2008年11月28日 (金)
こんばんは。夕方から雨が降り始めました。
今夜は、本年度初の忘年会です。明日は、江部診療所で外来のあと、昼からは東京です。
二日酔い要注意ですね。二日酔いでの外来はとってもしんどいですぞ。(経験者語る (*_*) )
さて今回は太りたいみいさんから、高麗人参についてコメント・質問をいただきました。
『毎日楽しく拝見しています。
体重は2キロほど増えました。
今回は、高麗人参と糖尿病についてお伺いします。知人が高麗人参が糖尿病に良いというのですが、いかがなものでしょうか。
人参なら、炭水化物を含んでいるのではないかと思うのですが。そんなに簡単に効くものならみんな飲んでいますよね?
お暇なときがありましたら、ご意見をお聞かせください。
寒くなってきました。お風邪などお召しになりませんようお気をつけください。
by 太りたいみい 2008/11/22 09:57』
太りたいみいさん。コメントありがとうございます。
体重が2kg増えて良かったですね。
糖質制限食実践で8割の人は、体重が順調に減って標準近くで落ち着きます。
1割の人は、<糖質制限食+カロリー制限食>の併せ技でやっと体重が減ります。
この方々は倹約遺伝子(肥満遺伝子)の持ち主で、基礎代謝が低いタイプと考えられます。
残りの1割の人は、糖質制限食で血糖値とHbA1cは改善したけど、体重が減りすぎて困るタイプです。
このタイプはもともと少食の方々で、糖質制限食でおかずばかり食べるときに、一回500キロカロリーが多すぎて食べきれないので、結果としてカロリー不足で痩せすぎることになります。
この時は、果物やナッツ類をデザートや間食で2.3回摂取すると、食後高血糖もほとんどなく徐々に体重が増えて標準に戻っていきます。太りたいみいさんのタイプですね。
かくいう私も、この秋、桃、柿、梨、蜜柑、林檎と果物の貰い物などが多く、「折角やから、少しは食べないと悪いな」などど言い訳半分にちょこちょこ食べていたら、1年間普遍だった167cm、56kgが57kgと1kg増えてしまいました。久しぶりにほんのりお腹がでてしまいました。(=_=;)
果糖は血糖値はほとんど上昇させませんが、中性脂肪には速効変わりますから、太りやすいのですね。
さてご質問の高麗人参(朝鮮人参)ですが、ウコギ科の多年草で正式な名称はオタネニンジン(御種人参)で、薬用植物として重用されています。食用のセリ科のニンジン(人参)とは、全く異なる植物です。
オタネニンジンの主要な薬用部位は根で、有用成分はジンセノサイドとよばれるサポニン群です。サポニンは、渋み、苦み、えぐみといった味のもとともなる成分で、植物の根、葉、茎などに広く含まれていて、様々な薬効成分ももっています。
構造的にはトリテルペンやステロイドにオリゴ糖(二個以上の糖が結合したもの)が結合した配糖体の一種です。大豆サポニンも有名ですね。
オタネニンジンの主要成分はサポニン群で、根を煎じて飲むのが通常の服用方です。多くの漢方薬の構成生薬の一つです。補中益気湯、人参湯、小柴胡湯、六君子湯、四君子湯、半夏瀉心湯、白虎加人参湯・・・
オタネニンジンの根にも炭水化物(糖質)は少量含まれていますが、血糖値を多く上昇させるほどではありません。
一方、ジンセノサイドとよばれるサポニン群が、どの程度血糖値を下げるかということですが、中国の漢方生薬の教科書には、オタネニンジンが血糖を下げる効果を有すとあります。しかし、私自身、30年近くオタネニンジンを含む漢方処方を出してきましたが、それだけで糖尿病のコントロールができたという経験はありません。
私も漢方医のはしくれですので、学会などでいつも漢方医の方々とお話していますが、やはりオタネニンジンで血糖値が目に見えて下がるということは、聞いたことがありません。従って、血糖降下作用があるとしても、弱いものと考えられます。
結論です。
高麗人参で血糖値が下がる可能性はありえますが、ごく軽度のものであり、それだけで糖尿病をコントロールすることは不可能です。
江部康二
今夜は、本年度初の忘年会です。明日は、江部診療所で外来のあと、昼からは東京です。
二日酔い要注意ですね。二日酔いでの外来はとってもしんどいですぞ。(経験者語る (*_*) )
さて今回は太りたいみいさんから、高麗人参についてコメント・質問をいただきました。
『毎日楽しく拝見しています。
体重は2キロほど増えました。
今回は、高麗人参と糖尿病についてお伺いします。知人が高麗人参が糖尿病に良いというのですが、いかがなものでしょうか。
人参なら、炭水化物を含んでいるのではないかと思うのですが。そんなに簡単に効くものならみんな飲んでいますよね?
お暇なときがありましたら、ご意見をお聞かせください。
寒くなってきました。お風邪などお召しになりませんようお気をつけください。
by 太りたいみい 2008/11/22 09:57』
太りたいみいさん。コメントありがとうございます。
体重が2kg増えて良かったですね。
糖質制限食実践で8割の人は、体重が順調に減って標準近くで落ち着きます。
1割の人は、<糖質制限食+カロリー制限食>の併せ技でやっと体重が減ります。
この方々は倹約遺伝子(肥満遺伝子)の持ち主で、基礎代謝が低いタイプと考えられます。
残りの1割の人は、糖質制限食で血糖値とHbA1cは改善したけど、体重が減りすぎて困るタイプです。
このタイプはもともと少食の方々で、糖質制限食でおかずばかり食べるときに、一回500キロカロリーが多すぎて食べきれないので、結果としてカロリー不足で痩せすぎることになります。
この時は、果物やナッツ類をデザートや間食で2.3回摂取すると、食後高血糖もほとんどなく徐々に体重が増えて標準に戻っていきます。太りたいみいさんのタイプですね。
かくいう私も、この秋、桃、柿、梨、蜜柑、林檎と果物の貰い物などが多く、「折角やから、少しは食べないと悪いな」などど言い訳半分にちょこちょこ食べていたら、1年間普遍だった167cm、56kgが57kgと1kg増えてしまいました。久しぶりにほんのりお腹がでてしまいました。(=_=;)
果糖は血糖値はほとんど上昇させませんが、中性脂肪には速効変わりますから、太りやすいのですね。
さてご質問の高麗人参(朝鮮人参)ですが、ウコギ科の多年草で正式な名称はオタネニンジン(御種人参)で、薬用植物として重用されています。食用のセリ科のニンジン(人参)とは、全く異なる植物です。
オタネニンジンの主要な薬用部位は根で、有用成分はジンセノサイドとよばれるサポニン群です。サポニンは、渋み、苦み、えぐみといった味のもとともなる成分で、植物の根、葉、茎などに広く含まれていて、様々な薬効成分ももっています。
構造的にはトリテルペンやステロイドにオリゴ糖(二個以上の糖が結合したもの)が結合した配糖体の一種です。大豆サポニンも有名ですね。
オタネニンジンの主要成分はサポニン群で、根を煎じて飲むのが通常の服用方です。多くの漢方薬の構成生薬の一つです。補中益気湯、人参湯、小柴胡湯、六君子湯、四君子湯、半夏瀉心湯、白虎加人参湯・・・
オタネニンジンの根にも炭水化物(糖質)は少量含まれていますが、血糖値を多く上昇させるほどではありません。
一方、ジンセノサイドとよばれるサポニン群が、どの程度血糖値を下げるかということですが、中国の漢方生薬の教科書には、オタネニンジンが血糖を下げる効果を有すとあります。しかし、私自身、30年近くオタネニンジンを含む漢方処方を出してきましたが、それだけで糖尿病のコントロールができたという経験はありません。
私も漢方医のはしくれですので、学会などでいつも漢方医の方々とお話していますが、やはりオタネニンジンで血糖値が目に見えて下がるということは、聞いたことがありません。従って、血糖降下作用があるとしても、弱いものと考えられます。
結論です。
高麗人参で血糖値が下がる可能性はありえますが、ごく軽度のものであり、それだけで糖尿病をコントロールすることは不可能です。
江部康二
江部先生、はじめまして。
私は30才男性、糖尿病歴約1年半のもりもりと申します。
私は約2年前に仕事と人間関係のストレスから「うつ病」を発病。短期の休職を経て復職したのですが、ストレスと抗うつ剤の副作用から過食に走り、体調悪化→「糖尿病」と診断されました。
当時の血糖値は約300、HbA1Cは8と記憶しています。その後アマリールを1錠/日処方され、血糖値は下がっていきましたが、今年の春頃に精神的に不安定となり、3回目の休職→そのまま退職に至りました。
それに合わせて血糖値も悪化。7月には血糖値約450、HbA1C12までに陥りました。薬もアマリール2錠/日、メルビン2錠/日に変更になりました。
自分でも「これはまずい」と思い、自分で血糖値を測定する機器を購入したり、いろいろな食事療法・運動療法を試しました。
その中で8月頃に先生と糖質制限食のこと知り、本を購入させて頂きました。
最初は半信半疑だったのですが、糖質制限食を実行してみると、その効果にとても驚きました。
HbA1Cの値を記すと、
7月=12
8月=10
9月= 8
11月= 6.2
と目標の5.8まであと一歩のところまできました。薬も主治医にお願いしてアマリールを1錠/日に減らしてもらい
私は30才男性、糖尿病歴約1年半のもりもりと申します。
私は約2年前に仕事と人間関係のストレスから「うつ病」を発病。短期の休職を経て復職したのですが、ストレスと抗うつ剤の副作用から過食に走り、体調悪化→「糖尿病」と診断されました。
当時の血糖値は約300、HbA1Cは8と記憶しています。その後アマリールを1錠/日処方され、血糖値は下がっていきましたが、今年の春頃に精神的に不安定となり、3回目の休職→そのまま退職に至りました。
それに合わせて血糖値も悪化。7月には血糖値約450、HbA1C12までに陥りました。薬もアマリール2錠/日、メルビン2錠/日に変更になりました。
自分でも「これはまずい」と思い、自分で血糖値を測定する機器を購入したり、いろいろな食事療法・運動療法を試しました。
その中で8月頃に先生と糖質制限食のこと知り、本を購入させて頂きました。
最初は半信半疑だったのですが、糖質制限食を実行してみると、その効果にとても驚きました。
HbA1Cの値を記すと、
7月=12
8月=10
9月= 8
11月= 6.2
と目標の5.8まであと一歩のところまできました。薬も主治医にお願いしてアマリールを1錠/日に減らしてもらい
…ました。これも全て江部先生のおかげだと思っています。本当にありがとうございます。
主治医には「炭水化物をなるべく食べないようにしている」とだけ伝えています。主治医もこのHbA1Cの改善については驚きというか疑問(?)を持っているようでした。また、旧態依然の栄養指導しかしない栄養士の指導は、右から左へ受け流しています。
私は子供の頃から太っていて、お菓子類が大好きだったのですが、最近では自分で血糖値をコントロールする方法が大分わかってきたので、ピーナッツやチーズなど糖質の少ないものを食べたり、シュークリームなど糖質の多いものを食べたときには、それを続けて食べないようにして、血糖値を高止まりさせないようにしています。
今は無職(転職活動中)であまり動いていないので、体重はあまり減ってないのですが、少し動くとすぐに体重が減るようになりました。
最後に質問なのですが、血糖値や糖尿病とストレスやうつ病などの精神的疾患との関係について、先生のご意見を頂ければと思っています。
お時間のあるときで構いませんので、よろしくお願いします。
主治医には「炭水化物をなるべく食べないようにしている」とだけ伝えています。主治医もこのHbA1Cの改善については驚きというか疑問(?)を持っているようでした。また、旧態依然の栄養指導しかしない栄養士の指導は、右から左へ受け流しています。
私は子供の頃から太っていて、お菓子類が大好きだったのですが、最近では自分で血糖値をコントロールする方法が大分わかってきたので、ピーナッツやチーズなど糖質の少ないものを食べたり、シュークリームなど糖質の多いものを食べたときには、それを続けて食べないようにして、血糖値を高止まりさせないようにしています。
今は無職(転職活動中)であまり動いていないので、体重はあまり減ってないのですが、少し動くとすぐに体重が減るようになりました。
最後に質問なのですが、血糖値や糖尿病とストレスやうつ病などの精神的疾患との関係について、先生のご意見を頂ければと思っています。
お時間のあるときで構いませんので、よろしくお願いします。
匿名希望の康郎 さん
ピニトール、血糖値改善に少し効果があるようですね。
私は、ほとんど知りませんでした。
スーパー糖質制限食なら必要ないと思います。
香川大学
http://www.ag.kagawa-u.ac.jp/agarie/Vegetables_M.crystallinum.html
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/news/business_i_(2012_07_18).pdf
日本生物工学会。フジサンケイ。
ピニトール、血糖値改善に少し効果があるようですね。
私は、ほとんど知りませんでした。
スーパー糖質制限食なら必要ないと思います。
香川大学
http://www.ag.kagawa-u.ac.jp/agarie/Vegetables_M.crystallinum.html
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/news/business_i_(2012_07_18).pdf
日本生物工学会。フジサンケイ。
2014/03/09(Sun) 07:49 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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