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HbA1cとグリコアルブミン(GA)の統一性と信頼度と意義。
こんにちは。
糖尿病の検査としてHbA1cとGAがあります。
今回はHbA1cとGAの統一性と信頼度と意義について考察してみます。

「HbA1c」

HbA1cの測定には大きく分けて「HPLC法」「酵素法」「免疫法」が臨床の場で使用されています。いずれの測定法も精度の高い定量検査が可能であり、世界的な標準化も進み原理間差は少なくなってきています。とは言っても、「HPLC法」「酵素法」「免疫法」を同一日、同時刻、同人物で測定した場合は少し、差が出る可能性があります。HbA1c値として、0.1~0.3%くらいの差はあると思います。


「グリコアルブミン(GA)」


旭化成ファーマ株式会社
https://www.asahi-kasei.co.jp/shindan/ga-l/ability.html

グリコアルブミンの測定は、旭化成ファーマ株式会社、一社となっています。
以前は協和キリンも測定していましたが撤退したようです。
従って、グリコアルブミンのほうが、HbA1cよりも信頼性も統一性も勝っていると思います。


さらに、
グリコアルブミン(GA)とグリコヘモグロビン(HbA1c)
に関してを比較・検討してみます。

<GAとHbA1cのそれぞれの意義>

HbA1cは赤血球の寿命が120日であるため4ヵ月前から採血時まで、
一般には、過去2ヶ月の平均血糖値を反映します。

GAはアルブミンの半減期が17日であるため17日前から採血時まで、
一般には、過去2週間の平均血糖値を反映します。
高雄病院の糖尿病学校(14日間入院)では、
タイミングが許せば、
糖質制限入院時と退院時のGAを検査します。
必ず退院時GAが改善しますので患者さんに説明しやすいです。
HbA1cは2週間では、血糖コントロール良好でも変化はありません。
従って、退院時のHbA1cは検査しません。

<GAとHbA1cの測定原理と食後高血糖の反映度合い>


HbA1cとグリコアルブミン(GA)は、血糖が、血液中のヘモグロビンとアルブミンと、
それぞれ結合して変化したものの割合をパーセントで示す検査です。

血液中のブドウ糖は、いろんなものにへばり付く性質があり、
ヘモグロビン(赤血球の中にあるタンパク質)にくっついて変化したものがHbA1cで、
アルブミンという血清中のタンパク質にくっついて変化したものが、グリコアルブミン(GA)ということです。

そして、同じ HbA1C値の糖尿病患者さんでも、食後高血糖が頻回にある患者さんの方が、
グリコアルブミンが高くなりやすいことが分かりました。

アルブミンが血糖と結合してグリコアルブミンになるスピードは、
ヘモグロビンが血糖と結合して HbA1Cになるスピードより、
9倍くらい速いと推測されています。


そのため、ごく短時間だけ現れる高血糖に対しては、
グリコアルブミン値の方が HbA1C値より敏感に反応しやすいと考えられます。
ごく短時間だけ現れる高血糖は、通常は糖質摂取後の高血糖です。
これが、「グリコアルブミン検査は食後高血糖の評価に適している」とされる理由です。

言い換えれば、HbA1cという検査は、食後高血糖を見逃している可能性が極めて高く
欠陥のある検査と言えます。

例えば糖質を普通に食べている糖尿人で、HbA1cが6.5%とか、一見コントロール良好であっても、
実際には食後高血糖が毎食生じていて合併症予防は困難なことも考えられます。
このことが、
日本で糖尿病合併症(透析16000人以上、切断3000人以上、失明3000人以上)が
一向に減らないことの理由の一つと考えられます。

<GA/HbA1cの比が大きいと食後高血糖が頻回>

食後高血糖の存在をよりはっきりとさせる方法として、
グリコアルブミン値を HbA1C値で割って両者の比を計算する方法があります。

血糖コントロールが良いにしろ悪いにしろ、それが安定している場合、
両者の比は、およそ3:1です。(但しHbA1cはJDS値)

つまりGA値が HbA1C(JDS)の約3倍です。

この約3倍というのは昔のHbA1c(JDS値)で計算したらぴったりですが、
HbA1c(NGSP値)の場合は少し小さくずれます。

従って、GA/HbA1c比の計算をするときは、
JDS値のHbA1c
にするとよいです。

*JDS値+0.4=NGSP値
*NGSP値-0.4=JDS値


食後血糖値の変動が大きい糖尿人では、
先ほど述べたようにグリコアルブミンの方が上昇しやすいため、
GA/HbA1c比が大きくなります。

食後高血糖が頻回の場合は、GA/HbA1c比が4:1に近付いたり、
それ以上に差が開くこともあるようです。

この差が大きいほど、
合併症が進行しやすくなることを示した研究報告が最近増えてきました。

<糖質制限食なら、GA/HbA1cの比が小さい>
江部康二の検査データ(2019年4月)
HbA1c(NGSP):5.7%(基準値4.6~6.2%) 
HbA1c(JDS):5.3%(基準値4.3~5.8%)
グリコアルブミン(GA):13.5%(基準値11.8~16.0%)

上記、江部康二の検査データ(2019年4月)だと、
JDS値で計算して、GA/HbA1c比は、2.37:1とかなり低いです。
これは食後高血糖が極めて少ないことを示しています。

一方、
ある50代男性糖尿人Aさんの検査では
HbA1c(NGSP):5.8%
HbA1c(JDS):5.4% 
グリコアルブミン(GA):18.0%
でした。

江部康二とAさんと、HbA1cは全く同じです。

一方AさんのGAも20%未満と、コントロール良好ではあるのですが、
私のデータと比べるとかなり高値です。
Aさんの、GA/HbA1c比は、3.33:1で、私よりかなり高いです。

つまりAさんは、私に比べると食後高血糖が一定あったこととなります。

よくよくAさんに聞いてみると

「麺類が好きで時々食べていました」

ということでした。
麺類を止めて貰ったら、GAも16.0%をきるようになりました。
すなわち、食後高血糖のない質の良いHbA1cと、食後高血糖のある質の悪いHbA1cとを、
GA/HbA1c比によって、区別し評価できるということになります。

GAとHbA1cは同じ月には保険請求できませんので、
かわりばんこに調べるとか、基本HbA1cで、時々GAとかいろいろ
工夫して検査すればいいと思います。

HbA1cより、有用なので、グリコアルブミン検査は今後、
もっと普及して欲しいと思います。

それによりグリコアルブミンと合併症の関係がさらに明確になることでしょう。


江部康二

☆☆☆
なお献血協力者へのサービスとしての生化学検査で、
 ALT(GPT)、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、アルブミン/グロブリン比、コレステロール、グリコアルブミン
の各検査値が協力者に提供されています。
コメント
健康保険同時適用出来ない
GAとHbA1c、健康保険同時適用出来ないのが難点><
点数低いHbA1cを自費負担がコツ。
2023/05/17(Wed) 09:16 | URL | らこ | 【編集
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