2008年11月27日 (木)
こんばんは。
さきほどから雨が降り始めた京都です。今日は暖かいので、氷雨というほどではありません。
さて今回は、糖尿病とタンパク尿に関して八郎の娘さんと糖質制限人さんからコメント・質問をいただきました。
『尿タンパクの検査結果
3月に糖質制限食をはじめ、それまで半年以上尿タンパクが(+)(±)と続いていた為、ブログ内で質問をし、中野の公演終了後でもご相談させていただいた者です。
江部先生からは、『血糖コントロールが良くなれば尿タンパクが減少する可能性も期待できますよ』という嬉しいお答えを頂きましたが、9月までは(±)が続いていました。主治医からは『一旦継続して尿タンパクが出始めると、それを(-)にするのは結構難しい…」と言われていたこともあり少々諦めの気持ちも出始めましたが、とりあえず江部先生の助言を励みに糖質制限食を心がけて続けてきたところ、先月に続き今日の11月の検査でも尿タンパクが(-)に!!
当初江部先生から頂いた『タンパク質70g~80g』という目安量でしたが、最近は寧ろ目安量より多めのタンパク質を摂取しているのが現状です。「やっぱり江部先生の仰る通りだったんだ!」と、あらためて感激し感謝する次第です。
3月は8.8だったHbA1cも、6月に5.5に下がり、ずっと今月まで維持しています。(本当はもっと下げたい!)長年に渡り基準値を上回っていた中性脂肪もγGTPもコレステロールもGOT/GPTも全て基準値内に収まっています。
先月の診断時、主治医が「このクリニックでも他に3人炭水化物を制限して結果を出してる患者さんがいますよ」と教えてくれました。徐々にカーボカウンティングが広がりつつあるようで嬉しくなりました。・・・・・・が、そう思っていると、今日は待合室で年配の患者さんに、クリニック選任の栄養士さんが「○○さん、おかずが多めなので、夕飯のご飯を2膳に増やして、おかずを減らすようにしてくださいね。」と懇切丁寧に指導しているのが聞こえてきて、日本における糖尿病治療指導の夜明けは、まだもう少し先の話かぁ…と溜息ひとつでした。
by 八郎の娘 2008/11/21 02:10 』
八郎の娘さん。コメントありがとうございます。
半間続いていたタンパク尿(+)~(±)状態が、
2008年3月に糖質制限食開始後、10月に(-)、そして11月も(-)
素晴らしいですね。
本ブログに時々登場する、ご自身が1型糖尿病の米国のバーンスタイン医師は、小児期12才に1型糖尿病を発症し、以後インスリンを打ち続けておられます。
35才、糖尿病腎症の初期となった頃、SMBGで血糖自己測定をしながら食事療法を研究し、徹底した糖質制限食を開始。蛋白尿が出現する段階の顕性腎症前期から、糖質制限食で回復しタンパク尿消失。45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究。以後、多数の糖尿病患者を診察。73才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。
バーンスタイン医師のように、顕性腎症前期からでも、糖質制限食で正常に回復することがありますので八郎の娘さんも、このままタンパク尿(-)も充分期待できますよ。
3月のHbA1c8.8%→6月に5.5%
こちらも理想的な改善です。
夜明けはまだかもしれませんが、主治医殿、糖質制限食に反対されないだけでも嬉しい限りです。
『糖質制限食と糖尿病合併症
2004年3月に職場の検診で高血圧を指摘されたので病院からテノーミンとアダラートを処方して頂き、血圧120/80とコントロール快調な50歳男です。2ヶ月ごとに検査と投薬のため通院しています。その検査で2005年1月に5.6だったHbA1cが同年3月に6.5となり、諸検査の結果インスリン追加分泌が少ない糖尿人と診断されグルコバイが処方されました。ちょうどそのころ幸運なことに『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』に出会い購入しました。ただちにスーパー糖質制限食を実施し半年後には20kg体重減(80→60kg、身長173cm)、HbA1c4.9と劇的に改善しました。処方されたグルコバイは使ったことがありません。1年程前からはスタンダード糖質制限食に変えましたがHbA1c4.9~5.3を維持しています。ところが昨年の6月頃から尿蛋白(±)~(+)、蛋白定量値20mg/dl、尿中アルブミン40mg/day程度の状態が続いています。尿蛋白の検査として尿沈渣、尿細胞診、血液検査、超音波検査を行いましたが問題なしでした。主治医(循環器が専門)は高血糖により腎糸球体が傷ついたために尿に蛋白が漏れ出していると説明しています。主治医には糖質制限食を実施しているので食後高血糖はある程度抑えられているのではないかと話しましたが興味はないようです。20歳代から実施している職場の検診を含めてもHbA1c5.8以上になったのは2005年3月だけです。江部先生のブログや出版物で糖尿病を勉強してきた私の常識では予想外の展開です。腎機能が悪くなると糖質制限食ができなくなるのではと心配しています。江部先生のお考えを頂ければ幸いです。
by 糖質制限人 2008/11/27 14:32』
糖質制限人さん。コメントそして本のご購入ありがとうございます。
「HbA1c6.5→スーパー糖質制限食半年後→20kg体重減(80→60kg、身長173cm)、HbA1c4.9と劇的に改善しました。」
素晴らしいですね。
尿タンパク20mg/dlはごく少量ですね。この段階で血液検査の腎機能(クレアチニン)が悪化することはありませんので、糖質制限食を実践することは、全く問題ありませんよ。
スーパー糖質制限食からスタンダード糖質制限食に移行ですので、お昼だけは糖質を摂取して、食後高血糖が生じている可能性があります。
上述の八郎の娘さんやバーンスタイン医師のように、スーパー糖質制限食で徹底的に血糖コントロールをすれば、タンパク尿が陰性化する可能性は充分あります。
あるいは、お昼に主食(糖質)を摂取するときだけ、食直前にグルコバイを内服して、食後高血糖を予防する選択肢もあります。
HbA1c4.9~5.3とコントロール優の状況ですので、通常は、糖尿病腎症によるタンパク尿はやや考えにくいのですが・・・
糖尿病以外の要因も関与している可能性もありますね。
漢方薬やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)もタンパク尿を減らす効果が期待できます。いろんな選択肢がありますが、まずは食後高血糖のないコントロール状況を目指しましょう。
江部康二
さきほどから雨が降り始めた京都です。今日は暖かいので、氷雨というほどではありません。
さて今回は、糖尿病とタンパク尿に関して八郎の娘さんと糖質制限人さんからコメント・質問をいただきました。
『尿タンパクの検査結果
3月に糖質制限食をはじめ、それまで半年以上尿タンパクが(+)(±)と続いていた為、ブログ内で質問をし、中野の公演終了後でもご相談させていただいた者です。
江部先生からは、『血糖コントロールが良くなれば尿タンパクが減少する可能性も期待できますよ』という嬉しいお答えを頂きましたが、9月までは(±)が続いていました。主治医からは『一旦継続して尿タンパクが出始めると、それを(-)にするのは結構難しい…」と言われていたこともあり少々諦めの気持ちも出始めましたが、とりあえず江部先生の助言を励みに糖質制限食を心がけて続けてきたところ、先月に続き今日の11月の検査でも尿タンパクが(-)に!!
当初江部先生から頂いた『タンパク質70g~80g』という目安量でしたが、最近は寧ろ目安量より多めのタンパク質を摂取しているのが現状です。「やっぱり江部先生の仰る通りだったんだ!」と、あらためて感激し感謝する次第です。
3月は8.8だったHbA1cも、6月に5.5に下がり、ずっと今月まで維持しています。(本当はもっと下げたい!)長年に渡り基準値を上回っていた中性脂肪もγGTPもコレステロールもGOT/GPTも全て基準値内に収まっています。
先月の診断時、主治医が「このクリニックでも他に3人炭水化物を制限して結果を出してる患者さんがいますよ」と教えてくれました。徐々にカーボカウンティングが広がりつつあるようで嬉しくなりました。・・・・・・が、そう思っていると、今日は待合室で年配の患者さんに、クリニック選任の栄養士さんが「○○さん、おかずが多めなので、夕飯のご飯を2膳に増やして、おかずを減らすようにしてくださいね。」と懇切丁寧に指導しているのが聞こえてきて、日本における糖尿病治療指導の夜明けは、まだもう少し先の話かぁ…と溜息ひとつでした。
by 八郎の娘 2008/11/21 02:10 』
八郎の娘さん。コメントありがとうございます。
半間続いていたタンパク尿(+)~(±)状態が、
2008年3月に糖質制限食開始後、10月に(-)、そして11月も(-)
素晴らしいですね。
本ブログに時々登場する、ご自身が1型糖尿病の米国のバーンスタイン医師は、小児期12才に1型糖尿病を発症し、以後インスリンを打ち続けておられます。
35才、糖尿病腎症の初期となった頃、SMBGで血糖自己測定をしながら食事療法を研究し、徹底した糖質制限食を開始。蛋白尿が出現する段階の顕性腎症前期から、糖質制限食で回復しタンパク尿消失。45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究。以後、多数の糖尿病患者を診察。73才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。
バーンスタイン医師のように、顕性腎症前期からでも、糖質制限食で正常に回復することがありますので八郎の娘さんも、このままタンパク尿(-)も充分期待できますよ。
3月のHbA1c8.8%→6月に5.5%
こちらも理想的な改善です。
夜明けはまだかもしれませんが、主治医殿、糖質制限食に反対されないだけでも嬉しい限りです。
『糖質制限食と糖尿病合併症
2004年3月に職場の検診で高血圧を指摘されたので病院からテノーミンとアダラートを処方して頂き、血圧120/80とコントロール快調な50歳男です。2ヶ月ごとに検査と投薬のため通院しています。その検査で2005年1月に5.6だったHbA1cが同年3月に6.5となり、諸検査の結果インスリン追加分泌が少ない糖尿人と診断されグルコバイが処方されました。ちょうどそのころ幸運なことに『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』に出会い購入しました。ただちにスーパー糖質制限食を実施し半年後には20kg体重減(80→60kg、身長173cm)、HbA1c4.9と劇的に改善しました。処方されたグルコバイは使ったことがありません。1年程前からはスタンダード糖質制限食に変えましたがHbA1c4.9~5.3を維持しています。ところが昨年の6月頃から尿蛋白(±)~(+)、蛋白定量値20mg/dl、尿中アルブミン40mg/day程度の状態が続いています。尿蛋白の検査として尿沈渣、尿細胞診、血液検査、超音波検査を行いましたが問題なしでした。主治医(循環器が専門)は高血糖により腎糸球体が傷ついたために尿に蛋白が漏れ出していると説明しています。主治医には糖質制限食を実施しているので食後高血糖はある程度抑えられているのではないかと話しましたが興味はないようです。20歳代から実施している職場の検診を含めてもHbA1c5.8以上になったのは2005年3月だけです。江部先生のブログや出版物で糖尿病を勉強してきた私の常識では予想外の展開です。腎機能が悪くなると糖質制限食ができなくなるのではと心配しています。江部先生のお考えを頂ければ幸いです。
by 糖質制限人 2008/11/27 14:32』
糖質制限人さん。コメントそして本のご購入ありがとうございます。
「HbA1c6.5→スーパー糖質制限食半年後→20kg体重減(80→60kg、身長173cm)、HbA1c4.9と劇的に改善しました。」
素晴らしいですね。
尿タンパク20mg/dlはごく少量ですね。この段階で血液検査の腎機能(クレアチニン)が悪化することはありませんので、糖質制限食を実践することは、全く問題ありませんよ。
スーパー糖質制限食からスタンダード糖質制限食に移行ですので、お昼だけは糖質を摂取して、食後高血糖が生じている可能性があります。
上述の八郎の娘さんやバーンスタイン医師のように、スーパー糖質制限食で徹底的に血糖コントロールをすれば、タンパク尿が陰性化する可能性は充分あります。
あるいは、お昼に主食(糖質)を摂取するときだけ、食直前にグルコバイを内服して、食後高血糖を予防する選択肢もあります。
HbA1c4.9~5.3とコントロール優の状況ですので、通常は、糖尿病腎症によるタンパク尿はやや考えにくいのですが・・・
糖尿病以外の要因も関与している可能性もありますね。
漢方薬やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)もタンパク尿を減らす効果が期待できます。いろんな選択肢がありますが、まずは食後高血糖のないコントロール状況を目指しましょう。
江部康二
この記事へのトラックバック
| ホーム |