FC2ブログ
糖尿病早期発見のために 続き
こんばんは。

今回の記事はは昨日の続きですが、読みやすさを考慮して、前日の記事も再掲します。

IFG(Impaired fasting glycaemia):空腹時血糖異常
IGT(Impaired Glucose Tolerance):耐糖能異常

っていきなりなんでしょう? (∵)?

あまり耳慣れない言葉と思いますが、糖尿病早期発見の流れにおいて大切な概念なので検討してみましょう。 (^_^)


75g経口ブドウ糖負荷試験 (75gOGTT) および、空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)

A)正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。

B)境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合をいう。
具体的にはWHO分類のIGT、IFG、IFG/IGTがある。
①2時間値が140~199mg/dlとなる耐糖能異常であるIGT (Impaired Glucose Tolerance)
 IGT単独なら早朝空腹時血糖値は110mg/dl未満で正常である。
②空腹時血糖値が110~125mg/dlとなるIFG (Impaired fasting glycaemia)
 IFG単独なら75gOGTTにて2時間値は140mg/dl未満で正常である。
③両者の合併であるIFG/IGT
の3つのパターンがある。

C)糖尿病型
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。


随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型

Ⅲ 糖尿病の診断
  Ⅰ、Ⅱの糖尿病型を異なる日に2回以上確認できたら糖尿病と診断。


Ⅳ 糖尿病発症に到る流れ
1)IGT→糖尿病(食後血糖値200mg/dl以上または75gOGTT2時間値200mg/dl以上)   既に糖尿病を発症していても早朝空腹時血糖値は正常で健診で見逃される。
2)IGT→IFG/IGT→糖尿病(上記200mg/dl以上または空腹時血糖値126mg/dl以上)
  IFG/IGTの段階で、通常の健診でもチェックできる。 
3)1FG→IFG/IGT→糖尿病  
通常の健診でもチェックできる。パターンとしては少ない。

続く

江部康二


日本人では、IGTや200mg/dl以上の食後高血糖が、数年から10年続いて、初めて早朝空腹時血糖値が110mg/dlを超えることが、最も多いとされています。

つまり1)、2)のパターンが多くて、3)のパターンは少ないのですね。

従いまして、一般的な健康診断の早朝空腹時血糖値で、糖尿病の早期診断をするのは、おおいに無理があります。そもそも日本人ではIFG単独の例は、かなり少ないと考えられます。

1)2)3)どのパターンでも、最終的には、IGTを経て糖尿病型になると考えられます。IFGからいきなり糖尿病型になるというのは、さすがにないと思います。

従って、なんとかIGTの段階(糖尿病発症前)でチェックできれば、治療的には大変役立ちます。
そのためには、75g経口ブドウ糖負荷試験が一番確実です。

しかし、かなり面倒で手間暇がかかりますから、デンプン(糖質)を食べ始めて2時間後の血糖値、あるいは尿糖を調べれば簡便です。

1時間後も調べれば、さらに見逃しは減ります。1時間値が180mg/dlを超えていると、2時間値が140mg/dl未満で正常でも、将来糖尿病になりやすいので注意が必要なのです。

糖尿病は、インスリン作用不足(インスリン分泌不足+インスリン抵抗性)がベースにあり、発症します。

日本人では、インスリン分泌不足が主で、インスリン抵抗性が従と言われています。IGTの段階で、まずインスリン追加分泌が不足、あるいは遷延しています。それが数年以上続いて、インスリン基礎分泌も不足してきたら、IFGも合併してきます。

一方、欧米人では、インスリン抵抗性が主で、インスリン分泌不足が従とされています。この場合、インスリン分泌能力はまだあるけれど、効きが悪い(インスリン抵抗性)ため高血糖となります。

そうすると、インスリン抵抗性のため、基礎分泌のインスリンの量では早朝空腹時血糖値がやや高いけど、追加分泌は大量に出せるので食後高血糖は防いでいるというIFGの人が、日本より高率に存在する可能性があります。

日本人でも肥満が目立つ人は、インスリン抵抗性が主の欧米パターンの糖尿病発症もありえます。この場合、早期に発見できれば、インスリン分泌能力は残っているので、肥満が改善してインスリン抵抗性が改善すれば、糖尿病が治ることもあり得ます。

ともあれ、IGT、IFG、IFG/IGTの段階で発見できればおおきなアドバンテージですね。
この段階で糖質制限食を実践すれば、糖尿病発症は確実に防げますよ。ヾ(^▽^)

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
検査結果
江部先生へ
ブログ毎日ありがとう御座います
必ず,拝見しています
今回の 検査結果です
2008年 9月22日 A1C 5.1
2008年 12月 8日 A1C 5.8 でした
ギギギリで,赤丸(*)はつきませんでた,
去年のDATAです
2007年 9月10日 A1C 5.0
2007年 11月12日 A1C 5.8
何故か,同じように大きく,上がっています
江部先生に お会いできなければ,(以前 A1C7.9)
カロリー主体で,現在は 投薬,インシュリン,飲酒制限は,確実だと思います

今回,上がり方が,大きかったので
主治医に(無理を言って)
グルコバイ錠100mg,10日分,頂きました

薬局の方が,初めてこの薬を飲むのでとても心配していました
(ブドウ糖も処方されました)
食べる前に飲むだけですからと話したところ
この薬は,3食 食前に飲む薬でそのような処方は,いままで有りません。
小生,とても不思議で,この薬 そんなに血糖値を下げますか?

-----------------------
5年前位 糖尿病 検査 試験紙で 陽性がでた方がいます,
そのとき,1時間ぐらい前にラーメンを食べたそうです
ラーメンを食べれば結果が陽性になる場合が有るので,
食べないときに,計って正常ならばと 安心しています
ラーメンを食べれば血糖値が上がるのは ?(糖尿病予備軍)
では無いでしょうか
説明しても 本人は,納得しませんが
-----------------------------
2008/12/15(Mon) 23:12 | URL | HIT | 【編集
グルコバイ
HITさん。

常用量で、

グルコバイは1時間値を50mg、2時間値を40mg
ていど下げるとされています。しかし、それほど下がらない人もあります。
グルコバイ単独服用で低血糖なることはまずありません。

2008年10月9日のブログにαグルコシダーゼ阻害薬のことが詳しく書いてあります。

それから尿糖陽性なら、食後高血糖があった可能性が高いです。まれに食後高血糖がないのに尿糖が陽性になる腎性糖尿があります。これは治療の必要はありません。
2008/12/16(Tue) 08:18 | URL | 江部康二 | 【編集
No title
お久しぶりです、お元気でしょうか?

さて本題に入りますが、糖質ゼロコーラ、糖質ゼロビールが流行していますが、使われている「スクラロース、アセスルファムk」の安全性がいまいちわかり難くやはり君子危うきに近寄らずでしょうか?
2008/12/16(Tue) 12:26 | URL | 甘いみかん | 【編集
人工甘味料
甘いみかんさん。

FDA(米国食糧医薬品庁)が認める人工甘味料は
スクラロース、アセスルファムk、アスパルテーム、サッカリンの4つです。

総量規制はありますが、糖質ゼロコーラ、糖質ゼロビールていどなら問題はないと思います。

甘味料については2008/09/28のブログをご参照ください。
2008/12/16(Tue) 15:34 | URL | 江部康二 | 【編集
自己測定結果について
糖尿病で通院しています。半月ほど前からアセンシアブリオを入手し、自分で血糖値測定を始めました。今日は通院の日だったので自己測定と病院での測定を比較してみました。

 自己測定  159mg/dl 食後1h アセンシアブリオ
 病院での測定 233mg/dl 食後1.5h ウルトラ?

HbA1cは8.3%でした。ここ数日記録をとっていますが、病院での測定値と自己測定で差が大きいと感じています。自己測定についてはあくまで相対変化を見ていきたいと思いますが、病院でも同様な測定器を使用していましたので自己測定との差が気になっています。
2008/12/20(Sat) 11:33 | URL | KENT | 【編集
血糖自己測定器
KENTさん。

病院でも簡易血糖自己測定器なのでしょうか?
通常は、病院では簡易ではない装置で測定するのですが。

「血糖自己測定器の誤差・実験2008年6月6日ブログ」もご参照ください。

ともあれA1Cが改善してくれば平均血糖値は改善していますので・・・
2008/12/20(Sat) 16:10 | URL | 江部康二 | 【編集
自己血糖測定
早速のご回答ありがとうございます。病院での測定は簡易測定と精密測定の双方実施しています。薬は毎食前にベイスロース、朝夕食後にメデットを服用しています。私の場合、食事特に飲酒のあとの摂食が血糖値をてきめんに上昇させているのがわかりました。薬よりもやはり食事、運動が血糖値抑制に効果があるようです。
2008/12/24(Wed) 07:17 | URL | KENT | 【編集
糖負荷試験前の食事について
いつもお世話になりありがとうございます。

糖負荷試験前の糖質摂取について教えていただきたく、よろしくお願いいたします。

糖質を150g以上含む食事を3日以上摂取した後、検査を受けるべきと聞いたことがあるのですが、正しいでしょうか?
2009/01/05(Mon) 13:09 | URL | アメリ | 【編集
事前の糖質摂取
アメリさん

佐藤 章夫 山梨医科大学名誉教授のホームページによれば

まずヒムスワースが「経口ブドウ糖負荷試験の前に低糖質食だと耐糖能が悪化する」という論文を出しました。
そして3日間300g/日の以上の糖質を摂取してから経口ブドウ糖負荷試験を行うことを奨めました。

その後1960年にウィルカーソンが「経口ブドウ糖負荷試験の前に50g/日の低糖質食でも耐糖能は悪化しない」という
論文をだしました。その結果、米国では150gということになったようです。

日本では当然基本的に糖質を食べてますので、いちいち前日の糖質摂取量などチェックすることはありません。
2009/01/05(Mon) 18:25 | URL | 江部康二 | 【編集
糖質制限をしている人は
早速ご回答いただき、また出所まで教えていただきありがとうございます。

そうしますと糖質制限をしている人は、検査前3日間は100gほどは糖質をとってから受けた方がよいようですね。それとも糖質制限食のままでよろしいでしょうか?
2009/01/06(Tue) 00:07 | URL | アメリ | 【編集
経口負荷試験
アメリさん。

バーンスタイン医師の見解、また私の経験でも
既に糖尿病になっていれば、1gの糖質が
体重64kg換算で、
2型で約3mg、1型で約5mg上昇させますので
事前の糖質摂取とかもう関係ないと思います。

ヒムスワースやウィルキンソンの研究は正常人対象で、
しかも耐糖能に関する結論は正反対です。

正反対の結論に折り合いをつけて
正常人あるいは糖尿病が確定していない人において
米国では150g/日の糖質を事前に摂取ということになったのでしょう。
2009/01/06(Tue) 09:14 | URL | 江部康二 | 【編集
ありがとうございます
江部先生

ありがとうございます。よくわかりました。

米国在住なのですが、前回受けた時は何も言われませんでした。耐糖能異常でまだ糖尿病ではないそうなので、次回の検査前は確認してみます。
2009/01/06(Tue) 10:23 | URL | アメリ | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック