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Google Bard(AI)に2型糖尿病患者の適切な糖質量を質問してみました。
【23/05/14 佐々木カルフ
Google Bard(AI)に2型糖尿病患者の適切な糖質量を質問してみました
江部先生
いつもお世話になっております。

昨今世間を賑わせているAIに、表題の通り質問を投げてみたところ、
なかなかな回答をもらえたのでお知らせいたします。


質問:2型糖尿病患者の糖質摂取量で適切と思われる量はいくら?

GoogleBardの回答
-----ここから

米国糖尿病協会によると、2型糖尿病患者の糖質摂取量は1日あたり45〜60グラムに抑えることが推奨されています。これは、全体的なカロリーの15〜20%に相当します。ただし、最適な糖質摂取量は個人によって異なるため、糖尿病患者は医師または登録栄養士に相談して、自分に合った食事計画を立てることが重要です。

糖質は体にとって重要な栄養素ですが、血糖値の上昇につながる可能性があるため、2型糖尿病患者は糖質を制限することが重要です。糖質を制限することで、血糖値をよりよく管理し、合併症のリスクを減らすことができます。

2型糖尿病患者は、糖質摂取量を制限するためにできることがいくつかあります。

果物や野菜などの複合炭水化物を食べます。複合炭水化物は、血糖値をゆっくりと上昇させるのに役立つ食物繊維が豊富です。
加工食品、甘い飲み物、砂糖を制限します。これらの食品は単純炭水化物が豊富で、血糖値を急上昇させる可能性があります。
定期的に運動する。運動は血糖値を調節するのに役立ちます。
十分な水を飲む。水は血糖値を調節するのに役立ち、脱水症状を防ぐのに役立ちます。
糖質摂取量を制限することに不安がある場合は、医師または登録栄養士に相談して、あなたに合った食事計画を立てることが重要です。
-----ここまで


流石に米国のAIだけありますね。
今後はAIも糖尿病のみならず、医療の手助けをしてくれるのではないでしょうか。】



こんにちは。
佐々木カルフさんから、興味深いコメントを頂きました。
ありがとうございます。

Google Bard(AI)、なかなかの回答ですね。
私も、ほとんど賛成です。


【果物や野菜などの複合炭水化物を食べます。
複合炭水化物は、血糖値をゆっくりと上昇させるのに役立つ食物繊維が豊富です。
加工食品、甘い飲み物、砂糖を制限します。
これらの食品は単純炭水化物が豊富で、血糖値を急上昇させる可能性があります。】


しかし、Google Bard(AI)君、この記載はイマイチですね。
これは、一般論的にはこう言われていますが、
正常人には当てはまっても、糖尿人には当てはまりません。

例えば、糖尿人の江部康二が
炊いた胚芽米を一人前食べたら、食後血糖値のピークは1時間で240mg/dlくらいで
炊いた玄米を一人前食べたら、食後血糖値のピークは1時間で220mg/dlくらいです。

確かに複合炭水化物である玄米のほうが、胚芽米より血糖値の上昇が少ないです。
しかし、所詮は食後血糖値が200mg/dlを越えているので
血管内皮に与えるダメージは、ほとんど変わりません。
すなわち、糖尿人においては、複合炭水化物も単純炭水化物と同様に
食後高血糖を生じ、活性酸素を発生させ、酸化ストレスとなり、
合併症のリスクとなるので、危険な食物なのです。


また、現代の果物は、大きさが大きくなり糖度が高くなり、
狩猟・採集時代のご先祖が食べていたものとは、似て非なる物と言えます。
例えば、『野いちご』と『あまおう』を比較すればよくわかりますね。
「現代の果物は、糖尿人には毒である」 といっても過言ではありません。



☆☆☆
以下は、米国糖尿病学会ガイドライン2023年版の
食事療法に関する記載の要約です。
参考にして頂ければ、幸いです。


米国糖尿病学会(ADA)ガイドライン2023年版。

2023年新春、米国糖尿病学会(ADA)はガイドライン2023年版を発表しました。
食事療法に関しては、
食事療法に関するADAのコンセンサスレポート(2019年4月)が
今回も引用されており、推奨内容は2020年ガイドライン以降概して変わっていません。

Standards of Medical Care in Diabetes-2023 
STANDARDS OF CARE| DECEMBER 12 2023. Prevention or Delay of Type 2 Diabetes and Associated Comorbidities: Standards of Care in Diabetes—2023Diabetes Care 2023;46(Supplement_1):S41–S48

ガイドラインの中で、食事療法に関しては以下の記載があります。
食事療法 食事療法に関するADAのコンセンサスレポートが今回も引用されており、
推奨内容は概して変わっていません。
最適な栄養素のバランスについてのエビデンスはないため、
栄養素バランス自体よりも健康的な食事パターンが推奨されています。

具体的な食事パターン例として、
地中海式食事、低脂肪食、低炭水化物食などが挙げられており、
特に炭水化物については質について強調されています。 

低炭水化物の食事パターン、特に超低炭水化物(VLC)の食事パターンは、
A1Cと抗高血糖薬の必要性を減らすことが示されています。
これらの食事パターンは、2型糖尿病で最も研究されている食事パターンの1つです。


一方、低炭水化物食は短期間の血糖コントロールに有効ですが、
1-2年後にはその効果は消失してしまうことが繰り返されています。
また、低炭水化物食の不適例として妊婦、授乳婦、小児、摂食障害者、腎疾患者が挙げられており、SGLT2阻害薬服用者にはケトアシドーシスのリスクが潜在するために慎重に適用すべきことも記載されています。 

肥満患者では5%の体重低下が推奨されており、体重減少のためには前述のいずれの食事パターンに優劣はなく、運動療法に加えて個別化食事パターン(栄養士の介入推奨)で摂取エネルギー低下(一般に、500-700kcal/日低下)を達成するよう推奨されています。

①最適な栄養素のバランスについてのエビデンスはない。
いくつかの健康的な食事パターンを推奨。
 糖尿病患者に最適な栄養素のバランス(PFC比率)についてのエビデンスはないことを明言しています。

②具体的な食事パターン例として、地中海式食事、低脂肪食、低炭水化物食などが挙げられている。 
最適な唯一の食事療法はないので、地中海式食事、低脂肪食、低炭水化物食などを推奨して、糖尿病患者が選ぶように指導しています。

③低炭水化物食は短期間の血糖コントロールに有効であるが、
1-2年後にはその効果は消失してしまうことが繰り返されている。

確かに、過去の研究論文によると、効果が1-2年で消失するという報告があります。 
しかし、高雄病院と江部診療所での 外来通院糖尿病患者さんは、
累計では4000人以上で、 糖質制限食をキッチリ継続している患者さんは、
血糖コントロール良好を年余に渡って維持しています。 
例えば、江部康二は2002年から2023年まで、スーパー糖質制限食を21年間、
継続していて HbA1cは5.6~5.8%で保っています。


④低炭水化物食の不適例として妊婦、授乳婦、小児、摂食障害者、腎疾患者が挙げられている。 
高雄病院の糖質制限食は、妊婦・授乳婦にも推奨しています。 
宗田先生と永井先生のご研究により、糖尿病妊娠・妊娠糖尿病においても 
糖質制限食で、インスリンなしで血糖コントロール良好を保つことがほとんどです。 
人類は700万年間、穀物は食べていないので小児も糖質制限食摂取して大丈夫です。 
学習塾・三島塾の三島学塾長の、小児と糖質制限食のご報告もあります。
 
摂食障害は私には経験がないのでよくわかりませんが、
ブログのコメントでは 糖質制限食で改善した方々の報告がありました。 
しかし摂食障害に関しては個人差があると思います。 
腎疾患ですが、糖尿病腎症なら、毎月クレアチニン検査などをしながら 
糖質制限食を実践することが多いです。 
IgA腎症は、糖質制限食の効果が期待できないので推奨しません。

⑤SGLT2阻害薬服用者にはケトアシドーシスのリスクが潜在するために慎重に適用すべきことも記載されている。

⑥肥満患者では5%の体重低下が推奨されている。

⑦体重減少のためには前述のいずれの食事パターンに優劣はなく、運動療法に加えて個別化食事パターン(栄養士の介入推奨)で 摂取エネルギー低下(一般に、500-700kcal/日低下)を達成するよう推奨されている。



江部康二
コメント
ご指摘をありがとうございます
江部先生
ご指摘をありがとうございます。

Google Bardに先生のお叱りを言っておきます。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。
2023/05/16(Tue) 00:08 | URL | 佐々木カルフ | 【編集
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