2023年09月08日 (金)
【23/09/06 としの
メトホルミン
こんにちは
久しぶりにコメントさせていただきます。
内科医のとしのです。
日本のガイドラインでは
肥満があればメトホルミンがファーストになっています(CKDや心不全が無い場合)
しかし私は、肥満の糖尿病の方には(心不全CKD無い場合でも)SGLT 2iをファーストで投与する事が多いです。
そしてコントロールが良ければメトホルミンは追加しておりません。
しかし本当にメトホルミン投与しないでいいのかな?ともやもやしています。
(コントロールつかない場合はメトホルミン追加しています)
メトホルミンにはエビデンスも多く、よく言われるように
UKPDSでは死亡や、心筋梗塞に対して30%程リスク低下もあります。
以前にも質問させて頂きましたが、先生はメトホルミンにはこだわらず、
効果のあるSGLT2iを使用しているとの事ですが、
メトホルミンについてもしよろしければ先生のお考えをお伺いしたいです。】
こんにちは。
内科医のとしのさんから
メトホルミンなど、糖尿病内服薬について、コメント・質問を頂きました。
確かに、長い間、世界で第一選択剤であった、メトホルミンの位置づけが
少し変化してきているように思います。
【しかし私は、肥満の糖尿病の方には(心不全CKD無い場合でも)SGLT 2iをファーストで投与する事が多いです。】
そうですね。
私もとしのさんと同様、SGLT2阻害薬を第一選択とすることが多いです。
理由は、単純です。
他のDPP-4阻害薬やメトホルミンなどより、良く効くからです。
2018年、アメリカ糖尿病学会(ADA)とヨーロッパ糖尿病学会(EASD)が発表したコンセンサスガイドラインでは、
メトホルミンを第一選択薬とすることが踏襲されました。
しかし、加えて最近のエビデンスに基づいて各糖尿病薬間の差別化を図ったアルゴリズムが示されました。
(DIABETES NEWS No.167「ADAとEASDからの2型糖尿病患者の高血糖管理に関するコンセンサスレポート」参照)。
また2019年9月には、
ヨーロッパ心臓病学会(ESC)とEASDの共同によるガイドラインが改訂され、
心血管病の既往があるかそのリスクが高い患者では、
メトホルミンではなく
初めからSGLT2阻害薬かGLP-1受容体作動薬を使用することが推奨されています。
一方、日本糖尿病学会のJDS2019では、
Q5-2「血糖降下薬の選択はどのように行うか?」に対して
「薬物の選択は、それぞれの薬物作用の特性や副作用を考慮に入れながら、
各患者の病態に応じて行う」というステートメントが返され、
第一選択薬を特に指定しない従来の考え方が踏襲されました。
その理由として、日本人と欧米人では
2型糖尿病の病態やライフスタイルが異なることなどが挙げられています。
しかしながら、日本人においても、 SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が、
血糖コントロールに有効で、他剤とは明白に効果に差があります。
従って、患者さんファーストという立場からは、
心血管病の既往があるかそのリスクが高い患者だけでなく、
食事療法だけでコントロール良好が達成できていない全ての糖尿病患者に、
SGLT2阻害薬かGLP-1受容体作動薬が第一選択剤と思われます。
日本の健康保険制度では、 第一選択剤としてGLP-1受容体作動薬を単独で処方すると、注釈が必要だったりします。
従って、現実の第一選択剤としては、SGLT2阻害薬ということとなります。
江部康二
メトホルミン
こんにちは
久しぶりにコメントさせていただきます。
内科医のとしのです。
日本のガイドラインでは
肥満があればメトホルミンがファーストになっています(CKDや心不全が無い場合)
しかし私は、肥満の糖尿病の方には(心不全CKD無い場合でも)SGLT 2iをファーストで投与する事が多いです。
そしてコントロールが良ければメトホルミンは追加しておりません。
しかし本当にメトホルミン投与しないでいいのかな?ともやもやしています。
(コントロールつかない場合はメトホルミン追加しています)
メトホルミンにはエビデンスも多く、よく言われるように
UKPDSでは死亡や、心筋梗塞に対して30%程リスク低下もあります。
以前にも質問させて頂きましたが、先生はメトホルミンにはこだわらず、
効果のあるSGLT2iを使用しているとの事ですが、
メトホルミンについてもしよろしければ先生のお考えをお伺いしたいです。】
こんにちは。
内科医のとしのさんから
メトホルミンなど、糖尿病内服薬について、コメント・質問を頂きました。
確かに、長い間、世界で第一選択剤であった、メトホルミンの位置づけが
少し変化してきているように思います。
【しかし私は、肥満の糖尿病の方には(心不全CKD無い場合でも)SGLT 2iをファーストで投与する事が多いです。】
そうですね。
私もとしのさんと同様、SGLT2阻害薬を第一選択とすることが多いです。
理由は、単純です。
他のDPP-4阻害薬やメトホルミンなどより、良く効くからです。
2018年、アメリカ糖尿病学会(ADA)とヨーロッパ糖尿病学会(EASD)が発表したコンセンサスガイドラインでは、
メトホルミンを第一選択薬とすることが踏襲されました。
しかし、加えて最近のエビデンスに基づいて各糖尿病薬間の差別化を図ったアルゴリズムが示されました。
(DIABETES NEWS No.167「ADAとEASDからの2型糖尿病患者の高血糖管理に関するコンセンサスレポート」参照)。
また2019年9月には、
ヨーロッパ心臓病学会(ESC)とEASDの共同によるガイドラインが改訂され、
心血管病の既往があるかそのリスクが高い患者では、
メトホルミンではなく
初めからSGLT2阻害薬かGLP-1受容体作動薬を使用することが推奨されています。
一方、日本糖尿病学会のJDS2019では、
Q5-2「血糖降下薬の選択はどのように行うか?」に対して
「薬物の選択は、それぞれの薬物作用の特性や副作用を考慮に入れながら、
各患者の病態に応じて行う」というステートメントが返され、
第一選択薬を特に指定しない従来の考え方が踏襲されました。
その理由として、日本人と欧米人では
2型糖尿病の病態やライフスタイルが異なることなどが挙げられています。
しかしながら、日本人においても、 SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が、
血糖コントロールに有効で、他剤とは明白に効果に差があります。
従って、患者さんファーストという立場からは、
心血管病の既往があるかそのリスクが高い患者だけでなく、
食事療法だけでコントロール良好が達成できていない全ての糖尿病患者に、
SGLT2阻害薬かGLP-1受容体作動薬が第一選択剤と思われます。
日本の健康保険制度では、 第一選択剤としてGLP-1受容体作動薬を単独で処方すると、注釈が必要だったりします。
従って、現実の第一選択剤としては、SGLT2阻害薬ということとなります。
江部康二
こんにちは
私のコメント取り上げて頂き誠に有難うございます。各国のガイドライン、先生のお考えをご提示頂き大変勉強になりました。
今後各国のガイドラインでSGLT 2iが、メトホルミンと並び「ファーストで投与してよい」となれば私のようなしがない内科医でも、心置きなくSGLT 2iを投与出来るのにと思います。
ちなみに日本のガイドラインでは、
肥満ではSGLT 2i、非肥満では、DDP4iがファーストです。
ガイドラインに逆う治療にはどうしても引っかかりが残りますが、昨今SGLT 2iの評価の高まりが著しく、今後変わるかもしれません。
糖質制限でも同じ事が言えるかも知れませんね。
先生、すみませんが、もう一つ質問お願い申し上げます。
SGLT 2iではたった200〜300kcal、糖質が失われるだけなのに、どうしてケトン体が上昇するのでしょうか?
通常の食事をしている方が、糖質をそれだけ減らしてもケトン体は上昇しないと思うのですが。
もしよろしければお返事宜しくお願いします。
私のコメント取り上げて頂き誠に有難うございます。各国のガイドライン、先生のお考えをご提示頂き大変勉強になりました。
今後各国のガイドラインでSGLT 2iが、メトホルミンと並び「ファーストで投与してよい」となれば私のようなしがない内科医でも、心置きなくSGLT 2iを投与出来るのにと思います。
ちなみに日本のガイドラインでは、
肥満ではSGLT 2i、非肥満では、DDP4iがファーストです。
ガイドラインに逆う治療にはどうしても引っかかりが残りますが、昨今SGLT 2iの評価の高まりが著しく、今後変わるかもしれません。
糖質制限でも同じ事が言えるかも知れませんね。
先生、すみませんが、もう一つ質問お願い申し上げます。
SGLT 2iではたった200〜300kcal、糖質が失われるだけなのに、どうしてケトン体が上昇するのでしょうか?
通常の食事をしている方が、糖質をそれだけ減らしてもケトン体は上昇しないと思うのですが。
もしよろしければお返事宜しくお願いします。
としの さん
ネットで調べてみました。
「SGLT2阻害薬を投与すると、尿糖排泄増加により血糖および血中インスリンが低下し、
グルカゴン/インスリン比が増加します。
その結果、肝臓では血糖低下を補うように糖産生が増加します。
脂肪組織では脂肪分解が亢進し産生された遊離脂肪酸が肝臓でケトン体に変わっていきます。」
ネットで調べてみました。
「SGLT2阻害薬を投与すると、尿糖排泄増加により血糖および血中インスリンが低下し、
グルカゴン/インスリン比が増加します。
その結果、肝臓では血糖低下を補うように糖産生が増加します。
脂肪組織では脂肪分解が亢進し産生された遊離脂肪酸が肝臓でケトン体に変わっていきます。」
2023/09/09(Sat) 13:20 | URL | ドクター江部 | 【編集】
ありがとうございます!
先生、通常の食事をしている方(糖質300g程)が、たった糖質70g減らした場合、ケトンは上昇するものでしょうか?
以前講演会でSGLT 2iの場合、糖質70gをロスする以外の、特有の作用でケトン体が上昇する。
と聞いたのですが、忘れてしまいました💦
70gの糖質制限で、ケトン体がSGLT 2iを内服した時と同じレベルで上昇するのかどうか、、、
分かる範囲で、もしよろしければお返事お願いします。
度々申し訳ありません。
先生、通常の食事をしている方(糖質300g程)が、たった糖質70g減らした場合、ケトンは上昇するものでしょうか?
以前講演会でSGLT 2iの場合、糖質70gをロスする以外の、特有の作用でケトン体が上昇する。
と聞いたのですが、忘れてしまいました💦
70gの糖質制限で、ケトン体がSGLT 2iを内服した時と同じレベルで上昇するのかどうか、、、
分かる範囲で、もしよろしければお返事お願いします。
度々申し訳ありません。
こんにちは
興味深い論文がありました。
Michael Fralick et al. Diabetes Obes Metab. 2021 Oct.(X、旧Twitterで検索したら出ます、もしよろしければ)
内容は、糖尿病薬の投与をされていない方に、
第一選択薬として、メトホルミンまたは
SGLT 2阻害どちらかを投与した研究です。
心不全、脳卒中、死亡等をアウトカムとしています。心不全にはSGLT 2阻害がより有効。他でも非劣勢。
SGLT 2阻害の有効性については、メトホルミンにオンされたうえでの研究が多いと思います。これは良い論文と思いました。
興味深い論文がありました。
Michael Fralick et al. Diabetes Obes Metab. 2021 Oct.(X、旧Twitterで検索したら出ます、もしよろしければ)
内容は、糖尿病薬の投与をされていない方に、
第一選択薬として、メトホルミンまたは
SGLT 2阻害どちらかを投与した研究です。
心不全、脳卒中、死亡等をアウトカムとしています。心不全にはSGLT 2阻害がより有効。他でも非劣勢。
SGLT 2阻害の有効性については、メトホルミンにオンされたうえでの研究が多いと思います。これは良い論文と思いました。
としのり さん
ケトジェニックダイエットは、糖質の摂取量を30~60g/日以下に抑える食事療法で、
これで血中ケトン体が高値となります。
高雄病院のスーパー糖質制限食も、ケトジェニックダイエットの範疇に入ります。
ケトジェニックダイエットは、糖質の摂取量を30~60g/日以下に抑える食事療法で、
これで血中ケトン体が高値となります。
高雄病院のスーパー糖質制限食も、ケトジェニックダイエットの範疇に入ります。
2023/09/11(Mon) 16:55 | URL | ドクター江部 | 【編集】
としの さん
コメントをありがとうございます。
「糖尿病薬の投与をされていない方に、
第一選択薬として、メトホルミンまたは
SGLT 2阻害どちらかを投与した研究です。
心不全、脳卒中、死亡等をアウトカムとしています。
心不全にはSGLT 2阻害がより有効。他でも非劣勢。」
ということなら、SGLT2阻害薬のほうが、メトホルミンより優れているということになりますね。
コメントをありがとうございます。
「糖尿病薬の投与をされていない方に、
第一選択薬として、メトホルミンまたは
SGLT 2阻害どちらかを投与した研究です。
心不全、脳卒中、死亡等をアウトカムとしています。
心不全にはSGLT 2阻害がより有効。他でも非劣勢。」
ということなら、SGLT2阻害薬のほうが、メトホルミンより優れているということになりますね。
2023/09/11(Mon) 17:01 | URL | ドクター江部 | 【編集】
お返事ありがとうございます。
ケトジェニックダイエットでは糖質を60gに抑え、ケトン体の上昇をみる。
しかしながらSGLT 2阻害剤では、糖質を70g排泄するのみで、ケトン体の上昇をみる。(“少し“の上昇ですが)
ケトジェニックダイエットでは糖質を60gに抑え、ケトン体の上昇をみる。
しかしながらSGLT 2阻害剤では、糖質を70g排泄するのみで、ケトン体の上昇をみる。(“少し“の上昇ですが)
としの さん
SGLT2阻害薬を投与すると、尿糖排泄増加により血糖および血中インスリンが低下し、
グルカゴン/インスリン比が増加します。
その結果、肝臓では血糖低下を補うように糖新生が増加します。
糖新生のためのエネルギー源として、
脂肪組織では脂肪分解が亢進し産生された遊離脂肪酸によりβ酸化が 亢進し 、
大量に生成したアセチルCoA から肝臓でケトン体が産生されていきます。
SGLT2阻害薬を投与すると、尿糖排泄増加により血糖および血中インスリンが低下し、
グルカゴン/インスリン比が増加します。
その結果、肝臓では血糖低下を補うように糖新生が増加します。
糖新生のためのエネルギー源として、
脂肪組織では脂肪分解が亢進し産生された遊離脂肪酸によりβ酸化が 亢進し 、
大量に生成したアセチルCoA から肝臓でケトン体が産生されていきます。
2023/09/12(Tue) 07:08 | URL | ドクター江部 | 【編集】
メトホルミン・ダイエットのクリニックです
https://www.facebook.com/yobomedical.clinic/
ここでもメトホルミン・ダイエットをしています
https://www.yoshino-naika.com/blog/87699/
https://www.facebook.com/yobomedical.clinic/
ここでもメトホルミン・ダイエットをしています
https://www.yoshino-naika.com/blog/87699/
2023/10/29(Sun) 00:14 | URL | 中嶋一雄 | 【編集】
中嶋一雄 先生
情報をありがとうございます。
情報をありがとうございます。
2023/10/29(Sun) 06:17 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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