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糖質制限食とお酒。
糖質制限食とお酒。

こんにちは。
新型コロナ感染症が一段落して、宴会が復活しています。
かくいう私も、2023年3月から、3年ぶりに外食や会食を楽しんでいて、お酒も嗜んでいます。

今回は、糖質制限食とお酒に関する考察です。
糖質制限食実践において、お酒は飲んでも良いのですが、
OKのものと、NGのものがあります。

まずは、OKのお酒ですが、蒸留酒があります。
蒸留酒には糖質は、ほぼ含まれていません。
原料が麦でも芋でも米でも黒糖でもOKで、
ウィスキー、焼酎、ウオッカ、ジンなどがあります。

醸造酒には糖質が含まれているので、原則的にはNGです。
ビールや日本酒や紹興酒はNGです。

その中で、糖質ゼロビールや糖質ゼロ発泡酒は、大丈夫です。
ワインも、日本食品標準成分表では、糖質含有量は
100mlあたり、白ワインは2g、赤ワインは1.5gとなっていますが、辛口であればもっと少ないです。

レストランなどでは、ワインボトル1本からグラス6杯分とるのが最も一般的です。 
ボトル1本は750mlなので、グラスワイン1杯あたりの分量は125mlです。
従いまして、辛口ワインなら、2~3杯(250~375ml)までであれば、
糖質は<3.0~4.5g>以下であり、糖質制限OKなのです。

私の場合夕食後は晩酌で、
焼酎の水割り2~3杯か、赤ワインをボトル半分くらいです。
適量より、やや多めですが、肝機能など全て正常です。
赤ワインは、最近はピノノワール単独が多いです。
チリワインが、比較的安くて美味しいです。
日中は暑くなってきたので、糖質ゼロビールも吞みます。
おつまみは、チーズ、焼き海苔、糖質の少ないナッツなどです。

あと、カクテルって毎日飲むわけではないですが、
たまに洒落た店やホテルのバーというシチュエーションで、
「バーテンさん、芋焼酎水割り!」
ではさすがに芸がないので、時に飲みたいお酒ですね。

<糖質制限食OKのカクテル>
昔読んだ、レイモンド・チャンドラーの名作「長いお別れ」の中で、
私立探偵フィリップ・マーロウが好むカクテルがギムレットです。
「プレイバック」のフィリップ・マーロウの決めセリフ
「タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない」
(生島次郎訳)

(If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.)
かっこいいですね。
人生で一回ぐらい言ってみたいです。

結局、糖質制限OKカクテルは
ジンベースかウオッカベースが多いです。
ジンベース
ギムレット、ジンライム、ジンリッキー、マティーニ

ウオッカベース

ブラディーメアリー、ウォッカマティーニ

糖尿人のご同輩、たまには洒落たホテルのバーでカクテルを・・・
よきパートナーと共に・・・

<アルコールと血糖低下作用>
アルコールには、血糖低下作用があります。
しかし、個人差が大きいので、(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、
低下させるというように一律にはいきません。

エネルギー源としては、[アルコール→糖質→脂質→タンパク質]の順で利用されます。
焼酎、ウィスキーなど蒸留酒には糖質は含まれていないので、
血糖は全く上昇しません。
しかし、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて、
優先的に肝臓で分解されますので、
その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、
肝臓の糖新生を抑制することとなります。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、
個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、
血糖値が下がる人もいると思います。

また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、
翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
アルコールの血糖低下作用については個人差が大きいので、ご注意ください。

なお、SU剤内服中の糖尿人やインスリン注射中の糖尿人は、
過度のアルコール摂取により糖新生が阻害されると
低血糖になりやすいので要注意です。
正常人でも、空きっ腹で大量のアルコールを摂取すれば、
低血糖になる可能性もあります。

<アルコールの適量>
世界がん研究基金2007年の勧告では、アルコールの推奨量は、
男性は1日2杯、女性は1日1杯までとしています。
1杯はアルコール10~15グラムに相当します。

米国糖尿病学会は、
アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら適量としていますが、
ビール(5%)なら600ml
ワイン(15%)なら200ml
ウイスキー(43%)なら70ml
焼酎(25%)なら120ml
糖質ゼロ発泡酒(4%)なら750ml

に相当します。

<アルコールのリスク>
世界がん研究基金の2007年の勧告で、アルコール摂取は、
「口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん」の確実なリスクであり、
「肝臓がん、大腸がん(女性)」 のリスクとなるので要注意です。 (→ο←)
それから、過度のアルコール摂取は、
肝細胞内での脂肪酸からの中性脂肪の過剰合成を引き起こします。
その一部は肝臓外へ分泌されて高中性脂肪血症の原因となり、
一部は肝細胞内に蓄積されて脂肪肝の原因となります。


江部康二
コメント
最近の研究ではアルコールは一切飲まない方が良いと聞きました。そこそこ我慢できるなら飲まない方が良いでしょうか?
2023/04/12(Wed) 08:01 | URL | とんかっさん | 【編集
Re: 酒
とんかっさん

適量飲酒で海馬の萎縮リスクは3.4倍に上昇という研究もあります。

適量のお酒によるリラックス効果もありますが、
そもそもアルコールは嗜好品ですから、飲まなくても済む人は、飲まないほうがいいですね。

まあ、私は、飲みますが・・・
以前より、酒量は随分減らしました。
2023/04/12(Wed) 08:48 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 酒
砂糖は控えても左党は楽しむスタンスの
先生好き
2023/04/12(Wed) 09:03 | URL | supa | 【編集
Re: Re: 酒
supa さん

ありがとうございます。
2023/04/12(Wed) 12:26 | URL | ドクター江部 | 【編集
先生お疲れ様です

自分も晩酌派なのですが

シャンパンは糖質酒に
入るのでしょうか?

辛口シャンパン美味しくて‥
2023/04/12(Wed) 12:26 | URL | ガミ | 【編集
Re: タイトルなし
ガミ さん

シャンパンは、ワインより糖質が多いので、辛口を少量にしましょう。



お酒の種類 カロリー(100mlあたり) 糖質(100mlあたり)
シャンパン 80〜100kcal 3〜10g
赤ワイン 70〜80kcal 約1.5g
白ワイン 70〜80kcal 約2g
ロゼワイン 75〜85kcal 約4g 詳細を見る
2023/04/12(Wed) 15:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
先生すいません
質問コメントが
ダブってしまいました‥

お忙しい中2回も返答頂いて
ありがとうございす
2023/04/12(Wed) 19:07 | URL | ガミ | 【編集
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