2023年01月29日 (日)
【23/01/27 倉田
質問ですが、よろしくお願いします。
糖尿病との関連で、心筋梗塞又は脳梗塞について質問させて頂きます。
よろしくお願いいたします。
血管の梗塞要因として、糖尿病、高血圧があげられますが、
糖尿病は食事療法(糖質制限)によりコントロールできることが証明されています。
しかし、高血圧の要因や改善方法がよく分かりません。
私は、一つの要因としては、糖尿病などで血管が傷ついて動脈硬化が起こり、
そのために高血圧になると理解しています。
つまり、高血圧が先ではなく、動脈硬化が先にあるのではないか、ということです。
そうだとすると、動脈硬化を改善することによって、
高血圧が改善されるという理屈になります。
であれば、高血圧を改善するには、硬化した血管を柔軟化や拡張する、
あるいは血液を「さらさら」にする、という方法により血圧が下がると考えられます。
医師の多くは、高血圧の治療として降圧剤を処方すると思いますが、
降圧剤は、そのような作用がある薬なのでしょうか。
血管の柔軟化や拡張については、薬ではなく体操で可能とする説(医師より整体師に多い)を見かけます。
この説は証拠があるのか疑わしいと思っていますが、
降圧剤は血管を柔軟化や拡張できる薬でしようか。
それとも、降圧剤は血液を「さらさら」にする薬だとすると、
血液を「さらさら」にすると言われている食品があります。
そのような食品を食べることによって高血圧を改善できれば、
これも薬がいらないことになりますが、その点はどうお考えでしょうか。
以上、私の認識に間違いがあるかもしれませんが、
それも含めて、江部先生のお考え聞かせ願えれば幸いです。】
こんにちは。
倉田さんから、コメント・質問を頂きました。
倉田 さん
「高血圧の要因や改善方法がよく分かりません。
私は、一つの要因としては、糖尿病などで血管が傷ついて動脈硬化が起こり、そのために高血圧になると理解しています。」
一般的な高血圧は「本態性高血圧」が正式名称です。
本態性というくらいですから、原因はよくわからないということです。
喫煙や肥満、運動不足、塩分摂取過多、睡眠不足、加齢ストレスなど
様々な要因が合わさって発症すると考えられます。
動脈硬化(どうみゃくこうか)は、
動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態です。
内腔にプラークがついたり血栓が生じたりして血管が詰まりやすくなります。
動脈硬化は、喫煙・コレステロール・高血圧・糖尿病・肥満・運動不足などの危険因子が重なることによって発症しやすくなります。
従って、高血圧や糖尿病と動脈硬化は相互に関連していると言えます。
糖質制限食や運動によって、糖尿病はもちろんですが、高血圧も改善することがあります。
一方、一旦成立した動脈硬化は、改善は困難と思います。
動脈硬化は加齢も大きく関与しています。
誰でも、20歳の時にに比べれば、40歳、50歳、60歳、70歳・・・と年齢と共に
動脈硬化が進んでいきます。
以下に降圧剤の代表的な種類と一覧を示します。
【高血圧の治療薬について】種類一覧・値段・副作用など総まとめ
カルシウム拮抗薬
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
利尿剤
α1(アルファワン)遮断薬
β(ベータ)遮断薬
中枢性交感神経抑制薬(中枢性α2アゴニスト)
一旦生じた動脈硬化を治す薬はありませんので
降圧剤は対症療法となります。
近年、慢性炎症という概念が注目されています。
すなわち、動脈硬化、高血圧、糖尿病など生活習慣病も
ベースに慢性炎症があるという考え方です。
炎症には急性炎症と慢性炎症があります。
<炎症>
炎症はその経過によって、急性炎症と慢性炎症に分けられます。
経過がすみやかで早期に終息する炎症を急性炎症といいます。
<急性炎症>
急性炎症の徴候として、古くから、ケルススの 4 徴と呼ばれる
発赤(赤くなる)・発熱(熱が出る)・疼痛(痛い)・腫脹(腫れる) が知られています。
外因性因子としては細菌、ウイルス、外傷、熱、紫外線、強酸、毒物などがあり、内因性因子としては免疫反応があります。
<慢性炎症>
一方、組織障害が長期にわたる場合や、原因となる病原がなかなか処理されない場合には炎症が長引きます。
4 週間以上、長引く炎症を慢性炎症といいます。.
近年この「慢性炎症」が注目されています。
慢性炎症を伴う病気として
ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患が良く知られています。 最近の研究によって、これまで慢性炎症との関連についてはほとんど顧みられなかった病気でも、
実は慢性炎症が関わっていることがわかってきました。
加齢とともに増加するがん、動脈硬化、糖尿病、高血圧、肥満、アルツハイマー病などの種々の疾患、さらには老化そのものも、慢性的な炎症性の変化によって症状が進行するのではないかと考えられる証拠が見つかってきたのです。
糖化や酸化が慢性炎症の要因となっているのです。
<慢性炎症に対する糖質制限食の意義>
糖化ストレスや酸化ストレスの蓄積により慢性炎症を生じます。
そして、その延長上に老化やがんを始めとして、
様々な生活習慣病(糖尿病、動脈硬化、高血圧、パーキンソン病、アルツハイマー病など)の発症があります。
糖質を摂取すると血糖値が上昇し、血糖値が高いほどAGEsがたくさん蓄積していき糖化ストレスとなっていきます。
すなわち、三大栄養素のうち、糖化ストレスを生じるのは糖質だけであり、
脂質・タンパク質では生じません。
糖質制限食を実践すれば、糖化ストレスを大幅に減らすことができるので
老化やがんや慢性炎症を予防することが可能となります。
また、『食後高血糖』『血糖変動幅増大』『インスリン過剰分泌』は
活性酸素を発生させて、酸化ストレスの元となります。
糖質制限食なら、食後高血糖、血糖変動幅増大、インスリン過剰分泌を、
防ぐことが可能です。
このように、糖質制限食なら、糖化ストレスも酸化ストレスも慢性炎症も
最小限ですみますので、がん、老化、生活習慣病を予防・改善できる可能性が高いのです。
<糖質制限食 + 有酸素運動>で、
①内服薬なしで、糖尿病・高血圧ともにコントロール良好という患者さんもおられます。
②糖尿病はコントロール良好ですが、降圧剤併用の患者さんもおられます。
③経口糖尿病薬と降圧剤が必要な患者さんもおられます。
ブログ読者の皆さん、是非、美味しく楽しく末長く糖質制限食実践で、
がん、老化、慢性炎症、生活習慣病を予防し、健康長寿を目指しましょう。
江部康二
質問ですが、よろしくお願いします。
糖尿病との関連で、心筋梗塞又は脳梗塞について質問させて頂きます。
よろしくお願いいたします。
血管の梗塞要因として、糖尿病、高血圧があげられますが、
糖尿病は食事療法(糖質制限)によりコントロールできることが証明されています。
しかし、高血圧の要因や改善方法がよく分かりません。
私は、一つの要因としては、糖尿病などで血管が傷ついて動脈硬化が起こり、
そのために高血圧になると理解しています。
つまり、高血圧が先ではなく、動脈硬化が先にあるのではないか、ということです。
そうだとすると、動脈硬化を改善することによって、
高血圧が改善されるという理屈になります。
であれば、高血圧を改善するには、硬化した血管を柔軟化や拡張する、
あるいは血液を「さらさら」にする、という方法により血圧が下がると考えられます。
医師の多くは、高血圧の治療として降圧剤を処方すると思いますが、
降圧剤は、そのような作用がある薬なのでしょうか。
血管の柔軟化や拡張については、薬ではなく体操で可能とする説(医師より整体師に多い)を見かけます。
この説は証拠があるのか疑わしいと思っていますが、
降圧剤は血管を柔軟化や拡張できる薬でしようか。
それとも、降圧剤は血液を「さらさら」にする薬だとすると、
血液を「さらさら」にすると言われている食品があります。
そのような食品を食べることによって高血圧を改善できれば、
これも薬がいらないことになりますが、その点はどうお考えでしょうか。
以上、私の認識に間違いがあるかもしれませんが、
それも含めて、江部先生のお考え聞かせ願えれば幸いです。】
こんにちは。
倉田さんから、コメント・質問を頂きました。
倉田 さん
「高血圧の要因や改善方法がよく分かりません。
私は、一つの要因としては、糖尿病などで血管が傷ついて動脈硬化が起こり、そのために高血圧になると理解しています。」
一般的な高血圧は「本態性高血圧」が正式名称です。
本態性というくらいですから、原因はよくわからないということです。
喫煙や肥満、運動不足、塩分摂取過多、睡眠不足、加齢ストレスなど
様々な要因が合わさって発症すると考えられます。
動脈硬化(どうみゃくこうか)は、
動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態です。
内腔にプラークがついたり血栓が生じたりして血管が詰まりやすくなります。
動脈硬化は、喫煙・コレステロール・高血圧・糖尿病・肥満・運動不足などの危険因子が重なることによって発症しやすくなります。
従って、高血圧や糖尿病と動脈硬化は相互に関連していると言えます。
糖質制限食や運動によって、糖尿病はもちろんですが、高血圧も改善することがあります。
一方、一旦成立した動脈硬化は、改善は困難と思います。
動脈硬化は加齢も大きく関与しています。
誰でも、20歳の時にに比べれば、40歳、50歳、60歳、70歳・・・と年齢と共に
動脈硬化が進んでいきます。
以下に降圧剤の代表的な種類と一覧を示します。
【高血圧の治療薬について】種類一覧・値段・副作用など総まとめ
カルシウム拮抗薬
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
利尿剤
α1(アルファワン)遮断薬
β(ベータ)遮断薬
中枢性交感神経抑制薬(中枢性α2アゴニスト)
一旦生じた動脈硬化を治す薬はありませんので
降圧剤は対症療法となります。
近年、慢性炎症という概念が注目されています。
すなわち、動脈硬化、高血圧、糖尿病など生活習慣病も
ベースに慢性炎症があるという考え方です。
炎症には急性炎症と慢性炎症があります。
<炎症>
炎症はその経過によって、急性炎症と慢性炎症に分けられます。
経過がすみやかで早期に終息する炎症を急性炎症といいます。
<急性炎症>
急性炎症の徴候として、古くから、ケルススの 4 徴と呼ばれる
発赤(赤くなる)・発熱(熱が出る)・疼痛(痛い)・腫脹(腫れる) が知られています。
外因性因子としては細菌、ウイルス、外傷、熱、紫外線、強酸、毒物などがあり、内因性因子としては免疫反応があります。
<慢性炎症>
一方、組織障害が長期にわたる場合や、原因となる病原がなかなか処理されない場合には炎症が長引きます。
4 週間以上、長引く炎症を慢性炎症といいます。.
近年この「慢性炎症」が注目されています。
慢性炎症を伴う病気として
ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患が良く知られています。 最近の研究によって、これまで慢性炎症との関連についてはほとんど顧みられなかった病気でも、
実は慢性炎症が関わっていることがわかってきました。
加齢とともに増加するがん、動脈硬化、糖尿病、高血圧、肥満、アルツハイマー病などの種々の疾患、さらには老化そのものも、慢性的な炎症性の変化によって症状が進行するのではないかと考えられる証拠が見つかってきたのです。
糖化や酸化が慢性炎症の要因となっているのです。
<慢性炎症に対する糖質制限食の意義>
糖化ストレスや酸化ストレスの蓄積により慢性炎症を生じます。
そして、その延長上に老化やがんを始めとして、
様々な生活習慣病(糖尿病、動脈硬化、高血圧、パーキンソン病、アルツハイマー病など)の発症があります。
糖質を摂取すると血糖値が上昇し、血糖値が高いほどAGEsがたくさん蓄積していき糖化ストレスとなっていきます。
すなわち、三大栄養素のうち、糖化ストレスを生じるのは糖質だけであり、
脂質・タンパク質では生じません。
糖質制限食を実践すれば、糖化ストレスを大幅に減らすことができるので
老化やがんや慢性炎症を予防することが可能となります。
また、『食後高血糖』『血糖変動幅増大』『インスリン過剰分泌』は
活性酸素を発生させて、酸化ストレスの元となります。
糖質制限食なら、食後高血糖、血糖変動幅増大、インスリン過剰分泌を、
防ぐことが可能です。
このように、糖質制限食なら、糖化ストレスも酸化ストレスも慢性炎症も
最小限ですみますので、がん、老化、生活習慣病を予防・改善できる可能性が高いのです。
<糖質制限食 + 有酸素運動>で、
①内服薬なしで、糖尿病・高血圧ともにコントロール良好という患者さんもおられます。
②糖尿病はコントロール良好ですが、降圧剤併用の患者さんもおられます。
③経口糖尿病薬と降圧剤が必要な患者さんもおられます。
ブログ読者の皆さん、是非、美味しく楽しく末長く糖質制限食実践で、
がん、老化、慢性炎症、生活習慣病を予防し、健康長寿を目指しましょう。
江部康二
血管の若返り
健常者ですが、糖質制限5年です。74歳。171cm。
糖質制限前の検診血圧上123
↓
糖質制限後現在の検診血圧上104
若いころの血圧が上100前後だったので、血管が若返ったものと考えます。
2021年検診血圧上112 体重61.8kg
↓
現在の検診血圧上104 体重57.8kg
体重の減量も血圧を下げると考えられます。
私の場合、糖質制限食で、毎日軽い筋トレと体操を30分、ウォーキング20分では、58kgぐらいの体重が最適かと思われます。
タンパク質摂取量は正味130gです。
健常者ですが、糖質制限5年です。74歳。171cm。
糖質制限前の検診血圧上123
↓
糖質制限後現在の検診血圧上104
若いころの血圧が上100前後だったので、血管が若返ったものと考えます。
2021年検診血圧上112 体重61.8kg
↓
現在の検診血圧上104 体重57.8kg
体重の減量も血圧を下げると考えられます。
私の場合、糖質制限食で、毎日軽い筋トレと体操を30分、ウォーキング20分では、58kgぐらいの体重が最適かと思われます。
タンパク質摂取量は正味130gです。
江部先生、丁寧で詳細なご回答、ご解説、誠にありがとうございます。とても参考になりました。
高血圧は、要因がよく分からないのですね。だとすると、糖尿病、高血圧から動脈硬化という流れになると理解できます。そして、糖尿病はスーパー糖質制限により、血糖値を変動幅の低い水準にコントロールできていますから、それを徹底して継続すれば良いと思っています。
問題は、高血圧ですが、糖質制限が高血圧にも効果があることを期待したいですが、それほど効果がない場合、血圧を降圧剤で基準値まで下げたほうがよいものでしょうか。また、動脈硬化は改善しないということですが、それでも降圧剤で血管が拡張されることで血圧は下がるのでしょうか。
それと、血管を拡張するとともに血液をさらさらにする食材があるとされています。それらは、青魚(EPA、DHA)、キノコ、玉ネギ、ワカメ、納豆などです。糖尿病と同じように、高血圧も薬を使用しなくても、食事でコントロールできるなら、それに越したことはありません。この点はどうでしょうか。このあたりのことを研究した論文はあるでしょうか。
高血圧は、要因がよく分からないのですね。だとすると、糖尿病、高血圧から動脈硬化という流れになると理解できます。そして、糖尿病はスーパー糖質制限により、血糖値を変動幅の低い水準にコントロールできていますから、それを徹底して継続すれば良いと思っています。
問題は、高血圧ですが、糖質制限が高血圧にも効果があることを期待したいですが、それほど効果がない場合、血圧を降圧剤で基準値まで下げたほうがよいものでしょうか。また、動脈硬化は改善しないということですが、それでも降圧剤で血管が拡張されることで血圧は下がるのでしょうか。
それと、血管を拡張するとともに血液をさらさらにする食材があるとされています。それらは、青魚(EPA、DHA)、キノコ、玉ネギ、ワカメ、納豆などです。糖尿病と同じように、高血圧も薬を使用しなくても、食事でコントロールできるなら、それに越したことはありません。この点はどうでしょうか。このあたりのことを研究した論文はあるでしょうか。
2023/01/29(Sun) 16:46 | URL | 倉田 | 【編集】
49才前には糖質過剰摂取で若年性アルツハイマー型認知症発症の らこ です。
両親出身地は「長寿の村、短命の村」に「短命村ポチ」が打たれています><
◎ラッキョウで丼飯
が基本の飯パターンです。大豆は全く食いません。小魚も全く食いません。ニシンの干物は食います。こんにゃくは全国に売るほど作ってます。
◎母遺産の借地を借りてくれている人が2人「30台で若年性アルツハイマー型認知症発症 → 死亡」
です。
◎1人はブレーキとアクセル踏み間違いで転落死
◎1人は透析行き忘れ
です。
糖質過剰摂取の結果です><
両親出身地は「長寿の村、短命の村」に「短命村ポチ」が打たれています><
◎ラッキョウで丼飯
が基本の飯パターンです。大豆は全く食いません。小魚も全く食いません。ニシンの干物は食います。こんにゃくは全国に売るほど作ってます。
◎母遺産の借地を借りてくれている人が2人「30台で若年性アルツハイマー型認知症発症 → 死亡」
です。
◎1人はブレーキとアクセル踏み間違いで転落死
◎1人は透析行き忘れ
です。
糖質過剰摂取の結果です><
2023/01/30(Mon) 08:24 | URL | らこ | 【編集】
yk さん
少なくとも、ykさん個人においては、あるていど血管が若返った(慢性炎症が改善された)可能性はありますね。
良かったです。
身長171cm、体重61.8kg、BMIは19.77
正常やや痩せ型でほどよいです。
『糖質制限食で、毎日軽い筋トレと体操を30分、ウォーキング20分』
も続けられて健康長寿を目指しましょう。
少なくとも、ykさん個人においては、あるていど血管が若返った(慢性炎症が改善された)可能性はありますね。
良かったです。
身長171cm、体重61.8kg、BMIは19.77
正常やや痩せ型でほどよいです。
『糖質制限食で、毎日軽い筋トレと体操を30分、ウォーキング20分』
も続けられて健康長寿を目指しましょう。
2023/01/30(Mon) 14:44 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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