2023年03月16日 (木)
こんばんは。
日本糖尿病学会への提言(2)
糖尿病合併症とカロリー制限食の弊害
です。
日本糖尿病学会『第56回日本糖尿病学会年次学術集会』熊本宣言2013
の記載が以下です。
『糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していません。
糖尿病腎症で透析になる人が年間16000人以上。
糖尿病網膜症で失明する人が年間3000人以上。
糖尿病足病変で切断する人が年間3000人以上。』
ここで疑問が出てきます。
これらの方々は、全て医師や栄養士の言うことを聞かずに、
薬もまともに内服せずに暴飲・暴食をしたのでしょうか?
いえいえそんなことはありません。
ほとんどの方は、医師や栄養士の言うとおりに、
つらくとも我慢してカロリー制限食を実践し、
酒も飲まず、運動もし、血糖コントロールが徐々に悪くなれば、
経口糖尿病薬が増えていき、それでも効果が良くならなければ、
インスリン注射を導入して、清く正しく頑張ってきたにもかかわらず、
糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病壊疽、心筋梗塞、脳卒中・・・を合併してきてしまったのです。
日本では、ほとんどの糖尿病患者さんが
糖質摂取比率50~60%の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)を指導されています。
この高糖質食を糖尿病患者さんが摂取すれば、
<食後高血糖、血糖値の乱高下、平均血糖変動幅増大>を必ず生じます。
これでは、糖尿病合併症が、減らないのも当たり前としか言いようがありません。
即ち、糖尿病患者さんに罪はないのです。
罪は一重に、現行の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)にあるのです。
この食事を食べる限りは、
かなり運が良くない限り糖尿病合併症から免れることは至難の技です。
何故なら、糖質を摂取する限り、
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」を必ず生じるからです。
食後高血糖と平均血糖変動幅増大は、糖尿病合併症の最も大きな要因です。
食後高血糖と平均血糖変動幅増大を防ぐことこそが
合併症予防の優先順位の一番なのです。
そして糖質制限食が唯一、食後高血糖を防ぐ治療食なのです。
★ACCORD(RCT研究論文)よれば、
「糖質を普通に摂取しながら、強力な糖尿病の薬物治療を行えばかえって総死亡率が上昇する」
という、明白なエビデンスが存在します。
以下の本ブログ記事をご参照頂ければ幸いです。
ACCORD後の血糖管理・推奨HbA1cは? 2011年米国糖尿病学会
2011年07月20日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1743.html
私は一人の医師であり、一人の糖尿病患者です。
医師としてそして一糖尿病患者として、日本糖尿病学会に、提言します。
1)
ACCORDなどの明白なエビデンスを無視せずに、現実を認めて、ワンパターンの食事療法(カロリー制限・高糖質食)の見直しに着手するのが、糖尿病専門医として科学的な態度と言えるのではないでしょうか?
2)
また、従来の日本の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食と薬物療法)で、糖尿病網膜症で失明、糖尿病腎症で透析、糖尿病壊疽で下肢を切断、心筋梗塞、脳梗塞・・・といった糖尿病合併症が毎年多数発症している現状を、どのようにとらえておられるのでしょうか?
現実に多くの糖尿病患者さんを苦しめてきたという反省はないのでしょうか?
是非、冷静に日本の糖尿病治療と合併症の現状を検討して頂きたいと思います。
3)
さらに、糖尿病専門医が推奨するカロリー制限食(高糖質・低脂質食)では、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」を生じ、酸化ストレスリスクを決して防げないという生理学的事実を、糖尿病患者さんに、どう説明し、納得してもらうおつもりなのでしょう。
短期的に破滅的に効果が悪い食事療法(カロリー制限・高糖質食)を、長期間にわたり糖尿病患者さんに推奨するなら、倫理的にも科学的根拠を示す義務があります。糖尿病専門医として、科学的思考をされることを切に望むものです。
4)
農耕開始前の人類約700万年間の進化の歴史は狩猟・採集であり、農耕開始(穀物摂取開始)は約1万年前からに過ぎないことを、認識してください。
5)
日本人も旧石器時時代と縄文時代の約35000年間は狩猟・採集であり、農耕開始(米摂取開始)は弥生時代以降の約3000年間に過ぎないことを、認識してください。
★ACCORD
Effects of Intensive Glucose Lowering in Type 2 Diabetes
The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group
N Engl J Med 2008; 358:2545-2559
江部康二
日本糖尿病学会への提言(2)
糖尿病合併症とカロリー制限食の弊害
です。
日本糖尿病学会『第56回日本糖尿病学会年次学術集会』熊本宣言2013
の記載が以下です。
『糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していません。
糖尿病腎症で透析になる人が年間16000人以上。
糖尿病網膜症で失明する人が年間3000人以上。
糖尿病足病変で切断する人が年間3000人以上。』
ここで疑問が出てきます。
これらの方々は、全て医師や栄養士の言うことを聞かずに、
薬もまともに内服せずに暴飲・暴食をしたのでしょうか?
いえいえそんなことはありません。
ほとんどの方は、医師や栄養士の言うとおりに、
つらくとも我慢してカロリー制限食を実践し、
酒も飲まず、運動もし、血糖コントロールが徐々に悪くなれば、
経口糖尿病薬が増えていき、それでも効果が良くならなければ、
インスリン注射を導入して、清く正しく頑張ってきたにもかかわらず、
糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病壊疽、心筋梗塞、脳卒中・・・を合併してきてしまったのです。
日本では、ほとんどの糖尿病患者さんが
糖質摂取比率50~60%の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)を指導されています。
この高糖質食を糖尿病患者さんが摂取すれば、
<食後高血糖、血糖値の乱高下、平均血糖変動幅増大>を必ず生じます。
これでは、糖尿病合併症が、減らないのも当たり前としか言いようがありません。
即ち、糖尿病患者さんに罪はないのです。
罪は一重に、現行の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)にあるのです。
この食事を食べる限りは、
かなり運が良くない限り糖尿病合併症から免れることは至難の技です。
何故なら、糖質を摂取する限り、
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」を必ず生じるからです。
食後高血糖と平均血糖変動幅増大は、糖尿病合併症の最も大きな要因です。
食後高血糖と平均血糖変動幅増大を防ぐことこそが
合併症予防の優先順位の一番なのです。
そして糖質制限食が唯一、食後高血糖を防ぐ治療食なのです。
★ACCORD(RCT研究論文)よれば、
「糖質を普通に摂取しながら、強力な糖尿病の薬物治療を行えばかえって総死亡率が上昇する」
という、明白なエビデンスが存在します。
以下の本ブログ記事をご参照頂ければ幸いです。
ACCORD後の血糖管理・推奨HbA1cは? 2011年米国糖尿病学会
2011年07月20日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1743.html
私は一人の医師であり、一人の糖尿病患者です。
医師としてそして一糖尿病患者として、日本糖尿病学会に、提言します。
1)
ACCORDなどの明白なエビデンスを無視せずに、現実を認めて、ワンパターンの食事療法(カロリー制限・高糖質食)の見直しに着手するのが、糖尿病専門医として科学的な態度と言えるのではないでしょうか?
2)
また、従来の日本の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食と薬物療法)で、糖尿病網膜症で失明、糖尿病腎症で透析、糖尿病壊疽で下肢を切断、心筋梗塞、脳梗塞・・・といった糖尿病合併症が毎年多数発症している現状を、どのようにとらえておられるのでしょうか?
現実に多くの糖尿病患者さんを苦しめてきたという反省はないのでしょうか?
是非、冷静に日本の糖尿病治療と合併症の現状を検討して頂きたいと思います。
3)
さらに、糖尿病専門医が推奨するカロリー制限食(高糖質・低脂質食)では、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」を生じ、酸化ストレスリスクを決して防げないという生理学的事実を、糖尿病患者さんに、どう説明し、納得してもらうおつもりなのでしょう。
短期的に破滅的に効果が悪い食事療法(カロリー制限・高糖質食)を、長期間にわたり糖尿病患者さんに推奨するなら、倫理的にも科学的根拠を示す義務があります。糖尿病専門医として、科学的思考をされることを切に望むものです。
4)
農耕開始前の人類約700万年間の進化の歴史は狩猟・採集であり、農耕開始(穀物摂取開始)は約1万年前からに過ぎないことを、認識してください。
5)
日本人も旧石器時時代と縄文時代の約35000年間は狩猟・採集であり、農耕開始(米摂取開始)は弥生時代以降の約3000年間に過ぎないことを、認識してください。
★ACCORD
Effects of Intensive Glucose Lowering in Type 2 Diabetes
The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group
N Engl J Med 2008; 358:2545-2559
江部康二
先生、お見事です。
そして、お疲れ様です。
昨日、私の地方でも、マラソン前には炭水化物を摂取して・・などと、ラジオで運動を指導するような立場の人が語ってました。
声が大きくなれば、やはり信じてしまうでしょうね。
そして、完全に悪化させるのが目に見えて、全員が一様に変化しないと気づかないのでしょう。
同じ量を食べても人それぞれの反応。
まして、強い人などは全く大丈夫の時があります。
糖質制限を発言しても、未だに理解されにくいです。
以前よりはマシですけどね。
10年くらい前は、奇人変人扱いでしたから。
私も発言はあまりせず、自分の道を楽しむ程度になってきました。
聞かれれば答える程度です。
そして、お疲れ様です。
昨日、私の地方でも、マラソン前には炭水化物を摂取して・・などと、ラジオで運動を指導するような立場の人が語ってました。
声が大きくなれば、やはり信じてしまうでしょうね。
そして、完全に悪化させるのが目に見えて、全員が一様に変化しないと気づかないのでしょう。
同じ量を食べても人それぞれの反応。
まして、強い人などは全く大丈夫の時があります。
糖質制限を発言しても、未だに理解されにくいです。
以前よりはマシですけどね。
10年くらい前は、奇人変人扱いでしたから。
私も発言はあまりせず、自分の道を楽しむ程度になってきました。
聞かれれば答える程度です。
2023/03/17(Fri) 04:55 | URL | 猫 | 【編集】
猫 さん
応援ありがとうございます。
徐々に糖質制限賛成派の医師が増えているので、私は希望を持っています。
応援ありがとうございます。
徐々に糖質制限賛成派の医師が増えているので、私は希望を持っています。
2023/03/17(Fri) 19:07 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生ありがとうございます
糖尿病歴8年 市の健診でHBA1Cが12を超えていたので 即入院1か月間カロリー制限の勉強とインシュリンを打つ練習 退院してすぐ先生のブログに出会い 糖質制限を始めました
今も元気に保育士の仕事ができる喜びを感じています
江部先生のこのブログを知らずに市民病院インシュリンをうちつずけていたら今頃どうなっていたでしょう~糖質制限を教えてくださった江部先生に感謝の気持ちでいっぱいです
カロリー制限では合併症は防げないのに それを知りながら 正しいことを教えないお医者様は悪魔ですね 私はそう思っています
糖尿病歴8年 市の健診でHBA1Cが12を超えていたので 即入院1か月間カロリー制限の勉強とインシュリンを打つ練習 退院してすぐ先生のブログに出会い 糖質制限を始めました
今も元気に保育士の仕事ができる喜びを感じています
江部先生のこのブログを知らずに市民病院インシュリンをうちつずけていたら今頃どうなっていたでしょう~糖質制限を教えてくださった江部先生に感謝の気持ちでいっぱいです
カロリー制限では合併症は防げないのに それを知りながら 正しいことを教えないお医者様は悪魔ですね 私はそう思っています
アリス さん
HbA1c12%超えから、糖質制限食でインスリン注射なしで
血糖値が改善して、元気に保育士の仕事をしておられるとは、よかったです。
多くの医師が、『自分の頭で考える』
という習慣がないので
ガイドライン通りの治療しかご存じないし、それが当たり前で、それ以外の治療があるという選択肢がないのが
日本の現状です。
しかし、現状の糖尿病食で、合併症が防げていないのですから
『自分の頭で考えない』というのも、一定の罪と言えます
HbA1c12%超えから、糖質制限食でインスリン注射なしで
血糖値が改善して、元気に保育士の仕事をしておられるとは、よかったです。
多くの医師が、『自分の頭で考える』
という習慣がないので
ガイドライン通りの治療しかご存じないし、それが当たり前で、それ以外の治療があるという選択肢がないのが
日本の現状です。
しかし、現状の糖尿病食で、合併症が防げていないのですから
『自分の頭で考えない』というのも、一定の罪と言えます
2023/03/18(Sat) 14:08 | URL | ドクター江部 | 【編集】
いつも勉強させて頂いております。
内科医です。
残念ながら栄養指導では、糖質制限の依頼はしていません。
糖質50%で指導してもらってます。
まぁそうは言ってもそれ以上の糖質摂取をしている方も多いため、改善するケースも稀ではないです。
内科医です。
残念ながら栄養指導では、糖質制限の依頼はしていません。
糖質50%で指導してもらってます。
まぁそうは言ってもそれ以上の糖質摂取をしている方も多いため、改善するケースも稀ではないです。
としの さん
東大病院では、糖質40%の糖質制限食が導入されています。
東大病院では、糖質40%の糖質制限食が導入されています。
2023/05/22(Mon) 16:55 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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