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「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>ご報告。
こんにちは。

2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催しました。

「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
2023年4月16日(日)12:30~17:00


第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義です。
 高雄病院における糖質制限食提供の実際をお話ししました。
あとは、コンビニやファミレスでの糖質制限食のコツや、継続のためのコツなども説明しました。

第2部は私による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを行いました。
今回は、日本列島にヒトが居住し始めた旧石器時代の食生活は、
38000年前~22000年間、肉食ばかりであったことなど、新たな知識を披露しました。

第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行いました。

①「糖質制限治療の実践症例~年間のべ1000名を超える外来指導より見えるもの」
佐藤信昭医師、茅ヶ崎徳州会病院(神奈川)副院長(内科)

基本、全員にCGMを装着する。
糖質を食べたら血糖値が上昇し、糖質制限なら血糖値が上昇しないことを、
CGMを印刷して、目で見て患者さんに確認して貰うことで、
糖質制限食の正しさを理解してもらう。薬は使わない。
薬で下げるのではなく、糖質制限食なら血糖値は上がらない。
ちゃんと、糖質制限食が実践できているか否かは、空腹時の中性脂肪値を検査すれば
わかる。空腹時中性脂肪値が高値なら、スーパー糖質制限食は実践できていない。

②「対話する糖質制限医療~糖質制限を指導してはいけない!?」
 オンライン発表
田頭秀吾医師、たがしゅうオンラインクリニック院長

 思いが強すぎると分断が生まれる。
「対話」によるオープンダイアローグ・アプローチ。
違っていて当たり前、公平で対等な立場、相手への尊重、わかったつもりにならない、
違う部分に注目、特定の目的を持たずに、お盆の上に載せていく、答えなくてもいい、
説得・助言・提案は避ける、ハーモニー(調和)よりもポリフォニー(多声)を大事に、
「対話」は「会話」とは違う。
会話はお互いに理解するための手段であるが、
「対話」は、理解しなくてよいし、相手と自分がいかに違っているかを知る手段。
違っているからこそ対話ができる。
対話の目的は対話と続けること。「対話」は「分断」を予防する。

③「高LDL-C血症に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について」
宇佐見啓治医師、うさみ内科(福島)、院長、運動療法指導歴30年

 LDL-Cは、運動しても下がらないというのが、
帝京大学名誉教授寺本民生氏(動脈硬化学会)の説である。
しかし、「プチ糖質制限食」と伸縮性収縮(エキセントリック)運動により、
脂質異常症の患者(男性13名、女性7名)の、LDL-Cと中性脂肪値が改善した

なお夕食後30分に運動するのがベストである。

④「糖質制限食と薬理学的糖質制限の失敗から学ぶ糖質中毒
~糖質依存症のメカニズム~」
影山広行医師、株式会社ドクターバンク

 700万年間の狩猟・採集時代は、糖質は貴重なものであり食べられることは喜びであった。
美味しい食事や性行為などで、ドーパミンが放出され、快感が得られる(報酬系)。
これは食事や性行為は生きるために必要なので反復する必要があり、
そのような行動をクセにするために「報酬系」がセットされたのである。
農耕開始後、とくに現代は糖質過剰時代となったのであるが、
この<糖質摂取⇒報酬系>という原初のセットがいまだに稼働していて、
それが結果として『糖質依存症』を発症させていると考えられる。

⑤「カンボジアにおける『ほろ酔い低糖質セミナー&パーティーの実施』」
 奥平健医師、ケンクリニック(カンボジア)院長

 夏井睦先生のブログを見て。2012年に糖質制限食を開始。
2023年60歳であるが対年齢は40歳である。
カンボジア人は、お米が命の国民なので糖質制限食は極めて困難。
お互い素面での糖質制限食講演は上手くいかなかった。
それで焼酎の試飲会のときに呑み始めて1時間くらい経ってから、
講演をしたら大成功だったので『ほろ酔い低糖質セミナー&パーティー』が定着して、何度か実施した。
今後は、低糖質食専門レストランを医院に併設したい。

⑥「糖質制限食の導入の実際~フリースタイルリブレを用いて」
 高橋裕彦(ゆうひこ)医師、たかはし整形外科医院(香川) 院長

2008年、夏井睦先生の本をきっかけに糖質制限食を知った。
整形外科であるが、『糖尿病が改善した』『肥満が改善した』という美容師さんなどの口コミでどんどん、
糖尿病患者と肥満患者が来院するようになった。
CGMは情報が多いので、糖尿病患者には全員つけていて、GLP1受容体作動薬注射薬を週一回打っている。
インスリンを打っていないのでCGMの費用は持ち出しであるが何とかトントンである。
CGMでみるとHbA1cの検査が、5.1%とか5.2%とかでも、
食後血糖値が200~300mg/dlを超えている人が沢山いるのに気がついた。

HbA1cだけではそれを見逃してしまうので危険である。
CGMの機器は150個くらいある。
他医から転院してきた糖尿病患者のほとんどで減薬できた。
約665名の糖質制限食希望肥満患者の体重は、
約9割の患者で5kg以上減量でき、約4割の患者で10kg以上減量
できた。

参加者は55名でした。
オンラインと会場と半々くらいでした。
懇親会も15名の出席でいろいろなお話でしっかり交流することができて
とても有意義でした。

糖質制限食を実践している方々なので
皆さんが自分の頭で考えて決断して選択するタイプであり、
多士済々でとても楽しかったです。

懇親会のレストランは
Aux Delices de Dodine(オ デリス ド ドディーヌ)東京ミッドタウン八重洲店
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13278415/

です。
美味しい糖質制限な料理とワイン、そして糖質ゼロビールも用意して頂きました。謝謝!!

新型コロナのために、3年ぶりの実参加講演会開催でしたが、
今後はまた定期的に開催していきたいと思います。


江部康二
コメント
血糖値測定器についての質問ですが、よろしくお願いします。
1. 私は、フリースタイルリブレという腕に装着する測定器と針を指にさす測定器の両方を使って血糖値を自己測定していますが、数値にかなり誤差があるように思います。そして最近、フリースタイルリブレについて、血糖値に高めの数値が出ることが分かったので回収するという記事を目にしました。

その後、改善されたのかどうか確認できていませんが、アマゾンで一時、販売されなくなっていましたが、現在は販売が再開されています。私は、再び購入して常時測定していますが、依然として針を刺す測定器と数値に誤差があるように思います。どちらを信用したらよいか分からないので困っているのですが、測定器のこのあたりの事情について、江部先生が何か把握されていることがおありでしょうか。

2. 「医療従事者向け糖質制限食セミナー」の記事で、佐藤信昭医師は「基本、全員にCGMを装着する。・・・ちゃんと、糖質制限食が実践できているか否かは、空腹時の中性脂肪値を検査すればわかる。空腹時中性脂肪値が高値なら、スーパー糖質制限食は実践できていない。」と発言されています。

私はスーパー糖質制限を実践できているつもりですが、本当にできているのだろうかと疑わししいときもあります。この記事で「空腹時中性脂肪値」を知ることで、それが明確になるということを初めて知りました。CGMとはフリースタイルリブレのことだと思いますが、それには中性脂肪値が表示されるのでしょうか。

3. 高橋裕彦医師は「CGMでみるとHbA1cの検査が、5.1%とか5.2%とかでも、食後血糖値が200~300mg/dlを超えている人が沢山いるのに気がついた。HbA1cだけではそれを見逃してしまうので危険である。」と発言されています。

その人達は糖尿病ではなく、スーパー糖質制限を実践していない正常人ではないかと思われます。私は糖尿人ですが、スーパー糖質制限を実践していて、HbA1cは6%ですが、食後1、2時間血糖値は平均的に150~140以下を推移しています。ただ、19時夕食後10時間の早朝血糖値が、正常値の70~109を超える120~130程度になることが多いので、この点がやや気になっています。

当初は薬も飲んでいましたが、今は薬はやめて様子を見ています。夕食後に薬(スーグラ1錠)を飲むと、早朝血糖値も正常値に収まることが多いですが、この状態ではまだ薬を飲んだほうが良いと言えるのでしょうか。

また、要するに、究極の問題は、数値自体というより糖尿病による合併症が発症するかどうかだと思いますが、合併症が発症した患者について、HbA1cや血糖値の状態や推移に関するリスク確率の詳細なデータは存在するのでしょうか。
2023/04/19(Wed) 10:54 | URL | 倉田 | 【編集
ご回答ありがとうございました。
私の質問に対する詳しく丁寧なご回答により、様々な疑問が解けて感謝しています。ありがとうございました。
ただ、一つだけ再度質問させていただきます。それは、スーパー糖質制限が実践できているかどうかの判断方法についてです。

佐藤信昭先生は「糖質制限食が実践できているか否かは、空腹時の中性脂肪値を検査すればわかる。空腹時中性脂肪値が高値なら、スーパー糖質制限食は実践できていない。」と発言されています。私はフリースタイルリブレにもそれが表示されるのかと思ったのですが、そうではなく、江部先生は「中性脂肪値やHbA1cは、普通の血液検査で調べておられます。」と記されています。

私は勿論、医院での血液検査もしているので、それは理解していますが、医院での血液検査は頻繁にするわけにはいきません。例えば、ひと月とか半年に一度の血液検査による中性脂肪値を知ったのでは、毎日のスーパー糖質制限の実現の度合いを判断することはできないのではないかと思います。

私の理解では、中性脂肪値による判断ではなくても、毎日の食後1、2時間血糖値が例えば150~140以下程度であれば、スーパー糖質制限が実践できていることになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

江部先生も指摘されているように、糖尿人は糖質1g摂取につき血糖値が3mg上昇するということですが、私の場合もまさにその通りであり、一回の食事で糖質10~15gを摂取すると食後血糖値が30~45mg程度上昇します。よって、食事前空腹時血糖値が100~110mg程度だと、食後血糖値が140~155mg程度になります。つまり、一回の食事で糖質10~15gのスーパー糖質制限をすれば、食後血糖値が基準値内に収まることになりますが、このような理解の仕方で良いでしょうか。
2023/04/19(Wed) 16:05 | URL | 倉田 | 【編集
Re: ご回答ありがとうございました。
倉田 さん

佐藤先生のご発言の意味は、
医者からみて、患者さんが,
ちゃんと『スーパー糖質制限食』を実践できているか否かを、確認する手段ということです。

【毎日の食後1、2時間血糖値が例えば150~140以下程度であれば、
スーパー糖質制限が実践できていることになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。】


それで、大丈夫です。
2023/04/20(Thu) 17:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
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