2023年09月26日 (火)
こんにちは。
今回は、血糖値とホルモンの関係について考えてみます。
まず血糖値を上昇させるホルモンとしては、糖新生を促す
グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンがあります。
一方、血糖値を下げるホルモンは、インスリンだけです。
人体の中で、赤血球だけはミトコンドリアを持っていないので、
ブドウ糖だけが唯一のエネルギー源です。
人類の歴史において700万年間の狩猟・採集時代は、
赤血球のために血糖値を確保する必要があるので、
グルカゴンは、日常的に大活躍していたと考えられます。
アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンも、それぞれ、それなりに
血糖値上昇に貢献していたことでしょう。
一方、インスリンは、基礎分泌分はしっかり働いていましたが、
追加分泌は、時々手に入る、野いちごなど野生の果物、
どんぐりや栗やクルミなど堅果類(けんかるい)、山芋(自然薯)などを
食べたときだけ働いていました。
つまり、狩猟・採集時代は、グルカゴンがメインであり、
インスリンは絶対に必要なのですが、ぼちぼちのような存在でした。
副腎皮質からのコルチゾール分泌は、
視床下部-下垂体-副腎皮質系のフィードバック機構により調節されています。
例えば生体は、ストレス(飢餓、寒冷、外傷など)があると、
下垂体のACTH分泌を介して、
副腎皮質からのコルチゾール分泌を促し、
糖新生で血糖値が上昇します。
コルチゾールには糖新生作用があります。
糖質制限食を実践すると、血糖変動幅が極めて少なくなり、
全身の代謝が安定するので、
コルチゾールをはじめとして全身のホルモンバランスも安定すると考えられます。
糖質制限食を続けている場合、インスリン基礎分泌は普通に必要ですが、
インスリン追加分泌は、必要最小限で済みます。
従って、膵臓のβ細胞は充分休養できているので、元気いっぱいです。
糖質制限食は、人類700万年間の狩猟・採集時代の食生活であり、
人類本来の食事で、人類の健康食と言えます。
狩猟・採集時代は、やはりインスリンの基礎分泌は必要ですが、
追加分泌は時々程度だったと考えられます。
ブドウ糖しかエネルギー源にできない赤血球のために、
人体には血糖値確保のためのバックアップシステムが複数あります。
これに対して、血糖値を下げるのは唯一インスリンのみであり、
バックアップシステムがありません。
このように、700万年間、インスリン追加分泌は時々必要だった程度なので、
わざわざバックアップシステムを構築する必然性がなかったと考えられます。
<血糖値確保のためのバックアップシステム>
1)グルカゴン
2)アドレナリン→ストレスで分泌増加
3)コルチゾール→ストレスで分泌増加
4)成長ホルモン
5)アミノ酸からの糖新生
6)グリセロール(中性脂肪の分解産物)からの糖新生
7)乳酸からの糖新生
<血糖値を下げるのはインスリンだけ>
現代のように糖質を、頻回に摂取し、
「血糖値上昇とインスリン大量分泌」を頻回に生じるとβ細胞は疲弊していき、
インスリン分泌能力も低下していき、
40年、50年経過していくと、とうとう糖尿病発症となると考えられます。
700万年間、さほど働いていなかったβ細胞が、
農耕開始後1万年間は、結構、毎日稼働し始めて、
とくに精製炭水化物摂取後のこの200~300年は、
よく働いています。
ただ、日常的な運動(歩行、炊事、洗濯、薪割り、掃除、井戸くみなど・・・)が
多かった時代は、筋肉がほどよく収縮していて、インスリンに依存することなく
血糖を取り込んでくれていたので、糖尿病も肥満も少なかったのです。
現代は、朝昼晩、3時のおやつ、夜食のラーメンと、
頻回・過剰に糖質を摂取していますので、
追加分泌インスリンは、馬車馬の如く働きづめです。
現代の食生活は、膵臓のβ細胞にとって、まさに受難の時代と言えます。
そして、インスリンは肥満ホルモンという側面があるので、
現代は肥満やメタボの人達が非常に多く存在しているわけです。
2型糖尿病は、狩猟・採集時代の700万年間は存在しなかった病気であり、
農耕開始(穀物食開始)以降に生じた新しい病気と考えられます。
江部康二
今回は、血糖値とホルモンの関係について考えてみます。
まず血糖値を上昇させるホルモンとしては、糖新生を促す
グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンがあります。
一方、血糖値を下げるホルモンは、インスリンだけです。
人体の中で、赤血球だけはミトコンドリアを持っていないので、
ブドウ糖だけが唯一のエネルギー源です。
人類の歴史において700万年間の狩猟・採集時代は、
赤血球のために血糖値を確保する必要があるので、
グルカゴンは、日常的に大活躍していたと考えられます。
アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンも、それぞれ、それなりに
血糖値上昇に貢献していたことでしょう。
一方、インスリンは、基礎分泌分はしっかり働いていましたが、
追加分泌は、時々手に入る、野いちごなど野生の果物、
どんぐりや栗やクルミなど堅果類(けんかるい)、山芋(自然薯)などを
食べたときだけ働いていました。
つまり、狩猟・採集時代は、グルカゴンがメインであり、
インスリンは絶対に必要なのですが、ぼちぼちのような存在でした。
副腎皮質からのコルチゾール分泌は、
視床下部-下垂体-副腎皮質系のフィードバック機構により調節されています。
例えば生体は、ストレス(飢餓、寒冷、外傷など)があると、
下垂体のACTH分泌を介して、
副腎皮質からのコルチゾール分泌を促し、
糖新生で血糖値が上昇します。
コルチゾールには糖新生作用があります。
糖質制限食を実践すると、血糖変動幅が極めて少なくなり、
全身の代謝が安定するので、
コルチゾールをはじめとして全身のホルモンバランスも安定すると考えられます。
糖質制限食を続けている場合、インスリン基礎分泌は普通に必要ですが、
インスリン追加分泌は、必要最小限で済みます。
従って、膵臓のβ細胞は充分休養できているので、元気いっぱいです。
糖質制限食は、人類700万年間の狩猟・採集時代の食生活であり、
人類本来の食事で、人類の健康食と言えます。
狩猟・採集時代は、やはりインスリンの基礎分泌は必要ですが、
追加分泌は時々程度だったと考えられます。
ブドウ糖しかエネルギー源にできない赤血球のために、
人体には血糖値確保のためのバックアップシステムが複数あります。
これに対して、血糖値を下げるのは唯一インスリンのみであり、
バックアップシステムがありません。
このように、700万年間、インスリン追加分泌は時々必要だった程度なので、
わざわざバックアップシステムを構築する必然性がなかったと考えられます。
<血糖値確保のためのバックアップシステム>
1)グルカゴン
2)アドレナリン→ストレスで分泌増加
3)コルチゾール→ストレスで分泌増加
4)成長ホルモン
5)アミノ酸からの糖新生
6)グリセロール(中性脂肪の分解産物)からの糖新生
7)乳酸からの糖新生
<血糖値を下げるのはインスリンだけ>
現代のように糖質を、頻回に摂取し、
「血糖値上昇とインスリン大量分泌」を頻回に生じるとβ細胞は疲弊していき、
インスリン分泌能力も低下していき、
40年、50年経過していくと、とうとう糖尿病発症となると考えられます。
700万年間、さほど働いていなかったβ細胞が、
農耕開始後1万年間は、結構、毎日稼働し始めて、
とくに精製炭水化物摂取後のこの200~300年は、
よく働いています。
ただ、日常的な運動(歩行、炊事、洗濯、薪割り、掃除、井戸くみなど・・・)が
多かった時代は、筋肉がほどよく収縮していて、インスリンに依存することなく
血糖を取り込んでくれていたので、糖尿病も肥満も少なかったのです。
現代は、朝昼晩、3時のおやつ、夜食のラーメンと、
頻回・過剰に糖質を摂取していますので、
追加分泌インスリンは、馬車馬の如く働きづめです。
現代の食生活は、膵臓のβ細胞にとって、まさに受難の時代と言えます。
そして、インスリンは肥満ホルモンという側面があるので、
現代は肥満やメタボの人達が非常に多く存在しているわけです。
2型糖尿病は、狩猟・採集時代の700万年間は存在しなかった病気であり、
農耕開始(穀物食開始)以降に生じた新しい病気と考えられます。
江部康二
江部先生
お世話になります
インシュリンを長期で打ちつ続けても
血統があんていしないのは 何か他の
原因があるのでしょうか?
辻褄が合わない気がします
まだまだ 人間のからだ未知の部分
あるのは分かりますが どうなんでしょう
お世話になります
インシュリンを長期で打ちつ続けても
血統があんていしないのは 何か他の
原因があるのでしょうか?
辻褄が合わない気がします
まだまだ 人間のからだ未知の部分
あるのは分かりますが どうなんでしょう
カレーを食べると糖質量以上に血糖値が上がると言う人が一定数いますが、香辛料の摂取でアドレナリンが分泌されるためでしょうか。
香辛料で血糖値は上がるのでしょうか。因みに私はあまり上がりません。
香辛料で血糖値は上がるのでしょうか。因みに私はあまり上がりません。
2023/09/28(Thu) 00:02 | URL | 西村典彦 | 【編集】
糖尿人 さん
糖質を摂取しながらインスリンを注射して、血糖コントロ-ルをするとき
「カーボカウント」という方法があります。
血糖を直接上昇させるのは、糖質だけなので、
その糖質の摂取量に合わせてインスリン注射の単位を調節するやり方です。
カーボカウントで、インスリン注射をすれば、少し血糖コントロールは良くなると思います。
さらにスーパー糖質制限食を実践して、インスリン注射をするなら
インスリンの単位は必要最小限ですみます。
そうすると低血糖も起こしにくいし、血糖コントロールもしやすくなります。
糖質を摂取しながらインスリンを注射して、血糖コントロ-ルをするとき
「カーボカウント」という方法があります。
血糖を直接上昇させるのは、糖質だけなので、
その糖質の摂取量に合わせてインスリン注射の単位を調節するやり方です。
カーボカウントで、インスリン注射をすれば、少し血糖コントロールは良くなると思います。
さらにスーパー糖質制限食を実践して、インスリン注射をするなら
インスリンの単位は必要最小限ですみます。
そうすると低血糖も起こしにくいし、血糖コントロールもしやすくなります。
2023/09/28(Thu) 16:59 | URL | ドクター江部 | 【編集】
2023/09/28(Thu) 17:11 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生
お世話になります
早朝空腹時血糖 について質問したく
メールします。
空腹時血糖高い値 だと体に悪影響
及ぼすことが考察されるのでしょうか?
健康診断の数値105mg・dl規定
暁現象があるか判定のため?
暁現象が発生する理由の考察
教えていただければ幸いです。
お世話になります
早朝空腹時血糖 について質問したく
メールします。
空腹時血糖高い値 だと体に悪影響
及ぼすことが考察されるのでしょうか?
健康診断の数値105mg・dl規定
暁現象があるか判定のため?
暁現象が発生する理由の考察
教えていただければ幸いです。
| ホーム |