2008年11月20日 (木)
こんばんは。とっても寒いです。
今朝の気温は、2度くらいでした。吐息は白いし、手もかじかみます。
毎年この時期は、ぎっくり腰の一撃が来ないかとびびっている江部康二です。
さて今回は、ふじさんから糖質制限食と尿タンパクについてコメント・質問をいただきました。
『08/11/15 ふじ
尿たんぱく
江部先生、初めまして。
私は1ヶ月前に糖尿病と診断され、2日後に糖質制限食の存在を知り、その日に開始しました。
(糖尿の薬はもらっていますが、今のところ血圧の薬だけ飲んでいます。)
おかげ様で初診日に食後5時間の値が400以上だったのが、食後3時間で120台まで下がりました。
このまま続けて行こうと思っていた矢先の今日、
尿検査で尿タンパクが2+と出て、主治医から「腎臓に問題がある」と言われてしまいました。
定期の血液検査もしましたが、結果は2週間後でないと判りません。
前月の血液検査では腎臓関連の項目の数値に異常はありませんでした。
腎臓に障害がある場合、糖質制限食は適応しないということなので、このまま続けてはいけないのだろうかと悩んでいます。
お忙しい中で申し訳ありませんが、都合の良い時に回答いただければと思います。
宜しくお願いします。』
ふじさん。コメントありがとうございます。
「初診日に食後5時間の値が400以上だったのが、食後3時間で120台まで下がりました 。」
さすが糖質制限食、良かったですね。ヾ(^▽^)
腎機能傷害と糖質制限食ですが、血液検査でクレアチニンが高値(基準値は各施設で異なりますが、その基準値より高値)の場合は適応となりません。
一方、タンパク尿の場合は考慮の余地があります。微量アルブミン尿陽性の段階なら早期腎症期ですが、糖質制限食で回復する可能性はかなり高いです。
ふじさんはタンパク尿陽性ですので、少なくとも顕性腎症前期の段階ではあります。この場合、血糖コントロールが悪いためにタンパク尿がでている側面もありますので、糖質制限食で血糖コントロールが改善すれば、タンパク尿がへる可能性もあります。
さらに腎症が進んで、顕性腎症後期となり、タンパク尿が1g/日以上でているとタンパク制限食が基本となるので、高タンパク食となる糖質制限食はお奨めできません。
なお、「糖尿病治療ガイド2008-2009」によれば、顕性腎症前期の段階でもタンパク制限食が推奨となっています。
しかし、本ブログに時々登場する、ご自身が1型糖尿病の米国のバーンスタイン医師は、小児期12才に1型糖尿病を発症し、以後インスリンを打ち続けておられます。
35才、糖尿病腎症の初期となった頃、SMBGで血糖自己測定をしながら食事療法を研究し、徹底した糖質制限食を開始。蛋白尿が出現する段階の顕性腎症前期から、糖質制限食で回復しタンパク尿消失。45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究。以後、多数の糖尿病患者を診察。73才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。
バーンスタイン医師のように、顕性腎症前期からでも、糖質制限食で正常に回復することがありますのでふじさんも希望はあると思います。
今朝の気温は、2度くらいでした。吐息は白いし、手もかじかみます。
毎年この時期は、ぎっくり腰の一撃が来ないかとびびっている江部康二です。
さて今回は、ふじさんから糖質制限食と尿タンパクについてコメント・質問をいただきました。
『08/11/15 ふじ
尿たんぱく
江部先生、初めまして。
私は1ヶ月前に糖尿病と診断され、2日後に糖質制限食の存在を知り、その日に開始しました。
(糖尿の薬はもらっていますが、今のところ血圧の薬だけ飲んでいます。)
おかげ様で初診日に食後5時間の値が400以上だったのが、食後3時間で120台まで下がりました。
このまま続けて行こうと思っていた矢先の今日、
尿検査で尿タンパクが2+と出て、主治医から「腎臓に問題がある」と言われてしまいました。
定期の血液検査もしましたが、結果は2週間後でないと判りません。
前月の血液検査では腎臓関連の項目の数値に異常はありませんでした。
腎臓に障害がある場合、糖質制限食は適応しないということなので、このまま続けてはいけないのだろうかと悩んでいます。
お忙しい中で申し訳ありませんが、都合の良い時に回答いただければと思います。
宜しくお願いします。』
ふじさん。コメントありがとうございます。
「初診日に食後5時間の値が400以上だったのが、食後3時間で120台まで下がりました 。」
さすが糖質制限食、良かったですね。ヾ(^▽^)
腎機能傷害と糖質制限食ですが、血液検査でクレアチニンが高値(基準値は各施設で異なりますが、その基準値より高値)の場合は適応となりません。
一方、タンパク尿の場合は考慮の余地があります。微量アルブミン尿陽性の段階なら早期腎症期ですが、糖質制限食で回復する可能性はかなり高いです。
ふじさんはタンパク尿陽性ですので、少なくとも顕性腎症前期の段階ではあります。この場合、血糖コントロールが悪いためにタンパク尿がでている側面もありますので、糖質制限食で血糖コントロールが改善すれば、タンパク尿がへる可能性もあります。
さらに腎症が進んで、顕性腎症後期となり、タンパク尿が1g/日以上でているとタンパク制限食が基本となるので、高タンパク食となる糖質制限食はお奨めできません。
なお、「糖尿病治療ガイド2008-2009」によれば、顕性腎症前期の段階でもタンパク制限食が推奨となっています。
しかし、本ブログに時々登場する、ご自身が1型糖尿病の米国のバーンスタイン医師は、小児期12才に1型糖尿病を発症し、以後インスリンを打ち続けておられます。
35才、糖尿病腎症の初期となった頃、SMBGで血糖自己測定をしながら食事療法を研究し、徹底した糖質制限食を開始。蛋白尿が出現する段階の顕性腎症前期から、糖質制限食で回復しタンパク尿消失。45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究。以後、多数の糖尿病患者を診察。73才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。
バーンスタイン医師のように、顕性腎症前期からでも、糖質制限食で正常に回復することがありますのでふじさんも希望はあると思います。
江部先生、こんばんは。
降雪の中帰宅した、ゆうです。
さて、基準値が各施設で異なるとありますが、これは仕方のないことなのでしょうか。
先日実施された私の職場での健康診断ではHbA1Cが5,1空腹時血糖値が99までが基準値となっており、ずいぶんきびしい感じがしたのですが。たしかに正常な人の多くはこの基準値を超えないのでしょうけれど、以前より気になっていたことだったで書いてみました。失礼いたします。
降雪の中帰宅した、ゆうです。
さて、基準値が各施設で異なるとありますが、これは仕方のないことなのでしょうか。
先日実施された私の職場での健康診断ではHbA1Cが5,1空腹時血糖値が99までが基準値となっており、ずいぶんきびしい感じがしたのですが。たしかに正常な人の多くはこの基準値を超えないのでしょうけれど、以前より気になっていたことだったで書いてみました。失礼いたします。
2008/11/20(Thu) 19:16 | URL | ゆう | 【編集】
江部先生、こんばんは。
質問にお答えいただきありがとうございます。
顕性腎症前期にもうなってしまってるんですね…。
糖尿病発覚から間もないので正直ショックですが、希望を持って体を治していこうと思います。
質問にお答えいただきありがとうございます。
顕性腎症前期にもうなってしまってるんですね…。
糖尿病発覚から間もないので正直ショックですが、希望を持って体を治していこうと思います。
2008/11/20(Thu) 21:26 | URL | ふじ | 【編集】
3月に糖質制限食をはじめ、それまで半年以上尿タンパクが(+)(±)と続いていた為、ブログ内で質問をし、中野の公演終了後でもご相談させていただいた者です。
江部先生からは、『血糖コントロールが良くなれば尿タンパクが減少する可能性も期待できますよ』という嬉しいお答えを頂きましたが、9月までは(±)が続いていました。主治医からは『一旦継続して尿タンパクが出始めると、それを(-)にするのは結構難しい…」と言われていたこともあり少々諦めの気持ちも出始めましたが、とりあえず江部先生の助言を励みに糖質制限食を心がけて続けてきたところ、先月に続き今日の11月の検査でも尿タンパクが(-)に!!
当初江部先生から頂いた『タンパク質70g~80g』という目安量でしたが、最近は寧ろ目安量より多めのタンパク質を摂取しているのが現状です。「やっぱり江部先生の仰る通りだったんだ!」と、あらためて感激し感謝する次第です。
3月は8.8だったHbA1cも、6月に5.5に下がり、ずっと今月まで維持しています。(本当はもっと下げたい!)長年に渡り基準値を上回っていた中性脂肪もγGTPもコレステロールもGOT/GPTも全て基準値内に収まっています。
先月の診断時、主治医が「このクリニックでも他に3人炭水化物を制限して結果を出してる患者さんがいますよ」と教えてくれました。徐々にカーボカウンティングが広がりつつあるようで嬉しくなりました。・・・・・・が、そう思っていると、今日は待合室で年配の患者さんに、クリニック選任の栄養士さんが「○○さん、おかずが多めなので、夕飯のご飯を2膳に増やして、おかずを減らすようにしてくださいね。」と懇切丁寧に指導しているのが聞こえてきて、日本における糖尿病治療指導の夜明けは、まだもう少し先の話かぁ…と溜息ひとつでした。
江部先生からは、『血糖コントロールが良くなれば尿タンパクが減少する可能性も期待できますよ』という嬉しいお答えを頂きましたが、9月までは(±)が続いていました。主治医からは『一旦継続して尿タンパクが出始めると、それを(-)にするのは結構難しい…」と言われていたこともあり少々諦めの気持ちも出始めましたが、とりあえず江部先生の助言を励みに糖質制限食を心がけて続けてきたところ、先月に続き今日の11月の検査でも尿タンパクが(-)に!!
当初江部先生から頂いた『タンパク質70g~80g』という目安量でしたが、最近は寧ろ目安量より多めのタンパク質を摂取しているのが現状です。「やっぱり江部先生の仰る通りだったんだ!」と、あらためて感激し感謝する次第です。
3月は8.8だったHbA1cも、6月に5.5に下がり、ずっと今月まで維持しています。(本当はもっと下げたい!)長年に渡り基準値を上回っていた中性脂肪もγGTPもコレステロールもGOT/GPTも全て基準値内に収まっています。
先月の診断時、主治医が「このクリニックでも他に3人炭水化物を制限して結果を出してる患者さんがいますよ」と教えてくれました。徐々にカーボカウンティングが広がりつつあるようで嬉しくなりました。・・・・・・が、そう思っていると、今日は待合室で年配の患者さんに、クリニック選任の栄養士さんが「○○さん、おかずが多めなので、夕飯のご飯を2膳に増やして、おかずを減らすようにしてくださいね。」と懇切丁寧に指導しているのが聞こえてきて、日本における糖尿病治療指導の夜明けは、まだもう少し先の話かぁ…と溜息ひとつでした。
2008/11/21(Fri) 02:10 | URL | 八郎の娘 | 【編集】
江部先生
おはようございます
お久しぶりです。
最近体重が増えつつあります。
基本同じ食事・運動量なのですが。
夕食時ワインは1杯から2杯にはなったりはしています。
やはり冬は太ってくるのでしょうか?
それとも適正体重に近づいているのでしょうか?
(太ってしまったといっても標準よりは2~3キロ少ないです)
ワインの1杯の影響もあるのかな?とも思いますが。
あと発病前は飲むコラーゲンとかビタミンとか服用していましたが最近はやめています。(糖質が凄いので)
でもこの時期肌のためにもサプリメントとかなら飲んでも問題ないのならば服用したいのですがどうでしょう?
御忙しいとは思いますがお時間あるとき教えていただけたら嬉しいです
おはようございます
お久しぶりです。
最近体重が増えつつあります。
基本同じ食事・運動量なのですが。
夕食時ワインは1杯から2杯にはなったりはしています。
やはり冬は太ってくるのでしょうか?
それとも適正体重に近づいているのでしょうか?
(太ってしまったといっても標準よりは2~3キロ少ないです)
ワインの1杯の影響もあるのかな?とも思いますが。
あと発病前は飲むコラーゲンとかビタミンとか服用していましたが最近はやめています。(糖質が凄いので)
でもこの時期肌のためにもサプリメントとかなら飲んでも問題ないのならば服用したいのですがどうでしょう?
御忙しいとは思いますがお時間あるとき教えていただけたら嬉しいです
2008/11/21(Fri) 09:04 | URL | まるまるまる | 【編集】
まるまるまるさん。
基本的には糖質制限食なら、
ビタミン、ミネラルなどすべて
豊富に摂取できるのでサプリメントは要らないと思います。
でも特に問題もありませんので
お守り代わりにサプリメントを飲んでもいいと思います。
基本的には糖質制限食なら、
ビタミン、ミネラルなどすべて
豊富に摂取できるのでサプリメントは要らないと思います。
でも特に問題もありませんので
お守り代わりにサプリメントを飲んでもいいと思います。
2008/11/21(Fri) 16:36 | URL | 江部康二 | 【編集】
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