食事療法において糖質を制限するべきか、脂質を制限するべきかは、非常に古くからのテーマです。
 現時点での日本糖尿病学会のガイドラインでは低脂肪・高糖質食が主流ですが、最近体重減少や食後高血糖改善に関して糖質制限食が優れているとの報告も散見されます。
 コクランライブラリーでは質の高い臨床研究に乏しいため『現時点では結論が出せない』
と結論づけています。
 しかしメーリングリストでの議論にもあったように、糖質制限食が著効する人がいることも事実であり、そういった多様性を認め、それぞれの患者に合った食事指導をいかに構築するか検討するほうが建設的であるように思います。
 ただし糖質制限食と従来の糖尿病食のどちらが上手く実行できるかというと、同等か糖質制限食のほうがやや劣ることが多いようです。」


<コメント>
松岡世話人
「京都の江部康二氏が『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』を出版されて以来、外来で恰幅のいい社長、重役さんたちから多くの質問を受けました。うまくいった人はそれなりの注意と努力を払っておられますし、京都まで出かけて直接指導を受けてこられた方は、自分への健康投資が一段と動機付けの向上をもたらしたようです。
2型糖尿病に糖質制限食を適応する目的は食後高血糖の改善を含む血糖コントロールや減量です。今後いろいろな工夫がなされるでしょうが、食事療法は長く続かなくてはなりません。
患者の生活を知り、本人の嗜好や治療へのスタンスなどを見ながら糖質制限食を実施し、合併症を含めて検査成績を評価して続けるか否かを指示してください」

以上が、メーリングリスト後半の質問と答え、解説とコメントの要約です。

東京都港区開業医さんの発言で、脂質異常症となった例があるとのことでした。糖質制限食実践で血糖値・中性脂肪・HDL-コレステロールは速やかに改善しますので、LDL-コレステロールが高値となった例があるのでしょうね。

糖質制限食実践でLDL-コレステロールは下がる人、上がる人、不変の人があります。私の場合は、少し下がりました。いったん上昇した人も、あるていど長期になると下がってくることが多いです。

東京都専門医さんの今回の発言は、ニュートラルにPubMedの文献情報を伝えていただいており、肥満を伴う2型糖尿病と限定的ではありますが、糖質制限食の有用性を示唆されています。

解説の目黒先生はニュートラルな発言ですが、糖質制限食の有効性をはっきり認めておられます。その上で、画一的な従来のカロリー制限食(低脂質・高糖質食)だけでなく個々の患者に応じて食事療法の多様性を認めて、検討することを勧めておられます。

コメントの松岡先生は、私の本を紹介していただいて、とりあえず感謝です。目黒先生と同様、糖質制限食の有効性を認めていただいたうえで、長続きすることの大切さや、評価をきっちりしながら行うことを提唱しておられます。

辛口の発言も一部ありましたが、総じて、2005年に初めて本を出版した頃のような糖質制限食に対する、医師の拒否反応は全くありません。

どちらかというと、好意的な先生方の方が多い印象を受けました。糖尿病のメーリングリストですから、糖尿病に関わる臨床医の忌憚のない意見と考えられ、糖質制限食の認知度は、確実に上がっているようです。

また、解説、コメントの目黒先生、松岡先生のように、とてもニュートラルな立場で今後、糖尿病食事療法の多様性を認めて、検討していこうというご意見は、小生としてもうれしい限りです。

過去本部ブログで、糖質制限食夜明け前、夜明け間近と述べてきましたが、ここまでくると夜明けが始まっているのかもしれませんね。 (^_^)

江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
臨床的に有効
匿名ドクター様

エールありがとうございます。
私としては糖質制限食を理解していただける医師が増えていくことは
嬉しい限りです。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
2008/12/21(Sun) 12:38 | URL | 江部康二 | 【編集
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