2023年03月22日 (水)
1)
基礎分泌インスリンは、ヒトの生命維持に必要不可欠です。
2)
スーパー糖質制限食でも、基礎分泌の2~3倍レベルのインスリンは分泌されますし、 追加分泌インスリンも必要不可欠です。
3)
インスリン注射で、1型糖尿病患者の命が助かるようになり、
近年、寿命が延びてきました。
4)
一方、過剰なインスリンは、酸化ストレスとなり、がん、老化、動脈硬化、
糖尿病合併症、アルツハイマー病などのリスクとなります。
こんにちは。
今回はインスリンの功罪のうち、主としてその役割について考察してみます。
インスリンには、24時間継続して少量出続けている基礎分泌と、
糖質を摂取して血糖値が上昇したときに出る追加分泌の2種類があります。
タンパク質摂取でも少量のインスリンが追加分泌されますが、脂質摂取では、インスリンは追加分泌されません。
これでまず解るのは、食物を摂取していないときでも、人体の代謝には、少量のインスリンが必須ということですね。
このインスリンの基礎分泌がなくなったら、人体の代謝全体が崩壊していきます。
つまり、基礎分泌のインスリンがないと、全身の高度な代謝失調が生じ、生命の危険があります。
例えば「運動をしたらインスリン非依存的に血糖値がさがる」といっても、
インスリン基礎分泌が確保されているのが前提のお話です。
もし、基礎インスリンが不足している状態で運動すれば、運動で血糖値はかえって上昇します。
また、肝臓で行っている糖新生も、基礎インスリンが分泌されていなければ制御不能となり、
空腹時血糖値が300mg/dl~400mg/dl、或いはこれ以上にもなります。
また、糖質を食べて血糖値が上昇したとき、追加分泌のインスリンがでなければ、高血糖が持続します。
高血糖の持続は糖毒といわれ、膵臓のβ細胞を傷害し、インスリン抵抗性を悪化させます。
急激に発症するタイプの1型糖尿病であれば、短期間でインスリン分泌がゼロになるので、
基礎分泌も追加分泌もなくなり血糖値が急上昇して、
随時で250~500mgとか600mg/dl以上1000mgにもなります。
細胞はブドウ糖を利用できないので、脂肪の分解産物のケトン体が急上昇し、
エネルギー源にしますが、酸性血症となり意識障害を生じ、放置すれば死に至ります。
インスリン作用が欠落しているときの血中ケトン体上昇は病態であり、極めて危険です。
上述のインスリン作用欠落による糖尿病ケトアシドーシスは、
インスリン作用が確保されていて糖質制限食や断食で
生理的にケトン体が上昇する場合とは、まったく異なる病態です。
さてブドウ糖が、細胞膜を通過するためには、特別な膜輸送タンパク質が必要です。
それが糖輸送体(GLUT)であり、現在GLUT1~GLUT14まで確認されています。
GLUT1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で常に細胞の表面にあり、血流さえあれば即血糖を取り込めます。
これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特異的なのがGLUT4で、
基礎分泌のインスリンレベルだと、通常は細胞内部に沈んでいます。
GLUT1~GLUT14の中で、インスリンに依存しているのはGLUT4だけで特殊です。
筋肉細胞と脂肪細胞にあるGLUT-4は、インスリン追加分泌がないと細胞内に沈んでいるのでブドウ糖を取り込めません。
インスリンが追加分泌されるとGLUT-4は細胞表面に移動して血糖を取り込むのです。
このようにインスリンは、生命の維持に必須の重要なホルモンであることが確認できました。
また近年、1型糖尿病患者の寿命は延びています。
以下、糖尿病ネットワークから一部抜粋。
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/024725.php
1975年に米国で行われた調査では1型糖尿病患者の寿命は、健康人に比べて27年短いとされていました。
スコットランドのダンディー大学が2万4,691人の1型糖尿病患者を対象に行った調査では、
20代前半の糖尿病患者の予想される平均余命は、
健康な人に比べ男性で11.1年、女性で12.9年短いという結果になりました(2015年1月報告)。
このようにインスリンの使用法や種類が改善されたことで、1型糖尿病患者の寿命はかなり改善されてきています。
インスリン注射が、おおいに役に立っているわけです。
☆☆☆インスリンの作用
インスリンは、グリコーゲン合成・タンパク質合成・脂肪合成など、栄養素の同化を促進し、筋肉、脂肪組織、肝臓に取り込む。
インスリンが作用するのは、主として、筋肉(骨格筋、心筋)、脂肪組織、肝臓である。
1)糖質代謝
*ブドウ糖の筋肉細胞・脂肪細胞内への取り込みを促進させる。
*グリコーゲン合成を促進させる。
*グリコーゲン分解を抑制する。
*肝臓の糖新生を抑制し、ブドウ糖の血中放出を抑制する。
2)タンパク質代謝
*骨格筋に作用してタンパク質合成を促進させる。
*骨格筋に作用してタンパク質の異化を抑制する。
3)脂質代謝
*脂肪の合成を促進する。
*脂肪の分解を抑制する。
江部康二
先生、初めまして。
私は今滋賀県に住む52歳 2型糖尿病です。
35歳で、味覚障害が起こり、血糖値が1000を超えた状態で糖尿病と診断され、インスリンによる治療を行ってきましたが、なかなか改善できず(私のコントロールする意識不足が大きかったです)でした。
2年前に、独自の糖質制限を行い失敗、今思えばカロリー不足だったと思います。
昨年9月末の段階で、体重 90.5kg Hba1c 8.5 でした。インスリンは、持続型を、1日一回 44単位注射していました。
合併症のリスクなどを考えて、パーソナルジムにそこから通い出しました。
そこで指導を受けたのが、ケトジェニックという食事法でした。そしてそのインストラクターさんが、江部先生のブログを参考にしていると、先生のブログを知り、勉強させていただいています。
ブログで知ったインターバルウォーキングを行っています。
今年、1月の診察で Hba1c 5.8 インスリン 12単位 2月の診察で Hba1c 5.7 インスリン 4単位
その結果を受け、主治医さんが、インスリンを無くし、自分の体内で生成されたインスリンを持続させる注射に切り替えられ、治療方針を変えていただけました。今外なので、注射の名前思い出せません。
先生や家族、周りの方に大変感謝しています。
質問なのですが、あるメルマガに、
筋肉トレーニングを行った後、
科学的な研究によるとタンパク質10gに対して
糖質7gを加えると効果的に筋肉合成が進む と、書かれていました。
糖尿人で糖質セイゲニストで、筋肉を増やしたい勢の場合、糖新生で、その部分は、補われますか?
いきなりの質問お許しください。
宜しくお願いいたします。
私は今滋賀県に住む52歳 2型糖尿病です。
35歳で、味覚障害が起こり、血糖値が1000を超えた状態で糖尿病と診断され、インスリンによる治療を行ってきましたが、なかなか改善できず(私のコントロールする意識不足が大きかったです)でした。
2年前に、独自の糖質制限を行い失敗、今思えばカロリー不足だったと思います。
昨年9月末の段階で、体重 90.5kg Hba1c 8.5 でした。インスリンは、持続型を、1日一回 44単位注射していました。
合併症のリスクなどを考えて、パーソナルジムにそこから通い出しました。
そこで指導を受けたのが、ケトジェニックという食事法でした。そしてそのインストラクターさんが、江部先生のブログを参考にしていると、先生のブログを知り、勉強させていただいています。
ブログで知ったインターバルウォーキングを行っています。
今年、1月の診察で Hba1c 5.8 インスリン 12単位 2月の診察で Hba1c 5.7 インスリン 4単位
その結果を受け、主治医さんが、インスリンを無くし、自分の体内で生成されたインスリンを持続させる注射に切り替えられ、治療方針を変えていただけました。今外なので、注射の名前思い出せません。
先生や家族、周りの方に大変感謝しています。
質問なのですが、あるメルマガに、
筋肉トレーニングを行った後、
科学的な研究によるとタンパク質10gに対して
糖質7gを加えると効果的に筋肉合成が進む と、書かれていました。
糖尿人で糖質セイゲニストで、筋肉を増やしたい勢の場合、糖新生で、その部分は、補われますか?
いきなりの質問お許しください。
宜しくお願いいたします。
都内河北 鈴木です。
インスリン投与しても、改善はしないかなと考えます!!
まずは、江部先生『糖質制限理論』(2005年発表)食生活をするべきだと、考えます!!!
私は、糖尿病21年から後半7年間は、『日本糖尿病学会』公認医に『隠蔽された状態でした!!』
だがタマタマ知った江部先生『糖質制限理論』を理解把握実践で、
食生活を変更したら、
翌日『血糖値半減しました!!!』
そして以降投与薬を削減して行き、3ヵ月足らずで、
糖尿病薬・皆無で『生還!!』出来ました事実現実があります!!
現在の私の肉体は、見た目病態だと疑いが皆無の肉体だなと、
申し上げておきます!!!
只『脳梗塞』の影響で、運動は、不可能な状態です!!
但し日常の活動機能は、正常かなと考えます!!
何故なら、江部先生『糖質制限理論』食生活を忘れ無くしているだけで、
<<『糖尿病・生還、眼科・2度の再覚醒、脳梗塞・6度の再覚醒、』>>出来ていることが証明です!!!
江部先生には、日々のブログ内容には、励まされます!!
ありがとうございます。
敬具
インスリン投与しても、改善はしないかなと考えます!!
まずは、江部先生『糖質制限理論』(2005年発表)食生活をするべきだと、考えます!!!
私は、糖尿病21年から後半7年間は、『日本糖尿病学会』公認医に『隠蔽された状態でした!!』
だがタマタマ知った江部先生『糖質制限理論』を理解把握実践で、
食生活を変更したら、
翌日『血糖値半減しました!!!』
そして以降投与薬を削減して行き、3ヵ月足らずで、
糖尿病薬・皆無で『生還!!』出来ました事実現実があります!!
現在の私の肉体は、見た目病態だと疑いが皆無の肉体だなと、
申し上げておきます!!!
只『脳梗塞』の影響で、運動は、不可能な状態です!!
但し日常の活動機能は、正常かなと考えます!!
何故なら、江部先生『糖質制限理論』食生活を忘れ無くしているだけで、
<<『糖尿病・生還、眼科・2度の再覚醒、脳梗塞・6度の再覚醒、』>>出来ていることが証明です!!!
江部先生には、日々のブログ内容には、励まされます!!
ありがとうございます。
敬具
2023/03/23(Thu) 01:09 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集】
山下隆満 さん
2008年頃までは、糖質制限食は筋トレには向かないと思っていました。
しかし、その後、ボディビルダーの山本義徳さんのサイトをみて勉強させて頂き、
糖質制限食でも筋トレして筋肉量を増やすことが可能とわかりました。
従って、<糖質制限食と筋トレ>は大丈夫です。
以前、豆蔵さんからコメント頂きましたボディビルダー・山本義徳氏の名言が以下です。
1. ケトーシスは身体に悪い、という医者がいたら、それは無学である。
2. 脳のエネルギーはブドウ糖だけである、という栄養士がいたら、それは無知である。
3. ローカーボだと筋肉が落ちやすい、というトレーナーがいたら、それは無能である。
http://ameblo.jp/doronjo7/entry-11599159896.html2013-08-24
ボディビルダー・山本義徳氏 、素晴らしいです。
なお、有酸素運動(ウォーキング)も無酸素運動(筋トレなど)も共に、有用と思います。
私は筋トレは苦手なので<インターバル速歩><ながらジョギング>などで、
「有酸素運動」と「筋肉量の維持と少し向上」を目指しています
2008年頃までは、糖質制限食は筋トレには向かないと思っていました。
しかし、その後、ボディビルダーの山本義徳さんのサイトをみて勉強させて頂き、
糖質制限食でも筋トレして筋肉量を増やすことが可能とわかりました。
従って、<糖質制限食と筋トレ>は大丈夫です。
以前、豆蔵さんからコメント頂きましたボディビルダー・山本義徳氏の名言が以下です。
1. ケトーシスは身体に悪い、という医者がいたら、それは無学である。
2. 脳のエネルギーはブドウ糖だけである、という栄養士がいたら、それは無知である。
3. ローカーボだと筋肉が落ちやすい、というトレーナーがいたら、それは無能である。
http://ameblo.jp/doronjo7/entry-11599159896.html2013-08-24
ボディビルダー・山本義徳氏 、素晴らしいです。
なお、有酸素運動(ウォーキング)も無酸素運動(筋トレなど)も共に、有用と思います。
私は筋トレは苦手なので<インターバル速歩><ながらジョギング>などで、
「有酸素運動」と「筋肉量の維持と少し向上」を目指しています
2023/03/23(Thu) 15:39 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、お返事ありがとうございます。
糖尿人は、筋肉がつきにくいという話を聞いたことがあり、怠け者の私は筋力がなくて、筋力トレーニングを選択しました。
書くのを忘れましたが、現在 体重 75kgです。
今後も、勉強させてください!
ありがとうごいました。
Twitterフォローしています(^^)
糖尿人は、筋肉がつきにくいという話を聞いたことがあり、怠け者の私は筋力がなくて、筋力トレーニングを選択しました。
書くのを忘れましたが、現在 体重 75kgです。
今後も、勉強させてください!
ありがとうごいました。
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2023/03/23(Thu) 19:15 | URL | 山下隆満 | 【編集】
山下隆満 さん
応援、ありがとうございます。
応援、ありがとうございます。
2023/03/23(Thu) 20:35 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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