2022年12月14日 (水)
こんにちは。
糖尿病で恐れられている病態として<糖尿病ケトアシドーシス>があります。
極度のインスリン作用の欠乏と、コルチゾールやアドレナリンなどインスリン拮抗ホルモンの増加により、高血糖(300mg/dl以上)、血中ケトン体高値、アシドーシス(pH7.3未満)ををきたした状態です。
糖尿病ケトアシドーシスになれば重篤な病態であり
糖尿病専門胃のいる医療機関への移送が必要です。
このことが頭にあるので、日本の医師の多くがケトン体を危険なものと認識しています。
しかし<生理的ケトーシス>と<糖尿病ケトアシドーシス>まったく別物なのです。
すなわち生理的ケトーシスは安全な状態で糖尿病ケトアシドーシスは危険な病態ということです。
そしてケトン体そのものは、脳も含めて肝臓以外の臓器・組織においては、
もっとも好まれるエネルギー源なのです。
(赤血球だけはミトコンドリアがないので、エネルギー源としてブドウ糖しか使えません)
<生理的ケトーシスと糖尿病ケトアシドーシス>
生理的ケトーシスの例として、新生児や妊婦の絶食時や、
小児難治性てんかんz治療食であるケトン食があります。
また、絶食療法やスーパー糖質制限食中には生理的ケトーシスとなります。
絶食療法中の血中ケトン体のピークは2000~4000μM/L(26~122)くらいになります。
20年間スーパー糖質制限食中の江部康二の血中ケトン値は
400~800~1200くらいです。
小児の場合は成人よりケトン体は上昇しやすいのですが、
ケトン食を実践中は、2000~4000μM/L(26~122)くらいになります。
勿論両者ともインスリン作用は保たれていて生理的なものなので、
初期のアシドーシスは緩衝作用で補正されて、pHも速やかに正常となります。
今でこそ絶食(断食)というと大変なことというイメージですが、
農耕前の人類においては、ごく日常的なことでした。
すなわち、人類の進化の過程で農耕開始前の700万年間は、
常に飢餓との戦いでした。
食料を得たあと、狩猟・採集・漁労がうまくいかなければたちまち飢餓となります。
食事→飢餓→食事→飢餓・・・この繰り返しだったと考えられます。
そしてこの飢餓の時には、当然生理的ケトーシスとなっています。
つまり、農耕以前の人類においては、生理的ケトーシスは、
ごく日常的に存在したものだったと言えます。
病的ケトアシドーシスは、インスリン作用の欠落した糖尿病、アルコール摂取、薬物摂取などで生じます。
なお<スーパー糖質制限食+SGLT2阻害薬>の併用の場合は、
脱水があると、糖尿病ケトアシドーシスのリスクが少しあがるので、水分補給をしっかり心がけましょう。
江部康二
糖尿病で恐れられている病態として<糖尿病ケトアシドーシス>があります。
極度のインスリン作用の欠乏と、コルチゾールやアドレナリンなどインスリン拮抗ホルモンの増加により、高血糖(300mg/dl以上)、血中ケトン体高値、アシドーシス(pH7.3未満)ををきたした状態です。
糖尿病ケトアシドーシスになれば重篤な病態であり
糖尿病専門胃のいる医療機関への移送が必要です。
このことが頭にあるので、日本の医師の多くがケトン体を危険なものと認識しています。
しかし<生理的ケトーシス>と<糖尿病ケトアシドーシス>まったく別物なのです。
すなわち生理的ケトーシスは安全な状態で糖尿病ケトアシドーシスは危険な病態ということです。
そしてケトン体そのものは、脳も含めて肝臓以外の臓器・組織においては、
もっとも好まれるエネルギー源なのです。
(赤血球だけはミトコンドリアがないので、エネルギー源としてブドウ糖しか使えません)
<生理的ケトーシスと糖尿病ケトアシドーシス>
生理的ケトーシスの例として、新生児や妊婦の絶食時や、
小児難治性てんかんz治療食であるケトン食があります。
また、絶食療法やスーパー糖質制限食中には生理的ケトーシスとなります。
絶食療法中の血中ケトン体のピークは2000~4000μM/L(26~122)くらいになります。
20年間スーパー糖質制限食中の江部康二の血中ケトン値は
400~800~1200くらいです。
小児の場合は成人よりケトン体は上昇しやすいのですが、
ケトン食を実践中は、2000~4000μM/L(26~122)くらいになります。
勿論両者ともインスリン作用は保たれていて生理的なものなので、
初期のアシドーシスは緩衝作用で補正されて、pHも速やかに正常となります。
今でこそ絶食(断食)というと大変なことというイメージですが、
農耕前の人類においては、ごく日常的なことでした。
すなわち、人類の進化の過程で農耕開始前の700万年間は、
常に飢餓との戦いでした。
食料を得たあと、狩猟・採集・漁労がうまくいかなければたちまち飢餓となります。
食事→飢餓→食事→飢餓・・・この繰り返しだったと考えられます。
そしてこの飢餓の時には、当然生理的ケトーシスとなっています。
つまり、農耕以前の人類においては、生理的ケトーシスは、
ごく日常的に存在したものだったと言えます。
病的ケトアシドーシスは、インスリン作用の欠落した糖尿病、アルコール摂取、薬物摂取などで生じます。
なお<スーパー糖質制限食+SGLT2阻害薬>の併用の場合は、
脱水があると、糖尿病ケトアシドーシスのリスクが少しあがるので、水分補給をしっかり心がけましょう。
江部康二
以前は通勤で8000歩/日程度の運動量がありましたが、退職して運動量が落ちるとケトン体値も下がったように思います。食事は今もスーパー糖質制限ですが、消費カロリーに占める糖質の割合が増えたためではないかと推測しています。
5年ほど前<スーパー糖質制限食+微量のSGLT2阻害薬>だった頃のケトン体値は最高で5200μM/Lでした。SGLT2阻害薬によって糖が排泄され、体内に残った糖質は実質ケトン食並みの糖質量になったものと思われますが、一旦、摂取して排泄するのと最初から摂取しないのとでは違いはあるのでしょうか。
5年ほど前<スーパー糖質制限食+微量のSGLT2阻害薬>だった頃のケトン体値は最高で5200μM/Lでした。SGLT2阻害薬によって糖が排泄され、体内に残った糖質は実質ケトン食並みの糖質量になったものと思われますが、一旦、摂取して排泄するのと最初から摂取しないのとでは違いはあるのでしょうか。
2022/12/15(Thu) 06:38 | URL | 西村 典彦 | 【編集】
西村 典彦 さん
『一旦、摂取して排泄するのと最初から摂取しないのとでは違いはあるのでしょうか。』
①糖質制限食で、食後高血糖はリアルタイムに改善します。
②糖質制限食で、早朝空腹時血糖値が改善することもあります。
③糖質制限食実践でも、早朝空腹時血糖値だけが改善しないことがあります。
③のケースのとき、SGLT2阻害薬で、早朝空腹時血糖値が、結構劇的に改善することがあります。
③の場合、肝臓の糖新生が、早朝空腹時血糖値を上昇させている要因ですが、
これは外から糖質制限食を実践しても、制御不能です。
SGLT2阻害薬は薬物による糖質制限という考え方もできます。
一旦、摂取して排泄する・・・SGLT2阻害薬
最初から摂取しない・・・糖質制限食
一旦、摂取して排泄する・・・SGLT2阻害薬・・・血糖降下作用があります。
また上述のように、<糖質制限食+SGLT2阻害薬>で、早朝空腹時血糖値が改善するケースがあります。
『一旦、摂取して排泄するのと最初から摂取しないのとでは違いはあるのでしょうか。』
①糖質制限食で、食後高血糖はリアルタイムに改善します。
②糖質制限食で、早朝空腹時血糖値が改善することもあります。
③糖質制限食実践でも、早朝空腹時血糖値だけが改善しないことがあります。
③のケースのとき、SGLT2阻害薬で、早朝空腹時血糖値が、結構劇的に改善することがあります。
③の場合、肝臓の糖新生が、早朝空腹時血糖値を上昇させている要因ですが、
これは外から糖質制限食を実践しても、制御不能です。
SGLT2阻害薬は薬物による糖質制限という考え方もできます。
一旦、摂取して排泄する・・・SGLT2阻害薬
最初から摂取しない・・・糖質制限食
一旦、摂取して排泄する・・・SGLT2阻害薬・・・血糖降下作用があります。
また上述のように、<糖質制限食+SGLT2阻害薬>で、早朝空腹時血糖値が改善するケースがあります。
2022/12/15(Thu) 17:38 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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