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スーパー糖質制限食と緩い糖質制限食と従来の糖尿病食。
こんばんは。
11月14日(月)は、世界糖尿病デーです。

今回の記事は、
スーパー糖質制限食(高雄病院方式)
緩い糖質制限食(山田悟医師方式)
従来の糖尿病食(日本糖尿病学会推奨)

を糖尿人が摂取した場合に、どのようなことが起こるかを
食後血糖値を中心に、検討してみました。

山田医師の緩い糖質制限食は、現在は
「1食の糖質が20~40グラム」ですが、
当初は
「1食の糖質が30~40グラム」でしたので
少し高雄病院方式に歩み寄った感がありますね。

この緩い糖質制限食で、日本糖尿病学会の合併症予防のための目標値、

空腹時血糖値:130mg/dl未満
食後2時間血糖値:180mg/dl未満


が達成できる糖尿人は、それでいいと思います。

さて、1gの糖質が、体重64kgの糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。
まず従来の糖尿病食で計算してみます。
そうすると、空腹時血糖値が100mg/dlくらいでいい感じでも、
日本糖尿病学会推奨の糖尿病食で、
炊いたご飯を軽く1杯(150g、252kcal、糖質は55.65g)食べただけで
血糖値は170mgも上昇してしまうので、
食後血糖値は軽く200mg/dlアップとなり、
確実に合併症のリスクとなります。

緩い糖質制限食だと
空腹時血糖値が100mg/dlくらいで、
40gの糖質を摂取すれば、血糖値は120mg上昇するので
<食後2時間血糖値:180mg/dl未満>
達成が困難なケースもかなりでてくると思います。

その点スーパー糖質制限食は
1回の食事の糖質量が10~20g以下
間食の糖質量は5g以下で一日に2回くらい

が目標となります。
空腹時血糖値が100mg/dlくらいで
糖質20gを摂取しても60mgくらいしか上昇しないので
<食後2時間血糖値:180mg/dl未満>
達成は容易と考えられます

というか、そういう目標で
1回の食事の糖質量を<10~20g>を設定したということです。


緩い糖質制限食の<血糖、体重、血圧、脂質を改善効果>は、
スーパー糖質制限食には及びませんが、
従来の糖尿病食に比べたら、はるかにましです。

ともあれ、日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限、脂肪制限、高糖質食)は、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大を必ず生じて酸化ストレスリスクとなり、
合併症の予防は、極めて困難であり、糖尿人にとっては「合併症製造食」と言える代物です。

日本全国の糖尿人の皆さん、せめて「合併症製造食」だけは止めましょう。


江部康二
コメント
「スーパー制限」の一択意外に選択肢はありません
嚆矢、四面楚歌の時より糖質制限食事療法を啓蒙して頂いたお陰で、命が助かった者です。感謝感謝。
江部Drの「戦友」である夏井睦Drの「新しい創傷治療:最新記事2022.07.21」
http://www.wound-treatment.jp/に掲載されたコメントを再投稿させて頂きます。
『【ミニエッセイ】 盟友である福島正嗣先生から『朝食にパンを食べるな 10万人の胃腸を診た専門医が教える‼ 長生き食事術』の献本が送られてきました⇔中略⇔本の最初に【なぜ自分は糖質制限をするようになったのか】について江部先生と私の名前を出して説明していますが、こういうところに彼の医師としての誠実さを感じるし、何より信用がおける人間だということを示しています。糖質制限本で江部先生に全く言及していない本をよく目にしますが、そういう本の著者を私は基本的に信用していません。だって、英語の文献しか読まずに独力で糖質制限の概念にたどり着いた・・・なんてことは絶対にありえないはずですから。糖質制限という言葉を使うなら、その言葉を誰が考案したのかについて言及するのが筋だし、それをしないで本を書くのは科学者の基本がわかっていない証拠です。 医者・科学者として本を書く以上、誰が師匠であり、誰を参考にしたのかを明記するのは、師匠や先達に対する最低限の礼儀です。』
 全くもって同感の極みです。四面楚歌、誹謗中傷、分断攻撃の嵐の中、啓蒙し続けて頂いた江部Drを差し置き、あたかも自らの研究成果の如く出版物を発行したり、YouTubeで情報発信している臨床・研究医が、巷で溢れかえっております。勿論、江部Drは博愛精神に基づき、真に「医師としての使命」を果たし続けておられていると、心の奥底から思っております。夏井Drのおっしゃる『医者・科学者として本を書く以上、誰が師匠であり、誰を参考にしたのかを明記するのは、師匠や先達に対する最低限の礼儀』さらに言わせて頂ければ、研究論文・著作物の発表等には「参考文献・研究論文」等を明記する事は鉄則中の鉄則であると思います。「井戸を掘った者の恩」を顧みずパクリ横行の現状こそが、江部Drのこれまでのご献身の賜物であると云う確固たる「成果・傍証」なのではないかとも思います。江部Drが、嚆矢、四面楚歌の時より啓蒙されてこられた「スーパー糖質制限食(高雄病院方式)」に命を救われた者としては「スーパー制限」の一択意外に選択肢はありません。感謝感謝。
2022/11/15(Tue) 08:15 | URL | 感謝感謝 | 【編集
Re: 「スーパー制限」の一択意外に選択肢はありません
感謝感謝 さん

熱烈な応援をありがとうございます。

盟友、夏井睦先生と私の共通点は、「湿潤療法」や「糖質制限食」に関する情報を
全て無料で公開していることです。
結果として、医師の中にも「湿潤療法」や「糖質制限食」に賛同する方々がおおいに増えたと思います。

また、一般の人や糖尿人においても、自力で「湿潤療法」や「糖質制限食」を実践されて
効果をあげている方々も多くおられると思いますが、これも無料公開のよい影響です。

これらをアドラー的に解釈すると「他者貢献」を日常的に実践していることになりますので
自分にとってもとても良いことなのです。

2022/11/15(Tue) 10:56 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質摂取直後の中性脂肪
江部先生
いつもメルマガと併せて、勉強させていただいております。
糖質のみの摂取直後で、TGは動くのでしょうか?健康な場合やインスリン抵抗性のあるなしなどで、違うのでしょうか?どうなるのか教えて下さい。
2022/11/15(Tue) 14:54 | URL | T.M | 【編集
Re: 糖質摂取直後の中性脂肪
T.M さん

普通に安静で糖質のみ摂取なら、TG値は変化しません。
2022/11/15(Tue) 20:41 | URL | ドクター江部 | 【編集
私の場合ですが
>1gの糖質が、体重64kgの糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます

これはあくまで標準的な表現をされてるのかと思いますが、
私(境界型糖尿予備軍)の場合、少量の糖質の方が血糖値に対する比率での影響は大きいようです。
すなわち、糖質20gで血糖値は50mg/dLも上がりますが、
糖質60gならせいぜい80mg/dL程度です。
仮に1型の方でも、糖質を200g摂取して、血糖値が600mg/dLも上昇することはないのではないでしょうか?
2022/11/15(Tue) 23:09 | URL | 坂田 | 【編集
Re: 私の場合ですが
坂田 さん

御仰る通りです。
個人差がかなりあります。

①体重32kgの人なら、約6mg上昇させます。
②糖質50~75g摂取くらいまでの一般的な法則です。
③アバウトですが、1gの糖質が正常人は1mg、境界型は2mg、糖尿人は3mg上昇させます。
2022/11/16(Wed) 07:29 | URL | ドクター江部 | 【編集
坂田さまが仰っているのは、「摂取糖質量とそれに伴い上昇する血糖値とは、比例しないのではないですか?」という事だと思います。
2022/11/16(Wed) 12:21 | URL | きみ | 【編集
Re: タイトルなし
きみ さん

ほとんどの人において
<糖質50~75g>までの一回の食事ならあるていど比例します。
しかし個人差があります。

坂田さんのようなケースもあると思います。
2022/11/16(Wed) 13:10 | URL | ドクター江部 | 【編集
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