2023年05月10日 (水)
こんにちは。
糖質制限食は、アバウトに言えば、
700万年間の狩猟・採集時代のご先祖の食生活が一つのモデルです。
しかし狩猟・採集時代のご先祖の平均寿命は、
農耕開始以降の寿命より短いのではないかという問題があります。
つまり、糖質制限食時代のほうが、
農耕時代(糖質時代)より平均寿命が短いということですね。
あと、簡単に言えば、農耕時代に限っても
「昔は短命」という事実があります。
平均寿命に関しては、
『食糧事情』『周産期死亡』『飲料水と感染症』『環境』などが大きく関与していますので、
以下考察してみます。
昔にもいろいろありますが、
この「昔は短命」には食生活もかなり関係していると思います。
飢餓で亡くなった時代もありますから、
食糧事情の安定化が平均寿命に大きく関与しています。
例えば日本の戦後の平均寿命の増加には、食料事情の安定化の寄与が大きいです。
ついで、医療の発達も平均寿命増加の大きな要因です。
0才児の平均余命が「平均寿命」です。
平均寿命でポイントとなるのが乳幼児死亡率です。
例えば江戸時代の平均寿命は30~40歳と短いのですが、
生まれた子どもの半分以上が5歳までに死亡していたようです。
出産時の死亡や周産期の死亡、その後は感染症での死亡もあります。
麻疹や天然痘、コレラやインフルエンザ、
そして脚気でも多くの人が亡くなっています。
飢饉や火事、台風、水害など災害でも多くの人が亡くなっています。
江戸時代は出産で死亡する女性もかなり多かったとされています。
江戸時代も含め、昔は
赤ちゃんや乳幼児の死亡率、そして出産時の死亡率が高いので、
必然的に、平均寿命は短くなります。
実は、明治時代までは、
乳幼児死亡率と出産時の赤ちゃんの死亡率はかなり高かったのです。
赤ちゃんや乳幼児死亡、出産で死亡する女性は
医療の発展で激減しました。
江戸、明治までは、医療が未発達だったので、
赤ちゃんの死亡や出産時に死亡する女性は、かなり多かったのです。
平成の時代に、赤ちゃんが亡くなるとか、出産時に母親が亡くなることは
極めてまれなできごとなので、大変な事態なのですが、
江戸、明治では日常的な出来事だったのです。
三つ目は、上下水道の発達です。
これにより、伝染性の感染症などによる死亡が大幅に減少しました。
しかし現在でも世界で6億6,300万人の人々が、安心して飲める水がなく、
川、湖、沼、整備されていない井戸などを飲料水をせざるを得ない状況にあります。
その半数近くが、サハラ以南のアフリカ諸国に集中していますが、
これらの地域では、飲料水からの感染症が多発しています 。
四つ目に環境がありました。
クレバスや滝に落ちる、氷期で寒さで凍える、肉食獣に食べられる、火山の爆発で地域全体が低温に・・・
6600万年前に巨大隕石が今のメキシコ・ユカタン半島付近に衝突し、
恐竜を始めとして地球上の動物のほとんどが滅亡したことが
ありますが、これは人類誕生以前ですね。
このように考察してくると、
現代のように食糧事情、上下水道、医療水準、環境が安定している中での糖質制限食なら
動脈硬化や西洋型がんの予防が期待でき、
血流・代謝が良くなり免疫力も増強で肺炎予防効果もあり、
平均寿命が延びる可能性が高いのです。
江部康二
糖質制限食は、アバウトに言えば、
700万年間の狩猟・採集時代のご先祖の食生活が一つのモデルです。
しかし狩猟・採集時代のご先祖の平均寿命は、
農耕開始以降の寿命より短いのではないかという問題があります。
つまり、糖質制限食時代のほうが、
農耕時代(糖質時代)より平均寿命が短いということですね。
あと、簡単に言えば、農耕時代に限っても
「昔は短命」という事実があります。
平均寿命に関しては、
『食糧事情』『周産期死亡』『飲料水と感染症』『環境』などが大きく関与していますので、
以下考察してみます。
昔にもいろいろありますが、
この「昔は短命」には食生活もかなり関係していると思います。
飢餓で亡くなった時代もありますから、
食糧事情の安定化が平均寿命に大きく関与しています。
例えば日本の戦後の平均寿命の増加には、食料事情の安定化の寄与が大きいです。
ついで、医療の発達も平均寿命増加の大きな要因です。
0才児の平均余命が「平均寿命」です。
平均寿命でポイントとなるのが乳幼児死亡率です。
例えば江戸時代の平均寿命は30~40歳と短いのですが、
生まれた子どもの半分以上が5歳までに死亡していたようです。
出産時の死亡や周産期の死亡、その後は感染症での死亡もあります。
麻疹や天然痘、コレラやインフルエンザ、
そして脚気でも多くの人が亡くなっています。
飢饉や火事、台風、水害など災害でも多くの人が亡くなっています。
江戸時代は出産で死亡する女性もかなり多かったとされています。
江戸時代も含め、昔は
赤ちゃんや乳幼児の死亡率、そして出産時の死亡率が高いので、
必然的に、平均寿命は短くなります。
実は、明治時代までは、
乳幼児死亡率と出産時の赤ちゃんの死亡率はかなり高かったのです。
赤ちゃんや乳幼児死亡、出産で死亡する女性は
医療の発展で激減しました。
江戸、明治までは、医療が未発達だったので、
赤ちゃんの死亡や出産時に死亡する女性は、かなり多かったのです。
平成の時代に、赤ちゃんが亡くなるとか、出産時に母親が亡くなることは
極めてまれなできごとなので、大変な事態なのですが、
江戸、明治では日常的な出来事だったのです。
三つ目は、上下水道の発達です。
これにより、伝染性の感染症などによる死亡が大幅に減少しました。
しかし現在でも世界で6億6,300万人の人々が、安心して飲める水がなく、
川、湖、沼、整備されていない井戸などを飲料水をせざるを得ない状況にあります。
その半数近くが、サハラ以南のアフリカ諸国に集中していますが、
これらの地域では、飲料水からの感染症が多発しています 。
四つ目に環境がありました。
クレバスや滝に落ちる、氷期で寒さで凍える、肉食獣に食べられる、火山の爆発で地域全体が低温に・・・
6600万年前に巨大隕石が今のメキシコ・ユカタン半島付近に衝突し、
恐竜を始めとして地球上の動物のほとんどが滅亡したことが
ありますが、これは人類誕生以前ですね。
このように考察してくると、
現代のように食糧事情、上下水道、医療水準、環境が安定している中での糖質制限食なら
動脈硬化や西洋型がんの予防が期待でき、
血流・代謝が良くなり免疫力も増強で肺炎予防効果もあり、
平均寿命が延びる可能性が高いのです。
江部康二
縄文人が従来言われていたよりも長命であった可能性について、先生の過去の論稿を思い出しました:
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3989.html?sp
上記で引用されている下記の論文で、聖マリアンナ医科大学の長岡講師は、縄文人の65歳以上の個体が占める割合が32.5%であることなどの研究成果を報告しています:
https://www.jsps.go.jp/file/storage/grants/j-grantsinaid/31_result/data/jinsya/37_nagaoka.pdf
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-20770197/20770197seika.pdf
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3989.html?sp
上記で引用されている下記の論文で、聖マリアンナ医科大学の長岡講師は、縄文人の65歳以上の個体が占める割合が32.5%であることなどの研究成果を報告しています:
https://www.jsps.go.jp/file/storage/grants/j-grantsinaid/31_result/data/jinsya/37_nagaoka.pdf
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-20770197/20770197seika.pdf
和田 さん
ご指摘ありがとうございます。
「聖マリアンナ医科大学の長岡講師は、
縄文人の65歳以上の個体が占める割合が32.5%であることなどの研究成果を報告しています。」
この報告は、信頼性が高いと思います。
ご指摘ありがとうございます。
「聖マリアンナ医科大学の長岡講師は、
縄文人の65歳以上の個体が占める割合が32.5%であることなどの研究成果を報告しています。」
この報告は、信頼性が高いと思います。
2023/05/10(Wed) 15:57 | URL | ドクター江部 | 【編集】
現代人が生涯病院に行かないとした場合、平均寿命はどれくらいになるのでしょう。縄文人などと寿命について比較するのであれば少なくともこの条件で比較すべきではないでしょうか。因みに同じ野生のチンパンジーは50歳くらいまで生きると聞いた事があります。近代においても医療が発達していなかった頃の人類と大差ないように思います。
2023/05/11(Thu) 11:51 | URL | 西村典彦 | 【編集】
西村典彦 さん
コメント、ありがとうございます。
記事にも書きましたように
『食糧事情』『周産期死亡』『飲料水と感染症』『環境』
が、平均寿命に大きく影響します。
この中で『周産期死亡』は、医療の発達で激減しています。
このことは、平均寿命をおおいに延ばしました。
一方、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』の記事で
フランツ・インゲルフィンガーが
「医師がかかわった病気のうち80%は、
“自己完結的”(実は医師が関わらなくても、自然に治癒してしまうもの)である」
と記しています。(1977年の記事で少し古いですが・・・。)
コメント、ありがとうございます。
記事にも書きましたように
『食糧事情』『周産期死亡』『飲料水と感染症』『環境』
が、平均寿命に大きく影響します。
この中で『周産期死亡』は、医療の発達で激減しています。
このことは、平均寿命をおおいに延ばしました。
一方、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』の記事で
フランツ・インゲルフィンガーが
「医師がかかわった病気のうち80%は、
“自己完結的”(実は医師が関わらなくても、自然に治癒してしまうもの)である」
と記しています。(1977年の記事で少し古いですが・・・。)
2023/05/11(Thu) 17:11 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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