2023年10月03日 (火)
こんにちは。
現行の日本糖尿病学会推奨の「糖尿病食」は、カロリー制限・高糖質食です。
ただ、長い間、炭水化物摂取比率60%だったのが、
最近50~60%になり、さらに2019年からは40~60%となっています。
少しずつですが、糖質制限食に歩み寄っています。
これは、よいことだと思います。
しかしながら、炭水化物摂取比率40%でも、
1800kcal/日摂取なら、一日量は180gとなります。
一日三食として、一回の食事の炭水化物量は60gあります。
1gの糖質が、体重64kgの糖尿人の血糖値を3mg上昇させます。
ということは、一回の食事で食後血糖値のピークは180mg/dl上昇するので、
食後血糖値は、毎回軽く200mg/dlを超えてきます。
これでは、糖尿病合併症を防ぐことはできません。
<現行の糖尿病食は合併症製造食>
我々糖尿人は耐糖能が低下していますので、
糖質を摂取すると必ず
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は最大の酸化ストレスリスクであり
糖尿病合併症の元凶とされています。
従って、普通の糖質摂取比率が40~60%の食事というのは
糖尿人にとっては、明確に害悪であり毒と言っても過言ではないと思います。
現行の糖尿病食は、誠に遺憾ながら「合併症製造食」としか言いようがありません。
現実に今の日本では、糖尿病学会も認めるように
糖尿病合併症は全く減少していません。
人工透析が毎年16000人以上、
失明が毎年3000人以上、
足の切断が毎年3000人以上です。
この事実は、現行の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食+薬物療法)が
決して上手くいっていない動かぬ証拠と言えます
現行の糖尿病治療が上手くいっているなら、
合併症は減り続けているはずです。
<体内で作られるAGEsが糖尿病合併症を引き起こす>
最近、AGEs(*)が注目されています。
その理由はさまざまな糖尿病合併症の元凶の一つと考えられるようになったからです。
まず、AGEsは酸化ストレスのリスクとなります。
そのプロセスは多様ですが、最も分かりやすいのは、
AGEsが血管の内壁にたまり、動脈硬化を引き起こす例でしょう。
動脈硬化によって障害を受ける血管の部位によって、生じる糖尿病合併症は異なりますが、
いずれも血管病と言って過言ではありません。
血管壁のAGEsは消えない借金であり「高血糖の記憶 」と呼ばれています。
体内で高血糖により産生されたAGEsが、細小血管合併症に関わることは、以前から指摘されていました。
細小血管合併症とは、糖尿病網膜症や糖尿病腎症です。
さらに近年「高血糖の記憶」という概念で、
米国の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告、
UKPDSの20年後の解析で、大血管合併症にもAGEsが関わっているという説が有力となっています。
大血管合併症とは、心筋梗塞や脳梗塞などです。
AGEsによる合併症発症のリスクは、「血糖値×持続期間」で決まります。
高血糖であればあるほど、そして高血糖である期間が長ければ長いほど、
AGEsの生成、蓄積量は多くなるからです。
従って、長年糖尿病を患っている患者は糖化が生じやすく、
AGEsの蓄積も、糖尿病でない人に比べて必然的に多くなります。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞にもなりやすくなるので、
糖尿病は「老化」が早く進む病気とも言われてきました。
<糖質制限食と糖尿人>
糖尿人においては「スーパー糖質制限食」だけが
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅」と「AGEsの蓄積」が生じない食事療法であり、
合併症予防を考えると理論的には他に選択の余地はありません。
一方、糖質制限食は、強制するようなものではありません。
自分で考えて自分で判断し選択して自己責任で実践するものです。
(*)AGEs
糖化とは、ブドウ糖(グルコース)などの糖が、直接たんぱく質などに結合する反応のことです。
糖尿病の検査指標として一般的に使われているヘモグロビンA1c(HbA1c)は糖化したヘモグロビンのことです。
HbA1cは、たんぱく質と糖が結合する「糖化反応系」の初期段階で作られる「アマドリ化合物」の一種で、
アマドリ化合物からさらに糖化反応が進むと、
最終的に「終末糖化産物(AGEs=advanced glycation endproducts)」というものができあがります。
AGEsには体内で産生されるものと食事由来のものがあります。
体内で産生されるAGEsが有害であること明白です。
糖質制限食では、肉や魚や卵など動物性たんぱく質を焼いて食べることがよくありますが、
食事由来のAGEsは、私は無害と考えています。
根拠は、火を使い始めて以降、人類の寿命は明らかに延びているからです。
江部康二
現行の日本糖尿病学会推奨の「糖尿病食」は、カロリー制限・高糖質食です。
ただ、長い間、炭水化物摂取比率60%だったのが、
最近50~60%になり、さらに2019年からは40~60%となっています。
少しずつですが、糖質制限食に歩み寄っています。
これは、よいことだと思います。
しかしながら、炭水化物摂取比率40%でも、
1800kcal/日摂取なら、一日量は180gとなります。
一日三食として、一回の食事の炭水化物量は60gあります。
1gの糖質が、体重64kgの糖尿人の血糖値を3mg上昇させます。
ということは、一回の食事で食後血糖値のピークは180mg/dl上昇するので、
食後血糖値は、毎回軽く200mg/dlを超えてきます。
これでは、糖尿病合併症を防ぐことはできません。
<現行の糖尿病食は合併症製造食>
我々糖尿人は耐糖能が低下していますので、
糖質を摂取すると必ず
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は最大の酸化ストレスリスクであり
糖尿病合併症の元凶とされています。
従って、普通の糖質摂取比率が40~60%の食事というのは
糖尿人にとっては、明確に害悪であり毒と言っても過言ではないと思います。
現行の糖尿病食は、誠に遺憾ながら「合併症製造食」としか言いようがありません。
現実に今の日本では、糖尿病学会も認めるように
糖尿病合併症は全く減少していません。
人工透析が毎年16000人以上、
失明が毎年3000人以上、
足の切断が毎年3000人以上です。
この事実は、現行の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食+薬物療法)が
決して上手くいっていない動かぬ証拠と言えます
現行の糖尿病治療が上手くいっているなら、
合併症は減り続けているはずです。
<体内で作られるAGEsが糖尿病合併症を引き起こす>
最近、AGEs(*)が注目されています。
その理由はさまざまな糖尿病合併症の元凶の一つと考えられるようになったからです。
まず、AGEsは酸化ストレスのリスクとなります。
そのプロセスは多様ですが、最も分かりやすいのは、
AGEsが血管の内壁にたまり、動脈硬化を引き起こす例でしょう。
動脈硬化によって障害を受ける血管の部位によって、生じる糖尿病合併症は異なりますが、
いずれも血管病と言って過言ではありません。
血管壁のAGEsは消えない借金であり「高血糖の記憶 」と呼ばれています。
体内で高血糖により産生されたAGEsが、細小血管合併症に関わることは、以前から指摘されていました。
細小血管合併症とは、糖尿病網膜症や糖尿病腎症です。
さらに近年「高血糖の記憶」という概念で、
米国の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告、
UKPDSの20年後の解析で、大血管合併症にもAGEsが関わっているという説が有力となっています。
大血管合併症とは、心筋梗塞や脳梗塞などです。
AGEsによる合併症発症のリスクは、「血糖値×持続期間」で決まります。
高血糖であればあるほど、そして高血糖である期間が長ければ長いほど、
AGEsの生成、蓄積量は多くなるからです。
従って、長年糖尿病を患っている患者は糖化が生じやすく、
AGEsの蓄積も、糖尿病でない人に比べて必然的に多くなります。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞にもなりやすくなるので、
糖尿病は「老化」が早く進む病気とも言われてきました。
<糖質制限食と糖尿人>
糖尿人においては「スーパー糖質制限食」だけが
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅」と「AGEsの蓄積」が生じない食事療法であり、
合併症予防を考えると理論的には他に選択の余地はありません。
一方、糖質制限食は、強制するようなものではありません。
自分で考えて自分で判断し選択して自己責任で実践するものです。
(*)AGEs
糖化とは、ブドウ糖(グルコース)などの糖が、直接たんぱく質などに結合する反応のことです。
糖尿病の検査指標として一般的に使われているヘモグロビンA1c(HbA1c)は糖化したヘモグロビンのことです。
HbA1cは、たんぱく質と糖が結合する「糖化反応系」の初期段階で作られる「アマドリ化合物」の一種で、
アマドリ化合物からさらに糖化反応が進むと、
最終的に「終末糖化産物(AGEs=advanced glycation endproducts)」というものができあがります。
AGEsには体内で産生されるものと食事由来のものがあります。
体内で産生されるAGEsが有害であること明白です。
糖質制限食では、肉や魚や卵など動物性たんぱく質を焼いて食べることがよくありますが、
食事由来のAGEsは、私は無害と考えています。
根拠は、火を使い始めて以降、人類の寿命は明らかに延びているからです。
江部康二
糖質制限には大豆製品が欠かせませんが、最近「食のパラドックス」という本で、大豆に含まれるレクチンが健康を蝕んでいると話題になっています。
先生は、レクチンについて、どういう考えをお持ちですか?
先生は、レクチンについて、どういう考えをお持ちですか?
2023/10/04(Wed) 10:17 | URL | ぺーすけ | 【編集】
ぺーすけ さん
日本人は、味噌汁、豆腐、納豆を、欧米人に比して、大変よく食べます。
いずれもレクチンが含まれています。
しかし、WHO(世界保健機関)が発表した2023年版の世界保健統計によると、
平均寿命(男女)が最も長い国は日本で84.3歳でした。
このことは、レクチンを含む食品の安全性が、証明されたと言っていいと思います。
日本人は、味噌汁、豆腐、納豆を、欧米人に比して、大変よく食べます。
いずれもレクチンが含まれています。
しかし、WHO(世界保健機関)が発表した2023年版の世界保健統計によると、
平均寿命(男女)が最も長い国は日本で84.3歳でした。
このことは、レクチンを含む食品の安全性が、証明されたと言っていいと思います。
2023/10/04(Wed) 11:58 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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