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FreeStyleリブレ・FreeStyleリブレPro・SMBG、精度は?
「23/04/19 倉田
血糖値測定器についての質問ですが、よろしくお願いします。
1. 私は、フリースタイルリブレという腕に装着する測定器と針を指にさす測定器の両方を使って血糖値を自己測定していますが、数値にかなり誤差があるように思います。そして最近、フリースタイルリブレについて、血糖値に高めの数値が出ることが分かったので回収するという記事を目にしました。

その後、改善されたのかどうか確認できていませんが、アマゾンで一時、販売されなくなっていましたが、現在は販売が再開されています。私は、再び購入して常時測定していますが、依然として針を刺す測定器と数値に誤差があるように思います。どちらを信用したらよいか分からないので困っているのですが、測定器のこのあたりの事情について、江部先生が何か把握されていることがおありでしょうか。

2. 「医療従事者向け糖質制限食セミナー」の記事で、佐藤信昭医師は「基本、全員にCGMを装着する。・・・ちゃんと、糖質制限食が実践できているか否かは、空腹時の中性脂肪値を検査すればわかる。空腹時中性脂肪値が高値なら、スーパー糖質制限食は実践できていない。」と発言されています。

私はスーパー糖質制限を実践できているつもりですが、本当にできているのだろうかと疑わししいときもあります。この記事で「空腹時中性脂肪値」を知ることで、それが明確になるということを初めて知りました。CGMとはフリースタイルリブレのことだと思いますが、それには中性脂肪値が表示されるのでしょうか。

3. 高橋裕彦医師は「CGMでみるとHbA1cの検査が、5.1%とか5.2%とかでも、食後血糖値が200~300mg/dlを超えている人が沢山いるのに気がついた。HbA1cだけではそれを見逃してしまうので危険である。」と発言されています。

その人達は糖尿病ではなく、スーパー糖質制限を実践していない正常人ではないかと思われます。私は糖尿人ですが、スーパー糖質制限を実践していて、HbA1cは6%ですが、食後1、2時間血糖値は平均的に150~140以下を推移しています。ただ、19時夕食後10時間の早朝血糖値が、正常値の70~109を超える120~130程度になることが多いので、この点がやや気になっています。

当初は薬も飲んでいましたが、今は薬はやめて様子を見ています。夕食後に薬(スーグラ1錠)を飲むと、早朝血糖値も正常値に収まることが多いですが、この状態ではまだ薬を飲んだほうが良いと言えるのでしょうか。

また、要するに、究極の問題は、数値自体というより糖尿病による合併症が発症するかどうかだと思いますが、合併症が発症した患者について、HbA1cや血糖値の状態や推移に関するリスク確率の詳細なデータは存在するのでしょうか。」



こんにちは。
倉田さんから、

「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>ご報告。
2023年04月17日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/


一昨日の、上記の本ブログ記事に関して、コメント・質問を頂きました。
ありがとうございます。


【血糖値測定器についての質問ですが、よろしくお願いします。
1. 私は、フリースタイルリブレという腕に装着する測定器と
針を指にさす測定器の両方を使って血糖値を自己測定していますが、
数値にかなり誤差があるように思います。
私は、再び購入して常時測定していますが、
依然として針を刺す測定器と数値に誤差があるように思います。
どちらを信用したらよいか分からないので困っているのですが、
測定器のこのあたりの事情について、
江部先生が何か把握されていることがおありでしょうか。】


まず、結論ですが、血糖自己測定器の数値の方が信頼度が高いです。

私も、販売されてすぐに
2017/11/21~12/5までFreeStyleリブレを装着しましたが、
かなりの誤差でした。

私の場合はほとんどの場合、FreeStyleリブレで測定したFGMの方が
SMBG(血糖自己測定器)より高くでました。
例えば、早朝空腹時血糖値がFGMで160mg/dlもあり、ヾ(゜▽゜)
びっくりしてSMBGをしたら、105mg/dlでした。

またスーパー糖質制限食の昼食後1時間でFGMが206mg/dlもあり、ヾ(゜▽゜)
びっくりしてSMBGをしたら139mg/dlといった具合でした。


FreeStyleリブレによるFGMの場合は、SMBGの数値よりも、
20~60mmg高めにでたり、逆に20~30mgくらい低めにでることもあり、
誤差・バラツキが大きいようです。
FreeStyleリブレの性能の精度に問題があると思われます。
FreeStyleリブレで、変なデータがでたときは、
SMBGで再確認
したほうがいいですね。


高雄病院で糖尿病入院患者さんに使用している医療機関用の
FreeStyleリブレProのほうは、誤差はあまりありませんでしたので
信頼度は高いです。
FreeStyleリブレとFreeStyleリブレProの精度にこれほどの差があるとは
思いませんでした。

☆☆☆
なお、FreeStyleリブレでも、
一日の血糖値の推移と運動や食事の関係は明確にわかるのでとても便利です。
私の場合、寝床で目が覚めた途端に、10mgくらい血糖値が上昇しました。
またテニスのダブルスの試合中は50mgくらい血糖値が急上昇しました。
テニス終了後はすみやかに下がっていき、2時間後にはテニス開始前より運動効果でか少し下がります。



【2. 「医療従事者向け糖質制限食セミナー」の記事で、佐藤信昭医師は「基本、全員にCGMを装着する。・・・ちゃんと、糖質制限食が実践できているか否かは、空腹時の中性脂肪値を検査すればわかる。空腹時中性脂肪値が高値なら、スーパー糖質制限食は実践できていない。」と発言されています。
私はスーパー糖質制限を実践できているつもりですが、本当にできているのだろうかと疑わししいときもあります。この記事で「空腹時中性脂肪値」を知ることで、それが明確になるということを初めて知りました。CGMとはフリースタイルリブレのことだと思いますが、それには中性脂肪値が表示されるのでしょうか。】


中性脂肪値やHbA1cは、普通の血液検査で調べておられます。
FreeStyleリブレは、ブドウ糖濃度だけの測定です。


【3. 高橋裕彦医師は「CGMでみるとHbA1cの検査が、5.1%とか5.2%とかでも、食後血糖値が200~300mg/dlを超えている人が沢山いるのに気がついた。HbA1cだけではそれを見逃してしまうので危険である。」と発言されています。

その人達は糖尿病ではなく、
スーパー糖質制限を実践していない正常人ではないかと思われます。】


<HbA1cと空腹時血糖値>の検査だけだと、
本当は糖尿病や食後高血糖があっても、見逃してしまうので危険だということで
高橋先生は警鐘を鳴らしておられるのだと思います。
つまり、<HbA1cと空腹時血糖値>の検査だけだと、正常人ではないのに
正常人と見誤ってしまうことがありえるということです。


【私は糖尿人ですが、スーパー糖質制限を実践していて、HbA1cは6%ですが、
食後1、2時間血糖値は平均的に150~140以下を推移しています。】

スーパー糖質制限食を実践しておられてHbA1c6%であれば
「食後高血糖」や「血糖変動幅増大」のない
『質の良いHbA1c』なので心配ないと思います。
食後血糖値が150mg~140mg/dl以下・・・食後1.2時間値が
160mg/dl未満という国際糖尿病連合の基準を満たしておられるので、
合併症のリスクはないと思います。


【ただ、19時夕食後10時間の早朝血糖値が、
正常値の70~109を超える120~130程度になることが多いので、
この点がやや気になっています。】


いわゆる『暁現象』(☆)だと考えられます。


【当初は薬も飲んでいましたが、今は薬はやめて様子を見ています。
夕食後に薬(スーグラ1錠)を飲むと、早朝血糖値も正常値に収まることが多いですが、
この状態ではまだ薬を飲んだほうが良いと言えるのでしょうか。】


まずは、インターバル速歩などで、暁現象の改善を目指しましょう。
運動が困難であれば、『SGLT2阻害薬』の内服もありだと思います。
『SGLT2阻害薬』は、糖尿病への効果だけでなく、
心・腎・脳保護作用も認められており、とても良い薬ということが判明しています。


【また、要するに、究極の問題は、数値自体というより糖尿病による合併症が発症するかどうかだと思いますが、合併症が発症した患者について、HbA1cや血糖値の状態や推移に関するリスク確率の詳細なデータは存在するのでしょうか。】


国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2007年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」


国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2011年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」


熊本スタディー(Kumamoto Study)


日本糖尿病学会
 合併症予防のためにはHbA1c7.0%未満を目指す。

①②③といったエビデンスや、④の糖尿病学会の見解があります。

食後血糖値について
2020年03月21日 (土)の本ブログ記事
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5194.html

この記事もご参照頂ければ幸いです。


江部康二


(☆)『暁現象』
早朝の空腹時血糖値は、正常人では、寝る前より低いのが普通です。
ところが、就寝前よりも朝起きたときの血糖値のほうが高いという現象が、
糖尿人によくみられ、「暁現象」と呼ばれています。

朝方3~4時ころは、基礎分泌インスリンは一番低値になります。
さらにこの時間帯、成長ホルモンとコルチゾールが増えて
血糖が上がりやすくなるのですが、
正常人は即座にインスリン分泌を増やして対応します。
糖尿人はインスリンを増加させてそれに対抗できないから、
暁現象を生じるとされています。

成長ホルモンは、肝臓でのグリコーゲン分解を促し、
また抗インスリン作用(インスリンを抑制し、血糖値を上昇させる)を持つため、
血糖値を上昇させます。
コルチゾールは肝臓での糖新生を促進させて、血糖値を上昇させます。

また糖尿病患者では起床前後の交換神経活性が暁現象に関係しています。
交感神経活性でカテコラミンなどのインスリン拮抗ホルモンが増えます。
膵臓では交感神経刺激によりインスリン分泌抑制とグルカゴン分泌促進が起こり、
血糖値が上昇します。

夜間睡眠時は、肝臓がブドウ糖を合成して(糖新生)血液中に送り、
血糖値を維持しますが、もともと糖尿人は正常人に比べて糖新生が増加しています。

この時間帯、基礎分泌インスリンは、正常人なら少し分泌されれば血糖値が下がりますが、
2型の糖尿人は正常人の2倍の量が必要だといわれていますので、
そもそもハンディがあります。
糖新生が多くなると、
正常人なら即座に基礎分泌インスリンの分泌を増加させて対応します。
しかし、糖尿人はインスリンの分泌量調整がスムースにいかないために、
糖新生を制御できず、暁現象が起きると考えられます。

暁現象を改善するには運動が良いです。
簡単で長続きする運動として
<インターバル速歩>や<ながらジョギング>がお奨めです。
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