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「必須アミノ酸、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維」と糖質制限食
こんにちは。
ヒトには人体で作れない栄養素があります。

人体で作れないので、
「必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維」は、
食事から摂取する必要があります。

高雄病院のスーパー糖質制限食では、
魚介類、肉類、卵、卵製品、乳製品、野菜、海草、茸、大豆製品など・・・
まんべんなく摂取するので、これらが不足することはまずありません。


A)必須アミノ酸

スーパー糖質制限食では魚介や肉や卵を充分量摂るので不足はまずないです。

ヒトでは、一般に次の9種類が必須アミノ酸に含まれます。
トリプトファン
リシン
メチオニン
フェニルアラニン
トレオニン
バリン
ロイシン
イソロイシン
ヒスチジン


B)必須脂肪酸

厳密にはαリノレン酸とリノール酸の2つだけが、必須脂肪酸です。

α-リノレン酸からEPAやDHAは合成できるのですが、効率は悪く、
体内合成量だけでは足らない可能性があります。
従って、魚をしっかり摂取するのがよいと思います。

EPA、DHAは、サバ、サンマ、イワシなど青物の魚や
クロマグロ、ミナミマグロの脂身等に豊富です。
魚を食べないと、EPAとDHAは不足しますので注意が必要です。

また、αリノレン酸は、シソ油、
くるみ、マヨネーズと、
油揚げ、凍り豆腐(高野豆腐)、湯葉、納豆など大豆製品に豊富です。

「シソ油」は、しそ科の植物“エゴマ”の種子を搾った油です。

これらの植物性食材を摂取しないと、
αリノレン酸が不足するので注意が必要です。

カツオ缶詰、マグロ缶詰にもα-リノレン酸が比較的豊富です。

リノール酸は、必須ですが、日本人は過剰摂取しているので、
注意が必要です。
糖質制限OK食材の中では、
鶏肉、サラダ油、ナッツ、マヨネーズ、卵などにリノール酸が豊富です。
リノール酸の摂取が多くてα-リノレン酸が少ないと、
動脈硬化、アレルギー疾患、欧米型ガンなどのリスクとなるとされています。

なお、菜種油やカノーラ菜種油に関しては、αリノレンン酸含有量は多いですが、
日本脂質栄養学会は、環境ホルモン作用があり、良くないとしています。

C)ビタミン

例えばビタミンCは、野菜や海苔などに豊富です。
果物にもビタミンCは豊富ですが、
糖質制限食ではごく少量摂取かなしですので野菜や海苔を食べないと、
ビタミンCが不足するので注意が必要です。
他のビタミンは、スーパー糖質制限食で不足することは、まずありません。

ビタミンA
β-カロテン
ビタミンD
ビタミンE
ビタミンK
ビタミンB1
ビタミンB2
ナイアシン
ビタミンB6
ビタミンB12
葉酸
パントテン酸
ビタミンC

D)ミネラル

亜鉛・カリウム・カルシウム・クロム・セレン・鉄・銅・ナトリウム・マグネシウム・マンガン・モリブデン・ヨウ素・リンの13元素がが健康増進法に基づく食事摂取基準の対象として厚生労働省により定められています。

スーパー糖質制限食なら、ミネラルが不足することはありません。

E)食物繊維

大腸の唯一のエネルギー源は短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)です。
食材としては、バターくらいにしか含まれていません。
従って、ヒトは摂取した食物繊維を大腸の腸内細菌(酪酸菌など)が餌にして酪酸などの短鎖脂肪酸を作ることで、大腸のエネルギー源を確保していると考えられます。
従って、食物繊維の摂取は、ヒトにとって必須と言えます。
糖質制限食では、野菜、海草、茸、大豆製品などから食物繊維を摂取できます。
勿論体内で産生される、βヒドロキシ酪酸などの短鎖脂肪酸も大腸細胞は利用します。

A)B)C)D)E)を考慮すれば
スーパー糖質制限食なら、
「必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維」
が不足することはないと考えられます。


なお玄米菜食を厳密に行うと、動物性食品に含まれるビタミンB12や、
魚に含まれるEPA・DHAが不足する可能性があるので注意が必要です。
ビタミンD、亜鉛、カルシウム、鉄不足にも注意が必要です。


**
そして必須糖質は存在しません。
体内で必要なブドウ糖は、肝臓で糖新生してまかなうので、
食物から摂取する必要はないのです。
国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告では、
「炭水化物(この場合は糖質とほぼ同義)の理論的な最小必要量はゼロである」(☆)
と明記されています。
(☆)
Eur J Clin Nutr. 1999 Apr;53 Suppl 1:S177-8.
Report of the IDECG Working Group on lower and upper limits of carbohydrate and fat intake. International Dietary Energy Consultative Group.
Bier DM, Brosnan JT, Flatt JP, Hanson RW, Heird W, Hellerstein MK, Jéquier E, Kalhan S, Koletzko B, Macdonald I, Owen O, Uauy R.



江部康二
コメント
αリノレン酸
こんにちは。
さんま3尾を毎日2週間ほど食べましたが、鼻血がでました。αリノレン酸も摂りすぎると、血液の凝固性が弱くなるのでしょうか。
海生生物を主食としているイヌイットの人の寿命がそんなに長くないのも、αリノレン酸の摂りすぎではないでしょうか。
リノール酸とαリノレン酸の摂取比率が1:1~3
が良いといわれていて、草食動物のウシ、ヒツジ、シカなどの肉にリノール酸とαリノレン酸の比率が適度に含まれています。
それが理由で、私の主食は、草食のオーストラリア産牛肉です。しかも安いのです。
豚肉や鶏肉は雑食性なのでリノール酸過多のため、私の場合、摂取するとアトピー湿疹がでます。卵もリノール酸過多なのでアトピー湿疹がでます。
必ず食品成分表を見て、リノール酸過多の食材は避けてます。和牛も穀物飼育で雑食なのでリノール酸過多で草食動物とはいえないようです。
オーストラリア産牛肉もアトピー湿疹でますが、酷くはないです。
オーストラリアでは、日本向け出荷の数か月前から、わざわざ穀物飼育に切り替えるそうです。
私に言わせれば、わざわざリノール酸を増やすのは止めて欲しいです。
2023/05/24(Wed) 21:16 | URL | yk | 【編集
糖質制限食はDASH食よりも血圧をより改善する
糖質制限食と、血圧を下げることに特化したDASH食(糖質は食べる)を比較したところ
糖質制限食のほうが体重減少やHbA1c改善はもちろん
血圧を下げる効果までもが高いようです

Comparing Very Low-Carbohydrate vs DASH Diets for Overweight or Obese Adults With Hypertension and Prediabetes or Type 2 Diabetes: A Randomized Trial
https://www.annfammed.org/content/21/3/256
2023/05/25(Thu) 06:00 | URL | いんき | 【編集
筋トレについて
筋肥大には糖質は欠かせないと言われますががこの場合の糖質はOKなのでしょうか?
糖質制限で筋トレしても筋肉が付かないことはないがパフォーマンスが悪いので糖質を入れた方が効率的だと言う事ですがどうなんでしょうか?
それとも糖質はどんな場合でもダメということでしょうか?
2023/05/25(Thu) 14:48 | URL | と | 【編集
Re: αリノレン酸
yk さん

イヌイットは脳血栓や心筋梗塞はとても少なくて、脳出血はデンマーク人と同等くらいです。
つまり、αリノレン酸関連での死亡は多くないです。

イヌイットの平均寿命が短い理由は、乳幼児期の死亡が多いことが一番大きいと思います。

何故かといいますと、出産時の死亡、出産前後の死亡、幼児期の自然環境での事故死が非常に多かったのです。
感染症での死亡もあります。


また、若者が猟での事故で死亡することも、たびたびありました。なにしろ、当時の死亡順位の一位は、事故死でした。

乳幼児や若者の死亡率が高いので、必然的に平均寿命は短くなります。
2023/05/25(Thu) 17:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖質制限食はDASH食よりも血圧をより改善する
いんき さん

興味深い情報をコメント頂き、ありがとうございます。
2023/05/25(Thu) 17:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
菜種油
菜種油に環境ホルモンが含まれていること、知りませんでした。無色透明に近い色の安い植物油、いわゆるサラダ油については、オメガ6が多いだろうし、加工されすぎていて栄養がはぎとられているだろうと思い、元々敬遠していましたが、コールドプレスの菜種油でもよくないのでしょうかね。
オリーブオイルのようにオメガ9が多く、オメガ3と6がよい割合で含まれていて、日本だとコールドプレスの菜種油はお高いですが、ヨーロッパにいると、割と安価だけど健康な類のオイルという認識でした。
2023/05/25(Thu) 17:33 | URL | 川鹿 | 【編集
Re: 筋トレについて
と さん


<糖質制限食と筋トレ>は大丈夫です。

以前、豆蔵さんからコメント頂きましたボディビルダー・山本義徳氏の名言が以下です。 
1. ケトーシスは身体に悪い、という医者がいたら、それは無学である。 

2. 脳のエネルギーはブドウ糖だけである、という栄養士がいたら、それは無知である。 
3. ローカーボだと筋肉が落ちやすい、というトレーナーがいたら、それは無能である。 
http://ameblo.jp/doronjo7/entry-11599159896.html2013-08-24  

ボディビルダー・山本義徳氏 、素晴らしいです。 
2023/05/25(Thu) 17:41 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 菜種油
川鹿 さん

日本脂質栄養学会
は、製薬メーカーとの利益相反がない、信頼できる団体です。

菜種油には環境ホルモンが含まれていると思われます。
2023/05/25(Thu) 17:47 | URL | ドクター江部 | 【編集
山本義徳氏
先生、早い返信ありがとうございます。
ただ最近というか前も言ってたのかは分かりませんが、山本義徳氏はケトジェニックと脂質制限のハイブリット方式を採用しているようです。
山本氏は筋肉を大きくする為にどういう糖質を摂取すればいいか動画で説明していましたし、山本氏が指導しているビルダーの山澤さんに対してもケトと脂質制限の組み合わせでした。
山本義徳氏についてはYouTubeでチェックしていました。

2023/05/25(Thu) 18:31 | URL | と | 【編集
Re.Re.αリノレン酸
ご指摘ありがとうございます。
イヌイットの寿命が長くないのは、乳児の死亡率と事故死亡率が高いためなのですね。
2023/05/25(Thu) 20:57 | URL | yk | 【編集
Re: 山本義徳氏
と さん

最新情報をありがとうございます。
2023/05/26(Fri) 07:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: Re.Re.αリノレン酸
yk さん

その要因が大きいと思います。
2023/05/26(Fri) 07:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
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