2023年01月16日 (月)
こんばんは。
今回は糖質制限食とテーラーメード・ダイエット③です。
糖尿病の人が糖質を一人前摂取すると、未精製の穀物でさえも、
食後血糖値は軽く200mgを超えてきます。
この急峻な食後高血糖のことを「グルコーススパイク」とよび、
糖尿病の人で動脈硬化が生じる元凶となります。
精製炭水化物を摂取した時に、
耐糖能が正常の人でも生じる食後血糖値が160mg、170mgという状態を、
私は「グルコースミニスパイク」と名付けました。
このグルコースミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱し、
アレルギー疾患を発症・悪化させたり、将来の生活習慣病発症のもととなると思います。
過去、世界中にいろんな食事療法がありましたが、
経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など、
基本的にグルコースミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は現在、世界の文明国に氾濫する生活習慣病の元凶は、
精製炭水化物やジャンクフードや清涼飲料水による、
『グルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰追加分泌』と考えています。
これらにより、活性酸素が発生して酸化ストレスリスクとなるのです。
繰り返しますが、グルコースミニスパイクの考えは、
「耐糖能が正常な人でも高GI食品を摂取すると食前血糖値が100mgくらいから、
食後160~170mgくらいまで上昇し、インスリンの過剰追加分泌を生じる。」
ということです。
しかし、低GI食品なら、耐糖能が正常な人は、食前100mgくらいから食後140mgくらいまでの上昇ですみ、
インスリンの追加分泌も高GI食品にくらべれば少なくてすみます。
つまり、グルコースミニスパイクは、糖尿人ではなく正常人におけるお話しです。
そして、食前と食後の血糖値の差が少ないほど、
代謝の恒常性(ホメオスターシス)が保たれて身体に優しいということです。
糖尿病を発症していない段階の人においては、
グルコースミニスパイクを防ぐことが、生活習慣病の発症予防に重要です。
糖尿病以外の慢性疾患の患者さんにおいても、
グルコースミニスパイクを防ぎ代謝を安定させて自然治癒力を高めることが大切です。
グルコースミニスパイクを防ぐには、糖質制限食、低GI食品そして運動という選択肢があります。
とくに糖質制限食なら、食後の血糖値はほとんど上昇しません。
一方、糖尿人においては、低GI食品でも普通に糖質を一人前摂取すれば、
食後血糖値は200mg/dlを超えてきます。
すなわち、正常人では意味のあったGIが、糖尿人ではほとんど無意味となります。
糖尿人においては、糖質制限食以外の食事療法は、
必ず食後高血糖を生じて動脈硬化のリスクを背負うこととなり、危険です。
従って、糖尿人には糖質制限食が唯一の安全で有効な食事療法です。
☆高雄病院食生活十箇条 2023年1月
アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の患者さんや糖尿病・肥満以外の患者さんに、
そして生活習慣病予防に、「食生活十箇条」を提案しました。
『高雄病院食生活十箇条』
一、主食は未精製の穀物(玄米、全粒粉のパンなど)。運動量により量を調整。
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、糖質量が少ない野菜や海草や茸はしっかり食べる。果物はなしでよい。
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は少量にとどめ、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
☆☆
『糖質制限食十箇条』
-糖尿病や肥満が気になる人に- 2023年1月
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質の摂取は極力控える。
三、やむを得ず主食を摂るときは少量にとどめる。
四、液体でエネルギーを摂取しない。水や茶はOK。成分未調整豆乳は適量OK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物はなしでよい。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は、蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
糖質ゼロビールはOK。辛口の赤・白ワインも適量OK。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
*炭水化物=糖質+食物繊維
江部康二
今回は糖質制限食とテーラーメード・ダイエット③です。
糖尿病の人が糖質を一人前摂取すると、未精製の穀物でさえも、
食後血糖値は軽く200mgを超えてきます。
この急峻な食後高血糖のことを「グルコーススパイク」とよび、
糖尿病の人で動脈硬化が生じる元凶となります。
精製炭水化物を摂取した時に、
耐糖能が正常の人でも生じる食後血糖値が160mg、170mgという状態を、
私は「グルコースミニスパイク」と名付けました。
このグルコースミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱し、
アレルギー疾患を発症・悪化させたり、将来の生活習慣病発症のもととなると思います。
過去、世界中にいろんな食事療法がありましたが、
経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など、
基本的にグルコースミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は現在、世界の文明国に氾濫する生活習慣病の元凶は、
精製炭水化物やジャンクフードや清涼飲料水による、
『グルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰追加分泌』と考えています。
これらにより、活性酸素が発生して酸化ストレスリスクとなるのです。
繰り返しますが、グルコースミニスパイクの考えは、
「耐糖能が正常な人でも高GI食品を摂取すると食前血糖値が100mgくらいから、
食後160~170mgくらいまで上昇し、インスリンの過剰追加分泌を生じる。」
ということです。
しかし、低GI食品なら、耐糖能が正常な人は、食前100mgくらいから食後140mgくらいまでの上昇ですみ、
インスリンの追加分泌も高GI食品にくらべれば少なくてすみます。
つまり、グルコースミニスパイクは、糖尿人ではなく正常人におけるお話しです。
そして、食前と食後の血糖値の差が少ないほど、
代謝の恒常性(ホメオスターシス)が保たれて身体に優しいということです。
糖尿病を発症していない段階の人においては、
グルコースミニスパイクを防ぐことが、生活習慣病の発症予防に重要です。
糖尿病以外の慢性疾患の患者さんにおいても、
グルコースミニスパイクを防ぎ代謝を安定させて自然治癒力を高めることが大切です。
グルコースミニスパイクを防ぐには、糖質制限食、低GI食品そして運動という選択肢があります。
とくに糖質制限食なら、食後の血糖値はほとんど上昇しません。
一方、糖尿人においては、低GI食品でも普通に糖質を一人前摂取すれば、
食後血糖値は200mg/dlを超えてきます。
すなわち、正常人では意味のあったGIが、糖尿人ではほとんど無意味となります。
糖尿人においては、糖質制限食以外の食事療法は、
必ず食後高血糖を生じて動脈硬化のリスクを背負うこととなり、危険です。
従って、糖尿人には糖質制限食が唯一の安全で有効な食事療法です。
☆高雄病院食生活十箇条 2023年1月
アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の患者さんや糖尿病・肥満以外の患者さんに、
そして生活習慣病予防に、「食生活十箇条」を提案しました。
『高雄病院食生活十箇条』
一、主食は未精製の穀物(玄米、全粒粉のパンなど)。運動量により量を調整。
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、糖質量が少ない野菜や海草や茸はしっかり食べる。果物はなしでよい。
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は少量にとどめ、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
☆☆
『糖質制限食十箇条』
-糖尿病や肥満が気になる人に- 2023年1月
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質の摂取は極力控える。
三、やむを得ず主食を摂るときは少量にとどめる。
四、液体でエネルギーを摂取しない。水や茶はOK。成分未調整豆乳は適量OK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物はなしでよい。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は、蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
糖質ゼロビールはOK。辛口の赤・白ワインも適量OK。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
*炭水化物=糖質+食物繊維
江部康二
レカネマブ=アルツハイマー初期患者だけに効果が認められた薬です。
アメリカで認証されて年間薬代=350万円。
日本はいくらになることやら。
◎アルツハイマー型認知症はスーパー糖質制限食で1週間足らずで寛解する → 中期以降でも(らこ父実例)
「スーパー糖質制限食は食費が嵩む」が唯一の弱点ですが、月当たり10万円はアップしていません。
初期アルツハイマー認知症にしか効果無く、しかも「進行を遅らせるだけ」に30万円も支払う人いるのでしょうか?
江部先生のお考えをご教示頂きたく存じます。
アメリカで認証されて年間薬代=350万円。
日本はいくらになることやら。
◎アルツハイマー型認知症はスーパー糖質制限食で1週間足らずで寛解する → 中期以降でも(らこ父実例)
「スーパー糖質制限食は食費が嵩む」が唯一の弱点ですが、月当たり10万円はアップしていません。
初期アルツハイマー認知症にしか効果無く、しかも「進行を遅らせるだけ」に30万円も支払う人いるのでしょうか?
江部先生のお考えをご教示頂きたく存じます。
2023/01/17(Tue) 10:25 | URL | らこ | 【編集】
らこ さん
コメントをありがとうございます。
私も効果の少ない高価な内服薬よりは、
アルツハイマー病の予防と改善に、
スーパー糖質制限食実践が一番良いと思います。
コメントをありがとうございます。
私も効果の少ない高価な内服薬よりは、
アルツハイマー病の予防と改善に、
スーパー糖質制限食実践が一番良いと思います。
2023/01/17(Tue) 18:11 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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