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糖尿病と糖質制限食と腎機能 続き
こんばんは。
相変わらず寒い京都です。
日中は5.5℃まで上昇しましたが、朝7時は1.5℃でした。
さて今日は、昨日の続きです。

高血糖が持続すると、腎糸球体の細小血管の障害が起こります。
その結果、糸球体の構造が破壊され、機能障害が生じていきます。

<糖尿病腎症の5段階>
糖尿病腎症は、以下の5段階に分類されます。

第1期(腎症前期)
糖尿病性腎症かどうか検査ではわからない時期、糖尿病の人は3ヶ月に1回は微量アルブミン尿の検査を受けることが奨められます。

第2期(早期腎症期)

腎症の一番初期の段階は、尿中微量アルブミンの増加としてとらえられます。
この段階で早期腎症期です。
3ヶ月に1回ていど尿中微量アルブミンを検査すれば、一般的に測定されている尿タンパクが出現する以前の段階で、早期腎症を発見することができます。
この検査は、健康保険が効きますのでお奨めです。

第3期(顕性腎症期)
タンパク尿が出てくる時期です。
タンパク尿が出始めたら、顕性腎症期の段階に入ります。
この段階では血液の腎機能検査は正常です。

第4期(腎不全期)
クレアチニン・クリアランスが低下する時期。
血液検査で、クレアチニン、BUNなどに異常が出現すれば腎不全期となります。
この段階になると、糖質制限食を実践する場合は必ず医師と相談する必要があります。

第5期(透析療法期)
ほとんど腎臓が機能しなくなり、透析療法が必要となります。
年間約1万6千人の方が糖尿病性腎症により人工透析を導入していますが、
慢性腎炎を抜いて疾患別では1位となっています。


できれば微量アルブミンの早期腎症の段階で発見し、進行をくいとめたいものです。
この段階なら、糖質制限食で血糖コントロールを良好に保てば、
充分正常への回復が期待できます。


顕性腎症期になっても、糖質制限食で血糖コントロール良好を保てば
進行が止まったり、進行をゆっくりさせてくれる可能性があります。
非常に上手くいけば、以下のバーンスタイン医師のように
蛋白尿が陰性となることもありえます。



本ブログに時々登場する、ご自身が1型糖尿病の米国のバーンスタイン医師は、
小児期12才に1型糖尿病を発症し、以後インスリンを打ち続けておられます。

35才、顕性腎症となった頃、SMBGで血糖自己測定をしながら食事療法を研究し、
徹底した糖質制限食を開始されました。

蛋白尿が出現する段階の顕性腎症期から、
糖質制限食で回復しタンパク尿が消失しました。
45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究されました。
以後、多数の糖尿病患者を診察しておられます。

バーンスタイン医師は、1934年6月17日生まれですから
2023年2月現在、88歳ですが、
糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。


江部康二二
コメント
手足の冷え
江部先生、いつもブログ拝見しております。
糖尿病の合併症は毛細血管の障害から始まると聞いています。
私は冬場になると、寒い日や冷水にあたると指先や足裏が真っ青になります。
調べると、レイノー現象というらしいです。
これは手足の血行不良による冷えですが、合併症の初期症状でしょうか?
血糖の管理はしており、空腹時で100前後、食後で140~180、A1cは6.0前後です。
レイノー現象は11月~3月に現れ、それ以外はありません。
ご見解をお聞かせ下さい。
2023/02/04(Sat) 13:40 | URL | バターピーナッツ | 【編集
Re: 手足の冷え
バターピーナッツ さん

「血糖の管理はしており、空腹時で100前後、食後で140~180、A1cは6.0前後」


この数値で、糖尿病合併症がでることはあり得ません。

従って、糖尿病とは無関係の「レイノー現象」と考えられます。
漢方薬が有効ですので、主治医とご相談頂ければ幸いです。
2023/02/04(Sat) 16:18 | URL | ドクター江部 | 【編集
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