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インスリンの功罪①。特に「罪」について。
【23/03/17 アリス
江部先生ありがとうございます
糖尿病歴8年 市の健診でHBA1Cが12を超えていたので 即入院1か月間カロリー制限の勉強とインシュリンを打つ練習 退院してすぐ先生のブログに出会い 糖質制限を始めました 
今も元気に保育士の仕事ができる喜びを感じています
江部先生のこのブログを知らずに市民病院インシュリンをうちつずけていたら今頃どうなっていたでしょう~糖質制限を教えてくださった江部先生に感謝の気持ちでいっぱいです
カロリー制限では合併症は防げないのに それを知りながら 正しいことを教えないお医者様は悪魔ですね 私はそう思っています】



23/03/18 ドクター江部
アリス さん
HbA1c12%超えから、糖質制限食でインスリン注射なしで
血糖値が改善して、元気に保育士の仕事をしておられるとは、よかったです。

多くの医師が、『自分の頭で考える』
という習慣がないので
ガイドライン通りの治療しかご存じないし、それが当たり前で、
それ以外の治療があるという選択肢がないのが日本の糖尿病医療の現状です。
しかし、現状の糖尿病食で、合併症が防げていないのですから
『自分の頭で考えない』というのも、悪魔ではないにしても、一定の罪と言えます。

インスリン注射に関しては、
医師は、その有用な面ばかりを強調することがほとんどなのですが、
実はインスリン注射にはデメリットもあるのです。

<インスリンの功罪①。特に「罪」について。>

先日、ある製薬メーカーさんの社内勉強会で
糖尿病と糖質制限食のお話しをしてきました。
製薬メーカーの社員で、医師や薬剤師に製品の
「効能、副作用、トピック、研究論文・・・」など
様々な情報を紹介してくれるのが、MRさんです。(*)

皆さん、よく勉強しておられるので
私もいろいろ教えて貰うことも多いです。
そんな、MRさんの社内勉強会ですから、
インスリン注射のこともよくご存知です。

ところがインスリンの、「功罪」のうち、「功」のほうは
よくご存知でした
、「罪」のほうは、ほとんどご存知ないのです。

それで、本日のブログはインスリンの功罪というお題とすることとしました。

まずは、インンスリンがないと、人は死亡します。
基礎分泌のインスリンは生命維持に絶対に必要なのです。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、
1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は半年程度でした。
インスリンが開発されて以降、1型糖尿病の寿命は劇的に改善しています。

一方で過剰なインスリンの害にはエビデンスがあります。
たとえ基準値内でも、インスリンの血中濃度が高いほど、
アルツハイマー病、がん、老化、肥満、高血圧などのリスクとなります。

また、高インスリン血症は活性酸素を発生させ、酸化ストレスを増加させます。
酸化ストレスは、老化・癌・動脈硬化・その他多くの疾患の元凶とされています。
パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、アルツハイマー病などにも
酸化ストレスの関与の可能性があります。


1)ロッテルダム研究によれば、
インスリン使用中の糖尿人ではアルツハイマー病の相対危険度は4.3倍です。

Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」


2)インスリン注射をしている糖尿人は、
メトグルコで治療している糖尿人に比べて
ガンのリスクが1.9倍というカナダの研究もあります。

2005年の第65回米国糖尿病学会、
カナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告、
その後論文化。コホート研究。
 「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)を内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」 
Diabetes Care February 2006 vol. 29 no. 2 254-258 


3)Cペプタイド値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。
国立がん研究センター、「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果。

57%が空腹時、他は非空腹時で共に大腸癌群は高値。厚生労働省研究班が2007年、疫学調査結果を発表し英文論文化。研究班は、全国9地域で40-69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。                       
Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.


このように過剰インスリンの弊害を見てみると、
インスリンは血糖コントロールができている限り少なければ少ないほど、
身体には好ましいことがわかります。

別の言い方をすれば、農耕開始後、精製炭水化物開始後、
特に第二次大戦後に世界の食糧事情が良くなってからの糖質の頻回・過剰摂取が、
インスリンの頻回・過剰分泌を招き、酸化ストレスを生じ、
様々な生活習慣病の元凶となった構造が見えてきます。

スーパー糖質制限食を実践すれば、インスリンの分泌は必要最小限で済むようになり、
様々な生活習慣病の予防が期待できます。

ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、
必要最低限のインスリンで血糖こントロールを維持して、
健康ライフを送ってくださいね。


(*)
【MR】[medical representative]医薬情報担当者。
薬についての知識や情報を医師や薬剤師に提供する製薬メーカーの営業担当者。


江部康二
コメント
多くの医師が、『自分の頭で考える』 という習慣がない
私は、江部先生のご著書を読んで糖質制限を実行し、1時間後血糖値を140以下に維持しています。
糖尿病学会の学者や病医院の医師がこんなに簡単な糖質制限の理屈を理解できないはずがありません。
糖質制限をすれば、治療を要する糖尿病患者は1割程度に減ってしまいそうです。
そうすると、関連する医師や栄養士の収入が激減します。
これがわかっているから、関係者は糖質制限を無視していると思います。
2023/03/18(Sat) 20:24 | URL | kz | 【編集
Re: 多くの医師が、『自分の頭で考える』 という習慣がない
kz さん


仰るような面もあると思います。


一方、ほとんどの医師は、保守的であり、現状を変えることを好みません。(自分の頭で考えない)


①②があると思います。
2023/03/19(Sun) 08:58 | URL | ドクター江部 | 【編集
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