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インスリンと脳。筋肉のインスリン抵抗性と脳のインスリン抵抗性。
こんばんは。
今回は
<インスリンと脳。筋肉のインスリン抵抗性と脳のインスリン抵抗性。>について、考察してみます。
まずは、少しインスリンと脳について、知識整理をしておきましょう。
例えば肥満などで「筋肉のインスリン抵抗性」があると、
インスリン作用を確保するために、
膵臓のβ細胞が大量のインスリンを分泌して辻褄を合わせます。

そうすると分泌された大量のインスリンに対して
インスリン分解酵素が、目一杯働く必要があります。
実はインスリン分解酵素は、
アミロイドβ蛋白というアルツハーマー病の元凶を分解する役目も有しています。

従って、インスリンが大量に分泌されている人は、
インスリン分解酵素が不足気味となるので
結果としてアミロイドβ蛋白が蓄積しやすく、
アルツハイマー病を発症しやすくなります。

有名な久山町の研究で、白米を沢山食べる人ほど、
アルツハイマー病になりやすいことが分かっていますが、
白米摂取でインスリンが多量に分泌されたためと思われます。

さらに、ロッテルダム研究により、
糖尿病でインスリン注射をしている高齢者は、
糖尿病でない高齢者に比して、
4.3倍アルツハイマー病になりやすいと報告されています。

つまり、過剰のインスリンが身体(脳)に良くないことは間違いないです。
一方、適切な量のインスリンが分泌されなければ、人は生命を維持できません。
スーパー糖質制限食の場合は、
必要最低限の適切なインスリン分泌で健康を維持できます。

インスリンは膵臓のβ細胞で、製造・分泌されますが、
実は、脳の海馬でもインスリンが製造・分泌されていることが
近年の研究で明らかとなりました。(☆)


脳のインスリンは、記憶力を高める作用があります。
膵臓で作られたインスリンも、脳の海馬で作用しますが、
インスリン抵抗性がなければ、少量のインスリンで十分なのです。

インスリンが脳内で適切に作用するには、情報伝達リレーが必要ですが、
糖尿病やアルツハイマー病の脳では、
このリレーが上手くいかなくて「脳のインスリン抵抗性」を、生じやすいのです。

全身性の「筋肉のインスリン抵抗性」と脳局所の「脳のインスリン抵抗性」とは
異なるメカニズムで生じる
と考えられます。


(☆)アルツハイマー病は「脳の糖尿病」 2017年
   講談社 鬼頭昭三、新郷明子 著
   115ページ



江部康二
コメント
アルツハイマー
2022年7月27日の夏井先生のウェブサイトで紹介されている報道によれば、
http://www.wound-treatment.jp/index_2022-07.html
アミロイドβ仮説を提唱したNatureの論文の信頼性に疑問が提起されているようです。
https://gigazine.net/news/20220726-potential-fabrication-in-key-theory-of-alzheimers-disease/
2023/05/24(Wed) 13:18 | URL | 和田 | 【編集
Re: アルツハイマー
和田 さん

情報をありがとうございます。
2023/05/24(Wed) 17:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
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