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糖尿病と糖質制限食と腎機能
こんばんは。

講演会やブログ記事や拙著において、

「血液検査で既に腎機能が悪化している場合は
糖質制限食を実践するかどうかは必ず医師と相談して下さい。」


ということを説明しています。

これは、具体的には、血清クレアチニンの悪化を指しています。
血清クレアチニンは、腎機能が正常人の30%以下に低下して、初めて上昇してきます。この時点で腎不全です。

クレアチニンの基準値ですが、ネットで4つの異なる検査機関で調べてみました。

男性で
A:0.7~1.4mg/dL、
B:0.66~1.13 mg/dl、
C:0.5~1.1mg/dl
D:0.6 ~1.2 mg/dl

など検査機関A、B、C、Dにより基準値が少し異なります。

いずれにせよ、その検査機関の基準値を超えて上昇し始めたら、腎不全です。
つまり、糖尿病で血糖コントロールが悪くて、
血清クレアチニン値が上昇し始めたとういことは、
腎臓の糸球体(毛細血管の集合体)が70%障害されていることになり、
その時点で血糖コントロールが良くなっても、
既にある障害は、回復困難なのです。

もっと早い段階で腎機能の悪化がチェックできればいいのですが、
それには血清シスタチンCという検査が良いと思います。

クレアチニン値はGFRが30mL/分(腎不全)前後まで低下した頃から上昇するのに対し、
シスタチンC値はGFRが70mL/分前後の軽度~中等度の腎機能障害でも上昇するので、
腎機能障害の早期診断にたいへん有用です。

既にクレアチン値が上昇するレベルの腎不全がある場合は、
日本では一般に高タンパク食は良くないとされています。

一方、米国糖尿病学会は、
『糖尿病腎症に関しては低タンパク食は推奨しない。』

と明言しています。
ということは、米国糖尿病学会の見解に従えば
高タンパク食である『糖質制限食』も、糖尿病腎症であれば
少々腎不全があっても実践可能となります。
勿論、必ず医師と相談しつつ、毎月検査しながら慎重に糖質制限食に
取り組むことが重要なのは言うまでもありません。

なお、高タンパク食を摂取すると腎臓が悪くなるというエビデンス(根拠)はありません。
従って、腎機能が正常の糖尿人やメタボ人が 糖質制限食(高タンパク食)を食べても全く問題はありません。


江部康二

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