2023年03月06日 (月)
こんにちは。
インスリンは血糖値を下げる作用をもつホルモンです。
糖尿病の95%以上を占める2型糖尿病は、インスリン作用不足があると発症します。
日本人は欧米人に比べ肥満していないのに糖尿病を発症するといわれています。
これは、日本人のインスリン分泌能力が
欧米人の半分程度と低いためと考えられています。
2型糖尿病は、
「インスリン分泌不足+インスリン抵抗性」
が合わさって、『インスリン作用不足』を生じ、発症します。
日本人はインスリン分泌不足が主で、インスリン抵抗性は従です。
糖尿病発症時の平均BMIは24くらいで、正常範囲です。
一方、欧米人はインスリン抵抗性が主で、インスリン分泌不足は従です。
糖尿病発症時の平均BMIは32くらいで、肥満です。
インスリンは、血糖値を下げる唯一のホルモンで、
基礎分泌インスリンは、24時間少量持続分泌されています。
これに対して追加分泌インスリンは、
糖質摂取時、数倍~30倍分泌、
脂質摂取時、分泌なし、
タンパク質摂取時、少量分泌です。
またインスリンは肥満ホルモンの側面があり、
このことはUKPDSやACCORDといった大規模臨床試験でも確認されています。
欧米人のインスリン分泌能力は、アジア人の倍以上と言われています。
まず、糖質の頻回過剰摂取による追加インスリン分泌で、肥満が生じます。
肥満が生じるとインスリン抵抗性が生じます。
インスリン抵抗性が生じると、基礎分泌インスリンも過剰に出るようになり、
ますます肥満します。
この「インスリン過剰→肥満→インスリン更に過剰→肥満→・・・・・・」の悪循環で、肥満は巨大になっていきます。
それでもインスリン分泌能力があるので、さらに過剰に分泌して、20年、30年、40年に及べば、欧米では150kgや200kg超の体重は珍しくありません。
従って、インスリン分泌能力はまだ残っているけれど、
巨大肥満によるインスリン抵抗性増強によって糖尿病を発症します。
日本人の場合は、インスリン頻回過剰分泌が10年、20年レベル続くと、
膵臓のβ細胞が疲弊して、分泌能力が低下して、糖尿病を発症します。
従って肥満していない糖尿病が普通なのです。
このように、同じ2型糖尿病でも、欧米人とアジア人は発症要因が基本的に異なっていて、
ほとんど別の病気といってもいいくらいです。
極端に言えば、欧米には肥満していない2型糖尿病は、ほぼ存在しないということです。
例えば、私は身長167cm、体重56kg、BMI:20.0で、正常痩せ型の2型糖尿病です。
しかし、私の体型で糖尿病であると言えば、欧米の医師は血液検査もせずに、
1型糖尿病と断定するでしょう。
このことは、ロサンゼルス、パリ、ジュネーブの正常体型の2型女性糖尿人、
お三方から、『検査もせずに、1型糖尿病と断定された』とブログにコメントいただいて確認しています。
ブログ読者の皆さんのご参考まで。。。
江部康二
インスリンは血糖値を下げる作用をもつホルモンです。
糖尿病の95%以上を占める2型糖尿病は、インスリン作用不足があると発症します。
日本人は欧米人に比べ肥満していないのに糖尿病を発症するといわれています。
これは、日本人のインスリン分泌能力が
欧米人の半分程度と低いためと考えられています。
2型糖尿病は、
「インスリン分泌不足+インスリン抵抗性」
が合わさって、『インスリン作用不足』を生じ、発症します。
日本人はインスリン分泌不足が主で、インスリン抵抗性は従です。
糖尿病発症時の平均BMIは24くらいで、正常範囲です。
一方、欧米人はインスリン抵抗性が主で、インスリン分泌不足は従です。
糖尿病発症時の平均BMIは32くらいで、肥満です。
インスリンは、血糖値を下げる唯一のホルモンで、
基礎分泌インスリンは、24時間少量持続分泌されています。
これに対して追加分泌インスリンは、
糖質摂取時、数倍~30倍分泌、
脂質摂取時、分泌なし、
タンパク質摂取時、少量分泌です。
またインスリンは肥満ホルモンの側面があり、
このことはUKPDSやACCORDといった大規模臨床試験でも確認されています。
欧米人のインスリン分泌能力は、アジア人の倍以上と言われています。
まず、糖質の頻回過剰摂取による追加インスリン分泌で、肥満が生じます。
肥満が生じるとインスリン抵抗性が生じます。
インスリン抵抗性が生じると、基礎分泌インスリンも過剰に出るようになり、
ますます肥満します。
この「インスリン過剰→肥満→インスリン更に過剰→肥満→・・・・・・」の悪循環で、肥満は巨大になっていきます。
それでもインスリン分泌能力があるので、さらに過剰に分泌して、20年、30年、40年に及べば、欧米では150kgや200kg超の体重は珍しくありません。
従って、インスリン分泌能力はまだ残っているけれど、
巨大肥満によるインスリン抵抗性増強によって糖尿病を発症します。
日本人の場合は、インスリン頻回過剰分泌が10年、20年レベル続くと、
膵臓のβ細胞が疲弊して、分泌能力が低下して、糖尿病を発症します。
従って肥満していない糖尿病が普通なのです。
このように、同じ2型糖尿病でも、欧米人とアジア人は発症要因が基本的に異なっていて、
ほとんど別の病気といってもいいくらいです。
極端に言えば、欧米には肥満していない2型糖尿病は、ほぼ存在しないということです。
例えば、私は身長167cm、体重56kg、BMI:20.0で、正常痩せ型の2型糖尿病です。
しかし、私の体型で糖尿病であると言えば、欧米の医師は血液検査もせずに、
1型糖尿病と断定するでしょう。
このことは、ロサンゼルス、パリ、ジュネーブの正常体型の2型女性糖尿人、
お三方から、『検査もせずに、1型糖尿病と断定された』とブログにコメントいただいて確認しています。
ブログ読者の皆さんのご参考まで。。。
江部康二
江部先生、最近、YouTube などで、糖質を含んでいるのに血糖値が上がらない食べ物として、たまごサンド・シュークリーム・照り焼きチキンバーガーなどが話題になっています。実際に、これらの食品を食べて血糖値を測定しているのですが、確かに血糖値グラフは横ばいになっています。その理由として、脂肪分の含有量が多いと糖質を含んでいても吸収されないからではないかと言われていますが、こういう食品は、糖質セイゲニストも食べて良いのでしょうか?
2023/03/06(Mon) 20:00 | URL | 西山楽 | 【編集】
何時も先生のブログで学ばせて頂いており、感謝に堪えません。
ちょっと分からなくなったので質問させて頂きます。
インスリン抵抗性はインスリンの効きが悪くなると理解しているんですが、効きが悪ければ大量に分泌しても、血糖を大量に取り込んで肥満に至ると言う事はなさそうな感じがし始めてしまいました。
なんか基本的な所が欠落していそうな質問でお恥ずかしい限りですが、宜しくお願い致します。
ちょっと分からなくなったので質問させて頂きます。
インスリン抵抗性はインスリンの効きが悪くなると理解しているんですが、効きが悪ければ大量に分泌しても、血糖を大量に取り込んで肥満に至ると言う事はなさそうな感じがし始めてしまいました。
なんか基本的な所が欠落していそうな質問でお恥ずかしい限りですが、宜しくお願い致します。
西山楽 さん
そのユーチューブをみていないので、よくわかりませんが、
『脂肪分の含有量が多いと糖質を含んでいても吸収されない』
ということはないと思います。
吸収がゆっくりとなりますが、結局最終的には時間をかけて吸収されると思います。
従って、糖質セイゲニストは、このような食べ方はしないほうが良いと思います。
そのユーチューブをみていないので、よくわかりませんが、
『脂肪分の含有量が多いと糖質を含んでいても吸収されない』
ということはないと思います。
吸収がゆっくりとなりますが、結局最終的には時間をかけて吸収されると思います。
従って、糖質セイゲニストは、このような食べ方はしないほうが良いと思います。
2023/03/07(Tue) 16:12 | URL | ドクター江部 | 【編集】
Masa さん
インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンで、筋肉に血糖を取り込ませて血糖値を下げます。
しかし余った血糖値は中性脂肪として脂肪組織に蓄えます。
農耕開始前の狩猟・採集時代は、
インスリン本来の作用は、血糖値を中性脂肪に変えて、脂肪として蓄え
来たるべき冬の飢餓に備えるということでした。
インスリンは糖質過剰の今でこそ『肥満ホルモン』というふうに言われていますが、
その作用は、狩猟・採集時代は生存に直結する脂肪を蓄えるというセーフティーネットとして、
極めて有効だったのです。
糖質過剰の現代で、インスリンが大量に分泌されていると、肥満の悪循環に陥ってしまうのです。
『肥満 ⇒ インスリン抵抗性 ⇒ インスリン過剰分泌 ⇒ さらに肥満 ⇒ インスリン抵抗性増加 ⇒ さらにインスリン過剰分泌・・・』
といった悪循環です。
インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンで、筋肉に血糖を取り込ませて血糖値を下げます。
しかし余った血糖値は中性脂肪として脂肪組織に蓄えます。
農耕開始前の狩猟・採集時代は、
インスリン本来の作用は、血糖値を中性脂肪に変えて、脂肪として蓄え
来たるべき冬の飢餓に備えるということでした。
インスリンは糖質過剰の今でこそ『肥満ホルモン』というふうに言われていますが、
その作用は、狩猟・採集時代は生存に直結する脂肪を蓄えるというセーフティーネットとして、
極めて有効だったのです。
糖質過剰の現代で、インスリンが大量に分泌されていると、肥満の悪循環に陥ってしまうのです。
『肥満 ⇒ インスリン抵抗性 ⇒ インスリン過剰分泌 ⇒ さらに肥満 ⇒ インスリン抵抗性増加 ⇒ さらにインスリン過剰分泌・・・』
といった悪循環です。
2023/03/07(Tue) 16:31 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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