2023年04月11日 (火)
糖質制限食とお酒。
こんにちは。
新型コロナ感染症が一段落して、宴会が復活しています。
かくいう私も、2023年3月から、3年ぶりに外食や会食を楽しんでいて、お酒も嗜んでいます。
今回は、糖質制限食とお酒に関する考察です。
糖質制限食実践において、お酒は飲んでも良いのですが、
OKのものと、NGのものがあります。
まずは、OKのお酒ですが、蒸留酒があります。
蒸留酒には糖質は、ほぼ含まれていません。
原料が麦でも芋でも米でも黒糖でもOKで、
ウィスキー、焼酎、ウオッカ、ジンなどがあります。
醸造酒には糖質が含まれているので、原則的にはNGです。
ビールや日本酒や紹興酒はNGです。
その中で、糖質ゼロビールや糖質ゼロ発泡酒は、大丈夫です。
ワインも、日本食品標準成分表では、糖質含有量は
100mlあたり、白ワインは2g、赤ワインは1.5gとなっていますが、辛口であればもっと少ないです。
レストランなどでは、ワインボトル1本からグラス6杯分とるのが最も一般的です。
ボトル1本は750mlなので、グラスワイン1杯あたりの分量は125mlです。
従いまして、辛口ワインなら、2~3杯(250~375ml)までであれば、
糖質は<3.0~4.5g>以下であり、糖質制限OKなのです。
私の場合夕食後は晩酌で、
焼酎の水割り2~3杯か、赤ワインをボトル半分くらいです。
適量より、やや多めですが、肝機能など全て正常です。
赤ワインは、最近はピノノワール単独が多いです。
チリワインが、比較的安くて美味しいです。
日中は暑くなってきたので、糖質ゼロビールも吞みます。
おつまみは、チーズ、焼き海苔、糖質の少ないナッツなどです。
あと、カクテルって毎日飲むわけではないですが、
たまに洒落た店やホテルのバーというシチュエーションで、
「バーテンさん、芋焼酎水割り!」
ではさすがに芸がないので、時に飲みたいお酒ですね。
<糖質制限食OKのカクテル>
昔読んだ、レイモンド・チャンドラーの名作「長いお別れ」の中で、
私立探偵フィリップ・マーロウが好むカクテルがギムレットです。
「プレイバック」のフィリップ・マーロウの決めセリフ
「タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない」
(生島次郎訳)
(If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.)
かっこいいですね。
人生で一回ぐらい言ってみたいです。
結局、糖質制限OKカクテルは
ジンベースかウオッカベースが多いです。
ジンベース
ギムレット、ジンライム、ジンリッキー、マティーニ
ウオッカベース
ブラディーメアリー、ウォッカマティーニ
糖尿人のご同輩、たまには洒落たホテルのバーでカクテルを・・・
よきパートナーと共に・・・
<アルコールと血糖低下作用>
アルコールには、血糖低下作用があります。
しかし、個人差が大きいので、(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、
低下させるというように一律にはいきません。
エネルギー源としては、[アルコール→糖質→脂質→タンパク質]の順で利用されます。
焼酎、ウィスキーなど蒸留酒には糖質は含まれていないので、
血糖は全く上昇しません。
しかし、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて、
優先的に肝臓で分解されますので、
その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、
肝臓の糖新生を抑制することとなります。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、
個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、
血糖値が下がる人もいると思います。
また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、
翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
アルコールの血糖低下作用については個人差が大きいので、ご注意ください。
なお、SU剤内服中の糖尿人やインスリン注射中の糖尿人は、
過度のアルコール摂取により糖新生が阻害されると
低血糖になりやすいので要注意です。
正常人でも、空きっ腹で大量のアルコールを摂取すれば、
低血糖になる可能性もあります。
<アルコールの適量>
世界がん研究基金2007年の勧告では、アルコールの推奨量は、
男性は1日2杯、女性は1日1杯までとしています。
1杯はアルコール10~15グラムに相当します。
米国糖尿病学会は、
アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら適量としていますが、
ビール(5%)なら600ml
ワイン(15%)なら200ml
ウイスキー(43%)なら70ml
焼酎(25%)なら120ml
糖質ゼロ発泡酒(4%)なら750ml
に相当します。
<アルコールのリスク>
世界がん研究基金の2007年の勧告で、アルコール摂取は、
「口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん」の確実なリスクであり、
「肝臓がん、大腸がん(女性)」 のリスクとなるので要注意です。 (→ο←)
それから、過度のアルコール摂取は、
肝細胞内での脂肪酸からの中性脂肪の過剰合成を引き起こします。
その一部は肝臓外へ分泌されて高中性脂肪血症の原因となり、
一部は肝細胞内に蓄積されて脂肪肝の原因となります。
江部康二
こんにちは。
新型コロナ感染症が一段落して、宴会が復活しています。
かくいう私も、2023年3月から、3年ぶりに外食や会食を楽しんでいて、お酒も嗜んでいます。
今回は、糖質制限食とお酒に関する考察です。
糖質制限食実践において、お酒は飲んでも良いのですが、
OKのものと、NGのものがあります。
まずは、OKのお酒ですが、蒸留酒があります。
蒸留酒には糖質は、ほぼ含まれていません。
原料が麦でも芋でも米でも黒糖でもOKで、
ウィスキー、焼酎、ウオッカ、ジンなどがあります。
醸造酒には糖質が含まれているので、原則的にはNGです。
ビールや日本酒や紹興酒はNGです。
その中で、糖質ゼロビールや糖質ゼロ発泡酒は、大丈夫です。
ワインも、日本食品標準成分表では、糖質含有量は
100mlあたり、白ワインは2g、赤ワインは1.5gとなっていますが、辛口であればもっと少ないです。
レストランなどでは、ワインボトル1本からグラス6杯分とるのが最も一般的です。
ボトル1本は750mlなので、グラスワイン1杯あたりの分量は125mlです。
従いまして、辛口ワインなら、2~3杯(250~375ml)までであれば、
糖質は<3.0~4.5g>以下であり、糖質制限OKなのです。
私の場合夕食後は晩酌で、
焼酎の水割り2~3杯か、赤ワインをボトル半分くらいです。
適量より、やや多めですが、肝機能など全て正常です。
赤ワインは、最近はピノノワール単独が多いです。
チリワインが、比較的安くて美味しいです。
日中は暑くなってきたので、糖質ゼロビールも吞みます。
おつまみは、チーズ、焼き海苔、糖質の少ないナッツなどです。
あと、カクテルって毎日飲むわけではないですが、
たまに洒落た店やホテルのバーというシチュエーションで、
「バーテンさん、芋焼酎水割り!」
ではさすがに芸がないので、時に飲みたいお酒ですね。
<糖質制限食OKのカクテル>
昔読んだ、レイモンド・チャンドラーの名作「長いお別れ」の中で、
私立探偵フィリップ・マーロウが好むカクテルがギムレットです。
「プレイバック」のフィリップ・マーロウの決めセリフ
「タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない」
(生島次郎訳)
(If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.)
かっこいいですね。
人生で一回ぐらい言ってみたいです。
結局、糖質制限OKカクテルは
ジンベースかウオッカベースが多いです。
ジンベース
ギムレット、ジンライム、ジンリッキー、マティーニ
ウオッカベース
ブラディーメアリー、ウォッカマティーニ
糖尿人のご同輩、たまには洒落たホテルのバーでカクテルを・・・
よきパートナーと共に・・・
<アルコールと血糖低下作用>
アルコールには、血糖低下作用があります。
しかし、個人差が大きいので、(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、
低下させるというように一律にはいきません。
エネルギー源としては、[アルコール→糖質→脂質→タンパク質]の順で利用されます。
焼酎、ウィスキーなど蒸留酒には糖質は含まれていないので、
血糖は全く上昇しません。
しかし、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて、
優先的に肝臓で分解されますので、
その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、
肝臓の糖新生を抑制することとなります。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、
個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、
血糖値が下がる人もいると思います。
また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、
翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
アルコールの血糖低下作用については個人差が大きいので、ご注意ください。
なお、SU剤内服中の糖尿人やインスリン注射中の糖尿人は、
過度のアルコール摂取により糖新生が阻害されると
低血糖になりやすいので要注意です。
正常人でも、空きっ腹で大量のアルコールを摂取すれば、
低血糖になる可能性もあります。
<アルコールの適量>
世界がん研究基金2007年の勧告では、アルコールの推奨量は、
男性は1日2杯、女性は1日1杯までとしています。
1杯はアルコール10~15グラムに相当します。
米国糖尿病学会は、
アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら適量としていますが、
ビール(5%)なら600ml
ワイン(15%)なら200ml
ウイスキー(43%)なら70ml
焼酎(25%)なら120ml
糖質ゼロ発泡酒(4%)なら750ml
に相当します。
<アルコールのリスク>
世界がん研究基金の2007年の勧告で、アルコール摂取は、
「口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん」の確実なリスクであり、
「肝臓がん、大腸がん(女性)」 のリスクとなるので要注意です。 (→ο←)
それから、過度のアルコール摂取は、
肝細胞内での脂肪酸からの中性脂肪の過剰合成を引き起こします。
その一部は肝臓外へ分泌されて高中性脂肪血症の原因となり、
一部は肝細胞内に蓄積されて脂肪肝の原因となります。
江部康二
最近の研究ではアルコールは一切飲まない方が良いと聞きました。そこそこ我慢できるなら飲まない方が良いでしょうか?
2023/04/12(Wed) 08:01 | URL | とんかっさん | 【編集】
とんかっさん
適量飲酒で海馬の萎縮リスクは3.4倍に上昇という研究もあります。
適量のお酒によるリラックス効果もありますが、
そもそもアルコールは嗜好品ですから、飲まなくても済む人は、飲まないほうがいいですね。
まあ、私は、飲みますが・・・
以前より、酒量は随分減らしました。
適量飲酒で海馬の萎縮リスクは3.4倍に上昇という研究もあります。
適量のお酒によるリラックス効果もありますが、
そもそもアルコールは嗜好品ですから、飲まなくても済む人は、飲まないほうがいいですね。
まあ、私は、飲みますが・・・
以前より、酒量は随分減らしました。
2023/04/12(Wed) 08:48 | URL | ドクター江部 | 【編集】
砂糖は控えても左党は楽しむスタンスの
先生好き
先生好き
supa さん
ありがとうございます。
ありがとうございます。
2023/04/12(Wed) 12:26 | URL | ドクター江部 | 【編集】
先生お疲れ様です
自分も晩酌派なのですが
シャンパンは糖質酒に
入るのでしょうか?
辛口シャンパン美味しくて‥
自分も晩酌派なのですが
シャンパンは糖質酒に
入るのでしょうか?
辛口シャンパン美味しくて‥
2023/04/12(Wed) 12:26 | URL | ガミ | 【編集】
ガミ さん
シャンパンは、ワインより糖質が多いので、辛口を少量にしましょう。
お酒の種類 カロリー(100mlあたり) 糖質(100mlあたり)
シャンパン 80〜100kcal 3〜10g
赤ワイン 70〜80kcal 約1.5g
白ワイン 70〜80kcal 約2g
ロゼワイン 75〜85kcal 約4g 詳細を見る
シャンパンは、ワインより糖質が多いので、辛口を少量にしましょう。
お酒の種類 カロリー(100mlあたり) 糖質(100mlあたり)
シャンパン 80〜100kcal 3〜10g
赤ワイン 70〜80kcal 約1.5g
白ワイン 70〜80kcal 約2g
ロゼワイン 75〜85kcal 約4g 詳細を見る
2023/04/12(Wed) 15:45 | URL | ドクター江部 | 【編集】
先生すいません
質問コメントが
ダブってしまいました‥
お忙しい中2回も返答頂いて
ありがとうございす
質問コメントが
ダブってしまいました‥
お忙しい中2回も返答頂いて
ありがとうございす
2023/04/12(Wed) 19:07 | URL | ガミ | 【編集】
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