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インスリン分泌・インスリン抵抗性指標。空腹時インスリン、Cペプチド。
こんにちは。

10時間以上の絶食で、
早朝空腹時のインスリン値、空腹時血糖値、空腹時Cペプチド値を
検査することで、インスリン分泌指標、インスリン抵抗性指標などを、
計算式で出すことができるので
今回は、それらを整理してみました。


インスリン分泌指標

【HOMA-β】
HOMA-βは内因性インスリン分泌機能を推定する指数です。

HOMA-βは、空腹時血糖値と空腹時インスリン値で計算するのですが、
経口血糖負荷試験(OGTT)時の2時間値のインスリン分泌量と、
よく相関することがわかっています。

homeostatic model assessment beta cell function
→略してHOMA-β

HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)÷(空腹時血糖値mg/ml-63)

という式で計算します。
空腹時血糖値130mg/dl以下なら信頼度が高いです。

正常値:40-60


【Cペプチド】
通常は、血液中のインスリン(IRI)そのものを測定しますが、
インスリン注射中の糖尿人は、C-ペプチド(CPR)というものを調べます。**

IRIの測定は、注射したインスリンの影響を受けますので不正確になりますが、
CPRの方は、外から注射したインスリンとは無関係の、
内因性インスリンの分泌状態を示しています。

早朝空腹時血中CPRを測定することで、
インスリンの基礎分泌能力がわかります。

蓄尿して一日尿中のCPRを測定することは、
一日の内因性インスリン分泌総量(基礎分泌+追加分泌)の指標となります。

【SUIT指数】
空腹時CPR(ng/ml)×1485/<空腹時血糖値(mg/dl)-61.8>
50%以下は軽度、20%以下は顕著なインスリン分泌低下。
20~23%以下だとインスリン治療が必要。

【Cペプチドインデックス(CPI)】
空腹時CPR(ng/ml)×100/空腹時血糖値(mg/dl)
1.2以上は正常。0.8以下でインスリン分泌低下。
1.2以上の場合は食事や経口薬治療、0.8未満の場合はインスリン療法を選択。
空腹時血糖値140mg/dl以上なら、CPIのほうが、HOMA-βやSUIT指数より信頼度が高い。


インスリン抵抗性指標
【HOMA-R】
HOMA-Rとはインスリン抵抗指数のことです。

HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン値÷405

という式で計算します。

homeostasis model assessment insulin resistance
→略して HOMA-R

HOMA-Rが大きいほど、インスリン抵抗性が強いと考えられます。

1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があると考えられます。
空腹時血糖値140mg/dl以下なら信頼度が高いです。



**
C-ペプチド(CPR)

C-ペプチド(CPR)は、
インスリン生合成の過程におけるプロインスリンの分解によって生じる副産物です。

インスリンとCPRの分泌動態には平行関係が存在します。

血中・尿中のCPR濃度を測定することにより、
膵ランゲルハンス島β細胞機能、
内因性インスリン分泌能を推測することができます。
コメント
最近、釜石豊秋氏の「糖質ゼロ健康法」という本を読んだところ、江部先生の話も出てきて、スーパー糖質制限では、追加インスリンが出るので1日の糖質を5グラム以下にしないといけないと書かれていました。
この件に関しては、どう思われますか?
2023/05/10(Wed) 08:23 | URL | ぺーすけ | 【編集
Re: タイトルなし
ぺーすけ さん

1日に摂取する糖質量が、少ないほど、効果は出やすいです。

①釜池先生の場合、1日の糖質を5グラム以下。
②高雄病院のスーパー糖質制限食が、1日の糖質量が、20~60g。
③日本糖尿病学会の糖尿病食は、1日の糖質量が、270gくらい。

①は効果は素晴らしいと思いますが、現実に実行するのは、極めて困難です。
②でも充分に効果がありますので、大丈夫です。
③に比べたら、インスリンの追加分泌も、②では3分の1以下で済みます。
2023/05/10(Wed) 12:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
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