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WHOが初の「認知症予防ガイドライン」を発表。2019年。
糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/calendar/2019/029157.php  
糖尿病を治療して認知症を防ぐ 
WHOが初の「認知症予防ガイドライン」を発表
2019年05月29日
カテゴリー:   糖尿病合併症 運動療法 食事療法


こんにちは。
少し前ですが、
糖尿病ネットワークに、
「認知症と認知機能低下のリスクを減らすためのWHOガイドライン」
の記事が掲載されました。

新しいガイドラインによると、
『運動の習慣化、禁煙、アルコール摂取の抑制、健康的な食事、
血圧・コレステロール・血糖値のコントロールにより、
認知症の発症リスクを減らすことができる。
身体にとって良いことは脳にとっても良いことが示されている』

とのことです。

このうち、
『運動の習慣化、禁煙、アルコール摂取の抑制、
血圧・コレステロール・血糖値のコントロール』
に関しては、私も賛成です。

しかしながら、WHOの言う以下の青字部分の健康的な食事に関しては、
私には別の意見があります。

【栄養バランスの良い健康的な食事はすべての成人に勧められる
野菜や果物、雑穀や玄米などの全粒穀類、
マメ類、ナッツ類を十分に食べ、
野菜と果物は1日に400g以上を食べることが推奨される。
1日に2,000kcalを摂取している人では、
吸収の早い単純糖質の摂取を5%未満に、
脂肪の摂取を30%未満に抑える。
脂肪の多い牛や豚などの動物性食品を抑え、
食塩の摂取量を1日5g未満にするのが理想的。】



葉野菜など糖質の少ないものはOKとして、
根菜は糖質が多いので少量にとどめるのがよいです。

果物は、いつも述べているように、AGEsにブドウ糖の数十倍なりやすい果糖が多いし、
ブドウ糖やショ糖もあるので、少量にします。

玄米も雑穀もデンプンが多いので糖質制限食的にはNGです。

豆類は大豆製品(納豆、豆腐、揚げなど)以外は糖質が多いのでNGです。

ナッツ類は、糖質含有量の少ないものを適量ならOK。
クルミやアーモンドが糖質含有量が少ないので推奨です。

葉野菜やブロッコリー、ゴーヤ、カリフラワーなど糖質が少ないものはOK。
果物は、少量とします。

単純糖質(砂糖やブドウ糖や果糖など)は、勿論、なしです。

脂肪は、50~60%摂取しても糖質制限的にはOKです。

牛や豚などの動物性食品もしっかり食べてOKです。

食塩は、今まで通りの摂取でOKです。
糖質セイゲニストにおいては、インスリン追加分泌が最小限なので、
体内の塩分と水分が排泄される方向なので、OKなのです。


日本人における認知症の研究としては有名な『久山町研究』があります。

<久山町研究>
山町では1985年から2012年まで5回にわたり65歳以上の全住民を対象にした認知症に関する調査を実施。
過去5回で高齢者認知症の有病率が6.7%から17.9%まで急増。
認知症患者の6割を占めるアルツハイマー型に限れば、約9倍に増えていた。
「米の摂取量を減らして、大豆、緑黄色野菜、淡色野菜、海藻類、牛乳・乳製品を多く摂るというパターンで
認知症のリスクが下がる。」

  第22回日本疫学会学術総会、2012年1月26日(木)〜28日(土)で
  九州大学・小澤 未央 氏が報告。
  Am J Clin Nutr. 2013 May;97(5):1076-82. 論文掲載。


久山町研究における認知症予防の食事パターンに、魚と肉と卵を加えたら、何とそのまま『糖質制限食』です。
この研究結果を考慮すれば、米を含めて穀物やデンプンを制限する糖質制限食で認知症予防が期待できます。


江部康二



☆☆☆
以下の青字の記載は、糖尿病ネットワーク、2019年05月29日の記事から
一部、抜粋です。

糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/calendar/2019/029157.php  
糖尿病を治療して認知症を防ぐ 
WHOが初の「認知症予防ガイドライン」を発表
2019年05月29日
カテゴリー:   糖尿病合併症 運動療法 食事療法




 世界保健機関(WHO)は認知症と認知機能を予防するための具体的な介入方法をまとめた初のガイドラインの公開を開始した。
 認知症リスクは生活習慣改善により減らせるとして、WHOは各国に対応を求めている。
認知症は30年間で3倍に増加
 世界保健機関(WHO)は認知症と認知機能を予防するための具体的な介入方法をまとめた初のガイドラインの公開を開始した。
 新しいガイドラインによると、運動の習慣化、禁煙、アルコール摂取の抑制、健康的な食事、血圧・コレステロール・血糖値のコントロールにより、認知症の発症リスクを減らすことができる。身体にとって良いことは脳にとっても良いことが示されている。        
                       
 「今後30年間で、世界の認知症の有病者数は3倍に増加すると予測されています。認知症のリスクを減らすために、できることを今すぐ実行すべきです」と、WHO局長のテドロス アダノム氏は言う。

 認知症は、アルツハイマー病や脳卒中など、脳に影響を与えるさまざまな病気や傷害から生じ、記憶、思考、行動、理解、計算、学習能力、言語活動、判断に影響を与える。
 認知症は、世界中で5,000万人が罹患しており、毎年約1,000万例が新たに発症している。認知症を発症し、脳がダメージを受けてしまうと、元の状態に戻すのは多くの場合で困難だ。
 患者だけでなく社会が負う経済的負担も大きく、認知症による社会的費用の損失は2030年までに年間220兆円に膨れ上がると予想されている。公衆衛生上の問題として急速に拡大している。



食事と運動を改善すれば認知症リスクは減らせる
 WHOが公開している
「認知症と認知機能低下のリスクを減らすためのWHOガイドライン」
の主な内容は以下の通り――。

運動・身体活動には認知機能低下を予防する効果がある


栄養バランスの良い健康的な食事はすべての成人に勧められる
野菜や果物、雑穀や玄米などの全粒穀類、マメ類、ナッツ類を十分に食べ、野菜と果物は1日に400g以上を食べることが推奨される。
1日に2,000kcalを摂取している人では、吸収の早い単純糖質の摂取を5%未満に、脂肪の摂取を30%未満に抑える。脂肪の多い牛や豚などの動物性食品を抑え、食塩の摂取量を1日5g未満にするのが理想的。


肥満や過体重のある人では、介入して適正な体重にコントロールするで、
認知症のリスクを低下できる可能性がある


高血圧のある人は、WHOのガイドラインに従い適切な治療を受けるべき


糖尿病のある人は、適切な治療を受け生活スタイルを改善するべき


喫煙は身体の健康を害するだけでなく、認知症と認知機能低下のリスクにもなる。たばこを吸う人は禁煙が勧められる


ビタミンB、E、多価不飽和脂肪酸、マルチビタミンのサプリメントは、認知症予防の観点からは推奨されない


過度のアルコール摂取を習慣としている人には、認知症予防の観点から、飲酒量を減らすか断酒が勧められる


社会的な交流と支援は人生を通じて健康や幸福に強く関連している。生活において社会的な関わりは必要だ
 

認知症による社会的・経済的な損失は大きく、治療ケアの不足は世界中で課題になっている。一方で、認知症の危険因子を減らすために取り組めることは多い。WHOは各国に認知症対策の政策を立ち上げることを求めている。
 ガイドラインは、医療従事者が認知症や認知機能低下を予防するため必要なことを患者にアドバイスするときの根拠となる。それはまた、政府や政策立案者、計画当局が健康的な生活スタイルを奨励するプログラムを設計する際にも参考になる。

Adopting a healthy lifestyle helps reduce the risk of dementia(世界保健機関 2019年5月14日)Adopting a healthy lifestyle helps reduce the risk of dementia(世界保健機関 2019年5月14日)
Risk reduction of cognitive decline and dementia:WHO Guidelines(世界保健機関)Risk reduction of cognitive decline and dementia:WHO Guidelines(世界保健機関)
Dementia:Key facts






コメント
統合失調症と糖質制限食
こんばんは。

糖質制限食は、統合失調症のような
病気にも、何らかの効果は、あるのでしょうか? ご見解、また、先生のご意見を お聴かせ頂けますか?
以前、統合失調症の記事があったように思いますが、よろしくお願い致します。

もう一つ、「眠る牛」さんのコメントは、意外でした。私を含め、私の周りの人たちは、普通食をとって、HbA1cの数値が上がれば、それは、糖質制限が緩くなっている証拠と判断して、糖質制限に、再び、取り組み始める人ばかりなのです。糖質制限が、だめだと判断する人は、いないのですが、人によって、受け止めかたは、いろいろなのですね。
2023/06/09(Fri) 18:47 | URL | 匿名希望 | 【編集
Re: 統合失調症と糖質制限食
匿名希望 さん

ほとんどの生活習慣病に、糖質制限食は有効です。

一方、統合失調症は生活習慣病ではないですし、経験がないので
糖質制限食が有効か否か、私には、よくわかりません。
2023/06/09(Fri) 19:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
すみません。
統合失調症と糖質制限に関しては、
たがしゅうブログで、読んだのでした。もう一度、読み直してみようと思います。
2023/06/10(Sat) 00:36 | URL |  | 【編集
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